前回の名鉄モ700・750形から1ヶ月近く経ってしまいましたが、久し振りに「私鉄の車両シリーズ」をやりたいと思います。
今回は、近畿日本鉄道(近鉄)が2000年に開発した新通勤車「シリーズ21」のうち、京都市営地下鉄直通用に製作された3220系です。
近鉄では2000年3月、「人に優しい・地球に優しい」をキーワードに通勤車を全面的にモデルチェンジした「シリーズ21」を開発しました。
3220系はその第1弾で、京都市営烏丸線直通用として製作されています。
同シリーズの5820系(L/Cカー)・9020系(増結用2連)と合わせて、2001年の鉄道友の会ローレル賞を受賞しました。
「シリーズ21」は、車体はリサイクルが容易なアルミ素材を使用、天井にも大型アルミ押し出し型材を採用し、ダブルスキン構造として製作の作業時間を短縮しています。
窓は扉間で大型の1枚窓とし、複層ガラスが用いられています。
空調はフルオートエアコンで冷房は集約分散型。
制御方式はIGBT素子を採用したVVVF制御(3300V 1200A)で、制御装置の小型化・低騒音化が図られています。
ちなみに№214で書いた1420系のVVVF制御装置は4500V・2000Aでしたから、相当小型化が進んだといえます。
制御装置は三菱製と日立製がありますが、形式の区別はありません。
パンタグラフは理由はわかりませんが、編成によって下枠交差型とシングルアーム型が混在しています。
車体色も大きく変わり、ブラウン+白に黄色のラインが入ったデザインが基本です。
前面・側面の行先・種別表示は行先のみLEDとし、種別は幕式のままとしています。
内装でも天井部は「リブパネル」で構成、艤装作業時間の削減を図っています。
突起が付いた、滑らかな曲線を描いた形状が印象的です。
座席は片持ち式のバケットシート。
一人当たりのスペースを485㎜と大幅に拡大した上、扉寄りの両サイドは高齢の乗客が立ち上がりやすくなるよう、「らくらくコーナー」と称して両側に肘掛を設けました。
吊革も一部高さを低く抑えたものを混在させ、荷物棚の位置も見直して荷物の出し入れを容易にしています。
車椅子スペースは全車両に設置、ドア上部にはLED式の車内案内表示装置を設置しました。
3220系の独自の仕様としては、他系列との連結を想定していないため非貫通型とし、非常用扉を車掌側にオフセットさせて設置しています。
電気連結器は装備されていません。
また、烏丸線内で使用するATCや誘導無線が装備されています。
2000年に6連×3本が製作され、3200系と共通運用で京都線の他、間合いで橿原線や奈良線でも運用されています(但し阪神なんば線には直通しない)。
なおデビュー時期が烏丸線~奈良間直通急行の設定と重なった事もあり、3編成中2編成は京都・奈良の名所などをイメージした特別塗装としています。
【編成】
←京都・大阪難波方 近鉄奈良・橿原神宮前方→
Tc 3720 - M 3820* - M 3620* - T 3520 - M 3220* - Tc 3120
* パンタグラフ
今回の記事は
「鉄道ピクトリアル2000年10月臨時増刊号 新車年鑑2000年版」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル2003年1月臨時増刊号 【特集】近畿日本鉄道」(鉄道図書刊行会)
「私鉄新型車両コレクション」(交通新聞社) 等
を参考にさせて頂きました。
次回のこのシリーズは、京阪の特急車8000系です。
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