大震災被災車両の代替として製作された同系列は、ちょうど1年前に始まった近鉄直通運転の専用車両に1000系とともに抜擢。
阪神電鉄の復興から躍進までを体現する系列となりました。
1995年1月17日に発生した「阪神・淡路大震災」は、6,000人以上の人命を奪う未曾有の大惨事となりました。
各鉄道も大きな被害を受け、特に阪神では石屋川車輌基地を始め、神戸市内の各地で高架橋の崩落を伴い、全線の運行まで半年近くも掛かりました。
車両面でも当時の在籍数の13%に当たる41両、内急行系は33両が廃車に追い込まれました。
この急行系の代替車両として製作されたのが9000系です。
1996年初頭に6連×5編成が製作され、3月20日のダイヤ改正時より営業運転に入りました。
通常阪神の電車は武庫川車両で製造されますが、今回は短期間で製造する必要があったため、ラインに余裕があった川崎重工製のステンレス車体となりました。
阪神としては「ジェットシルバー」以来37年振りのステンレス車体ですが、コルゲートがなくなり、スッキリした外観になっています。
前面は鋼板製で、先にデビューした普通車5500系に似たイメージですが、後退角を大きく取り、スピード感のあるデザインになりました。
このため、運転室を後方へ拡大しています。
制御方式は、急行系では初めてのGTO-VVVF制御を採用。
パンタグラフは、8000系の4基から2基に削減されています。
車内は基本的に5500系と同様でバケットシートを備えています。
ただし、5500系の青系に対して、8000系と同様の赤系。
中間車には車椅子スペースも設けられています。
扉上には路線図・文字併用の車内案内表示装置を備えました。
デビュー時より急行系の各種列車で使用され、1998年2月より運行を開始した山陽電鉄直通特急にも運用されました。
2009年3月に待望の阪神なんば線が開通し、近鉄奈良線との相互直通運転が始まりました。
この際、阪神側は専用車両として、新造の1000系と共に、9000系が抜擢される事になりました。
外観では帯の色が1000系に合わせて「ビバーチェオレンジ」になり、行先表示をフルカラーLEDに交換しました。
また、近鉄直通用の機器を搭載し、運転台も1000系との共通化が進められています。
さらに大阪方に電気連結器を装備し、1000系2連を増結できるようにしています。
普通・準急等の他、三宮~奈良間の快速急行で1000系と共に運用されています。
阪神電鉄では初の10両編成運転も実現しました。
【編成】
←梅田・大阪難波方 元町方→
Tc1 9201 - M'1 9001 - *M1 9001 - *M2 9101 - M2' 9001 - Tc2 9201
* パンタグラフ
今回の記事は
「鉄道ピクトリアル1996年10月臨時増刊号 新車年鑑」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル1997年7月臨時増刊号 【特集】阪神電気鉄道」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル2009年10月臨時増刊号 鉄道車両年鑑」(鉄道図書刊行会)
阪神電気鉄道公式ホームページ 等
を参考にさせて頂きました。
次回の当シリーズは、南海の「大運転」用ステンレスカー・2000系です。
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