JTB時刻表大研究」、今回は2001年です。
JTB時刻表は1月号で900号を迎えました。
東海道・山陽新幹線は4月21日に「ひかりレールスター」、10月1日に〈のぞみ〉の増発が行なわれましたが、全体的には静かな1年だったと思います。
代わって在来線の特急で新型車両の投入が相次ぎ、高速化も進められますが、一方で伝統の列車が相次いで姿を消しました。
首都圏のJRでは、現代の営業政策の基礎になる2大事業がスタート。
ついに第3セクター鉄道で初の廃線が発生、大手私鉄にもその波が押し寄せてきました。
《2001年の十大トピックス》
◆ ユニバーサル・スタジオ・ジャパン開園 桜島線(ゆめ咲線)アクセス輸送開始
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは3月31日にグランドオープン。
これに先立ち、ユニバーサルシティ駅が3月1日に開業。
3月3日改正で大阪方面からの直通列車が運行を開始した他、特急〈はるか〉の大部分が接続駅の西九条に停車するようになりました。
TDRと違って、JR西日本が公式スポンサーになっている事で、専用のラッピング編成が運行されています。
この他、USJ発着の高速バスの新設(在来路線の延長も含む)が相次いだ他、ANAではスペシャルカラー機「ウッディー・ジェット」を就航させています。
◆ 山陰本線新型特急車両導入 〈スーパーおき〉〈スーパーくにびき〉運転開始
山陰本線の高速化工事完成により、振子式特急車187系を導入して、7月7日改正より運行を開始。
米子~益田間は両者合わせて5→7往復に増強の上、最速3時間強→2時間20分と大幅に短縮されました。
(スーパーくにびき10号 益田15:54 → 18:14米子(鳥取行))
一方で米子~小倉間の<いそかぜ>(181系)が益田で分断され、益田~小倉間に短縮されています。
10月号の「新のりもの風土記シリーズ18」で取り上げられています。
また、快速〈アクアライナー〉にも新型126系が投入され、所要時分の短縮が図られています。
◆ 宇都宮・高崎線~東海道・横須賀線相互直通「湘南新宿ライン」運転開始
(2004年7月21日 横浜駅で撮影 右の113系は東海道線)
12月1日の改正で運行を開始。
この時点での運転形態は
1.東海道線・小田原~新宿~高崎線・高崎(東海道線側は「快速」)
2.横須賀線・逗子~新宿~宇都宮線・宇都宮
3.横須賀線・久里浜~新宿
となっていて、まだ本数は少なく、それぞれが約1時間間隔での運行。
運行時間帯も短く、夜間は運行されていませんでした。
車両は、1・2は211系(新前橋のグリーン車なし編成)に加えて115系も運用され、3はE217系と共に、215系も使用されていました。
◆ 筑豊本線・篠栗線「福北ゆたかライン」電化開業 特急〈かいおう〉新設
(黒崎)~折尾~直方~桂川~吉塚間が10月6日に電化開業し、篠栗線では初、筑豊本線でも寝台特急<あかつき>以来の特急が設定されました。
〈かいおう〉というのは、ご存知の通り、現役の大相撲の大関(ご当地出身)のしこ名からとられています。
博多→直方は夜間、直方→博多は朝方の設定で、ホームライナー的な性格と言えます。
日中は博多~直方間で快速が1時間に2本設定されています。
◆ 特急〈白鳥〉〈北アルプス〉廃止
日本最長距離を走る昼行特急だった〈白鳥〉は3月3日改正で廃止。
大阪~金沢間〈雷鳥〉、金沢~新潟間〈北越〉、新潟~青森間〈いなほ〉に系統が分割されます。
改正後の最長距離昼行特急は、〈白鳥〉から分割された〈いなほ9・8号〉(458.8㎞)になり、JR在来線で500㎞を越えて運行される定期昼行列車は、全ての種別で消滅した事になります。
〈北アルプス〉は名鉄の特急車両がJR線に乗り入れる形で運行され、8500系置き換え後はJRの85系との併結運転もありました。
9月一杯で廃止になった後、8500系は会津鉄道に譲渡され、快速〈会津マウントエクスプレス〉として運用される事になります。
◆ 高松駅移転 新駅舎開業
再開発事業によるもので、階段なしで広場からホームへ向かう事が出来る構造になっています。
これにより予讃線高松~香西間、高徳線高松~昭和町間は0.3㎞短縮。
旧貨物駅付近は「サンポート高松」という商業施設になり、翌年のダイヤ改正で快速〈サンポート〉が設定される事になります。
これで、宇高連絡船の面影が一つ、姿を消す事になりました。
◆ JR東日本 ICカード「Suica」導入
いよいよ交通業界もICカードの時代が訪れました。
鉄道で一番早くICカードを導入したのは、1998年のスカイレールサービス(定期券のみ)でしたが、SF(ストアード・フェア)機能も備えた本格的なものは、「Suica」が初めてになります。
11月18日導入で、JTB時刻表ではとりあえず11月号の「NEWS」のみ。
◆ 埼玉高速鉄道・神戸市営海岸線開業 りんかい線は一部延伸
埼玉高速鉄道は、営団地下鉄南北線を延長する形で、3月28日の開業。
全列車が南北線に乗り入れ、さらに大半が東急目黒線まで直通します。
神戸市営地下鉄の海岸線は、大阪市営長堀鶴見緑地線、東京都営大江戸線に次ぐ3番目のリニア地下鉄。
開業は7月7日。
どちらも、翌年開催のサッカー・ワールドカップの会場へのアクセスとなります。
この他、名古屋ガイドウェイバス、ディズニーリゾートラインもこの年開業しました。
◆ 下北交通廃止 名鉄・のと鉄道は一部区間廃線
下北交通は、特定地方交通線だった旧国鉄大畑線を、地元のバス会社が引き継いで運行していたのですが、3月一杯で廃線。
青森県では、同じく純民営会社が引き継いだ弘南鉄道黒石線も廃止になっていて、これで青森県では、特定地方交通線から転換された2路線は共に廃線になりました。
また、同日のと鉄道の穴水~輪島間も廃止。
特定地方交通線転換の第3セクター鉄道では初の廃線です。
名鉄は八百津・竹鼻・谷汲線と揖斐線の一部、合計30.8㎞が、9月一杯で一挙に廃線になっています。
◆ 高速バス〈東海道昼特急大阪号〉〈青春ドリーム号〉運行開始
どちらも12月1日運行開始。
〈東海道昼特急大阪号〉は東京駅~大阪駅間を7時間30分~40分で片道6,000円。
〈ドリーム号〉と共通運用のダブルデッカー車を使用しています。
〈青春ドリーム大阪号〉は片道5,000円。
JR線の普通運賃が8,510円で、それまでの夜行〈ドリーム号〉は8,610円なので、どちらも安さが売りといえます。
この後も各社・各路線で、同様な趣旨の高速バスの新設が相次ぐ事になります。
◆ その他
○ <やまびこ>一部列車でマッサージサービス実施
○ 和田岬支線電化
○ JR北海道 特急料金変更
《表紙の写真・巻頭グラビア》
この年から、表紙の写真が背表紙にも使用されています。
1月号 天王洲アイル
JTB時刻表900号記念で、JTB本社ビルをバックに、東京モノレール2000系が羽田空港に向かって走ります。
国鉄・JR以外の鉄道の車両が表紙を飾るのは、900号にして初めてでしょう。
●旬の駅から小さな旅へ9 銚子駅
●新のりもの風土記シリーズ9 新世紀への船出 レストランクルーズ
●駅弁細見163 古代米入り うわさの弁当(宇都宮駅)
2月号 特急〈白鳥〉
末期は西日本・京都〔総運〕の担当で、表紙もボンネット車です。
撮影場所は不明ですが、羽越本線のどこかだと思います。
時刻表の表紙としては珍しくどんより曇り空ですが、これはこれで冬の東北らしくていいと思います。
●旬の駅から小さな旅へ10 遠野駅
●新のりもの風土記シリーズ10 厳冬を楽しむ 道東・冬の汽車旅
●駅弁細見164 出雲大社参拝記念 招福ちらし(松江駅)
3月号 大湊線(吹越~陸奥横浜)
キハ100×2連と菜の花畑。
●旬の駅から小さな旅へ11 東萩駅
●新のりもの風土記シリーズ11 21世紀・春の夜汽車 寝台特急コレクション
●駅弁細見165 磯の漁火(直江津駅)
4月号 ユニバーサルシティ駅
USJのラッピングが施された103系(初代・低運転台)。
この号では、付録のページで「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン アクセスご案内」として、USJへのアクセスや、「トクトクきっぷ」などの現地への乗車券のガイドが掲載されています。
●旬の駅から小さな旅へ12 会津若松駅
●新のりもの風土記シリーズ12 あちこちに桜が… 春らんまんの鉄道
●駅弁細見166 明石鯛好き めでっ鯛飯(西明石駅)
5月号 日豊本線(杵築~中山香)
885系〈ソニック〉。
885系は3月改正で〈ソニック〉にも投入されました。
●旬の駅から小さな旅へ13 中村駅
●新のりもの風土記シリーズ13 新世紀を彩る 九州のソニック
●駅弁細見167 赤ワイン仕込蒲焼 うなぎ弁当(浜松駅)
6月号 富良野線(学田~富良野)
キハ150の単行。
ラベンダーではないのですが、なだらかな起伏がいかにも北海道という感じがします。
●旬の駅から小さな旅へ14 高山駅
●新のりもの風土記シリーズ14 せせらぎを間近に-飯田線 トロッコファミリー号
●駅弁細見168 釜倉めし(鎌倉駅)
7月号 予讃線(大浦~浅海)
8000系特急でバックは瀬戸内海。
●旬の駅から小さな旅へ15 富良野駅
●新のりもの風土記シリーズ15 北陸特急のスーパースター サンダーバード
●駅弁細見169 利家御膳(金沢駅)
8月号 磐越西線(喜多方~山都)
〈SLばんえつ物語号〉。
●旬の駅から小さな旅へ16 宮津駅
●新のりもの風土記シリーズ16 よさこいの高知へ 楽しい乗り物
●駅弁細見170 三陸あわび弁当(一ノ関駅)
9月号 ディズニーリゾートライン
リゾート・ゲートウェイ・ステーション(京葉線舞浜駅に隣接)を出発するモノレール。
この号では、付録のページで「東京ディズニーリゾート交通案内」として、TDRへのアクセスや、入場料金について記されています。
●旬の駅から小さな旅へ17 上諏訪駅
●新のりもの風土記シリーズ17 北の鉄路で秋を楽しむ 九月の北海道
●駅弁細見171 松茸わっぱ(鳥取駅)
10月号 東海道新幹線(米原~京都)
700系。
●旬の駅から小さな旅へ18 日光駅
●新のりもの風土記シリーズ18 山陰特急バラエティ 爽快!スーパー特急
●駅弁細見172 懐石弁当(長岡駅)
11月号 只見線 大白川~田子橋
キハ53(キハ58の両運改造タイプ)+キハ48のローカル列車。
どちらも非冷房車。
●旬の駅から小さな旅へ19 彦根駅
●新のりもの風土記シリーズ19 いく秋を楽しむ SL列車カタログ
●駅弁細見173 米沢牛使用 牛串弁当(米沢駅)
12月号 中央本線 富士見~すずらんの里
E255系〈あずさ〉。
12月1日改正時より運行を開始、183・189系を置き換えていく事になります。
●旬の駅から小さな旅へ20 米沢駅
●新のりもの風土記シリーズ20 新宿から甲斐路、信州へ 初冬、『あずさ』の旅
●駅弁細見174 元禄大名 道中御膳(相生駅)
《裏表紙の広告》
1月号 トヨタレンタカー
2月号 大塚製薬 ポカリスエット
3月号 トヨタレンタカー
4月号 大塚製薬 ポカリスエット
5月号 トヨタレンタカー
6月号 大塚製薬 ポカリスエット
7月号 トヨタレンタカー
8月号 大塚製薬 ポカリスエット
9月号 トヨタレンタカー
10月号 大塚製薬 ポカリスエット
11月号 トヨタレンタカー
12月号 大塚製薬 ポカリスエット
《その他》
〈アルペン号〉及び名古屋発の〈シュプール号〉は2000-2001シーズンを持って廃止、2001-2002シーズンは大阪圏~白馬・妙高高原方面間のみの設定になってしまいました。
夏の海水浴同様、スキーも列車で行く時代ではなくなったのでしょうか?
スキーヤー自体が減少している、という話も聞きましたが…。
7月1日のJR北海道の改正で、石北本線の天幕・中越・奥白滝駅が廃止になりました。
これにより、上川~上白滝間34.0㎞の間で、旅客営業を行なう駅が消滅しました。
この距離は、山手線の一周34.5㎞にほぼ匹敵します。
また、JR東日本・只見線の大白川駅はこの年の12月1日より臨時駅となり、冬季は通過扱いとなりました。
今や日本最大のビジネスホテルチェーンとして君臨する東横インですが、7月号で初めてモノクロページに広告が載りました。
羽田大鳥居本館(京急空港線大鳥居駅に隣接)が8月1日オープンですが、この時点ではまだ42店でした。
《定価》
1~12月号 1050円(本体1000円)
※その他のトピックス
◆ 小泉純一郎 総理大臣就任
◆ 同時多発テロ発生
◆ 「ハリー・ポッター」シリーズ映画 日本初公開
プロ野球日本シリーズ ヤクルト(4-1)近鉄 MVP:古田敦也
近鉄のリーグ優勝・日本シリーズ進出はこの年が最後になりました。
日本ダービー優勝馬 ジャングルポケット 鞍上:角田晃一
申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。(名前は公表しません。)
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