№76 JTB時刻表大研究 1999年

「JTB時刻表大研究」、今回は1999年です。
 ついに新幹線にも世代交代の時が来ました。
 また、寝台特急も、方面により明暗が分かれました。
 この年のJRグループは小刻みに改正が続き、3月14日に東海道・山陽新幹線と東海・西日本・四国・九州、5月10日に西日本(アーバンネットワーク)、7月に山陽新幹線、10月に東海道・山陽新幹線と西日本・九州、12月4日に統一改正が実施されました。
 特に山陽新幹線は1年に3度も改正が行われた事になります。
 新会社としては恐らく最後の第3セクター鉄道が開業しました。

《1999年の十大トピックス》
◆ 700系〈のぞみ〉デビュー 0系東海道新幹線から引退
 700系は3月改正でデビュー。
 当初は東京~博多3往復の設定でした。
下り
 3号 東京6:56 → 11:53博多
 7号 東京8:52 → 13:53博多
 27号 東京18:52 → 23:53博多
上り
 8号 博多7:27 → 12:28東京
 24号 博多15:27 → 20:28東京
 28号 博多17:27 → 22:24東京
最速4時間57分。
 その後7月に5往復、10月には10.5往復(区間運転を含む)にまで増発され、東京~博多系統は500系と交互の運転になります。
 700系は4月号の「乗り物風土記シリーズ126」で取り上げられています。

 一方、開業以来35年間を走り抜いた0系は、9月18日のさよなら運転を持って、東海道新幹線から引退しました。
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 1989年1月14日の〈ひかり267号〉(東京→岡山)。
 下段は37型食堂車の車内です。
 この他、3月改正では山陽新幹線に厚狭駅が開業しました。
(<こだま>のみ停車)

◆ 全個室寝台列車〈カシオペア〉デビュー 〈さくら〉〈はやぶさ〉は併結運転開始
 〈カシオペア〉は全2人A寝台個室に展望ラウンジ、フルコースディナーを提供する食堂車という超豪華編成。
 後述するカラーグラビア「連載特集 日本の旬 水無月」で紹介されています。
 大半の鉄道ファンにとっては垂涎の的、なのでしょうが、正直私はこういう列車にはあまり関心がありません。
 鉄道に限らず超豪華な代物は趣味ではないし、一人旅でふらっと乗れるような列車ではないですから…。
(あくまで個人の趣味の問題)
 7月16日運行を開始、原則週3日の運転。
 なお、引き換えに「北斗星」1往復が臨時列車に格下げになっています。

 一方、〈さくら〉〈はやぶさ〉の併結運転は12月4日改正より実施。
 初めて定期列車で14系(〈さくら〉)と24系(〈はやぶさ〉)が併結を行う事にもなり、同時に〈富士〉も共通の編成になりました。
 これにより、東京発着のブルートレイン(客車寝台特急)は〈あさかぜ〉〈出雲〉と合わせて4往復に減少しました。
 東海道・山陽ルートにも〈カシオペア〉並みの豪華列車を望む声は少なくないのですが、北海道と違ってビジネスユースの方が多そうで、航空便に加えて新幹線もあり、たとえ実現しても、採算性は相当厳しくなると思われます。
 なお、東京~博多の〈あさかぜ81・82号〉が年末・年始にかろうじて設定されています。全てB寝台ですが…。

◆ 山形新幹線が新庄まで延伸
 奥羽本線の山形~新庄間を標準軌に改軌し、12月4日に開業。
 車両面では400系に加え、新たにE3系(2000番台)が加わる事になります。
 途中の「さくらんぼ東根」は神町~東根に開業した駅ですが、在来線直通区間に、新幹線が停車する駅を新設するのは初のケースになりました。
 この駅を含め、新幹線停車各駅では、大規模なパーク&ライドが実施される事になります。
 これに先立ち、同区間は3月12日から工事運休に入り、代行バスを運転。
 原則北山形(朝夕は天童)~新庄の快速・普通便と、山形~新庄ノンストップの特別快速便が設定されました。
 また、山形~秋田の特急〈こまくさ〉が廃止になり、新庄~秋田の快速〈こまくさ〉が設定されました。

◆ 舞鶴線・豊肥本線電化 〈まいづる〉新設 〈有明〉直通運転復活
 どちらも10月1日に開業。
 舞鶴線では<まいづる>3往復の運行開始と引き換えに、快速<まいづるリレー号>は一部を除いて廃止。
 また、小浜線の急行<わかさ>が快速に格下げになっています。
 豊肥本線は熊本~肥後大津が電化。
 〈有明〉は全列車783系「ハイパーサルーン」が乗り入れています。
 〈有明〉は非電化時代も一時期、ディーゼル機関車牽引(電源車併結)で水前寺まで乗り入れていた事がありました。

◆ 中央線〈セントラルライナー〉運転開始 
 313系8000番台を使用し、乗車整理券(300円)を必要とする、快速列車の仲間。
(「快速」の名称は使わない。)
 12月4日、名古屋~中津川で運行開始。
 朝夕のラッシュ時だとJRの各地(東海にもある)で〈ホームライナー〉が運行されているし、私鉄でも京急の〈ウィング〉がありましたが、日中に「整理券」を必要とする定期列車は、初めてのケースと思います。
(名古屋~多治見のみ整理券が必要、多治見~中津川は不要)
 ちなみに、JR東日本の各〈ライナー〉は3月より、乗車整理料金(310円)からホームライナー料金〈500円〉に変更になっています。

◆ 〈SLばんえつ物語号〉〈SLすずらん号〉運転開始
 〈SLばんえつ物語号〉はC57180号機牽引で新津~会津若松で運行。
 以降、JR東日本を代表する列車の一つになります。
 この年は他に郡山~会津若松・七日町でも夏休み期間に〈磐梯・会津路号〉としても運行されました。
 〈SLすずらん号〉は深川~留萌、C11171牽引による運行で、同名のNHKの朝の連続テレビ小説でも登場したから、ご存知の方も多いでしょう。

◆ 東京近郊区間が拡大
 6月1日実施。
 新たに東海道本線平塚~熱海、東北本線小山~宇都宮、高崎線熊谷~高崎、上越線高崎~新前橋、八高線高麗川~倉賀野、常磐線土浦~勝田、内房線木更津~君津の各区間と、両毛線・水戸線が加わりました。
 旅客の利用や、列車の運行形態の実態に合わせたものと考えられます。

◆ 井原鉄道開業 札幌市営・横浜市営・相鉄等延伸
 井原鉄道は、工事が凍結されていた井原線を引き継いで開業させた路線。
 地方第3セクター鉄道としては、恐らくは最後の新会社です。
 1月11日の11時11分に1番列車が出発、というニュースは覚えておられる方も多いのではないでしょうか。
 総社~清音はJR伯備線の線路を使用しますが、自らも営業を行なう「第2種事業者免許」を取得しています。
 札幌市営地下鉄の東西線・宮の沢~琴似は2月25日開業。
 これに伴い、JRバスの札樽線(一般道)は、札幌駅~張碓と、宮の沢駅~小樽駅に系統が分断されています。
 小田急江ノ島線の湘南台駅には3月10日に相鉄いずみ野線、8月29日に横浜市営地下鉄1号線が相次いで乗り入れ、一気に藤沢市北部のターミナルとして地位が高まりました。
 地下鉄はもちろん相鉄いずみ野線も地下線での乗り入れで、合わせて小田急も橋上駅舎から地下駅舎になっています。

◆新潟交通・蒲原鉄道全線廃止
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(1987年11月22日撮影 白山前駅)
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(1988年9月22日撮影 村松駅構内)
 新潟交通は4月4日、蒲原鉄道は10月3日限り。
 新潟県内から、純粋な私鉄は全て姿を消す事になりました。
(あとは第3セクター鉄道の北越急行のみ)
 新潟交通については、本体の「新潟交通・アーカイヴ」で取り上げていますのでそちらをご覧下さい。
 蒲原鉄道については、明日取り上げる予定です。
 この他、名鉄美濃町線も、末端区間(新関~美濃)が3月31日に廃止になり、翌日に長良川鉄道との接続のため、新関~関の短区間が開業しました。
 
◆ 尾道~今治ルート「しまなみ海道」全通
 5月1日に来島海峡大橋(大島南~今治北)、多々羅大橋(生口島南~大三島)の開通により、尾道~今治間が1本の道路で結ばれ、本州~四国の3本目のルートが開通する事になりました。
 翌5月2日に広島県~愛媛県の各地点を結ぶ高速バスが運行を開始。
 広島~松山線などもあったのですが、当時は一般道の区間も多く、激しい渋滞で定時運行もままならないという事もあって利用が伸びず、早々と廃止になった系統も少なからずあったようです。

◆ その他
○ 鹿児島本線ルート変更 スペースワールド駅開業
○ 桜島線桜島駅移転
○ JR北海道 特急料金・割引きっぷ改定
○ 急行<たかやま> 特急<ひだ>に格上げ

《表紙の写真》
 具体的な撮影場所を記載しない月が目立ちます。

1月号 長野新幹線
 E2系。
●新ステーションウォッチングシリーズ「駅むかし語り」15 沖縄県営鉄道・沖縄電気軌道 那覇BT
 現役の鉄道の駅でない場所は、シリーズを通じて多分初めて。
●乗り物風土記シリーズ123 静岡から富士山を眺める 「富嶽」鉄道名所
●駅弁細見139 鱒寿し(東武日光駅)

2月号 内房線
 E253系〈ビューさざなみ〉と菜の花畑。
●新ステーションウォッチングシリーズ「駅むかし語り」16 伊勢電気鉄道・中勢鉄道 津駅
●乗り物風土記シリーズ124 ウィークエンドフリーきっぷ 冬の東北紀行 JR東日本
●駅弁細見140 元祖牛肉弁当(松阪駅)

3月号 700系新幹線「のぞみ」
 撮影場所は名古屋で、右手にセントラルタワー。
●新ステーションウォッチングシリーズ「駅むかし語り」17 宮之城線 川内駅
●乗り物風土記シリーズ125 首都圏-春の行楽 レトロな乗り物
●駅弁細見141 ロースカツ弁当(一戸駅)

4月号 北陸本線 谷浜~有間川
 681系〈サンダーバード〉。
 日本海沿岸の北陸本線というと、荒波に雪山という冬の厳しさが真っ先に浮かびますが、桜に菜の花という、穏やかな情景も見られるのですね。
●新ステーションウォッチングシリーズ「駅むかし語り」18 大日本軌道山口支社 山口駅
●乗り物風土記シリーズ126 東海道・山陽新幹線 700系「のぞみ」登場
●駅弁細見142 瀬戸の花ずし(新神戸駅)

5月号 奥羽本線 庭坂~赤岩 
 400系〈つばさ〉。
 手前はりんごの花でしょうか?
 この号よりグラビア連載は新企画「連載特集・日本の旬」が始まりました。
 「旅のカレンダー」と統合し、2000年4月号まで1年間続きます。
「皐月」
◆ 「風に舞う」鳥取砂丘
◆ 「風に乗る」風の特急
◆ 「風 味わい」風棚田(高知県佐賀町) など
●駅弁細見143 緑の響(おと)(野辺地駅)
 
6月号 根室本線
 恐らく狩勝峠で、〈とかち〉が下ってきます。
連載特集・日本の旬「水無月」
◆ 「海に薫る」ワッカ原生花園
◆ 「海 味わい」エビ打瀬舟(尾岱沼)
◆ 「海 乗る」〈カシオペア〉 など
●駅弁細見144 えぞずし(苫小牧駅)

7月号 東北本線
 〈カシオペア〉。
連載特集・日本の旬「文月」
◆ 「水に親しむ」大雪渓(白馬岳)
◆ 「水 味わい」霧島山麓丸池
◆ 「水 乗る」〈きのくにシーサイド〉 など
●駅弁細見145 朝霞(あさあけ)(長岡駅)

8月号 スペースワールド駅
 881系〈ソニック〉。
連載特集・日本の旬「葉月」
◆ 「山 三兄弟」白根三山(南アルプス)
◆ 「山 味わい 体験」五箇山
◆ 「山 乗る」〈SLばんえつものがたり号〉 など
●駅弁細見146 白馬弁当(糸魚川駅)
 
9月号 0系新幹線
 東海道新幹線からの引退の記念でしょう。
連載特集・日本の旬「長月」
◆ 「月 観望旅」県立ぐんま天文台
◆ 「月 味わい 宿」桂浜
◆ 「月 乗る」北海道の列車 など
●駅弁細見147 幕の内夢二(岡山駅)

10月号 長野新幹線
 E2系と浅間山。
連載特集・日本の旬「神無月」
◆ 「木を訪ねる」白神山地
◆ 「木 恵み 味覚体験」岩木山
◆ 「木 乗る」愛知圏の列車 など
●駅弁細見148 くるみ舞茸おこわ(松本駅)

11月号 高山本線 飛騨小坂~渚
 キハ85系〈ひだ〉。
連載特集・日本の旬「霜月」
◆ 「空 巡り」さじアストロパーク(鳥取県)
◆ 「空 港 名物味覚」空港の郷土料理
◆ 「空 乗る」〈つばさ〉〈やまびこ〉 など
●駅弁細見149 北海吹き寄せ弁当(函館空港)
「日本の旬」がらみなのでしょうが、空港の弁当(空弁)が取り上げられるのは初めて。

12月号 山形新幹線「つばさ」
 E3系1000番台。 
連載特集・日本の旬「師走」
◆ 「陸奥年越し」SENDAI光のページェント
◆ 「陸奥冬味わい」鵜の巣断崖(岩手県田野畑村)
◆ 「乗る」東北の新幹線・特急 など
●駅弁細見150 まるごとあわび弁当(宮古駅)

《裏表紙の広告》
1月号 トヨタレンタカー
2月号 横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ
3月号 トヨタレンタカー
4月号 横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ
5月号 トヨタレンタカー
6月号 横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ
7月号 トヨタレンタカー 
8月号 横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ
9月号 トヨタレンタカー
10月号 横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ
11月号 トヨタレンタカー
12月号 横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ

《その他》
 どうもこの年の黄色のページの「NEWS」は、工事関係の運休の記事が多かった気がします。
 目立つ所では4月11日の宇都宮線・高崎線の新駅(さいたま新都心駅)設置工事のための一部迂回運転、5月16日の常磐線の常磐新線(つくばエクスプレスの事)建設工事のための快速一部運休。
 また青森発7月4・11日の寝台特急<はくつる>は青森~盛岡を約2時間繰り上げて<はくつる80号>として、上野発9月20日の<あけぼの>は上野~村上を約30分繰り上げて<あけぼの91号>として運行されています。

「地方競馬 開催日程」は、4月号の掲載が最後になりました。
 以前はカラーページでしたが、末期はモノクロページになっていました。
 この時点で、地方競馬場は30(ばんえい含む)ありましたが、上山・新潟(地方のみ)・三条・宇都宮・足利・高崎・益田・中津は後に廃止になります。
 
《定価》
1~12月号    970円(本体 924円)
※その他のトピックス
◆ 日本初の脳死臓器移植
◆ 日本銀行 ゼロ金利政策実施
◆ ナンバープレート分類3桁化
プロ野球日本シリーズ ダイエー(4-1)中日 MVP:秋山幸二
日本ダービー優勝馬 アドマイヤベガ 鞍上:武豊


 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。(名前は公表しません。)

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