前回の西武2000系からだいぶ間が空いたが、今回の私鉄の名車は京王電鉄5000系、同社初の有料座席指定制列車〔京王ライナー〕〔Mt.TAKAO〕で活躍する二代目です。〔京王ライナー〕の運行開始で、東京都内に路線を持つ大手私鉄は全て、何らかの形で有料の列車が走る事になりました。
着席帰宅のニーズが高まる中、京王電鉄でも同社初となる、有料の座席指定列車の運行が計画された。5000系(二代目)は、一般の通勤列車としても使用できる、クロス/ロングシート転換機構を備えた「デュアルシート」を採用した系列として、2017(H29)年にデビューを果たした。
車体:総合車両製作所が開発した「Sustina」の全ステンレス製で、レーザー溶接を多用し、凹凸がほとんどない車体となった。連結面に衝突柱を設け、オフセット衝突時の安全性も考慮した構造になっている。先頭部はFRP製で、これまでの京王スタイルから一変、スピード感のある流線型になっている。非常用の前面貫通扉は、京王では初めて左側にオフセットさせて設置。側面には京王のコーポレートカラーの赤と紺色の帯をあしらっている。正面・側面の行先・種別表示は、初のフルカラーLEDを新規採用した。
機器:素子にハイブリッドSiCを使用したVVVF制御で、全閉式のモーターの出力は150kw。補助電源装置はSIV。これらの機器を統括するモニタ装置「K-TIMS」が初採用になった。軸ハリ式ボルスタレス台車は、将来の高速化に備えて、軸ダンパを追加設置できる構造になっている。この他車上蓄電設備が設けられ、停電時にバッテリーで電動車を起動させ、必要な時(特に橋梁上で停止を余儀なくされた場合)には、最寄り駅まで自走できるようになっている。
運転席:ワンハンドルマスコンを採用、3画面のモニターを搭載している。
車内:クロス⇔ロングシートの変換が可能なデュアルシートが採用された。扉間に3脚・6席分が配置される。クロスシート仕様時に使用できるコンセントが全席に配置さた。車端部は固定式ロングシート。Wi-Fiやナノイー空気清浄機は、新製当初から設けられている。インテリアは自然豊かな高尾・繊維の町八王子を意識したブラウン系で、座席には多摩織の模様が入り、床面は木目調となっている。窓部はUVガラスを採用しつつ、従来のプリーツカーテンも採用されている。LCD式車内案内表示は、ドア上部各2画面に加えて天井部にも配置し、クロスシート形態時にも乗客が見やすいよう配慮された。また各車両に車イス・ベビーカーのスペースが設置されている。ドアは、京王では初の電動式となり、長時間停車時の3か所締め切りの他、〔京王ライナー〕使用時の、一部の扉だけ選択して開扉させる機能もある。
5000系はまず10連5編成が新造され、2017(H29)年9月29日より、ロングシート形態のままで一般の列車の運用で営業デビューを果たした。
翌2018(R30)年2月22日改正時より、〔京王ライナー〕の運行が始まっている。当初は新宿発20時台以降の京王八王子行・橋本行が各々1時間間隔で各5本の運行だったが、好評のため増発・運転時間帯拡大が重ねられ、2023(R5)年3月18日改正では、平日は京王八王子行7本・橋本行11本にまで成長した。また、2019(H31)年2月には新宿行の上りも設定され、その後のコロナ禍における「密」を避ける需要もあり、京王八王子発6本・橋本発5本(土休日は各3本)が運行されている。さらに、2018(R30)11月に上り臨時列車の形でスタートした〔Mt.TAKAO〕号(新宿⇔高尾山口)は、2022(R4)年3月改正で定期列車(土休日ダイヤのみ運転)となり、下り3本・上り4本(1本冬季運休)が設定されている。
この増発の過程で、5000系は2編成が増備された。2019(R元)年度増備の5706Fは、クロスシート形態時に使用できるカップホルダーが、新たに設置された(後に他の編成にも設置)。また、2022(R4)年度増備の5707Fは、全国の「デュアルシート」車両としては初めて、クロスシート形態時にはシートのリクライニングが可能になっている。
京王電鉄では2022(R4)年に策定した中期3か年経営計画の中で、「ライナー列車の終日の運行の検討」を謳っており、5000系は今後の増備も予想される。
【編成】
←新宿方 京王八王子・高尾山口・橋本方→
Tc1 5700 - M1 5000* - M2 5050* - T1 5500 - M1 5000* - M2 5050 - T2 5550 - M1 5000* - M2 5050* - Tc2 5750
(* パンタグラフ)
この5000系など、昨今の関東大手では「クロスシート」⇔「ロングシート」の変換ができる「デュアルシート」が普及しつつあります。本格的には近鉄の「L/Cカー」が始まりだが、関西は後が続いていません。ところで、この「デュアルシート」において「ロングシート」というのは、個人的にはやや違和感があります。昔のような6~7人掛けが一体になって、全体の取り外しができるようなタイプが本来の「ロングシート」で(ただし最近では、阪急1000系のように中に仕切りがついて分割されたタイプもあるが)、5000系のような場合は、「サイドシート」と呼ぶのが適切ではないのかな、と思っています。しかし、京王の公式のWEBサイトでも、参考文献でも、「ロングシート」という言葉を使っているので、ここではそれに従いました。
今回の記事は
「私鉄車両年鑑2022」(イカロス出版)
「鉄道ファン2017年11月号」(交友社) 等
を参考にさせて頂きました。
さて、西武は2024(R6)年度から「サスティナ車両」と称して、小田急8000形・東急9000系を導入する事になりました。次回から2回に渡って、この両形式について書きたいと思います。まずは小田急8000形です。小田急では最後の鋼製車体の通勤車となりました。西武では国分寺線での運行が予定されているが、今年の内には転用が始まるのか。
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《What's New》
13日 ラグビー全国大学選手権 帝京大学 3大会連続12回目優勝
14日 鹿児島 諏訪之瀬島噴火 警戒レベル3
ラグビーと言えば、昨日は社会人ラグビー「リーグワン」の試合を、三ツ沢まで観てきました。市営地下鉄で割引チケットの発売があったので、これを機にと行ったもので、ラグビーの試合を生で見るのは、初めての体験でした。大学ラグビー決勝は途中1時間の中断があったそうだが、三ツ沢も途中雨がぱらつき、終了後駅に戻る途中には雷鳴も聞こえたので、2~30分遅かったら、こちらも危なかったかも知れない。一気に寒くなったし、観戦は少々大変でした。
台湾の総統選挙は、与党・民進党の候補が勝利しました。中国との関係は、政治的な部分のどうのこうのは政治家たちに任せるとして、個人的には、過去の経験からしても、中国メインランドより、台湾の方が、圧倒的に魅力を感じます。少なくとも、日本と同じ程度の自由があるので。偏見がある、と言われるのかも知れないが、中国メインランドはもう行きたくないなあ、というのがホンネです。
一畑百貨店が、今日を持って閉店しました。島根県から百貨店が全てなくなるが、百貨店がない県はこれで3例目(山形県・徳島県)になるそうです。でも今は都会だって大変でしょ?そごう・西武は去年外資に売却されて、それを巡って池袋ではストライキまで起きているのだから。複合型ショッピングセンター(イオンモールとかららぽーととか)の台頭もあるし、「百貨店」という形態自体、特に地方では相当難しくなってきているのではないか。