№21 「BUS JAPAN バス・ジャパン」 4

 日本初(のはず)のバス専門誌「BUS JAPAN バス・ジャパン」は、1992年までに計14号が発行されました。
 1989年までは季刊、1990年~1992年は年刊でした。
 駆け足になりますが、各号の中身を、写真を交えて振り返ってみたいと思います。
 今回はVOL.2~№.5です。
 3号から「VOL.」→「№」に変わっています。
(なお、発行日は裏表紙に書かれていたもの)

 VOL.2「信濃川バス紀行」(1986年10月1日発行)
 表紙は千曲バスが運行していた黄色いボンネットバス。
 「信濃川・千曲川バス紀行」は、種村直樹氏による新潟市(新潟交通入船営業所)→長野県川上村(川端下)の、信濃川(千曲川)をさかのぼるバス乗り継ぎの旅。
 何より、ほぼ全区間が路線バスだけでつながるのが奇跡的!
 この号では「シリーズ終点」(西東京バス・数馬(東京都檜原村))の後に、関連する路線の時刻表があるのですが、特に、今は篠ノ井より東の路線がない川中島バスが、「国道線」として、長野~戸倉、戸倉~上田・大屋を1時間間隔で運行していた、という所に、今の路線バスの衰退ぶりをうかがう事もできるでしょう。
 「BUS BODY WATCHING」は千曲バスと、都営バスのPART2。
 千曲バスは、この時点では昭和40年代前半の車両も残っていました。
 実は、私もその車両の写真を撮っています。

 
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 1969年式いすずBU05D。
 確か1987年の、上田市内での撮影です。
 運用される便が決まっていたようで、営業所の方に話を聞いた上で待っていました。
 ついでにもう1枚。

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 これは1971年式の日産ディーゼル4R95で、小諸の駅前で撮影しました。
 他には、「バスライター バス工場へ行く」と題し、J-BUS発足で廃止になった日野車体の横浜工場の見学ルポがあります。
 現在はマンションの造成工事が行なわれている所です。

 №.3「国鉄バスのゆくえ」(1987年1月1日発行)
 この号から表紙のレイアウトが変わりました。
 編集後記(「バスルーム」という)では「某“ab road”風」らしいですが、読んだ事がないので比較のしようがありません。
 東名・名神高速バスにスーパーハイデッカー(エアロクィーン&スペースウィング いずれも3軸)投入の記事の後、「BUS BODY WATCHING」は東名・名神・中国各ハイウェイバス。
 「バスライター国鉄バス路線第一号に乗る」は、岡崎→瀬戸記念橋→多治見の乗継。
 しかし、わずかに残った瀬戸付近の路線も、ついに今月一杯で廃止になってしまいます。
 JRバスの衰退は、国鉄バス発祥の地であっても容赦がありません。

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 ちなみにこの写真は今年の1月に品野で撮影したものです。
 昔はさらにこの先、多治見まで走っていたわけです。
 種村直樹氏のルポは「国鉄バス十和田南・北線最終便」。
 特集以外では「TBS そこが知りたい 各駅停車路線バスの旅ロケ同行記」。
 「さようなら 会津バス鬼怒川線」は、野岩鉄道の開通により廃止になる同路線の最終便の同乗記。
 東北地方のバスが関東地方に乗り入れていた、という点でも貴重な路線だったと感じます。
 「乗合倶楽部」では、新日本プロレスの外国人レスラー専用送迎バスの取材が面白かったです。
 アンドレ・ザ・ジャイアント専用席のとてつもなく大きい事!
 「シリーズ終点」は、特集がらみか、国鉄バスの「恩徳」(岩手県遠野市)。

 ところで、「バス・ジャパン」は雑誌だと思っていたのですが、「つぎとまります」の中の、VOL.2発売が予告より遅くなったという読者の質問に対する返答で、「バス・ジャパンは流通上は“書籍”扱いなのでご了承下さい」とありました。

 №.4「中央ハイウェイバス」(1986年4月1日発行)
 種村直樹氏のルポ「中央高速バスVSエル特急<あずさ>」は、新宿~茅野で高速バスと特急「あずさ」(取材当日はまだ国鉄)を乗り比べるというもので、「あずさ」の方は、誌面をひっくり返して読むようになっていました。 
 京王バス(当時は京王帝都電鉄)担当の高速バス茅野線は、中央自動車道本線上の中央道茅野バス停が終点という、記事にもある通り、なんとも中途半端な形態になっていました。
 これは鈴木文彦氏執筆の「中央ハイウェイバスの成長と課題」でも触れられていますが、当時、新宿~諏訪・岡谷線が、京王など民営側の申請に加え、当時の国鉄が同時に申請を行い調整がつかず、民営側が伊那・飯田線の区間運転という形態で運行を開始したからなのです。
 結局はこの年の7月、京王主導で路線が開設、当時のJR東日本が1往復を担当するという形態で運行を開始する事になります。
 この記事では中央ハイウェイバスの課題として、「シーズン・休日の定時性」とか「新宿高速バスターミナルの限界」等が指摘されていますが、このあたりは現在も変わりがありません。
 一方、しこりが残ると指摘されていた運行各社の協力体制については、去年京王が音頭をとって「Chuou Highwaybus AllianceCHANCE)」が発足したというのはご存知の通りと思います。
 中央ハイウェイバス各系統の車両運用表に続き、「BUS BODY WATCHING」は伊那バスと東海汽船(現在は分社して大島バス)。
 伊那バスはバス窓の北村ボディのいすず車や、ツーマン専用(中扉のみ)の日野ブルーリボンが目に付きます。
 東海汽船(バス)ですが、前の年(1986年)に突如大島の三原山が噴火し、全島民が避難するという出来事があり、避難民を港まで運んだ同社の若手バス運転手のドキュメントが書かれています。
 真っ赤な溶岩流が流れ出しているのが見えて怖かったとか、妻子を気遣う運転手の心情とか、今読んでも結構「重い」と思います。もし機会があったら、ぜひ読んでいただきたい記事です。
 「エアポートゆきユニークバス」では、リムジンバスの連接バスと共に、京浜急行の試作ノンステップバス。
 ついに「バス・ジャパン」にノンステップ車登場!
 「シリーズ終点」は名鉄バスの「上仁木」(愛知県小原村・豊田市)。
 時刻表の地図上から「和紙のふるさと」をチョイスした所、正確にはさらに先の上仁木が終点という事でした。
 ここもなかなか味わい深そうな所ですが、現在は「とよだおいでんバス」が乗り入れているそうです。

 VOL.5「富士重工のバスボディー」(1986年7月1日発行) 冒頭に「富士重工現役車両のスタイリング」。
 前面傾斜・バス窓の上毛電気鉄道RE120がすごい!
 今はなき横浜市営バスブルーライン試乗記に続き、「BUS BODY WATCHING」は広島バス。
 傾斜したメトロ窓を持つ3Eボディ車がユニークです。
 種村直樹氏の記事は「レールバス乗りある記」と称し、富士重工が製造していた、ローカル鉄道(特に第3セクター鉄道向け)にバス用部品を多用したレールバス、通称「Le-Car」を取り上げています。
 当時の現役車両では1962年の南部縦貫鉄道向けが最古で、その後1984年から、国鉄から転換された第3セクター鉄道向けを中心に「Le-Car」を製造していました。
 初期は2軸車で、初導入はわざわざ電化路線の電車運転を取り止めたローカル線に導入した名鉄。
 (現在は全て廃線。)
 その直後には第3セクターの樽見鉄道が導入、鉄道友の会のローレル賞も受賞しました。
 明智鉄道向けから大型ボギー車となり、1990年のわたらせ渓谷鉄道向けまで製造されました。
 2軸車は順次大型車(他メーカー製を含む)に置き換えられ、現在現役は北条鉄道から譲渡された、紀州鉄道の「キテツ1」のみのはずです。

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 フロントマスクは正に5Eですね。
 側面は貸切バスタイプです。
 (先日廃線になった同期の三木鉄道は、普通の路線バスと同じ2段窓でした。)

 もう一枚、樽見鉄道からハイモ180を導入しながら2002年一杯で廃線になった、有田鉄道の車両をご覧頂きます。

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 フロントマスクもあって、貸切バス風です。
 会社自体はバス専業として存続しています。
 特集の後は「東西ボンネットバス紀行」として、東の東海バスと、西の奈良交通。
 「GoGoタクシー」はスペシャルとして、バス・ジャパン風に仕立てた「Taxi Japan」。
 興味深かったのは、「日本一若い!ドライバー」で、21歳の運転手を取り上げています。
 (タクシー運転手に必要な2種免許を取得するには、普免取得後3年経たないと資格を得られない。だから21歳で最年少という事になる。)
 なお、「乗合倶楽部」で横浜港の「シーバス」が取り上げられていますが、この「バス」は乗合自動車の「BUS」ではなく、スズキの英文「SEA BASS」が由来ですから念のため。
 もちろん、陸のバスと同じ感覚で乗れる、という点で「BUS」を連想してもいいと思いますが。
 「シリーズ終点」は昭和バスの「芥屋」(福岡県志摩町)。
 たたずまいもさることながら、ステンレスの外板を貼ったNSKボディのバスが渋いです。(メーカー不詳)

 改めて読み直してみると、今でも相当興味深く、面白い記事が多いですね。
 長くなりますが、もう少し連載を続ける事にします。
 
 申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
 また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。(名前は公表しません。)

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