№386 乗り物中心のフランス旅行記 8

 一昨日は来年3月12日のJRグループのダイヤ改正について書きましたが、JR西日本の一部のPDFファイルによるリリースが読めません。
 読めないのは「詳細」「金沢支社」「福知山支社」で、他と比較してファイルのサイズが大きいからかな?
 他の支社のリリースを呼んだ感触では、大阪駅の「OSAKA STATION CITY」オープンに合わせたアーバンネットワークの快速の増発と、関連した線区の運行形態の改定、そして一部線区の始発繰り下げ・終発繰上げなどが行われるようです。
 何とか全部読めるようになったら、改めて書きます。
 
 フランス旅行記を続けます。
 かなり不本意な一日になりました。

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11月2日(月)
 今日はこの旅の最大の目当ての一つ、ピレネー山脈を走る「トラン・ジョーヌ」に乗る予定、になっていたのですが…。

 ペルピニャンのYHの朝食は7時30分、これでは7時47分に出発するヴィルフランシュ・ヴァネット・レ・バイン行に乗れず、その先の「トラン・ジョーヌ」にも乗れなくなってしまう。何しろ今の時期のラ・トゥール・ド・キャロル行「トラン・ジョーヌ」は1日2本しかない。7時になってレセプションに降りても真っ暗で、別室で朝食の準備が進んでいるようだったが、昨日とは別のお姉さんが出てきて、会員カードを返してくれた。
(ここは7時30分より早い出発の時は早めに申し出ておかなければならない。注意を)
 南に位置するためか、パリなどより朝は早いようだ。

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ペルピニャン駅

 通りに並ぶ建物やYHと同様、ペルピニャンの駅舎もこれまでのSNCFの駅と異なり、南国風の建築になっている。パリからの夜行が到着していて、通勤客と旅行客が行きかう。TGVデュプレクスの夜行も姿を現した。

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SNCF 877653列車
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1等室 車内

 ペルピニャン7時47分発のヴィルフランシュ・ヴァネット・レ・バイン行は、2日目にメッスからストラスブールまで利用した時と同型と思われる。フランコラーユ社・1984年製、らしいが、この電車に関しては、車内は新型超低床車両と同タイプに更新されていてキレイだ。
 遠くに山々が連なっているのが見えて、これからの行程に期待を抱かせる。沿線は宅地開発をしている場所も目立つが、それらもまた南欧スタイルで、邸宅では庭にプールがある所も少なくないようだ。

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イルシュルテ駅
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イルシュルテ駅構内

 ほぼ中間のイルシュルテでペルピニャン行と行き違う。向こうもこちらと同型。それにしても架線柱がなんともユニークだ。電化が早かったのだろう。
 やがてバインの街に差し掛かると、丘の周囲を民家がへばりつくように並んでいる。そのてっぺんに掲げられている大きな旗は何を意味するのだろう。

 さて、定刻にヴィルフランシュ・ヴァネット・レ・バイン駅に着いた。構内には「トラン・ジョーヌ」の電車(新旧)に日本風に言えばトロッコ客車の姿が見え、大いに期待を抱かせた。
 ところがどうも様子がおかしい。誰も専用ホームに向かわないのだ。まさか…。駅員に聞くと一言…。

「Broken」

 エエーッ!?何がブロークンなのか解からないが、「トラン・ジョーヌ」は運休!ラ・トゥール・ド・キャロルまでは代行バスが運行されるという話だが、今回に関しては代行バスは何の意味もない。
 トホホ。何のためにこんな辺鄙な所まで朝メシを抜いてきたんだ…。
 あるいはペルピニャン駅にはお知らせがあったのかも知れない。見落としがあったとすれば、自分の迂闊さが一番いけないのだが…。

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「トラン・ジョーヌ」代行バス

 ラ・トゥール・ド・キャロル行の代行バスは10時25分出発。鉄道で3時間の所、バスは約2時間で走るようだから、代行バスの方が鉄道より早くなる。珍しいケースとは思うが、これに乗ったってしょうがない。黙って見送り。

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ヴィルフランシュ・ヴァネット・レ・バイン駅
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ヴィルフランシュ・ヴァネット・レ・バイン駅構内

 この駅は山間部にあるため、快晴ではあったが、太陽の光を浴びるのは10時を過ぎてから。構内の入れ替えは行っていて、旧型電車が行き来する。ヴヴーン・シュワシュワと吊り掛けサウンドがあたりにこだまする。これを聞いてしまうと本当に乗りたかったよ…。

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トラン・ジョーヌ」100周年

 今年は「トラン・ジョーヌ」100周年。駅には他にもノボリが立っていたりして、ムードが盛り上がっていたと思うのに、肝心の電車が走らないのでは…。

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「トラン・ジョーヌ」新型車両

 構内には、上に書いたクラシカルな吊り掛け電車と共に、2車体連接の新型車両が留置されていた。フランス各地の都市のLRTに範をとった、バリアフリー対応の低床だ。先の代行バスに乗り換えていった乗客の大半がご高齢の方々だったから、サービスの改善になるだろう。ただ、個人的には乗るならやっぱり旧型車に乗りたいなあ。
 とにもかくにも、フランス旅行最大の目的の一つだったはずの「トラン・ジューヌ」に乗れなかった事は、ミュールーズの鉄道博物館と合わせて最大の悔いになった。いずれ何とか両者を訪れたいものだが、その機会は来るのだろうか。

 さらに困った事が。こうなった以上はさっさとパリに戻りたかったのだが、TGVがペルピニャン発はもちろん、トゥールーズやモンペリエからの始発もことごとく「パス・ホルダー」枠が埋まってしまい、残るのは、リヨン・パールデュー駅21時発しかない。ここまで在来線列車を乗り継いで行く事になる。それにしても、駅の窓口のお姉さんが英語が流暢で助かった。もし彼女がフランス語しか話せなかったら、もっと混乱してしまっただろう。感謝。

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ヴィルフランシュ・ヴァネット・レ・バイン駅構内

 この駅の標高は423.43mらしい。駅の裏には砦の跡が残されていて、観光資源の一つになっているようだが、駅前にははっきり言って何もない。せいぜい安ホテル兼カフェがあるのみ。朝食を食べて来なかったから、ここでサンドイッチとカフェオレで朝食兼昼食にする。オフシーズンの今は、一般の観光客はあまり来ないだろう。むしろ、鉄道職員の憩いの場となっているようだ。
 結局3時間近くの滞在の後、折返しの電車でペルピニャンへ戻る事に。

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 ペルピニャンで「とんでもない」を見た。

 カ、カタランタルゴだっ!

 もう18年も前の話だが、1992年10月、初の海外旅行で欧州を訪れた時、当時はバルセロナ~ジュネーブ(シャンベリ・グルノーブル経由)で運行されていた<カタランタルゴ>に乗り、予約制の食堂車のランチを楽しんだ、という経験があった。今の<カタランタルゴ>はモンペリエで折り返しになり、この先はTGV(リヨン経由)接続になってはいるのだが、それにしても車両は全く変わっていないなあ。

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風力発電

 ペルピニャンからはナルボンヌ・アヴィニョンと乗り継いでリヨンへ向かう事になる。右手は時々地中海が見られるが、一方で左手には発電用の風車が並んでいる所も見られた。海からの風が強いのだろうか。フランスの電力というと原子力というイメージが強いが、クリーンエネルギーによる発電の追求も積極的なようだ。

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ナルボンヌ駅

 ナルボンヌ駅もドームだ。フランスでは、特に南部にドームの駅が多いような気がする。
 ここで、最終日4日のパリ→ミラノのTGVの予約を入れる。満席だったらどうしようかと心配だったが、予定していた昼過ぎは満席だったものの、15時24分発の2等が空いていた。とにかく「パス・ホルダー」枠で入手できたのが幸い(イタリア国内でも適用)。ただ、これで「フランス・レイルパス」の7日間の枠は全て使い切る事になるので、明日はまたパリ近郊を巡る事になるだろう。それはパリに帰ってからの話だ。

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SNCF 876205列車車内
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地中海
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アヴィニョン駅
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アヴィニョン城壁

 ナルボンヌからアヴィニョンまでは、トゥールーズを始発とするTERで向かう。2等のみの客車列車。TERとはいえかなり早く、150㎞/h強は軽く出ていた。左手にはやはり、度々地中海が現れる。途中モンペリエではLRTの基地が見えた。最初はここに泊まるプランだったのだが、残念ながら見送り(こんなのばっかりだな…)。
 その先は居眠りしていて、ニームはボンヤリとしか覚えていなくて、次にはっきり意識が戻ったのは、もうアヴィニョンの手前だった。
 アヴィニョンもドーム駅。駅前の市街地は城壁で囲まれ、レピュブリック門に市内バスが乗り入れていくのが見える(一方通行)

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高速道路

 アヴィニョンからのリヨン・パールデュー行は、マルセイユからのプッシュプルトレイン。1等車が1両あるがガラガラだ。アヴィニョンを出て30分位すると、右手には高速鉄道線。TGVが猛スピードで通過していく。17時を過ぎたらもう真っ暗。

 パール・デュー駅を21時に出発するTGV6634列車は、10分遅れの表示が出ている。すぐ隣のペラーシュを始発としているのに、なぜ早々に遅延なんだ?この列車ばかりでなく、リール行は30分遅れ。パリ方面からの到着の列車も遅れが激しい。とにかく乗客の皆が大荷物なのには驚かされる。ビジネスユースの列車だと思うのに…。TERもかなりの遅延だし、例によって出発のホームは直前にならないと表示されない上に、時々出発の番線の表示が変わるので、ホーム上は混乱気味だ。

 何とかTGV6634列車は、パール・デュー駅を19分遅れで出発。日本の新幹線と異なり全席指定のはずだが、飛び入りの乗客も少なくない。荷物スペースも荷物で一杯。デュプレクスに限らないが、TGVはこれだけの大荷物に対応するため、床面積のかなりの部分を荷物スペースに当てているが、それでもいつもあふれるほどの大荷物だ。

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TGV BAR 夕食(サーモンリゾット)

 もうこんな時間だ。出発早々BARで夕食。夕食といったって、かつての食堂車のような豪華なものはもう出ない。はっきり言って、「レンジでチン」というレベルだと思う。
 参考までに、デュプレクスで提供される食事や飲み物、その他をまとめたメニュー(無料配布)があるので、それをご覧頂きます。

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TGV BAR メニュー表

 旅行記から少々脱線するが、列車内の供食体制のあり方について。
 日本では食堂車が皆無に近くなり(予約不要の食堂車はもうないに等しい)、列車内の供食体制が縮小していく事を嘆く声は多い。ただ前回書いたように、これは何も日本に限らずフランスにおいても同様で、TGVにしても開業当時からこのようなBARしかない。今のBARで提供されるのは一部のホットフードの他はサンドイッチやお菓子、アルコールも含めたドリンク類、その他。
 この程度であれば、あるいは日本の新幹線でもやれるかも知れない。私も、ローカルはともかく東京~博多通しの<のぞみ>位は何とかならないかとは思っている。
 ただし、今度は私たちがこのTGVのBARのレベルで満足できるか、という事は少し考えるべきだろう。
 それにこのTGVのBARは基本的に1人勤務のようで、日本では労働強化という問題もありえるし、例えばある程度参考材料になるだろうスタバとかドトールとかは、従業員はバイト・パートの割合が多そうで、長時間の拘束が余儀なくされる列車食堂やBARでは従業員を確保できないかもしれない。

 もう夜中で、車内は静かに眠っている乗客が多いようだった。結局リヨン遅れを取り戻せないまま、パリ・リヨン駅の到着は23時を回ってしまった。
 今晩は宿も確保できておらず(夜行にするつもりだったから)、駅近くのホテルにしちゃおうかとも思ったが、安易すぎるか。先日泊まった「ジュール・フェリー」YHに地下鉄を乗り継いでいく。もう24時で、ちょうどレセプションの明かりが消される所。ギリギリだった。(YH自体は24時間オープン)ベッドに空きがあったのは幸い。助かった…。

 今日までで、今回購入の「フランス・レイルパス」で有効の7日間のうち、6日を使用した。あと1日は最終日のミラノへの移動で使わなければならないから、明日はまた1日券を購入し、パリ市内及び近郊を巡る事になるだろう。LRTのT4系統なども残しているし…。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

《今日のニュースから》
バンク・オブ・アメリカ ウィキリークスとの取引の全面停止を発表

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