バスのブログのはずなのに、2日連続して旅客機関連の記事になります。
今日はイカロス出版より発行された「日本の旅客機 2009-2010」(イカロス出版)の「レビュー」です。
「日本の旅客機」は毎年8月に発行され、その時点で運航される日本の航空会社のフリートをカタログ的に解説している年鑑的なムック本で、特集記事やシートマップ、登録記号リストも定番です。
去年発行の「2008-2009」版との比較もしながら、私自身の昔話も交え、気になる記事の感想・コメントを書いていきます。
◆B747クラシック退役 永遠のJALジャンボ王国
この話題は一般のニュースとしても取り上げられていますから、ご存知の方も多いでしょう。
何が「クラシック」なのか?
B747に限らず、1980年代後半まで製造された大型旅客機では、機長と副操縦士の他に、コクピットの後方に「航空機関士」が乗務し、計器類や機体の状態をチェックするという3人乗務体制でした。
それが、B747の場合、1989年にデビューした「B747-400」、通称「ダッシュ400」ではコクピットのハイテク化により、航空機関士が必要なくなり、2人乗務が可能になりました。
そして、このダッシュ400より以前の、航空機関士を必要とするモデルを「クラシック・ジャンボ」と呼ぶようになった訳です。
JALで最後に残った「クラシック」は、B747-300。
このモデルは、2階席部分を延長し、定員の増加を図ったタイプです。
ちなみに、私が初めて搭乗したジャンボ機がこのB747-300でした。
1992年10月16日のJL405便・東京(成田)→パリ(シャルル・ド・ゴール)。
第2ターミナルがオープンする前の、第1ターミナル北ウィング15番ゲートでの撮影です。
レジ番号はJA8179。
これ、実は初めての海外旅行の時に乗ったもので、初の国際線、また初のJALでもあります。
当時はダッシュ400はまだ数が少なく、ニューヨーク線・ロンドン線という、JALの中でも花形中の花形路線を中心に就航していて、欧米路線でもまだまだクラシックが盛んに飛んでいました。
もちろん、ジャンボ自体が初めてなので、他と比べてどう違うとか解かりません。
それより、日本とは全く異なるシベリアの大地は、素直に「すげぇ!」と思いました。
機内食や映画、CAのサービスも良かったのですが、やはり窓から見下ろす景色は最高です。
いま旅客機をも趣味とし、空の旅に病みつきになっているのは、このフライトがあったからに他なりません。
(旅客機自体はそれ以前にも搭乗した事が2度ありましたが、どちらも夜だったんですよね。)
あと、今JALでは「コブクロジェット」を就航させていて、当ブログでも取り上げましたが、ちょう10年前の1999年には、「GLAY JUMBO」というのが飛んでいました。
函館出身のGLAYが、この年に幕張でライブをやるというので、それを記念した機体です。
B747-100B/SUD(JA8170)が起用され、夏休み中の羽田=函館線を中心に就航しました。
私は8月27日の543便で函館に行く時に搭乗しましたが、いやあ羽田が凄かった。
展望デッキも、出発ロビーも、大勢の若い女性がカメラを片手にキャーキャーやっていました。
機内ではクリアファイルと絵ハガキのプレゼントが。
函館でも、空港はもちろんの事、その日の夕方に上った函館山の山頂で、GLAY JUMBOが空港に向けて降下していくのが見えると、女の子たちがここでもキャーキャー。
メンバー1人1人の顔なんて、あの位置だとわからないと思うんだけど…。
GLAY恐るべし。
おっと、「レビュー」のはずなのに、個人的な昔話になってしまいました。
他にもクラシック・ジャンボには、先に退役したANAも含めて、色々な思い出を頂きました。
本当にお疲れ様、そしてありがとうございましたと申し上げたいと思います。
JALからの退役により、日本で見られる旅客型のクラシック・ジャンボは、JTB時刻表9月号による限り、イラン航空の成田=(ソウルまたは北京)=テヘラン線のB747SPのみになりました。
SP(超長距離仕様で胴体が短い)が見られる事自体(しかも成田で)奇跡的ですが、昨年は路線の休止が取りざたされた事もあり、今のイランの不安定な政治状況を見ると、今後も、少なくとも日本で見られるかどうかは微妙です。
海外でもメジャーな所は、昨日取り上げたDC-10同様、ほとんどがダッシュ400、あるいはB777やA330/340に交代し、ほぼ全滅と思われます。
今の経済状況を考えれば、クラシック・ジャンボも、今後は搭乗する機会がないまま終りそうです。
◆旅客機最新データ
今年からまず、「日本の旅客機の傾向と見方 ダウンサイジング時代のJAL/ANAフリート」と銘打ち、JALグループ、ANAグループそれぞれでこの1年間のフリートの変化を総括、今後を展望しています。
そして機種毎の紹介に移りますが、大きな変化があります。
JAL、ANAとも、ついにB777シリーズが、B747-400より先に取り上げられているのです。
「日本の旅客機」では、それぞれの航空会社のフラッグシップ的な機種から順番に取り上げていくスタイルですから、これはB777シリーズが、B747-400に代わって、両社の主役に躍り出たという事を意味しています。
(なお、B777はさらに、長距離のERと、国内線用の標準タイプを分けて取り上げています。)
特にANAではB777の導入が進むのとは対照的にB747-400の退役が急速に進み、国際線に至ってはついに成田=フランクフルト・パリ線のみという状況になっています。
しかもフランクフルト線は今月から全便B777-300ERとなり、残るはパリ線のみ。恐らくは、遅くても次の冬スケジュールを最後に、ANA国際線からB747-400は姿を消す事になりそうです。
一方のJALも、貨物機への転用はあっても退役機はまだ出ていませんが、経済ニュースをも騒がす経営危機の中、冬スケジュールではB777等にダウンサイジングする路線が多数発生する事が発表されています。
つまり、B747-400に相当数の余剰が発生する事になり、今月中の発表と言われる経営改善計画の中には、間違いなく同型の退役計画が盛り込まれているでしょう。
それが何機になるかはわかりませんが。
経営危機がなくても、1号機の運航開始が1990年4月で、来年は20周年になりますから、そろそろ置き換えという話が出てきてもおかしくはないとは言えます。
いずれにしろ、JAL・ANAとも、これから1年位はB747-400にとっては正念場となりましょう。
それから、今までグループに関係なく、後部で一括して取り上げられていたコミューター航空会社は、それぞれのグループにまとめて記載されるようになりました。
その後にLCC、独立系コミューター、最後に貨物機。
なお、スカイマークのB767-300ERは今月一杯で最後となるようです。
〔2009-2010版で初登場の機種〕
ジェイ・エア E170
フジ・ドリーム・エアラインズ E170
IBEXエアラインズ CRJ700NG
第一航空 Islander
〔2009-2010版で姿を消した機種〕
日本航空 B747-300
B747-200F
エアー・セントラル F50
琉球エアコミューター Islander
旭伸航空 Islander
ギャラクシー・エアラインズ A300-600F (会社自体が解散)
◆ANA787問題
これはANAに限らず、JALを含め、全世界規模の大問題なのですが、2007年7月に1号機が姿を見せたというのに、未だに初飛行にさえ至らず、引渡しが遅れに遅れている、その顛末について。
本当だったらANAもJALも、去年の今頃はお客さんを乗せて飛んでいなければいけなかったのですが…。
2008年6月30日、成田空港第1ターミナル・第5サテライトでの撮影。
2004年に50機を発注したANAは「世界初の就航」を大々的に謳い、一方、やや遅れて導入するJALはジブリと組んでキャンペーンを始めていました。
両社とも公式WebサイトのTOPにイラストまで載せて、いかに力を入れているかを示していますが、こんな状況が長年続くと、ANAもJALも白けてしまいますよね。
機体の構造的欠陥→性能の低下がセールスの不調を招いた、というと旧マクドネル・ダグラスのMD-11を連想しますが、B787は既に発注数がMD-11の3倍以上ある上、構造の欠陥はより深刻なように見え、さらに重大です。
海外では既にキャンセルも発生しているようです。
さすがにANA・JALはよほど致命的な欠陥が発見された、あるいはさらに数年単位で納入が遅れるという事態にならなければキャンセルという所までは行かないとは思いますが、両社とも厳しい経営環境の中での機材計画を大きく左右する存在のため、納入のメドが立たないと困った事態になるのではないでしょうか。
また、現在アメリカで大型旅客機を製作できるのはボーイング社だけです。
そして、もしこの後B787のキャンセルのみならず、ボーイングそのものに愛想をつかして他の製造メーカーに乗り換えるとなると、それはヨーロッパのエアバス社しかありません。
つまり、ボーイングのみならず、ひょっとしたらアメリカ自体の経済にも悪影響を与えかねない、とも言えます。
今後この問題がボーイング社の経営責任に発展するのは間違いないと思いますが、まずはボーイング社自らが、これまでの経緯の全てを公にした上で、今後の確実な見通しを明らかにしなければならないのではないでしょうか。
果たして、B787に乗れるのは、いつの事になるのやら…。
◆日本の旅客機 全航空会社全機種シートマップ
JALグループには、コンフィギュレーションのコードナンバーの記載が復活しました。
しかし、成田=シカゴ・ロサンゼルス線は冬スケジュールからB747-400→B777-300ERに変更になりますが、もし単純にコード「L02」から「W82」へ変更となると、総座席提供数は約4分の3、エコノミークラスに至っては半分以下に減る事になります。
(プレミアムエコノミーは除く)
次回こそバスの話を記事にしたいと思います。ただ、明日は休むかもしれません。
申し訳ありませんが、コメントは受け付けない事にしています。この記事について何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。
また、何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。(名前は公表しません。)
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