今日は京急の快特車、2100形です。
京浜急行電鉄と言うと、関東では珍しい本格的なクロスシート車が高速運転を行なう事でカリスマ的な人気を誇る私鉄ですが、創立100周年を迎えた1998年にデビューした2100形は、その先頭に立って120㎞運転を行なう快特用車両です。
外国製品を多用しているのが特徴です。
車体は1994年デビューの(新)600形をベースにしたアルミ製ですが、2箇所の両開きドアは幅を1,200㎜、窓は固定としています。
18m級車両ですが、先頭車両のみ全長を多少延長しています。
VVVF制御装置はモーターなどと共にドイツ・シーメンス製を採用。
断流器やフィルタリアクトルと共に「トラクションコンテナ」と称する箱に収め、小型化を図っています。
加速・減速時の独特の音色が特徴でした。
電動機を高出力化し、MTTMを1ユニットとした4M4Tとして、MT比を半々としました。
T車2両にシングルアームパンタを2器ずつ搭載しています。
車内の座席はノルウェー製を採用。
転換と同時にヘッドレストも形を変え、頭部の安定性を向上させています。
なお、座席の向きは終着駅で乗務員が一斉に転換させ、乗客が個別に転換させる事はできません。
運転席直後の座席も前向きシートとして、前面展望に応えています。
連結面側はボックスシートとなり、一部は将来の空港特急への運用を考慮し、座面を持ち上げて大型荷物スペースとしても使用できるようになっています。
ドア上部には京急では初めて3色LEDによる案内表示器が設置されました。
2000年度までの4次にわたって10編成80両が製作されました。
4次車では前照灯と標識灯の位置を左右入れ替える変更が行われ、後に全編成に及んでいます。
また、初期には上に掲げた写真のように、ワイパーカバーに大きく車号を打ち抜いていましたが、後にこれを全車「2100」に統一の上、非常扉に車号(下二桁)を表示する方式に改められています。
なお、4連は製作されませんでした。
600形・新1000形・1500形・2000形の3ドア車を増結車としています。
2157Fは2005年に「Keikyu Blue Sky Train」として、青一色に塗り替えられています。
車内は通常広告が全車貸切で、他にイベントタイアップで使われる事もあります。
また、2109Fでは、2004年~2009年にかけて、無線LANを用いて沿線情報やNHKの番組を放映する「トレビジョン」が試用されていました。
天井部2ヶ所にモニターを設けて放映するもので、音声は手持ちのFMラジオで受信する事になっていました。
現在に至るまで、通称「A快特」(泉岳寺~三崎口間)の主力として活躍している他、夕刻の帰宅時に運行される座席定員制の「京急ウィング号」にも運用されています。
なお、最近になって制御装置の国産品への交換が進められているようです。
ところで多少意外なのですが、2100形は鉄道友の会のブルーリボン賞・ローレル賞、どちらも受賞していません。
2100形は1999年にノミネートされましたが、この年のブルーリボン賞は、JR東海・西日本共同開発の寝台電車・285系「サンライズ」。
ローレル賞は広島のスカイレールサービスでした。
「サンライズ」は確かに強敵でしたが、少なくともローレル賞は受賞しても良さそうなものですが…。
先代快特車の2000形が1983年のブルーリボン賞を受賞しているので、ひょっとしたらバランスを考えたのかも知れません。
【編成】
←三崎口・羽田空港方 泉岳寺方→
Muc 2100 - T 2100 - *Tp 2100* - Mu 2100 - Ms 2100 - T 2100 - *Tp 2100* - Ms 2100
* パンタグラフ
今回の記事は
「鉄道ピクトリアル1998年7月臨時増刊号 【特集】京浜急行電鉄」(鉄道図書刊行会)
「鉄道ピクトリアル1998年7月臨時増刊号 新車年鑑1998年版」(鉄道図書刊行会)
「日本の鉄道車両史」(久保田 博 グランプリ出版)
「京急の車両」(佐藤良介 JTB(キャンブックス)) 等
を参考にさせて頂きました。
次回のこのシリーズは過去の車両になりますが、相鉄6000系です。
申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。(名前は公表しません。)
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