近鉄21000系「アーバンライナー」は、名阪ノンストップ特急専用車として1988年にデビュー。
私鉄初の120㎞/h運転を行ない、近鉄名古屋~鶴橋(大阪市内)間で初めて2時間を切りました。
文句なく1989年鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞。
それまでの特急車とは設計思想が根本的に変わり、車体はコンピューターシミュレーションによる設計により、タマゴ型の断面になりました。
先頭部は(旧西ドイツのET403形を彷彿させる)流線型になり、アイボリー+黄色という、これまでの近鉄特急にはないカラーリングをまとっています。
全M方式を採用し、編成あたりの出力を大幅にアップさせています。
また、応荷重装置を備えて、ブレーキ距離を確保しています。
客室は2クラス制を採用し、名古屋方2両を「デラックスシート」(DX)(他を「レギュラーシート」(RE))としました。
座席は、DXは2-1配置、REは2-2配置としています。
どちらもシートピッチを1,050㎜に拡大し、フットレストを設けて居住性を向上させています。
オーディオシステムも搭載し、DXはサービスのイヤホンで、REは乗客の手持ちのFMラジオで聴取する事が可能になっています。
DX車には、デッキにマガジンラックとカード式公衆電話も備えられました。
1次車ではモ21300・モ21400型のユニットに中間運転台が設けられていましたが、2次車からは完全な中間車のモ21304・モ21404型となり、1次車にも差し替えで組み込まれました。
モ21300・モ21400型はモ21700・モ21800型と変更し、8連運転時の増結車となりました。
1990年までの間に72両が製作され、名阪ノンストップ特急は全て21000系による運行になっています。
2003年より、21020系「アーバンライナーNext」に合わせた大規模なリニューアル工事が施されました。
DXはモ21600型の1両のみとなって1人掛3列となり、REと共に新開発の「ゆりかご型」シートに交換されました。
客室を全席禁煙とした事に伴う喫煙コーナーやバリアフリー対応座席、女性用化粧室の新設なども行われています。
走行システムは変更がありませんが、一部のパンタグラフが撤去されています。
改装が行なわれた後は愛称を「アーバンライナーPlus」と改め、引き続き名阪ノンストップ特急を中心に、一部の「乙」特急や、難波~奈良特急にも運用されています。
「アーバンライナー」が私鉄特急の金字塔である事は、疑いようがありません。
ただ、全M方式の抵抗制御車で、パンタグラフの数も「Plus」改造前は6連で6基(8連で8基)と多く、システム的には多少古いなあというのは事実でしょう。
23000系「伊勢志摩ライナー」がVVVF制御で4M2T、21020系「Next」は3M3Tですから。
しかし、当時としては精一杯の最先端技術だったに違いありません。
【編成】
←近鉄難波方 近鉄名古屋方→
*Mc 21100* - M 21200 - *M 21304* - M 21404 - *Mc 21700* - Mc 21800 - *M 21500* - Mc 21600
* パンタグラフ 下線付はデラックスシート車
※第1次車の8連化時
今回の記事は
「鉄道ピクトリアル1992年12月臨時増刊号 【特集】近畿日本鉄道」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル2003年1月臨時増刊号 【特集】近畿日本鉄道」(鉄道図書刊行会)
「日本の鉄道車両史」(久保田博 グランプリ出版) 等
を参考にさせて頂きました。
次回のこのシリーズは、既に過去の車両になりましたが、京阪の元特急車、1900系です。
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