№135 私鉄の車両シリーズ5 小田急電鉄20000形

 先月中旬より、小田急ロマンスカーの7000形「LSE」、10000形「HiSE」が運用を離脱した状態が続いていますが、「HiSE」については来月1日より運行に復帰するという事です。
 今日は、その「HiSE」の兄弟車といえる、20000形「RSE」について取り上げます。

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 小田急20000形は、JR東海・御殿場線直通特急「あさぎり」に使用されるロマンスカーで、

Resort Super Express”「RSE」

の愛称があります。
 1992年鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞。

 JRとの相互直通のため、連接方式を採用してきたこれまでのロマンスカーと異なり、通常のボギー車構造となりました。
 中間に2両の二階建て車輛をはさみ、2階部はスーパーシート(JR線内ではグリーン車扱い)が設けられています。
 その他の車輛は10000形「HiSE」と同様のハイデッカー構造を採用。
 3100形「NSE」以来の伝統の展望室は設けられていませんが、運転室背後の仕切りの窓を大型として、前面の眺望に充分配慮しています。

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 T2・T3車2階部のスーパーシートは2-1の3列で、オーディオシステムと、当初はパーソナル液晶TVが各座席に設けられていました。
 車内中央部にはマガジンラックがあり、雑誌類が置かれています。
 1階部分はT2車ではセミコンパートメント、T3では2-1配置の普通席を配置、他の車輛は2-2配置の普通席になっています。
 普通席もリクライニングが可能になりました。
 サービスカウンターはT2・T3の平屋部に設置、車内販売の基地になっています。

 制御方式は10000形と同様の抑速ブレーキ装備の抵抗制御。
 ATSは小田急・JR東海双方の形式を装備し、松田駅で一斉に切り替えられるようになっています。
 冷房装置は屋根上の他、平屋建て車輛ではハイデッカー構造を生かして、台枠と床の間にも装備されています。
 パンタグラフは「HiSE」と同様下枠交差式を採用。
 現在、他の小田急の車両は全てシングルアームに交換されていますが、「RSE」は「HiSE」と共に現状を維持しています。

 1991年3月に、当時3000系「SE」を使用した連絡急行〈あさぎり〉を置き換えて特急格上げ、沼津延伸を行い、以来JR東海371系と相互乗り入れで運用されています。
 JRと大手私鉄が相互乗り入れで特急を運行するのは、初のケースでした。
 2編成のみのため通常の平日日中は1運用のみ使用、土休日には〈あさぎり〉の他、新宿~箱根湯本間の〈はこね〉にも運用されます。
 また、JR371系検査時には代走して運用します。

 蛇足ですが、特急〈あさぎり〉には観光輸送において西伊豆への連絡も期待されており、運行開始当初は〈あさぎり〉に接続し、土肥・松崎へ向かう東海バスの特急便が設定されていました。
 専用車両を使用していて、これが「RSE」及びJR371系の折衷カラーだった事は話題になりました。
(現在は本数削減・急行への格下げの上、小田急グループ統一カラーに変更。)

 〈あさぎり〉は、小田急にはないローカル線を走る特急であり、特に富士山の眺めが美しい事から、冬場などには真っ白な雪景色の富士山をバックに御殿場線を快走する姿が、小田急の広報誌や公式Webサイトなどを飾ってきました。
 しかし、「HiSE」と同様のハイデッカー構造でバリアフリー対策上不利である上、ここへ来て〈あさぎり〉自体の利用率の低下が指摘されており、今後の去就が気になる所です。

【編成】
←新宿     沼津・箱根湯本
 M1C 20000* - T1 20050* - M2 20000 - T2 20050 - T3 20050 - *M3 20000 - *M4C 20000
* パンタグラフ  下線付きは2階建て

 今回の記事は
「鉄道ピクトリアル1991年7月臨時増刊号 【特集】小田急電鉄」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル1999年12月臨時増刊号 【特集】小田急電鉄」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル2010年1月臨時増刊号 【特集】小田急電鉄」(鉄道図書刊行会)
を参考にさせて頂きました。

 次回のこのシリーズは、東急1000系です。

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 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。(名前は公表しません。)

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