№384 乗り物中心のフランス旅行記 7

画像

 中3日開きましたが、フランス旅行記の続きです。
 後半は色々あって、当初のプランをかなり変えざるを得ませんでした。

11月1日(月) 諸聖人の祝日
 色々考えた結果、まずはクレルモンフェラン・ベジェ経由でペルピニャンへ、翌日「トラン・ジョーヌ」に乗り、トゥールーズから夜行でパリに戻るというプランに組み直す。
 ところが、出だしでつまづく。パリ・リヨン駅からのクレルモン・フェラン行「コラーユ・テオス」5955列車は、例の「パスホルダー」枠がもう一杯で、普通運賃も支払う必要があると、窓口で言われた。クレルモン・フェランからベジェへ行く列車に乗るには選択肢がなく、泣く泣く52.4EUR(約6,000円)を支払う事に。やはり休日なので旅人が多い。窓口は列を成す。
 5955列車は13番線から出発するのだが、リヨン駅の5~23番線はホームの入口が駅舎からかなり離れた所にあり、係員から乗車券のチェックを受ける必要がある。切符売り場の窓口もそうだったし、エスト駅のコインロッカーの件もあるし、どうもフランスのターミナル駅はいちいちうっとおしい。加えて時々マシンガンを構えた軍人3人ユニットが構内を巡回している。
 「コラーユ・テオス」は特急各の客車列車で、TGVのネットワークから漏れたルートをフォローして走る列車のようだ。(パリからは他にオーステルリッツ駅からリモージュ経由トゥールーズへの列車がある)かなり派手な外観だが、ラッピングのようだ。

画像

コラーユ・テオス」2等車車内

 車内は大改装されていて、2等車は両端が2-2、中央部が1-3という変則的な座席配置。シートピッチは窓の間隔と合っておらず、指定された席は窓際ながら思いっきり太い柱の真横。ボックス部の反対側がパリ出発時点では空いていたから移動。パリ出発時点では空席もいくらかあったから多少釈然としない部分もあったのだが、乗客が皆「パスホルダー枠」ばかりではたまらんという事なのだろう。

画像

車窓

 パリを定刻に出発すると、グングン加速し、早くも140㎞/hを出る。外は霧が出ているかのように遠くがボンヤリしている。うまくは言えないのだが、同じ田園地帯でも、北部や東部とは違う気がする。牛や馬が多い。路線は直線が長く、急なカーブは少ないのだが、意外に揺れる気がする。複線でもすれ違う列車が少ないのはいつもの事。祝日という事もあるかも知れないが。祝日といえば、沿線は意外に国旗を全く見かけない。欧州だと祝日っていったらどの家庭でも国旗を掲げるものだと思っていたのだが。
 列車内を一回りする。この列車は1等4両、2等10両の合計14両編成と長い。1・2等とも一部にコンパートの部屋があるが、仕切りに扉がない。2等には子供の遊び場や自転車の置き場も見られるのが欧州ならではか。午前中ながら居眠りする乗客が多いようだ。とにかく皆大荷物なのにはビックリさせられる程だ。

画像

車内販売

 この列車には車内販売が乗っている。午前中で、YHで朝食を食べてきたばかりでもあるし、ここはコーヒーだけ注文。2EUR。本格的なコーヒーバック式。残念ながら食堂車はおろかBARの類もこの列車には連結されていない。TGVもBARしかないし、食堂車衰退はなにも日本だけの話ではない。

 工事の影響なのか、途中から遅れが生じ始める。ヴィシーは14分の遅れになった。これ以上の遅れは困るなあと思っていたが、その後は速度を上げ、クレルモン・フェランは12分の遅れで済んだ。駅近くの墓地は花々がきれいだった。

画像

コラーユ・テオス客車
画像

クレルモン・フェラン駅

 ホームのすぐ反対側にDCがいる。ヌサルグ行で、ベジェへはこの列車に乗ってヌサルグで乗り換える事になる。クレルモン・フェラン~ベジェの直通運転だと思ったのだが。乗り換えの時間が短くなった。この街にもLRTがあるらしいのだが、それどころか駅舎を観察する間さえなかった。
 この列車は中央部が低床になった3連接のDCで、車椅子スペースや自転車置き場、カウンター、折り畳み式のシート、そして連接部にサロン風のシートと、最近の欧州では標準的な、多機能の仕様を持つ。でも、空席は少なくないと思ったのだが、通路のステップに座り込む乗客も珍しくない。
 車掌が端末を使って接続の列車を教えてくれる(便利だなあ?)が、その後は、隣のボックスで同僚と延々おしゃべり。何をそんなに長々と語り合うような話題があるんだ?残念ながら1等のほうが2等よりやかましいかも。1等と2等はシートピッチや頭もたせにある程度違いはあるものの、設備に関しては決定的な差は見受けられなかった。
 やがて山の中腹の森の中に数本列車がみえて、ヌサルグ着。待っていたのは1本がベジェ行、もう1本、オーリャック行の単行のDCがいる。

画像

ヌサルグ駅
画像

発車案内板

 駅付近は人家がほとんどない。構内はかつては3面5線だったと思われる程広いのだが、2線撤去されている。曇り空のせいもあり、非常に寂しい。ホームの列車発車案内表示は、昔ながらのホーロー板差し替え方式。

画像

SNCF 15941列車(DC)
画像

SNCF 15941列車(EC)

 意外な事に、ここからベジェへ行く列車は電車となる。ボンバルディア製で、動力源以外は今乗ってきたDC編成と全く同型だ。ただし4車体。それにしてもここからベジェへ行く列車は、この14時37分発が今日最初の列車だ。現行のダイヤではヌサルグ発は1日1~2本しかない(曜日により若干異なる)。一番本数が少ない区間が電化されている。
画像

1等室
画像

2等室

 ヌサルグ出発時点での乗客は1等…自分含め2人、2等…19人、合計21しかいない。この列車の座席定員は194だから1割強しかいない…。
 超ドローカル線だが、この路線では「橋」の見所が2箇所ある。まず、№381の第4回のエッフェル塔で少しだけ触れたガラビ橋。最初の停車駅サンフルル・シャウデ・エギュを出てしばらくすると、恐ろしくノロノロになり、ガラビ橋をノッソリノッソリ渡っていく。

画像

ガラビ橋からの展望

 列車の乗客という立場だから、残念ながら橋の外観を眺めるという訳にはいかないのだが、同じ位のレベルに位置する高速道路E11・A75号線「ラ・メリディエンヌ」にはSAみたいなものがあるようで、何人かがこちらを見ているようだった。それにしても、あれほどスピードを落とさなければならないとは、それ程老朽化が進んでいるというのか?いずれ、餘部のように架け替え、という話も出るのだろうか。もっともこの程度の運行本数では廃止になってしまうかも知れないが。

画像

田舎町 

 列車は丘陵地帯を、思い出したように現れる田舎町に立ち寄りながら走る。車掌はヒマそうだ。何しろ乗客も駅も少ないから。大聖堂が見えるマルジョバルで同じSNCFの職員が乗り込み、車掌とおしゃべり。列車内で一番やかましいのが鉄道職員とは、いかがなものだろうか?

画像

ミヨー橋

 この路線のもう一つの橋の見所がミヨー橋。これは高速道路の橋で、先にあげたA75号線の途中に位置している。はるか遠く山腹に見えていた橋がだんだん近づいてきて、ミヨーの駅を出ると真下をくぐる事になる。夕暮れ時になっていたが、橋はライトアップされるようだ。
 残念ながら車窓はここが限界。18時を回ってほとんど暗くなってしまった。淡々と時が流れる。

画像

ベダリュー駅

 ベジェが近づいてきたが、ベダリューで反対方向の列車が25分程遅れるそうだ。車掌が、例の端末でペルピニャンまでの接続を教えてくれるが、TGVだ…。この駅は田舎駅のはずだが、ホームはドームで覆われれいる。

 結局ベジェは20分遅れで到着。この駅もホームはドームだ。ペルピニャン行TGVはホームのすぐ脇に止まっていたが、ここは在来線の列車で、ナルボンヌで乗り換えて行く。ナルボンヌ行はPC編成で、コンパート車を利用する。もっともここも整備状態が良くない。ナルボンヌ~ペルピニャンは先の路線と同じ電車を2編成併結していた。
 ペルピニャンもまたドーム駅。駅前は夜目にもこれまでのフランスの各地方とは明らかに違う、南国チックなムードが漂っている。風が大分強い。そんな中探し当てたYHもまた、南国風の建築。随分寂しい所にあり、お兄さんが一人でレセプションにいる。朝食7時30分とは、残念ながら翌日の「トラン・ジョーヌ」への接続の列車には間に合わない。しょうがないか。でも館内は他に人気がなく、今日の泊り客は自分一人だけ?と思っていたら、やがて若者グループ数人が大声を上げながら帰ってきた。
 さて、明日は「トラン・ジョーヌ」、楽しみな1日だ、と思いながら床に就いたのだが…。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。

 さて明日なんですが、例年通りのパターンなら、来年3月5日及び12日のJRグループダイヤ改正の概要がプレスリリースされると思われます。
 九州新幹線(鹿児島ルート)が全通し、青森~鹿児島が新幹線だけで行けるようになるという、極めて重要な改正です。
 もし発表になりましたら、非常に簡単になるとは思いますが、ダイヤ改正について書く予定です。

《今日のニュースから》
日産自動車 ブレーキ欠陥で救急車約1600台をリコール

この記事へのトラックバック