№2772 「オーバーツーリズム」 ちょっとだけ考えてみた

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 コロナ禍が何とか終わった途端、円安基調もあって外国人旅行者が一気にあふれてきて、いわゆる「オーバーツーリズム」の問題が、ニュースでも頻繁に取り上げられるようになってきました。
 そんな中、これは「国際興業バスまつり2024in飯能」の帰り道、電車の中で見つけた、お馴染みの日能研の広告に記された、私立中学校の問題です。深くはないけれど、私自身もちょっとばかり考えてみました。

 でも、これは日本人だって同じ、ですよね?コロナ禍前で今ほど円安ではなかった頃には、私も含めて日本人もバンバン海の外に飛び出していったけれど、特に団体ツアーだと、行く場所って、ある程度は決まってくるものではないですか?パリだったらエッフェル塔に凱旋門、ルーブル美術館、火事で焼けちゃったけれどノートルダム寺院、そしてヴェルサイユ宮殿という所に、ある程度落ち着いてくるのではないだろうか。私は団体旅行には参加しないし、まあ定番の場所に行かない、という事もないが(エッフェル塔には上がったし)、それよりもやはり「乗り物中心主義者」としては、メトロとか、バスとか、なにより近年相次いで開業していたLRTとかの方に、関心が行っていましたけれどね。特に欧州ではコロナ禍前から「オーバーツーリズム」が問題になっていて、ヴェネチアなど、日帰り観光客は金を取る、なんて話も聞いています。

 日本がそういう事態に陥らないためにはどうしたら良いですか?という事、そして問1も問2も、「〇〇〇以外」という問い方をしていて、「〇〇〇」の部分は真っ先に思い浮かびそうな事だから、それ以外の事を、頭をひねって考えてみてください、というのが、設問の趣旨なのだろうと思う。
 じゃあ私は?この問題を解く事になる小学生に勝てるのかどうか正直覚束ないが、無い知恵を絞って、記してみます。。

 問1は…「時間がかかる」という以前に、観光客が集中してバス等を利用するために、地元の住人たちが利用し辛くなっている、という事があるだろうか。これは先日の京都市長選挙でも争点として挙げられていたようで、当選した候補は、観光客向けの、やや割高な急行便の設定を検討したいとしているようだった。しかし増便というのも、特に昨今はドライバー不足が深刻化している状況では、厳しいものがあるのではないか。その他では、現実化しているかどうかは分からないが、国による文化の違いによる見解の違いからくるトラブル、みたいなものは起きていないだろうか。

 問2は…問1にも関わってくると思うが、結局、特定の著名観光地に(日本人も含めて)集中して押し寄せてくる事が根本的な原因になっている。設問の「〇〇〇以外」の「〇〇〇」は、先述のヴェネチアを想定しているのだと思うが、それがNGなら、他の観光地への誘導を図るしかない。もちろん、日本に来るな!などとは言えない(一部の極右は言うかも知れないが)。しかし、地元の人の憩いの場、というレベルの場所が、わざわざ遠くから来るインバウンドを惹きつけられるだろうか?

 実はこの点に関して、先日飯能に行った際に、何かしらヒントがあるような気がしました。

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 これは「バスまつり」の時にもらった、「ヤマノススメ」とコラボの、「飯能舞台探訪マップ」(「聖地巡礼」のガイド)です。飯能は近年、郊外に「メッツァ」のオープンはあったけれど、西武線飯能駅やJR東飯能駅周辺のスポットは、あまり注目されないだろう。最近は天覧山あたりにスポットが生まれつつあるようだが。だから、アニメの力を借りる。近年のインバウンドは日本のアニメが好きな人が多くて、だから成田空港には「成田アニメデッキ」なるものがあって、「聖地巡礼」の舞台の紹介まであるくらいだ。この空気を活用したい。マップも多言語化して、海外に向けて発信する、というのもあるだろう。飯能市中心部だけでは難しくても、メッツァからの帰り道に立ち寄ってもらえる、くらいの効果は出るのではないか。それは飯能市などだけでは手に余るかも知れないが。ここだったら、「あの花」などの秩父とタッグを組むことだって、可能ではないか?埼玉県は意外にインバウンド来訪が(川越あたりを除くと)少ないらしいので、是非アニメの力で、インバウンドを引っ張ってきたい。まあ多すぎて鎌倉高校前の踏切みたいになってしまっても本末転倒になるが。
 とにかく、(国内でもだが)外部への発信力がモノをいう事になると思います。

 私の頭では、この程度の発想しか生まれないが、皆様は私の解答、そしてオーバーツーリズム対策をどのように思われますでしょうか?

 それにしても、10年以上前の№984でも日能研の広告の私立中学校受験問題について書いたが、他にも(勉強以外でも)多岐に渡って学んで、それを身に着ける事が必要な時期だと思う小学生時代に、ここまで考えさせて解答させるというのは、やっぱりちょっと違うんじゃないの?というのが率直な感想です。中学受験をした事がない、親をやった事もない者の発言だから、「それは甘いよ」と言われるのかも知れないが。

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《What's New》
18日 取引価格を協議せず据え置き 公正取引委員会 10社の企業名公表
19日 日立製新型地下鉄車両 米ワシントンDCでお披露目
20日 韓国船籍ケミカルンカー 下関沖で転覆
 公正取引委員会が公表した10社の中には三菱ふそうトラック・バスがあるが、これに対する同社の反応は、今日時点では確認できなかった。
 ロシアの大統領選挙とか、日銀の金利政策転換とかという大きなニュースがあったが、私個人にはほぼ関係ない。
 ただ、ロシア大統領選に関しては、この結果そのものはこうなるだろうというものは見えていたけれど、ここまでの流れを見ていると、正直日本の「反戦・反核・平和運動」には、改めて「こんなものか」と、選挙結果もその流れの中のもの、と思ってしまう。いずれ状況を見ながら思った事を書いていくが、結局この運動は裏に「反米・反NATO・反自民党政権」がないと成り立たず、海の向こうの軍事独裁政権(露以外も)には、何の影響も与えられない事がはっきりしてしまった。やるべき事が誤っていたのではないか。
 金利政策については、交通事業者、特に第3セクター鉄道の運営には、何か影響が出るのだろうか。