№2799 中国地方 ローカル線めぐり 2.芸備線全線完乗 古き良き時代の名残がそこかしこに

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 芸備線は岡山県の備中神代(実態は新見)と広島を、中国山地を横断して走る115.9㎞のJR西日本の路線です。近年はご多分に漏れず利用者の減少で経営は思わしくなく、特に三次以東、さらに言えば広島県の東の端の東城~備後落合間は、2年前の2022(R4)年4月に開示されたJR西日本のローカル線の運営状況の情報で、はっきり存続の危機と言ってよい、極めて深刻な状況に置かれている事が明らかになりました(№2499で書きました)。これを受けて、今年3月には全国で初の「再構築協議会」が開催され、全国的なニュースにもなったが、JRと地元自治体との意見の食い違いは、想定以上に大きかったようです。
 実際のところはどうなのか、と言ってもヨソモノが片道1回乗っただけでそのすべてがわかるはずはないし、まして「青春18きっぷ」シーズンで旅行者の利用がそれなりに多いはず(実際そうだった。ニュースを反映した部分もあろう)だから日常を反映した状況にはなってはいないだろうが、ともかく一度は乗ってみるべき(過去にはあるが、もう相当遠い昔)と思って、芸備線こそが今回の旅のメインの目的となったのでした。

 前回書いた通り、姫新線・津山~新見間が倒竹のため不通となっていて、急遽津山線~伯備線と乗り継いで岡山経由で新見に着きました。

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 元々3分しか乗り換えの時間がなくて、しかも遅れて着いたものだから、かなりしんどい乗り換えになりました。12時58分発443D、キハ120-343。これに乗れないと、芸備線で広島に着く事がもうできない。
 前述の通り、旅行者の姿が多かった。「青春18きっぷ」シーズンでない普段はどうなのか、とも思う。

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 布原は、この列車はもちろん停車。伯備線824Mを待つ。向こうも普通列車で、いったん停車もするのに通過扱い。

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 県境を挟みながらも東城までは6往復(土休日5往復)あるが、その先備後落合まで、つまり芸備線でも最も状況が悪い区間は、3往復しかない。という状況を裏付けるかのように、線路の状態は良くない。

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 と言って、決して北海道のような無人地帯、というわけでもないのだが。沿線の花は美しいが、こちらも曇天で冴えない。

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 東城を発って、相変わらずの貧弱な線路を行く。その行く手にたいそう立派なトンネルが見えてきたが…。

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 国道314号線の、東城トンネル。ちょうど30年前の開通らしい。

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 高架区間もある。高速道路ではない、一般の国道でも高規格だ。

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 備後八幡駅。かつては行き違いができた。。

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 内名駅。ここは国道314号線から遠く離れた場所にあり、議論の争点の一つになる場所になるだろう。

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 小奴可駅。ここもかつては行き違いができた。備後八幡同様、使われなくなったレールが、残ったままだ。

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 道後山にかけて上り勾配が続く。決してノロノロではないが、やはり遅い。

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 道後山駅もかつては行き違いができたようだが、ここは国鉄時代にはすでに、少なくとも定期列車の行き違いはなくなっていた。かつてはスキーヤーで賑わった時期もあったが、現在乗降はほぼないそうだ。使われなくなって久しい旧下りホームの跡は、道路工事の資材置き場になっているそうだ。

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 道後山あたりが芸備線の最高地点で、この先備後落合に向かっては下り勾配が続く。トンネルの手前にある信号は、備後落合駅の遠方信号機で、場内信号機の現示を予告している(=備後落合駅が近い事をも予告している)。

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 場内信号機の向こうに、備後落合駅の構内が見えてきた。既に三次行のキハ120がいる。むろん駅員はいないが、地元の人たちなのか「おもてなし」があったような。

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 備後落合駅は8年ぶりです。駅舎自体は、変わっていない。

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 むろん駅員はいない。駅舎内は、木次線を中心とした写真が並んでいる。古いのも新しいのもあるし(〔奥出雲おろち号〕が目立つ)、鉄道以外も「奥出雲おろちループ」とかがある。

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 昔はここに「備後落合駐泊所」が合って、常時数台のSLが待機していた、と記されている。

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 その「駐泊所」の名残。ターンテーブルもそのまま残されている。昔の活気は、どんなものだったのか。

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 何しろ今のダイヤは活気もヘッタくれもない。三次方面が5本、新見行と木次線が各3本。これだけ。ジャンクションなのに、完全に「秘境化」して久しい。

 この後木次線も到着して、キハ120形が並びました。この駅で3本並ぶのは、14時25分~14時40分の15分間だけ。
(これでも8年前は3分だったので、若干ゆとりができた)

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 14時40分発三次行359Dで、備後落合を後にします。キハ120-322。少なくともあと1回は、木次線で訪れたい。
 比婆山までは、下り勾配をのっそりのっそり下っていく。20㎞/h程度。

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 比婆山。このあたりからは勾配も緩くなり、穏やかになってくる。

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 備後西城。ここでは帰宅の高校生の姿が見られた。

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 こっちの方も、桜がきれいだなあ。場所柄もあるだろうが、いつになく遅くまで桜が楽しめる、という感じ。

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 高。ここも行き違いができた駅。備中神代から、ほとんどの駅は行き違いができた、という所だが、それだけ便数が多かった、という証だろう。
(現在備中神代~備後庄原間で行き違いができるのは、東城・備後落合・備後西城のみ)

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 備中神代で4分停車。駅のホームの柵には、こんな横断幕も。でもこの程度では、存続につながるかどうかは…?

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 駅舎前には、広島東洋カープの選手のお人形さんが並んでいる。

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 庄原市には、カープ初の公設応援団があるのだそう。その由来が記されているが、21世紀に入ってからの話で、割と最近。三次市ではたまにカープの一軍公式戦が行われるが(今年はない)、公設応援団の存在もあるのだろうか。

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 備後庄原で358Dと交換。向こうは少々遅れていた。向こうもキハ120形の単行。

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 下和知駅。ここもまた、昔は島式ホームだった事が窺える。

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 塩町の手前でもまた、尾道自動車道が交差する。高規格の道路相手に、貧弱な鉄道はどう向き合えばいいのか。

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 その塩町で、福塩線が合流する。福塩線も、いずれは乗らねばなるまい。

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 三次到着。三次駅付近は、コンビニの類がない。歩いて5分の所にローソンがあるだけ。

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 ラストの広島行1863Dは、これもキハ120形の2連だった。広島の基地への返却も兼ねているのか。キハ120-17は全ロングシート。

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 志和地駅。

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 吉田口で快速〔みよしライナー〕通過待ち。キハ47の2連。
 三次~広島間は8年前に乗っていて、特に新しく記す事はない。広島市中心部が近づいて、広島の市内線のバスを見ると、広島が近づいた事を強く感じる。

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 広島到着。ハプニングはあったが、何とか姫路から、普通列車だけでたどり着けた。

 芸備線に関しては、一昨年のJR西日本の開示情報からちょっと考えてみたり、あるいはその前に、8年前に乗った直後に、1982(S57)年当時と2016(H28)年のダイヤを作成して比較してみたりもしたが、特に備後落合の前後の状況は良くなっていないなあ、というのが実感。沿線は決して無人地帯、ではないが、大幅な利用増に結び付く要素も、見られなかった気がする。何より、並行したり交差したりする道路が、高速道路も一般国道も高規格なので、現状では太刀打ちできないのではないか、というのが、率直な印象でした。結局、都市間輸送という点ではもう明るい展望がないので、どうやって沿線の住民の利用を促すか、というより、どうやって沿線の住民の日常生活に鉄道を組み込むのか、それを考えないと、間違いなく、良くてもジリ貧。自治体にしても、国鉄時代末期の特定地方交通線問題のような大反対運動を展開できるだけの体力がもうないはずで(実際「廃止反対」の文言を沿線で見る事は、今回はなかった)、いずれは重大な決断を強いられる時が、来るのではないか。
 もう少し明るい展望を描けそうな広島側は…、これは岡山の津山線などにも言えるが、もうそろそろ新型車両の導入を考えないといけないのではないか。キハ47形は老朽化しているだけでなく、乗り心地も良くないし、2ドアというのは、都市圏の輸送にはもう合わない。思えば、JR西日本は民営化後の旅客6社では唯一、3ドアのDCを製造していない。需要を繋ぎ止められそうな路線・区間は、線路も車両も、もっと近代化を進めなければならないだろう。
 という事で、芸備線は距離が長い事もあって、東と西の間でかなりの格差が定着した感がありまる。これは、今回全線乗車がならなかった姫新線あたりにも言える事で、いずれ早い時期に確認してみたいとは思うが、中国山地のローカル路線はどこも、今後10年くらいの間に、重大な転機を迎える事になりそうです。

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 工事中の広島駅新駅舎、去年訪れたばかりだが、さらに工事が進展している感じ。

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 その広島駅ビルができると、広島電鉄も新ルートで駅ビルに乗り入れる事になり、この猿猴橋町付近のルートは、廃止という事になります。

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 カープ坊やのマンホール。

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 今日の宿も、西条駅前のホテルです。山陽本線227系で移動。芸備線とは差がありすぎる感じ。

 次回は、先月末に廃止となったスカイレールサービスと、代替の足となったみどり坂タウンバスに乗ります。両方同時に乗れたのは、先月の1ヶ月間だけでした。

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 東急が今日、今年度の設備投資計画を発表しました。西武が334億円で同社史上最大額だそうだが、東急はそれを遥かに上回る468億円を見込んでいます。大井町線9000系・9020系(西武譲渡予定)の代替用の車両の設計・製作に入る。6020系をベースにするそうだが、という事は6020系そのもの(の5連版)ではないという事か。また目黒線を始めとする、製造20年を超えた車両のリニューアルを開始する。田園都市線で定位置停止装置(TASC)導入のための工事を開始するが、これは間違いなく、ワンマン運転を見据えての事だろう。加えて大井町線共々、CBTCシステムの導入を推進する。駅業務では、クレジットカードタッチ決済・QRコード活用のサービスを拡大する他、セミセルフ仕様の窓口処理機の導入に向けた設計・開発を進める。五反田駅は、ホームのセンサー付き固定式ホーム柵から、ホームドアへの転換を行う。戸越公園駅付近では連続立体化工事に向けた、具体的な調査・設計を進める。東急線アプリは、機能を向上させる。

 前回書くべきだったが、近鉄は10日、実に24年ぶりとなる一般車両の新型8A系を導入すると発表しています。基本はL/Cカーだが、クロス・ロングを混在させる形態も可能にする。また1両に2か所、ベビーカー・大型荷物対応スペース「やさしば」を設置するとしています。リリースを読んだ感じでは、新型では純粋なロングシート車は造られず、L/C形態が今後の近鉄一般車のスタイルとなるのだろうか。今年度は奈良・京都線向けに、一気に4連×12編成・48両を導入し、来年度は加えて大阪・名古屋・南大阪の各線と合計で17編成68両するとしています。特に名古屋線は「シリーズ21」の導入がなかったから他線以上に通勤型の近代化が遅れていた感もあるので、この導入は歓迎されるのではないか。
(阪神への直通は、とりあえずはなさそう?)

《What's New》
12日 大相撲名古屋場所 1横綱4大関全員敗北 昭和以降では初
13日 「母乳バンク」規模拡大再整備 完成式典
posted by 菊池 正人 at 22:00Comment(0)旅行

№2798 中国地方 ローカル線めぐり 1.中国山地 横断したかったけれど

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 先月は2回に渡って、結構大掛かりな旅行をしてきました。クレジットカードの請求が怖いのだけれど、遠くへ行く事はどうしてもやめられないので、仕方ないですね。
 今回は前半・4月8~11日の中国です。特に芸備線は、全国初の「再構築協議会」が開催された事で、全国レベルのニュースともなりました。芸備線に限らず、中国地方のローカル線はどこも大変なのだが(三江線も廃線になって久しいし)、現状はどうなのだろうと、姫路~新見間の姫新線共々確かめてみたい、というのが、今回の旅のメインの目的でした。が…。

 旅行記は毎回結構なボリュームになってしまって、見る方も大変だと思うので、今回から原則、1日を2回に分けて書いていきます。だからこの旅は、6回に分けて書いていきます。

 4月 8日(月)

 少々異例ではあるが、今回は月曜日の夜が出発になりました。

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 見苦しくて申し訳ないが、熱海駅に進入する〔サンライズ〕。この日は〔出雲〕の方の12号車。モハネ285-203の「ノビノビ座席」。

 4月 9日

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 姫路到着。

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 後を追って出発する、岡山行1301M。姫路で115系は、いつまで見られるだろうか。

 この時点ではまだ静かだったけれど、6時過ぎくらいから、通勤客で賑わってきました。姫路駅はどうも必要以上に放送が多いし、音楽がやかましい。姫路に限らないが、もう少し静かにできないものか?

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 来年、全通50周年を迎える、山陽新幹線のポスター。「ウエストひかり」とか500系とか、「ひかりレールスター」とか、民営化後には様々な独自の施策が見られた山陽新幹線だが、九州新幹線との相互直通が始まって以降は、東海道と九州に挟まれて、やや地味になりつつある気がする。

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 播但線・そしてこれから乗る姫新線が発着するホームには、中間改札があります。
 ここから「青春18きっぷ」を使います。

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 姫新線・播但線のホームからは、通りの向こうに姫路城を見る事ができる。神姫バスの往来も多くなってきました。

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 播但線の103系。103系もまた、いつまで走るのか。既に221系の運用もあるし。

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 姫新線は、6時10分の初発列車上月行821Dもあるが、上月から先津山へ行く列車が同じになるので、6時55分発播磨新宮行1823Dで出発します。キハ127形の2連。

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 阪神8000系と同時の出発、になった。
 通学の学生でどんどん混んでくる。本来は太市で上り1824Dと行き違いになるはずが、現れなかった。次の本竜野での行き違いになった。その次の東觜崎で行き違いの1826D共々、3連ながらどちらもワンマン。

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 播磨新宮に着いたが、本来接続する佐用行4826Dの姿がない。7時11分着の4826Dからの折返しのはずだが。その次の上月発姫路行828Dもまだで、2・3番ホームは両方向への乗客であふれている。なのに、1823Dから折返しの1830D(右の列車)は、サッサと行ってしまった。駅員はいるのに、案内がキチンとできていない。

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 理由は聞きそびれたが、播磨新宮~佐用間のどこかで、何かアクシデントがあったようだ。1824Dの遅延もそのためで、結局4826Dは、40分の遅れで姿を現した。やはりキハ127形の2連。折返しは9分の遅れとなった。この列車も学生が多い。
 播磨新宮から先はローカル色が濃くなってきて、勾配もややきつめになってくる。桜がどこもかしこもブンブン咲いている。曇天で映えないのは残念だが。

 遅れが増幅すると心配だったが、幸いこれ以上の遅延はなく、佐用に到着(一番上の画像)。津山行2825Dに乗り換え。キハ120-353の単行。旅行者が多いように見えたが、ようやく一息付けたような感覚でした。

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 佐用出発後、しばらくは智頭急行と併走。やはり規格の差は歴然としている。

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 上月を過ぎて岡山県に入り、美作土居にかけて、山家川沿いの集落を見る。ここも桜が満開。元々山間部の桜は遅いようだし、今年は全国的に桜の開花が遅かったので(これでいつも通り、のはずと思うが)、どこでも満開の桜を見る事ができました。

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 車内の、岡山付近の路線図。布原駅が伯備線ではなく、芸備線の駅として扱われていることが、一目瞭然。

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 林野は美作市の代表駅らしいし、ここから岡山駅まで宇野バスの路線もあるようだが、もはや駅員がいない、棒線の駅。現在、上月~東津山間で行き違いができるのは、美作江見と勝間田だけ。

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 東津山で因美線と合流。一旦一本になる形態だが、左側のホームのさらに左に、線路があったようだ。

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 吉井川を渡る。ここも桜がブンブン咲いている。つくづく曇天が残念。

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 津山駅到着。去年の9月3日に来たばかりでした。

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 ここで予期せぬ事態に遭遇。何とこの先、新見までの区間が、「倒竹」のため不通、だって…!(因美線も強風で不通)駅員の話では、少なくとも午後にならないと開通しない、という。
 さあ困った。どうしても芸備線は乗りたいが、代替の足もなく、岡山へ回り道をせざるを得ない。慌てて時刻表をめくると、津山線の9時51分発快速〔ことぶき〕に乗り、岡山で伯備線に乗り換えると、普通列車だけでも新見からの備後落合行に乗れそうだ。

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 他に選択肢はない。去年乗ったばかりの津山線に、またお世話になる事になる。3934Dはキハ47形2連(1004+99)。
 あまり記す事はないが、乗り心地が良くない。

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 岡山11時13分発〔やくも9号〕。最初はこれで、乗車券分を支払っても新見までお別れ乗車、ともチラッと考えたが、結局そのまま見送りました。ところでこの列車は国鉄色復刻編成指定のはずだが、そうではなかった。何かあったのか。

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 ホーム上の橋上駅舎部のコンコースには、昔の〔やくも〕の写真が並んでいました。でも、キハ181系の写真はなかったの?

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 新見行849Mは213系の3連。西大寺始発。車掌乗務。倉敷までは観光客が多かった(このため、車掌の放送とは別に英語のアナウンスもあった)が、その先はローカル線風情。

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 石蟹で〔やくも14号〕を待つ。本来は井倉からの複線区間ですれ違うはずが、向こうが遅れていて待たされる事に。後追いでヘマって、ヘッドマーク部に標識がかかってしまったが、恐らく「動く」381系をナマで見るのは、これが最後でしょう。

 という事で、本来なら3分…これでも慌ただしいが…ある乗り継ぎ時間がなくなり(もちろん見捨てられはしない、と思っていたが)、しかも新見は階段でホームを移動する必要があったから相当しんどい乗り換えになったが、なんとか12時58分発備後落合行443Dに乗り込む事が、できたのでした。これに乗れないともう備後落合より先には行けなくなり、芸備線の乗車をあきらめざるを得ない所でした。それにしても、姫新線・津山~新見間に乗れなかったのは、致し方なしとはいえ痛恨。できるだけ早く乗りたい、とは思うが…、まあ、早くて来年ですね…。
 芸備線については、次回です。

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 西武・京王・京急・名鉄が、今年度の設備投資計画を発表しています。

西武 … 新宿線特急〔小江戸〕の10000系は置き換えが視野に入っているが、同時に有料着席サービスの刷新を行うとしている(「Laview」は〔小江戸〕には合わなさそうで、どうするのかなあと思っていた)。新スタイルの有料列車は、2026(R8)年度中の運行開始を予定。40000系3編成24両(という事は8連になる)の他、「サステナ車両」として、小田急8000形6連1編成を導入する。新宿線の中井~野方間及び東村山駅付近の立体化を推進し、入曽駅は東西自由通路を含めた橋上駅舎を整備する。また、西武新宿駅と直結する新宿サブナードと、メトロプロムナードを結ぶ新地下通路の都市計画決定を受けて、早期実現に向けて具体的な検討に入る。ホームドアは、今年度は練馬高野台・石神井公園で稼働開始。この他、タッチ決済による乗車サービスの実証実験を、21駅で開始する。更新工事中の運行管理システム「SEMTRAC」は、今年度は新宿線で運用を開始する。投資総額334億円は、西武鉄道としては過去最大だそう。

京王 … まず別リリースで、新型2000系導入を発表しています(再来年・2026(R8)年初め)。想定イラストを見ると、正面の形態は東急2020系などと共通と見えるが(製造は総合車両製作所)、顔つきが可愛らしいよねえ。21世紀に入ったあたりからの通勤電車の顔つきは、どこも結構ギラギラしていた所があったような感があるが、その東急2020系もだし、「スマイルトレイン」と銘打った西武30000系あたりから、一部では傾向が変わってきたところも感じられます。「少子化」とかもあるだろう、子供たちに親しんでもらいたい、という思想があるのではないか。西武40000系の「パートナーゾーン」と同様のフリースペースを設定するのもそう(ただし京王は中間5号車)。40両(10連×4)導入との事で、これで7000系の置き換えが本格化するのではないか。設備投資計画は、その2000系導入の準備の他、5000系を2編成増備し、〔京王ライナー〕を増発する。笹塚~仙川間の連続立体化は、上北沢駅付近の第5工区がようやく着手になり(ただし、まだ用地買収は完了していないようだ。昨日乗ってみたけれど、まだ建築物が残っている)、全工区で工事を推進する。ホームドアは永福町(2・4番線)・久我山などで整備。京王稲田堤駅でリニューアル実施。タッチ決済・QRコード活用のサービスを、今年中に全駅に拡大する。投資総額398億円。

京急 … 今年度は車両の新造はなく、1000形16両(8連×1・4連×2)で、フリースペース設置や固定窓の一部開閉化を行う。品川駅付近の連続立体化を推進、今年度は品川駅付近の仮設化などを行う。神奈川新町駅は大規模改良工事に着手、羽田空港第1・第2ターミナル駅は引き上げ線新設、泉岳寺駅は東京都と共同で改良工事を行う。「スマートサポートシステム」(改札口に駅員を配置せず、インターホンで応対を行う。既に24駅に導入し、今年度は15駅に導入)や「信号取扱いの自動化」という項目もあるが、これを見ると、京急も変わってきているかなあと感じる。投資総額324億円。

名鉄 … 9500系(4連×3)・9100系(2連×2)を導入するが、今年度から正面の形態を変更し、貫通扉を中央に配置して、連結運転時の通り抜けを可能な構造とする(名鉄においてこの構造は、「ミュースカイ」2000系を除くと、5500系以来?)。車内防犯カメラを廃車対象車両を除く全車両に2028(R10)年度までに設置、新たに運転指令などがリアルタイムで映像を確認できる通信機能を追加する。知立・喜多山・若林・苅安賀駅付近の高架化工事を推進。金山駅では3番ホームでホームドアの実証実験を行う。タッチ決済・QRコード活用の改札通過サービスは、秋から対象駅を拡大する(現在は中部国際空港・金山・名鉄名古屋で実証実験中)。神宮前駅西街区再開発計画計画を推進し、名鉄一宮駅ビルのリニューアル(今春までは名鉄百貨店だった)を行う。投資総額360億円。

《What's New》
 9日 航空自衛隊C2輸送機 新潟空港に緊急着陸
10日 「セキュリティークリアランス法案」 参議院本会議で可決・成立
11日 裁判員裁判制度開始15年 シンポジウム開催
posted by 菊池 正人 at 23:00Comment(0)旅行

№2797 2024年度GW 航空利用データ分析

中部国際空港 2024年4月27日.jpg
 GWもつつがなく終わりました。悪夢のようなコロナ禍下のGWから4年。航空に限らないが、日本列島は東も西も南も北も、老いも若きも男も女も、日本人も異国の方々も、で、大繁盛していたようです。完全に勢いを取り戻した、と言って良いのか、今シーズンも張り切って、GW下の航空利用を、各社(グループ)別に分析してみたいと思います。
 基本的には(会社によって呼び方が若干違うが)「座席数」「旅客数」「利用率」の数値のみ記します。注記以外は、コードシェア販売分の扱いは記されていません。カッコ内は前年比。また、「ピーク」の文言は使用せず、基本的には利用率が一番高かった日と、パーセンテージを記す形に統一します。

全日空
国内線 座席数 1,700,923席(101.7%) ※旅客数 1,189,285人(105.9%) 利用率 69.9%(+2.8%)
※ピーチとの合算では1,389,717人(103.8%)
国際線 座席数 274,331席(115.6%) ※旅客数 209,308人(115.2%) 利用率 76.3%(▲0.2
%)
※ピーチ・エアージャパンとの合算では292,434人(131.9%)
 エアージャパンは発表するのか、と思っていたが、ANAとの合算になりました。ピーチも同じ。資本関係もあるのだろうが(エアージャパンは100%、ピーチも現在は8割近くがAHAHD資本)、この点は、LCC3社(ジェットスター・ジャパン、スプリングジャパン、ZIP AIR)を別にしているJALとは、扱いが異なっています。
 なので内際とも前年度との比較は単純にはできないが、国内線では沖縄路線が前年度比10%以上の増加となりました。北海道は座席数以上に旅客数が増加したが、利用率は2/3と方面別では一番低く、少々意外。
 最高の利用率は、下りが4月27日の89.0%、上りが5月6日の95.6%。羽田~沖縄間に臨時便2往復を運行。
 国際線は、ハワイ路線が搭乗率こそ64.7%と2/3以下だが、旅客数は前年度の5割増しでANAでは過去最多、コロナ禍前と比較しても1.4倍だったそう。A380はコロナ禍を耐えたのが報われたかな。中国路線は旅客数が前年度比の倍以上。一方で北米路線は唯一旅客数が前年度比割れだったが、やはり円安の影響、でしょうかね。
 最高の利用率は、日本発が4月27日の89.3%、日本着が5月6日の88.9%。期間中全日、両方向合計の利用率が70%以上でした。
 今回から、別紙(PDF)が、国内線と国際線で別になっています。
 
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日本航空 *国内線はグループトータル
国内線 座席数 1,314,473席(99.6%) 旅客数 948,254人(92.9%) 利用率 72.1%(▲5.3%)
国際線 座席数 244,452席(105.2%) 旅客数 184,854人(109.8%) 利用率 75.6%(+3.1%)
     
※国内線の各社単独利用状況
日本航空
 座席数 1,179,017席(99.5%) 旅客数 858,921人(92.1%) 利用率 72.9%(▲5.8%)

日本トランスオーシャン航空
 座席数 115,810席(101.6%) 旅客数 77,279人(103.3%) 利用率 66.7%(+1.0%) 
   
琉球エアコミューター
 座席数 19,646席(94.0%) 旅客数 12,054人(89.0%) 利用率 61.4%(+3.4%)
 国内線は、全方面で旅客数が減少しました。北海道はこちらも利用率が2/3程度と、方面別では一番低い。また沖縄路線も69.7%で、この2方面が70%を割りました。JTAは利用者数が増えている。
 最高の利用率は、下りが4月27日の89.2%、上りが5月6日の94.2%。臨時便は、JALは羽田~新千歳・函館・福岡・那覇路線で合計20便、JTAは中部~那覇路線で2便運航。
 国際線は、全路線で利用率が70%以上。ソウル路線が83.9%とずば抜けて高い。また北米路線もこちらは利用者が増加しています。旅客数が一番伸びたのは、オセアニア路線(前年度比132.9%)。
 最高の利用率は、日本発が4月27日の91.5%、日本発は5月5日と1日早くなって91.6%。成田~グアム路線で4便の臨時便を運航。

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スカイマーク
 座席数 281,430席(103.2%) 旅客数 234,510人(103.4%) 利用率 83.3%(+0.2%)
 去年並み、まずまずか。最高の利用率は、下りが4月27日の90.3%、上りが5月6日の96.4%。臨時便の運行が、GW前にリリースされていました。
 SKYのリリースで気になるのは、コロナ禍前は成田~グアム間の国際線を運航していて、前回の年末年始シーズンでは「運休中」みたいな事が書かれていたのが、今回はその文言がなくなっている事。国際線やめたみたいなリリースは確認していないが、少なくともしばらくは国際線への就航はない、と考えてよいのか。
    
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エア・ドゥ
 座席数 85,150席(98.0%) 旅客数 74,144人(95.8%) 利用率 87.1%(▲1.9%)
 こちらも減っている。全体的に北海道方面への空の旅は減少しているのか。やはりちょっと意外、という気がする。最高の利用率は、下りが4月27日の95.4%、上りが5月6日の98.7%。新千歳~東京路線で16便増便。
 
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ソラシドエア
(ANA販売分は含まず)
 座席数 89,143席(93.4%) 旅客数 62,084人(98.9%) 利用率 69.6%(+3.9%)
 今回はSNAのみ、コロナ禍前・2019(H31~R元)年度の実績も参考として記されています。前年度より増えたが、まだコロナ禍前の8割弱。まあ2019年度は10連休だったしねえ。最高の利用率は、下りが4月27日の86.3%、上りが5月6日の96.0%。こちらも事前に臨時便の運行がリリースされていました。
 
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スターフライヤー
(ANA販売分は含まず)
国内線 座席数 59,365席(107.2%) 旅客数 51,542 人(117.5%) 利用率 86.8%(+7.6%)
国際線 運航なし
 こちらは前年度比でかなり伸びました。最高の利用率は、下りが4月27日の96.0%、上りが5月6日の86.8%。上下合計では、4月30日以外の全日、利用率が80%を越えました。
  
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フジドリームエアラインズ
 座席数 79,288席(98.7%) 旅客数 53,094人(86.8%) 利用率 67.0%(▲9.2%)
 この数字には、個人向けの座席の販売を行っている、高知~熊本路線のチャーター便も含んでいます。最高の利用率は空港別で、名古屋(小牧・中部合算)は下りが4月27日(88.6%)、上りが5月6日(91.8%)、静岡の下りは5月3日(86.6%)、上りが5月6日(91.8%)、松本は下りが5月6日(93.8%)、上りが5月3日(86.9%)、神戸も下りは5月3日(89.3%)、上りが5月6日(92.1%)。FDAでは後半の4連休に利用が集中していた感があります。 

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ジェットスター・ジャパン
国内線 座席数 125,884席(92.6%) 旅客数 115,654人(99.4%) 利用率 91.9%(+6.3%)
国際線 座席数 8,640席(400.0%) 旅客数 7,211人(388.9%) 利用率 83.5%(▲2.4%)
 国内線は、このGWから成田~下地島路線が就航しました。全体の座席数は減少している。最高の利用率は、下りは4月28日(93.4%)になりました。前日4月27日も93.3%ではあったが。上りは5月6日の95.6%。
 国際線は関空~台北路線の再開もあり、座席数は前年度のちょうど4倍になりました。最高の利用率は、日本発が4月27日と5月2日で共に95.1%、日本着は5月5日になって92.8%でした。
 
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スプリング・ジャパン
国内線 座席数 26,460席(114.8%) 旅客数 23,023人(121.0%) 利用率 87.0%(+4.5%)
国際線 座席数 15,010席(483.3%) 旅客数 13,146人(677.3%) 利用率 87.6%(+25.1%)
 国内線は成田~新千歳路線5往復(期間中は全便運航)・成田~広島路線2往復を運航。座席数・旅客数とも伸びました。最高の利用率は、下りは4月29日の96.5%、上りは5月3日の94.6%と、他とやや異なる傾向になりました。決して4月28日以前・5月4日以降も悪い数字ではないが。
 国際線は4月4日に上海線が再度就航し、成田~ハルビン・天津・寧波・上海4路線が全てデイリー運航に戻りました。これもあって座席数は5倍近く、旅客数は7倍近くにまで増加しています。最高の利用率は、日本発は5月5日になって98.1%、着は4月30日で88.6%。やはりインバウンド(特に中国人)の方が多かったのか。
 
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ZIP AIR TOKYO
 座席数 47,560席(118%) 旅客数 37,949人(128%) 利用率 79.8%(+6.0%)
 バンクーバーへの就航がありました。順調に利用者が増えてきています。最高の利用率は、日本発は4月27日の96.9%、日本着が5月6日の96.6%。

 なおIBEXエアラインズは、利用実績のリリースが出ませんでした。GW前の予約状況もリリースがなく、またやめてしまったのか。
 トキエアなどコミューター系も、実績は確認できませんでした。
 全体的な傾向で言うと、国内線は、思ったほどは増えなかった気がする。特に北海道。事前に、今年は円安もあるから国内旅行が多くなるだろう、という予想もあったようだが。休日の並びもあるだろう。4月と5月にそれぞれ山があり、各社とも下りは、4月27日のあと5月3日にも利用が増える傾向があった。短期の旅行と長期の旅行が入り混じって、それがGW最終日に一斉に帰ってきた、そんな感じがしました。
 だから国際線も、逆の意味で多少意外だった。去年の夏あたりから、期間中ずっと日本発が日本着を上回る傾向が出ていて、何しろ超円安なので、日本人は軽々しくは海外には行けないのではないか、と思っていた。しかし各社のリリースを見ると、SJO(インバウンド中心だろう)以外はほぼ、以前と同じ傾向に戻ってきているようでした。ただ今後もしばらくは、為替レートに一喜一憂する事になるでしょう。
 その意味で、次の夏のお盆の時期はどうなるのか、しっかり見極めたいと考えています。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けません。何かありましたら、引き続き本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
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 JR東日本は、2025(R7)年度、つまり来年度までに7割を削減するとした「みどりの窓口」の方針を当面の間凍結し、現在209ある窓口は当面維持すると発表しました(リリースとしては出ていない)。3~4月にかけては定期券の発売やインバウンドの来訪で混雑が激化し、苦情が相次いでいたそう(インバウンドに関してはチケッティングサービスを拡充するとリリースしている)。旅行記でもチョコチョコっと書いているが、この所のJR東日本管内各駅では、本来駅として必要な、鉄道の利用に関わる機能を低下させてそのまま放置している所が、あちこち見られる気がします。この一件もそうで、そのツケが回ってきたような気がしました。

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