「JTB時刻表大研究」、今日は1992年です。
JTB時刻表は10月号で、通巻800号を迎えました。
この年、JRでは新幹線・在来線とも競い合うように、後世の鉄道史に残る名車が開発・デビューしました。
一方、ローカル鉄道の経営難が深刻になってくる頃でもありました。
なお、JRでは3月14日に統一改正を行いましたが、この他7月に北海道(1日)・東日本(1日)・四国(23日)・九州(15日)が別々にダイヤ改正を行なっています。
《1992年の十大トピックス》
◆ 東海道新幹線に〈のぞみ〉デビュー
3月14日運行を開始。
300系により270㎞/h運転を実施。
東京~新大阪間は2時間30分となり、これまでの最速の<ひかり>より22分も短縮されました。
3月14日のデビュー当時は、早朝・深夜に1往復ずつのみでした。
下り
301号 東京 6:00 → 8:30新大阪 途中停車駅:新大阪
303号 東京21:18 → 23:48新大阪 途中停車駅:名古屋・京都
上り
302号 新大阪 6:12 → 8:42東京 途中停車駅:京都・名古屋
304号 新大阪21:18 → 23:48東京 途中停車駅:京都・名古屋
このうち<301号>は、「名古屋飛ばし」で、一般にも話題になりました。
全車指定席で、東京~新大阪間の指定席特急料金は(通常期)6,090円でした。
(<ひかり>より950円高い)
300系は4月号のカラーグラフ「乗り物風土記53」で紹介されている他、折り込み付録で300系と共に、東海道山陽新幹線100系(X編成)、東北・上越新幹線200系(E編成)の席番案内図が閉じ込まれていました。
東海道・山陽新幹線では他に、「グランドひかり」が東京~博多間で2往復増発されています。
◆ 山形新幹線開業 東京~山形間最速2時間27分
2年前から列車の運休をも伴って工事を続けてきましたが、7月1日に開業を迎える事になりました。
在来線を改良(改軌)し、新在直通運転を行なう「新在直通」の初のケースです。
400系を使用した列車は<つばさ>と命名され、定期列車では14往復を設定。(約1時間間隔。)
大半は上野~仙台間の<やまびこ>に併結されますが、1往復は単独運転。
最速は途中福島のみ停車の<つばさ101号>で、東京 7:28 → 9:55 山形の2時間27分でした。
山形からの特急<つばさ>は<こまくさ>に改称しています。
なお夜行に関しては、今回は寝台特急<あけぼの>(陸羽東線経由)・急行<津軽>(仙山線経由)が共に存続。
他に、お盆・年末年始に寝台急行<おが>(北上線経由)・急行<あきた>(陸羽東線経由)が設定されました。
◆ 鹿児島本線に787系〈つばめ〉デビュー
<つばめ>は7月15日のダイヤ改正で、西鹿児島(現鹿児島中央)発着の<ハイパー有明><有明>を分離して設定し、新型特急車両787系を導入しました。
787系は当時の在来線特急の最高峰で、社外のデザイナー水戸岡鋭治氏にデザインを以来(これが同氏の出世作となり、現在に至るまでの日本各地の鉄道車両・施設のデザインを手がける礎となる。)、コンパートの設置やシーピッチの拡大、「つばめレディ」の乗務など、ハード・ソフトの両面でサービスの大幅なグレードアップが図られています。
何よりビュッフェの設置は、食堂車が衰退する中でしたから大きな注目を集めました。
(もっともビュッフェは、九州を含めて後に続く事はなかったのです…。)
同車については、9月号のカラーグラフ「乗り物風土記57」で詳しく紹介されています。
翌1993年の鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞しました。
<つばめ>は1時間間隔で設定されましたが、787系はまだ全列車というわけではなく、2本に一本の投入で、783系「ハイパーサルーン」も併用されていました。
◆ 新千歳空港駅開業 快速〈エアポート〉運転開始
新千歳空港ターミナルオープンに伴うもので、旧千歳空港改め南千歳から、単線の支線を建設し、7月1日に開業しました。
新千歳駅は地下駅。
快速<エアポート>は札幌~新千歳空港間で、一気に15分間隔に増発されました。
(当時は新札幌・北広島・千歳に停車し、恵庭は通過。また、<空港ライナー>が停車していた白石も、一部を除いて通過になった。)
一部は旭川発着特急<ライラック>からの直通で、現在につながる運転パターンが既に確立しています。
また、指定席(現在の「uシート」)も設定されました。
◆ ハウステンボスオープン 特急〈ハウステンボス〉運転開始
ハウステンボス駅は統一ダイヤ改正日の3月14日に開業。
<ハウステンボス>号はハウステンボス開業日の3月25日より運行を開始。
全列車が臨時列車の扱いで、博多~早岐間は<みどり>と併結。
さらに一部は博多~肥前山口間で<かもめ>とも併結しましたから、3階建てになっていました。
なお、引き換えに門司港~鳥栖間で電車の<有明>と併結運転を行っていたDCの<オランダ村特急>は、3月24日一杯で運行を終了しています。
◆ 〈湘南ライナー〉〈アクティー〉に全2階建て215系電車導入
<湘南ライナー>は朝の通勤時間帯に座って通勤できる列車として人気が高く、着席定員増加のため、あえてボックスシートの2階建て車両として製作されました。
同車については、8月号のカラーグラフ「乗り物風土記56」で詳しく紹介。
4月20日より、まず1編成10両が運用を開始しました。
<湘南ライナー>の他、日中は間合いで快速<アクティー>1往復で運用されました。(週4日のみ)
関東地方で料金不要で乗車できる2階建て車両として注目されたものです。
(常磐線に試作的なクハ411-1501がありましたが…。)
<湘南ライナー> 乗車整理券300円が必要
下り
3号 東京 20:00 → 21:20 小田原 途中停車駅:品川・平塚・二宮・国府津 休日運休
上り
4号 小田原 7:15 → 8:31 品川 途中停車駅:国府津・二宮・平塚 休日運休
どちらも貨物線経由
快速<アクティー>
下り
東京 10:40 → 12:11 熱海 当時は戸塚・早川・根府川は通過 月・金・土・休日のみ運用
上り
熱海 13:00 → 14:33 東京 当時は根府川・早川・戸塚は通過 月・金・土・休日のみ運用
◆ 急行〈大雪〉格上げで夜行〈オホーツク〉運転開始
3月14日より運行開始。
既に急行<利尻>で行なわれていた、DCに客車寝台を連結するという北海道独特の方法が、特急では初めて採用されています。
指定席一部禁煙(DC) + グリーン車一部禁煙(DC) + B寝台車(PC)+自由席(DC) + 自由席禁煙車(DC) という編成が基本でした。
下り
オホーツク9号 札幌23:00 → 6:15網走
上り
オホーツク10号 網走23:15 → 6:30札幌
客車急行→DC特急とはいえ、夜行ですからそれ程大きくダイヤは動いていません。
停車駅も変更はないのですが、それでも下りは17分、上りは21分短縮されています。
◆ 阿佐海岸鉄道・千葉急行電鉄開業 仙台市営地下鉄延伸
阿佐海岸鉄道は工事が進められながら国鉄再建法によって中止になっていた区間を、第3セクター方式で受け継いで営業開始にこぎつけた路線です。
海部~甲浦間の営業キロは8.5㎞と短く、車両数2両も、当時の私鉄等では(今でも)最少でした。
3月26日の開業と同時にJR牟岐線と相互直通を実施、JR側からは特急<うずしお>1往復も乗り入れています。
(末端部は普通列車。)
千葉急行電鉄は千葉中央~大森台間が4月1日に部分開業しました。
全列車が京成千葉線との相互直通です。
車両については「京成「赤電」シリーズの軌跡」をご覧下さい。
自前の車両基地は持たず、京成編成との完全な共通運用でした。
5月号の「トラベルニュース」では、「将来は房総半島中央部への延長が計画されています。」と記されていました。
そんな日は訪れるのでしょうか。
仙台市営地下鉄は7月15日に八乙女~泉中央間が延伸開業しました。
◆ 岩手開発鉄道廃止 新潟交通・西鉄北九州線も一部区間廃止
岩手開発鉄道は、3月31日限りで、正確には旅客営業が廃止。
貨物は24時間運行も行うなど比較的盛業でしたが、旅客列車は末期には区間運転を含め、わずか3往復のみの運行でした。
旅客車両はもう1両あるのですが、たいていは画像のキハ202が使用されていました。
新潟交通は路面区間の東関屋~白山前間が3月19日を持って、北九州線も路線の大半を占める路面区間の砂津~黒崎駅前間が10月24日を持って廃線になりました。
◆ 南阿蘇鉄道に最長駅名「南阿蘇水の生まれる里白水高原」駅開設
4月1日開業。
「みなみあそみずのうまれるさとはくすいこうげん」と読みます。(22文字)
これまでの記録は、鹿島臨海鉄道の「長者ヶ浜潮騒はまなす公園前」(ちょうじゃがはましおさいはまなすこうえんまえ)でした。
◆ その他
○ 特急<南紀> 「ワイドビュー」85系に置き換え
○ 予讃線電化区間一部延伸 臨時電車特急運転開始
○ 臨時特急<日光> 新宿~宇都宮~日光間に設定
○ 成田空港第2旅客ターミナルオープン 空港第2ビル駅開業
○ <夢空間TAP> 運行
○ JR東日本・東海 入場料金加算システム導入
《表紙の写真・グラビア連載記事》
そろそろJRになってからの新車両が表紙を飾るケースが多くなってきました。
1月号<初ゆめ号> 飯山線 横倉駅にて
飯山線色のキハ58系ローカルから、スキーヤーが大挙下車してきます。
●ステーションウォッチングシリーズ35 鎌倉駅
●乗り物風土記シリーズ51 ブルートレインの個室①A寝台カタログ
●駅弁細見57 たいらギ寿し(大牟田駅)
2月号<早春号> 只見線 入広瀬~大白川
キハ40初め2連のローカル列車。
●ステーションウォッチングシリーズ36 福井駅
●乗り物風土記シリーズ52 ブルートレインの個室①B寝台カタログ
●駅弁細見58 城崎のかに釜めし(城崎駅)
3月号<JRダイヤ改正号> 浜名湖にて
300系。
●カラー特集 高速バス大集合
首都圏を発着する夜行高速バスの写真が集められています。
早々に廃止になった路線、今は消えてしまったカラーも多く、なかなか圧巻です。
●駅弁細見59 こだわり弁当各驛停車(仙台駅)
※「ステーションウォッチングシリーズ」「乗り物風土記シリーズ」はお休みなのですが、目次では掲載があるように記載されています。
4月号<はるたび号> 大阪環状線 桜ノ宮~天満
旧淀川を渡る221系と桜。
●ステーションウォッチングシリーズ38 高崎駅
●乗り物風土記シリーズ53 300系新幹線のぞみ
●駅弁細見60 元祖鯛鮨 鯛の舞(敦賀駅)
※「ステーションウォッチングシリーズ」は3月号はお休みでしたが、4月号は37回目を欠番とし、当月号を38回目としています。
5月号<わかば号> 磐越東線 小野新町~夏井
キハ111と鯉のぼり。
●ステーションウォッチングシリーズ39 渋谷駅
●乗り物風土記シリーズ54 新型特急 ワイドビュー南紀
●駅弁細見61 津軽いかいっぱい(青森駅)
6月号<雨に歩けば号> 山手線 原宿駅
列車の姿は映っていません。
多くの乗客が傘を差しています。梅雨の真っ只中のイメージでしょうか。
●ステーションウォッチングシリーズ40 津山駅
●駅弁細見62 高菜べんとう(佐世保駅)
「JTB時刻表フォトコンテスト」の発表のため「乗り物風土記シリーズ」はお休み。
7月号<JRダイヤ改正号> 山形新幹線 置賜付近
正確には奥羽本線で、400系が踏切を通過するシーン。
●ステーションウォッチングシリーズ41 大津駅
●乗り物風土記シリーズ55 山形新幹線 つばさ
●駅弁細見63 稲庭つけ麺割子(秋田駅)
8月号<夏雲号> 千歳線 南千歳付近
「フラノエクスプレス」。
遠くに旅客機が移っていますが、旧ターミナル時代の撮影です。
道路上に『7月1日より新千歳空港への進入方法が変更になります。』との看板がありました。
●ステーションウォッチングシリーズ42 豊橋駅
●乗り物風土記シリーズ56 オール2階建電車 ザ・ダブルデッカーライナー
●駅弁細見64 汐干がり弁当(原ノ町駅)
9月号<里の秋号> 山陰本線 鎧~餘部
キハ181系(列車名不明。当時は<あさしお>もあった)が餘部鉄橋を渡ります。
国鉄色ですが、再来年の<はまかぜ>用新型車両導入前に同色の復刻はあるでしょうか。
●ステーションウォッチングシリーズ43 小倉駅
●乗り物風土記シリーズ57 最新の豪華特急 つばめ
●駅弁細見65 焼売(しうまい)弁当(鳥栖駅)
結果的にグラビア連載は九州特集になりました。
10月号<通産800号記念号> 表紙の写真はなし。
駅の記念スタンプ調のイラストです。
このため通常のグラビア連載は全てお休みになり、「秋を走る」と題した、真島満秀氏による鉄道写真が6点掲載されています。
横軽以外はローカル線で、後に廃線になる深名線(北母子里駅)の写真もあります。
11月号<冬の列車発表号> 長崎本線 (臨)バルーンさが~久保田
485系「RED EXPRESS」と気球。
●ステーションウォッチングシリーズ44 函館駅
●乗り物風土記シリーズ58 津軽海峡をくぐる リゾートエクスプレス北海道
●駅弁細見66 天下取り弁当信長(高山駅)
12月号<日だまり号> 久大本線 由布院~南由布
特急「ゆふいんの森」と由布岳。
●ステーションウォッチングシリーズ43 小倉駅
●駅弁細見67 うにめし弁当(平駅)
「JTB時刻表フォトコンテスト」の発表のため「乗り物風土記シリーズ」はお休み。
《裏表紙の広告》
1月号 山一證券 中期国債ファンド
2月号 キリンビール キリン一番搾り
3月号 山一證券 「ひとりひとりが、ひとりひとりへ。」
4月号 キリンビール キリン一番搾り
5月号 山一證券 「ひとりひとりが、ひとりひとりへ。」
6月号 キリンビール キリン一番搾り
7月号 山一證券 山一MMF(マネー・マネージメント・ファンド)
8月号 キリンビール キリン一番搾り
9月号 山一證券 山一MMF(マネー・マネージメント・ファンド)
10月号 キリンビール キリン一番搾り
11月号 山一證券 山一MMF(マネー・マネージメント・ファンド)
12月号 キリンビール キリン一番搾り
《その他》
「私鉄時刻表」は、
1月号(38)…近鉄
2月号(39)…名鉄(1)
3月号(40)…名鉄(2)
4月号(41)…阪急
5月号(42)…西武
6月号(43)…近鉄(1)
7月号(44)…近鉄(2)
8月号(45)…小田急
9月号(46)…南海
10月号…お休み
11月号(47)…京王
12月号(48)…西鉄
11月号でようやく京王が久し振りに掲載されました。
ただ、京王線では昼間の時刻をはしょってしまっているのが残念です。
東急は相変わらず取り上げられていません。
《定価》
1~12月号 850円(本体 825円)
※その他のトピックス
◆ 日本人初の宇宙飛行士 宇宙へ
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プロ野球日本シリーズ 西武(4-3)ヤクルト MVP:石井丈裕
日本ダービー優勝馬 ミホノブルボン 鞍上:小島貞広
申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。(名前は公表しません。)
明日はお休みします。
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