№2826 バスマガジンvol.125 (講談社ビーシー/講談社)

「バスマガジンvol.125」、先月20日に発売になっています。
 ところで、前号までバスマガジン誌は隔月刊・奇数月25日頃の発売になっていたが、今号は3か月後の発売となり、次号vol.126は9月20日発売と予告されている。3か月おき(3・6・9・12月の20日?)の刊行という体制で行くのだろうか。それ自体はともかく、前号でそれに関する告知が全くなかったのは、やや遺憾。

おじゃまします!バス会社潜入レポート Vol.125 旭川電気軌道・ふらのバス

旭川電気軌道.JPG
 今回は、富良野の分社のふらのバスとの連名。ふらのバスは、分社して去年で、ちょうど40年。もうそんなに経ったのか、という印象。親会社の関連、ではあるが、取り上げてもらえるのはうれしい。 
 旭川電気軌道は、同じく旭川を中心とする道北バスや、北海道中央バスの存在もあって、旭川市内の一般路線が中心の、多少地味な事業者かなという印象もあったが、それこそMR430のような特大車や、一時は連節バスも運行していたほどなので、日常的に需要は多いはずだと思う。今でも路線車は長尺が主力なので(道路事情が良いこともあるだろうが)。「たいせつライナー」は、JRの特急の新千歳空港直通運転が取りやめになった事で、運行開始になったのだろう。旭川空港への空港バスの運行もあるが、やはり新千歳空港の影響力は、旭川においても大きいという事か(現在は旭川電気軌道単独の2往復)。ただ、終点を南千歳駅に設定しているが、空港アクセスのみではやはり集客が多少不安で、アウトレットモール「Rera」隣接の南千歳駅までの運行とする事で、買い物客の利用も期待しているのではないだろうか。
 一般路線では、旭川市の交通の要衝はやはりJR旭川駅だろうと思うのだが、路線図を見ると、旭川駅はスルーしたり、最初から旭川駅から遠く離れた地点を結ぶ路線もみられる(スクールバス的な系統のようだ)。
 現役保有車両の中であれ?と思うものが数台あって、2DG-LV290N2は遠州鉄道から来たらしいが、2019(H31~R元)年式らしいから、まだ5年しか経っていない。何があったのだろうか?また、高速車の2TG-MS06GPはさらに若く、2020(R2)年式。「令和顔」でエレベーター付きだが、これは臨港バスの高速・空港路線が大幅に縮小された影響だろう。
 神奈中バスからの中古車両は「たいせつライナー」のラッピングが施されているが、これは生で見て撮影・公開もしているのだが、ラッピングの下の神奈中時代の社名と社番が記載されているのがはっきりわかる。ラッピングを剥がせば、神奈中バス時代そのまんまのカラーが現れるはずだ。元グローバル交通車もそうだろう。

ふらのバス.jpg
 ふらのバスは先日、正式廃止前のJR根室本線の代行バスで乗った事があるが、一般の路線はない。路線数は多くないし、もう少し小規模な事業者かと思っていたが、西達布線がセレガとは少々驚いた。幾寅延伸までは普通のローカル路線だと思っていたし、今でも高速道路を使用しているわけでもない。リフト付きとはいえ、地元住民の利用が中心のローカル路線としては、多少ヘビーな気がするが、あるいは〔ラベンダー号〕と共用したりする事もあるのか。「高速バスブーム」の頃あたりに、札幌方面への高速バスをやりたいとかは、考えなかったのだろうか(現在、北海道中央バスが単独運行)。
 旭川電気軌道が以前、富良野地域に路線網を持っていたのはやや不思議な感もあったが、「あゆみ」を読むと、戦前のバス事業開始時に、すでに富良野への路線があったらしい。「電気軌道」と今でも称しているくらいだから、昔は電車の路線があり、保存車両もあるそうだが、特に旭山公園への路線は頑張って残っていれば、通勤通学だけでなく、旭山動物園へのアクセスとしても注目されたのではないか、と思ってしまう。連節バスは最初から5年間の期間限定だったそうだが、道路事情は良いので、今後再導入の可能性はないのか。なお、「村山団地の様子」とキャプションがある写真は、〔ラベンダー号〕になってしまっている(この写真自体は貴重ではあるが)。

バス作りの新勢力から

みどり坂タウンバス.jpg
「みどり坂タウンバス」は前号発売の直後に実際に乗ってきたから、運行そのものは改めて記すことはないが、スカイレールサービスが運営主体(で芸陽バスに委託)、というのは正直初めて知った(だから「スカイレールサービス」という組織自体は存続している事になる)。マンホールは、運行終了を記念して作られたばかり、だったのか。もっと前からあるものと思ってしまっていたのだが、そういえば、かなり真新しかった。今後、バスの利便性が評価されて利用者が増えてくれば(マイカーから転移してくれるとよいのだが)、オノエンスターでは今のところ導入実績がない、大型車両の導入もあり得るだろうか。車両自体はもうちょっと、日本の風土に合うようにデザインやインテリアがこなれてくれるとよいと思った。特に窓ガラスの茶色がやや濃すぎる。

移籍バスの行方を追跡
 第16回は東京都交通局編で、2006(H18)~2008(H20)年度のR・P・S代が中心。この頃の都営バスは三菱ふそうの導入がなく、道南バス以外はみないすゞ・日野のJBUS系。ブルーリボンシティ・ハイブリッドの移籍もチラホラ見かけるが、三岐鉄道にもあったのか!4月に行った時は見なかったけれどなあ(便数多くないし)。

鈴木文彦が斬る!バスのいま
 最近各地で増えてきている、オンデマンドバス。だいぶ前からチラホラ走り始めているのは知っていたが、田舎はまだしも、最近は東京23区でも走り出しているとは、それほど需要が減ってきているのか、と思ってしまった。ただ、単なる需要の減少への対応のみならず、路地裏にも入っていける事で、潜在需要の掘り起こしも図っているのかもしれない。
 最近はバス会社自体がデマンド交通に関わっているとしているが、ここで名前が挙がった以外では、静鉄バス(しずてつジャストライン)が積極的なようだ。配布されている路線図にも記載されている。いずれも、比較的固定した需要が多い朝夕は一般の路線バス、日中は(デマンド以外も含めて)ワゴンスタイルにすみ分ける、というスタイルが多い。これからは特に、「盲腸線」的な支線区でこのスタイルが増えてくるのかもしれない。ヨソ者には利用し辛さそうだが、そもそもヨソ者が乗りに来る機会があまりなさそうな路線ばかりだから、地元重視と割り切れればOK、というところだろう。
 課題としては、利用者サイドからすると、とにかく呼び出し方をできるだけ簡素にする事、在来の路線バスに乗り換えて遠方に行くことになるのなら、運賃・料金面で不利にならないようにする事、だろうか。ドライバーサイドだと、運行の度に経路が変わるので、フォローする体制を整える事(これはドライバー確保のためにも大事)、だろうか。ともかく一度は乗ってみないと、実情はわからない。今のところ自宅から一番近いのは世田谷区の東急バスなので、今年中には何とかお試しで利用してみようか、と考えている。特にヨソ者目線では、利便性はどう映ることになるのだろうか。

バス業界の働き方改革
 まず、第二部の覆面座談会はともかく、「ボタンの掛け違い」と題した第一部は、誰が書いているのだろうか?刺激的とも思える文言が並んでいるが、国や自治体の制度・政策面に関するアピールなら、文責をきちんと記しておくべき。あるいはこれが、バスマガジン誌(ひいては講談社ビーシー)全体の主張、と考えて良いのだろうか?
 全体的には、確かにそうだよねえ、と思う部分も多い一方、「何を今さら」と感じてしまう部分も少なくない。例えば「公営バスドライバーの賃金」にしても、ドライバー不足がここまで問題になるまでは(最近ではわが横浜市営もそうなってしまった)、賃金カットを問題視する人は、一般の世論にはほとんどいなかった。だから賃金カットのみならず、平成の世になる前後あたりから、形態の違いはあれ民営化が急速に進んだのだから。その頂点が大阪市で、バスのみならず地下鉄まで民営化される事になった(その後は民営側も体力がないから、少なくとも面的な民営化は行われていない)。それと、「賃金が高すぎる」事が問題視されるようになったのは、いつ、どのあたりから口にされだされたのか、他の事象も含めて、歴史的な背景も検証されるべきだろう(私はそれは、37年前の国鉄分割・民営化と、そこに至るまでの経緯が決定的だった、と思っている)。
「運転士誌上座談会」を読むと、もう少し賃金面の不満が最前面に出てくるのかと思っていたが、意外とそうでもない(もちろんそれも大きいだろう)。「カスハラ」対策と、ドライバー席の改善をメインに訴えているように読めた。裏を返すと、賃金だけどばーっと上げれば(もちろんそうなれば良いが)ドライバー志望者がわんさか集まってくると考えているとしたら、大甘、という事も言えるだろう。他の業界の賃金も並行して上がるのなら、結局は少ない人手の奪い合いという構図は変わらず、現状のバス業界では負けてしまう、のも事実だろう。私は、道路交通におけるバスの地位そのものが低下している事が、業界が抱える問題の根本にあるように思えてならない(ドライバーのみならず、利用者の目線で見ても)。その辺をバス事業者のみならず、国や自治体、そして利用者などなどを含めた社会全体で考えてほしい、というところに落ち着くなら、このテキストには同感する、と言えると思っています。
 
終点の情景を求めて 
 ウイング神姫の草山温泉。この終点にあり、宿泊地となった「西紀荘」は、正式には「タノシックリゾート西紀荘」と称して、結構近代的でハイカラな宿泊施設らしい。ただし、公式HPの「アクセス」は、マイカーしか記されていない…(ここにも、バス業界の社会的地位の低下が現れているのではないか?)。

平成初期のバスを振り返る

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 旧日立電鉄。日立製作所の公式HPを見ると、グループ会社一覧に「日立電鉄」と記されていて、面白いと思ったものだ。電車は昭和の終わりくらいに乗った事があったが、その1回限り。これ以降のバス部門の変遷はなかなか複雑で、少々理解が追い付かない部分もあった。最近は日立に行く機会もないが、前述の「移籍バスの行方を追跡」には日立電鉄時代のカラーのエルガの写真もあるし、デザインは今でも日立電鉄時代を踏襲しているようだ。カラーは違うが、今はICカードも在来の茨城交通本体と共通になって、「一社二制度」は解消されつつあるようだ。

 刊行が三か月おきになるからか(正式なアナウンスはないが)、「ニュース&トピックス」はなくなった。
 それと、「路線バス全方位レポート」もないが、全47都道府県終わったんだっけ?チェックしてみると、第2シリーズ(そういえばいつの間にか「帰ってきた」の文字がなくなっていた)以降も、確かに全部終わっていた。ただそれなら、前号で「これで終わり」みたいな事も記して欲しかった。今後はどのような連載企画が考えられているのだろうか。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けません。何かありましたら、引き続き本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。


「バスマガジン」誌でも問題視されたバスドライバーの賃金だが、日本の賃金レベルの低さは何もバス業界に限った事ではなく、今春闘でも大いに議論されたところでした。ではなぜこうなってしまったのか。「消費者(交通なら「利用者」と読み替えてもよい)の値上げに対する抵抗感が甚だしく、企業の収益が労働者の賃金に反映される状況にならなかった」旨記されている、このブログ記事の分析が99%以上当たっている、腑に落ちると感じました。読んでみてください。

「労務屋ブログ」2024年2月20日付
https://roumuya.hatenablog.com/entry/2024/02/20/162121

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