№2756 バスマガジンvol.123 (講談社ビーシー/講談社) 

「バスマガジンvol.123」、先月末には発売になっていたが、また少々遅くなってしまいました。

おじゃまします!バス会社潜入レポート Vol.123 山梨交通

 前号の予告では立川バスになっていたのに、変更になってしまった。
(立川バスは次号と予告されているが?)

山梨交通高速車.jpg
 山梨交通は、前回はかなり早くて、創刊間もない2005(H27)年3月刊行の10号で取り上げられていた。この時点では国際興業グループで、オリジナル色から国際興業と同デザインに変わってきている最中だった。「非接触式ICカード日本初導入」とか書かれたコラムもあった(現在はPASMOを導入)
 当時は、郊外部や静岡路線は山交タウンコーチ・山梨交通観光バス・山梨貸切自動車と言った分社が運行していた。当時のグループ統一路線図が掲載されていて、塩山・身延・静岡(富士宮)は既に甲府中心部からは孤立していたが、どのエリアも今より路線数が多かった。特に身延は奈良田に行く路線があって、私が高校生の時、先生と北岳に登って、下山した帰りに乗った事がありました(2012(H24)年に廃線となって、現在は早川町営バスが運行)。
 現在の、全体を網羅した路線図は同社の公式ホームページにもない(エリア毎に分割されている)ので単純な比較は難しいが、むろん廃止になった区間も多いが、特定のエリアからまるまる撤退した、という事はないように見えた。静岡のエリアは「あゆみ」を読むと、山梨交通の前身で身延にあった事業者が、富士宮の事業者を合併させた事で生まれていて、戦前からある、歴史のある路線のようだ。
 車両面では、19年前の一般路線車は、大型はキュービックが数台ある程度(自社発注・オリジナル色の前後ドアと、国際興業からの移籍車)だったが、今はEVを除くと全て中古導入ながら、大型車両もそれなりに入っているようだ。また、国際興業グループではなくなったからか、譲受元が多彩になってきている。もっとも、国際興業カラーに塗り替えられると、見た目は皆同じに見えてしまいそうだ。箱根のクラシックスタイルの車両がここにいるとは思わなかったが、それこそ清里の路線で使えないだろうか?小型の中古導入とはいえ、日デがいるのは、少し前までは考えにくかったかも。
 山梨交通もまた、ドライバー不足などで運行の維持が大変だろうと思われるが(今のところは、これを理由とした緊急の減便・間引きなどは発生していないようだが)、近い将来の展望としては、リニア中央新幹線の開業は、大きな影響を与えるのではないか。新駅は他のJRとの接続はなく、甲府市中心まではバスの二次アクセスが必要になるはずで、リニア自体は未だ海のものとも山のものとも知れない段階だが、そろそろ対策が練られ始めているのだろうか。観光バスだと、リニアから降りたお客さんを観光地(昇仙峡や身延山、あるいは富士五湖など)へお連れするという需要が生まれるかもしれない。
 19年前も思った事だが、一般路線バスに関しては、再度オリジナルのデザインが考えられても良いのではないか?国際興業グループから離れたのなら、なおさら。

バス作りの新勢力から
 やっぱりオノエンスターの宣伝だよ。今回は「ニューオノエンスター9.0」で、今号では運行を開始よていの広島・みどり坂の新路線については記事がないが、芸陽バスの公式WEBを見ると、このタイプが導入される事になりそうだ(まだドライバー募集広告の中だけで、具体的な運行内容の発表はない)。EVはもちろんだが、9mクラスというのは、今のところ日本のEVバスではスキマになっているので、バス事業者の関心が高くなるかもしれない。

移籍バスの行方を追跡
 神奈中バスが続いたが、第15回は東武バス。PART1は北海道・北東北編。相変わらず前身をよく調べてあって感心する(うらやましい…)。東武バスは平成初期までは前後ドアが主力だったので、特に地方の路線が多い事業者には好まれたのかも知れない。そういえば苫小牧で、東武バスカラーそのまんまのバス、見たっけ。

帰ってきた 路線バス全方位レポート Vol.55 沖縄県
 前回は2014(H26)年9月刊行の61号で取り上げられていて、№1244で書いています。この時は沖縄本島だけだったが、「創刊10周年記念」と称して、6ページを費やしていました。
 今回は本島だけでなく、八重山諸島各島の事業者も入っているが、西表島交通がない。日本最南端だし、EVが入っているのだから入れるべきだと思ったが、遠いから撮影以前に、行く事自体が大変そうだ。それと、本島の主要4社では、東陽バスの扱いが小さいのが気になった。
 沖縄バスが先月、東陽バスの全株式を購入し、4月1日よりグループ会社として運営されるとの事(合併とかはしない)。沖縄本島の一般路線バスは、基本的には第一交通産業系(那覇バス・琉球バス交通)と、2つのグループで運営される事になりそうです。

鈴木 文彦が斬る!バスのいま
 この頃はどのバス会社のWEBサイトを見ても、「ドライバー不足だから減便します」みたいな事を書いていて、それがない所の方が少なくなってきている(理由を記さない所もあるが)。しかし、長電バスの日曜日運休は確かにインパクトがあって、WEBサイトを開くといきなり、「長野市内の路線バスは日曜日運休です」と大きく出てくるのでびっくりさせられる。田舎とかならまだしも、県庁所在都市なのでなおさら。長野市内だけでなく、長野電鉄屋代線代替の屋代~須坂間も全便運休になる(JTB時刻表2月号に記載あり)。郊外部は元々土日曜運休の路線がほとんどだし、日曜日は、普通の長電の路線バスはどのくらい走っているものだろうか?それと、この件について自治体、特に長野市はどう考えているのだろう?WEBで探してみたが、この件に関するコメント等は見当たらなかった。さて、日曜日の運行が再開される日は来るのか?(長電バスのリリースでは、状況がさらに悪くなったら、もう一段の対策を取る必要が出てくるみたいな文言で釘を刺している)
 ラストの「広島型」共同運営については、NHKのニュースサイトにもありました。温品車庫での乗り換えの他、スーパーへの買い物客の利便性向上のための9人乗りの乗用車を使用した路線を設定したが、利用者からはある程度評価があったものの、1便あたりの利用者は平均2人で、思ったほどは増えなかったとの事。今後も様々取組が行われるのだろうが、このためには、事業者間の足並みがそろわないといけない。この点で、広島は地域ICカード「PASPY」は来年3月までに終了すると発表になっているが、その後は、大半の事業者がJR西日本のICOCAを導入する一方で、広電はスマホアプリのQRコードや独自のICで利用する「MOBIRY DAYS」を9月にスタートさせると発表していて、足並みが乱れてしまうのではないかという心配が、ちょっとあります(広電は昨日、ICOCAも受け入れるとリリースを出した)。
 事業者間の路線の調整というのは、前号の時に書いた横浜市など、複数の事業者が入り混じるエリアでは、今後各地で行われると思われるが、一頃の岡山のような、事業者間の対立が先鋭化するようだと困る。危機感が共有される事が必要。問題なのは、広範囲のエリアが一事業者独占に近かったり、路線の棲み分けがかなりはっきりしているような地域で、事業者間の調整はほぼままならないだろう事。既に東北では、これを理由とした路線の廃止がチラホラ見られるようになっています(元々利用者が少なかった事もある改だろう)。
 前号で書いた事の繰り返しになってしまうが、給料面だけでなく、労働条件全体の向上が必要だし(一方で労働組合側も、ある程度は譲歩が必要になる部分もあるかも知れない)、とにかくバス業界全体の社会的地位の向上が、どうしても欠かせない。先の長野市もだが、路線バス事業の危機について、金銭面の支援はともかく、少なくとも「知らん顔」だけは、しないで欲しい。
 この記事だけでなく、今号全体を見ても、ドライバー不足問題が明らかにあちらこちらに影を落としている。どうにかしないと。

終点の情景を求めて
 岩手県北バスの松川温泉で、初めてボンネットバスが出てきた。TSD40改は冬場だけ、というのは、四輪駆動が買われているのだろうか?(一方で当然冷房がないし)しかし、肝心の岩手県北バスのWEBには、このバスについての情報が一切なかったのは悲しい。今回の紀行で辿られた路線の時刻表を見ても、マウンテンホテルで乗り換えになる、という事自体が記されていない(去年の12月1日改正ダイヤなのに)。もったいない話ではないだろうか?温泉旅館前のバス停とは、ロケーションがいいねえ。

平成初期のバスを振り返る
 群馬バス。東急バスカラーそのままの前後ドア車というのは、なかなかミスマッチな感じがして面白い(東急バス自体にも日デ4Rであった)。北村車体のBU10は、ヘッドライトのベゼルが日野のタイプなのが目を惹く。二段サッシなので、モノコックの最終盤だ。今は大型車は少数派になってしまっているが、高崎駅から直接伊香保温泉に行く路線があり、途中うどんで有名な水沢を経由するので、もっと見直されてよい事業者だ。

 今号ではモビリティショー出展のいすゞエルガEV、みどり坂のEVが見られるかと前号で書いたが、どちらも今号ではなかった。どうやら次では見られそうで、みどり坂は実際の運行形態も記載される事になるのではないか。4月1日が迫っているので、ネガティブな記事で埋め尽くされたりはしないかと、少々心配も。

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 小湊鐵道の「里山トロッコ」は、機関車の不具合が見つかり、部品調達に時間がかかるため、秋までは全て運休になると、今日発表がありました(一般車両で代走)。
 JALは今日、14年ぶりとなる貨物専用機を公開しました。14年前はB747-400FとB767-300Fで共に新造機、銀色の地肌むき出しだったのが特徴でした。今回は旅客機から改造のB767-300ERBCF(JA653J)で、真っ白なボディが印象的です。早く撮りに行きたいとは思いますが…。

《What's New》
 7日 四国犬が公衆襲撃 12人負傷 群馬県伊勢崎市
 8日 パリオリンピック・パラリンピック メダルデザイン発表