№88 首都圏「バス共通カード」終了へ

 スミマセン。2日間お休みしてしまいました。
 さて、既に当ブログでも何度か書いていますが…。

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 首都圏の大半の路線バス事業者で導入されていた、磁気式のプリペイドカード、「バス共通カード」が、来年(2010年)の7月一杯を持って、サービスを終了する見込みになりました。

 民営事業者に関しては、導入全社がプレスリリースで発表済みです。
(京成トランジットバス・ちばシティバス・千葉内陸バスはWebサイトなし)
 ただ、公営は、横浜市営は発表済みですが、東京都営はまだ発表なし。
 また、川崎市営は廃止に当たって、市民よりパブリックコメントを募集するとしています。

 カードの発売終了日は、事業者によって異なっています。
 一番早い箱根登山バスは3月5日。
 国際興業・京王・相鉄は3月15日。
 東武・朝日グループは4月10日。
 他の事業者は3月31日としています。
 使用終了は足並みを揃えて7月一杯。
 その後は5年間、無手数料で払戻をするという事です。
(PASMO・Suicaへの残額移し変えは不可)
 
 その他、各事業者が個別に発売していた、自社専用の磁気カード(一日乗車券等も含む)も全て廃止になるようです。

 廃止に当たっての理由は各者が様々にコメントしていますが、
①2007年3月に導入が開始されたICカード「PASMO」への移行が順調に進んでいる事
②使い捨ての「バス共通カード」より、繰り返し使える「PASMO」等の方が、環境に優しい
③ICカードと磁気カードの二重の投資は困難

という所に集約されるようです。

 磁気式のカードは、関東地方でいうと、既にJR東日本の「イオカード」、私鉄・地下鉄の「パスネット」が自動改札機での使用を終了し、それぞれ「Suica」「PASMO」に移行しつつあります。
(自動券売機・精算機での使用は可能。また、払戻や、「パスネット」のみ「PASMO」への残額移し変えも可能。)
 他地域でも、西鉄はIC「nimoca」のスタートにより、既にバスカードは発売が終了、使用も来年3月一杯としています。
(「よかねっとカード」もバス部門は同じ。)
 また、近畿圏でもJR西日本・近鉄の「Jスルーカード」は発売・自動改札機・一部バス車内での使用は終了しています。
 私鉄・地下鉄・バスの「スルッとKANSAI」、及び各事業者個別の磁気式バスカードは引き続き発売中ですが、これはICカード「PiTaPa」が、クレジットカードへの同時の申し込みが必要になり、他のICカードとは一線を画す存在である事があります。
 内情は良く分かりませんが、やはり磁気式カードシステムの保守というのは、かなりコストや手間隙がかかってしまうもののようです。
 特にICカードが入ると、設備投資が二重になるので…。
(岡山地域はこのため、設備更新を機に磁気式共通カードは終了、両備グループ・下津井のみ共通ICカードが導入されたものの、各社別のカードがバラバラに発売される事になります。)

 関東に話を戻すと、今後地域統一カードは、㈱パスモが発行する「PASMO」に統一される事になります。
 ただ、各事業者は、あくまで㈱パスモの業務を代行して「PASMO」を発行する、という形をとっています。

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神奈川中央交通 連接バス「ツインライナー」厚木ルート 運行開始記念共通カード
 従って、今後は上のように、各事業者が個別に、増収を図るため企画物のオリジナルカードを製作する、と言う事はできなくなります。
 既に「パスネット」が事実上終了している鉄道は、紙等の記念乗車券に回帰しているようですが、バスはどうするでしょうか。


 今後の課題としては、バスのみで見た場合、バス共通カードに比べると、「PASMO」の発売箇所が少なくなると事が挙げられます。
 特に、普段鉄道は使わず、バスOnlyで利用している場合、バス事業者で「PASMO」を発行しているのは、基本的には営業所と、駅前などにある案内所(呼び方は様々)のみになります。
 営業所は必ずしも乗客の多い地域にあるわけではないし(ほとんどは乗客が少なくなる郊外の車庫に併設)、案内所も全ての駅前にある訳ではありません。
 また、バス共通カードの場合は、運転手による車内販売も行なわれていますが、「PASMO」では恐らくやらないと思われるので、利用区間によっては、入手が非常に困難になる事が予想されます。

 例えば、私が通常利用する神奈川中央交通グループの場合。
 鉄道の空白地域にも広大な路線網を持ち、バスのみの利用で完結する、しかも鉄道の駅にかかわらない中途の利用者もそれなりに多いと考えられます。
 彼らにとっては、「PASMO」を手に入れたくても、営業所も鉄道の駅も遠くて買いにいけません。
 都市部であっても、一例を挙げれば、横浜市のJR東戸塚駅には、神奈中の路線が相当集中するのに案内所がありません。
 バス共通カードは嘱託の職員に依る手売りが行なわれていますが、たぶん「PASMO」でそれは行なわれないでしょう。
(発売枚数が大幅に減少すると考えられるので。しかしそうなると、彼らの雇用はどうなる?)
 さらに東戸塚駅には横浜市営バス、相鉄バスが乗り入れるものの、どちらも案内所も、手売りの職員もいません。
 従って、東戸塚駅付近では「PASMO」は入手できず、後はJRの駅で「Suica」を購入するしかない事になります。
 これは、㈱パスモにとっても収益の面で問題では…。

 またなんとか入手した後でも、紛失(記名式のみ)したり、障害により再発行が必要になった時、営業所や案内所に赴く必要がありますが、バスOnlyだとこれも大変な負担になります。
 今の所、これらの課題に対する有効な手段は示されていません。
(今の所、江ノ電バスが、新たに2種類の紙の回数券を発行すると表明しているだけ。)
 すぐにはできないだろうけれど、例えば一部事業者の定期券車内予約サービスのように、予め「PASMO」の予約販売を行なう(記名式だけになるだろうけれど)とか、都市部でも案内所などの配置の見直しなども必要になってくるでしょう。
 案内所については、「PASMO」の問題は別にしても、必ずしも利便性が良い訳でもないので、これを契機にそのあり方そのもの(場所・広さ・業務内容・設備 -窓口だけでいいのか- )を見直す事も必要かも知れません。

 私的には、健全な形で「PASMO」などのICカードの普及が進み、現金客もある程度ICカードへの移行が進むとすれば、車内の料金箱の小型化が可能になり、特にノンステップバスでは乗降性の改善にもつながるかもしれないと、少し期待もあるのですが。
 あと、バス共通カード終了の代替措置として、4月からは「PASMO」で実施する「バス特」のポイントによって付与される「バスチケット」の額を引き上げるという事ですが、10000ポイントになったら0に戻るというのはともかく、月が変わったら何ポイント残っていても0に戻ってしまう、と言うのはいかがなものでしょう。
 「PASMO」のサービスが始まった頃から思っていた事ですが、バス共通カードは有効期限がなかった訳ですから、この点も改善して欲しいと思います。


 ここへ来て更新が飛び飛びになっている当ブログですが、明日も本体の更新作業のため、お休みを頂く予定です。
 それで、お恥ずかしい話なのですが、千葉県の「市川交通自動車(市川ラインバス)」が、バス事業を8月に京成トランジットバスに譲渡しているのを初めて知りました。

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 バス共通カード終了に関する、各事業者のプレスリリースを検索している内に発見した事なのですが、何しろバス専門誌にも書いていなかった事なので、近場でありながらこれまで見逃してしまっていました。
 会社自体はタクシー専業として引き続き盛業ですが、バス部門に関しては、明日の更新時に「アーカイヴ・消えた事業者」に移動させていただきます。
 この他、首都圏の事業者の画像、ならびに新規リンクの追加を行ないます。

 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。(名前は公表しません。)

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