№2744 2023年度年末年始 航空利用データ分析

大阪空港.jpg
 よりによって元日からいきなりの能登半島地震、そして何より羽田空港の衝突大事故、衝撃的な事態(他にも大きな火事や山手線内の切り付け事件もあった)が相次いで、日本は揺らいでいる。特に羽田の事故は当然のごとく、年末年始の航空輸送に重大な影響が出る事になりました。
 この事が間違いなくあるだろう、12月28日~1月3日の7日間を対象とした今年度の航空各社の年末年始輸送の実績は、9日になって各社から発表になりました。コロナ禍「5類」移行後最初の年末年始輸送なので、どう影響するのかが注目だったと思うのだが、今回は特殊要因が多くて、単純には比較がならない部分も、多々あったのではと思います。ともあれ各社のリリースから、利用状況を分析してみます。
 基本的には(会社によって呼び方が若干違うが)「座席数」「旅客数」「利用率」の数値のみ記します。注記以外は、コードシェア販売分の扱いは記されていません。カッコ内は前年比だが、一部はコロナ禍前、2019(R元)年度のデータも合わせて発表されています(下線を付けて記した)。また、「ピーク」の文言は使用せず、基本的には利用率が一番高かった日と、パーセンテージを記す形に統一します。

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全日空
国内線 座席数 1,125,821席(92.2%・84.3%) ※旅客数 882,277人(97.9%・78.8%) 利用率 78.4%(+4.6%・▲4.4%
※ピーチとの合算では1,025,183人(95.7%・84.8%
国際線 座席数 187,027席(136.3%・68.4%) 旅客数 148,370人(135.9%・66.6%) 利用率 79.3%(▲0.2
%・▲2.2%

 国内線は、北海道方面が前年度比106.3%となった。旅客数が前年度を上回ったのは、方面別では北海道と「その他」(羽田・成田~中部 羽田~八丈島 LLP)。方面別利用率では関西が82.5%と最も高く、沖縄も81.4%と好調だったと言ってよい。
 最高の利用率は、下りが12月30日の96.1%、上りが1月3日の92.4%。
 国際線は、コロナ禍前の2/3を上回るまでに快復してきました。ハワイ路線がコロナ禍前をも上回る過去最高の利用があったそうで、コロナ禍前にA380でハワイまで往復して、その賑わいを見てきたものとしては、何よりだと思っています。中国路線は、前年度は中国におけるコロナ規制の混乱の影響があり、その反動だろう、旅客数は8倍近くになりました。利用率も、30%台だった前年度と比べて大きく伸びてはいるが、それでも方面別では唯一、70%に届かなかった。北米路線は、座席数は増えたが利用が減少し、欧州路線と共に、利用率が70%台に留まっています。円安の影響が出ているのではないか?
(欧州では加えてウクライナ・イスラエル情勢もあるかも知れない)
 最高の利用率は、日本発が12月28日の86.9%。日本着は1月3日の82.5%だが、この日は日本発の方が利用率が高い(85.0%)。期間中は全日、日本発の方が着より高く、発は全て80%以上でした(ANAは日本発・着別の期間中のトータルは発表していない)。
 なお、羽田空港事故関連では、期間中国内線229便・国際線7便が欠航、一方で国内線で臨時便を14便(主に成田~福岡)運航。能登半島地震関連では、期間中28便が欠航、臨時便を4便運航。
 
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日本航空 *JTA・RACも含めたグループトータル
国内線 座席数 889,204席(92.3%・90.3%) 旅客数 717,113人(96.5%・87.4%) 利用率 80.6%(+3.5%・▲2.7%
国際線 座席数 161,841席(114.5%・74.0%) 旅客数 126,664人(115.4%・66.0%) 利用率 78.3%(+0.6%・▲9.5%
     
※国内線の各社単独利用状況
日本航空
 座席数 794,813席(91.8%) 旅客数 646,953人(95.4%) 利用率 81.4%(+3.1%)

日本トランスオーシャン航空
 座席数 79,844席(96.2%) 旅客数 61,198人(108.9%) 利用率 76.6%(+8.9%) 
   
琉球エアコミューター
 座席数 14,547席(99.0%) 旅客数 8,962人(103.1%) 利用率 61.6%(+2.4%)

 今回からJAL(RAC・J-AIR・HAC含む)とJTA・RACで統一して書きます。
 国内線は、提供座席数はJTA・RACも含め、全方面で前年度よりも減少しました。一方でJALの沖縄路線とJTA・RACの旅客数は増えていて、沖縄方面への旅行が好調だったと思われます。JALでは北海道・関西と3路線で、利用率が80%を上回りました。
 最高の利用率は、下りが12月30日の94.1%、上りが93.8%。
 臨時便は、JALの羽田~新千歳・那覇・旭川・三沢・小松・鹿児島線と伊丹~新潟線で合計27便、RACの那覇~久米島線で4便が運航されたが、羽田事故や能登半島地震との関連は記されていない(伊丹~新潟線は地震関連のはず)。
 国際線は、中国メインランド5都市(北京・大連・天津・上海・広州)への座席数は前年度比447.1%、旅客数は838.4%と激増しました。ただし利用率はこちらも64.5%で、方面別では唯一70%に届かなかった。旅客数では、北米・オセアニア・香港が前年度比の80%台に留まっています。
 最高の利用率は、日本発が12月29日の88.3%、日本着が1月3日の83.1%。こちらも1月3日は日本発の方が高く(84.2%)、期間中トータルでは日本発86.1%・日本着70.4%と、かなりの差がつきました。臨時便・チャーター便は前年度に続き運航なし。

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スカイマーク
国内線 座席数 183,195席(95.7%・99.2%) 旅客数 人(98.2%・97.6%) 利用率 87.5%(+2.2%・.1.5▲%)
国際線 運航なし
 国内線の利用率は、前年度よりは微増で、2019(R元)年度よりは微減。最高の利用率は、下りは12月29日の94.9%、上りは1月3日の96.0%。1月1日の上りを除くと、全日上下とも利用率が80%を上回りました。
   
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エア・ドゥ
 座席数 55,451席(92.8%) 旅客数 51,553人(94.9%) 利用率 93.0%(+2.1%)
 北海道行となる下りは期間中全日、利用率が90%台でした。北海道発の上りも全日80%以上です。最高の利用率は、下りが12月30日の98.1%、上りが1月3日の98.5%。羽田~新千歳路線で臨時便10便を運行。

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ソラシドエア
(ANA販売分は含まず)
 座席数 57,599席(84.3%・98.7%) 旅客数 40,264人(79.3%・88.5%) 利用率 69.9%(▲4.4%・▲8.1%
 やや低調だったかな、という数字が並びました。最高の利用率は下りが12月29日の93.2%、上りが1月3日の95.7%だが、上下トータルで80%を超えたのが1月3日のみ、12月は全て、上りが下りより40%程度低く、片輸送の傾向がありました。羽田~宮崎・熊本・長崎・那覇路線の臨時便運航を、事前のリリースで発表しています。なお1月2・3日は羽田事故の影響で19便が欠航。
 
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スターフライヤー
(ANA販売分は含まず)
国内線 座席数 37,492席(90.3%) 旅客数32,348 人(91.0%) 利用率 86.3%(+0.7%)
国際線 運航なし
 座席数が1割近く減少している。国内線の最高の利用率は、下りが12月29日の98.1%、上りが1月3日の97.1%。下りは期間中全日、80%以上。
 
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フジドリームエアラインズ
 座席数 52,776席(104.1%) 旅客数 40,033人(98.7%) 利用率 75.9%(▲4.1%)
 最高の利用率は、名古屋(小牧・中部の合算)は下り12月29日(94.3%)・上り1月3日(88.8%)、静岡は下り12月29日(93.3%)・上り1月3日(95.2)、松本は下り12月28日(85.5%)・上り1月3日(90.9%)、神戸は下り12月30日(88.1%)、上り1月3日(89.4%)になりました。ただし名古屋は、上下トータルの合計で最も高くなったのは、12月28日(下り93.8%・上り70.3%・トータル82.0%)。新年になってからは、80%を越えた日はありませんでした。なお仙台~出雲路線は、1月8日を持って終了。仙台空港への乗り入れがなくなっています。

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IBEXエアラインズ
 座席数 6,596席(120.2%) 旅客数 5,524人(121.1%) 利用率 83.7%’(+2.7%)
 サマーダイヤから仙台~中部・広島路線が共に3往復に増便になったからか、座席数が大幅に増えました。旅客数も座席数の伸びを上回る利用があって、好調だったと思います。最高の利用率は、上下とも1月3日になりました。下り95.0%・上り89.3%。上下トータルでは、1月1日以外は全て80%台でした。
※IBEXの利用率は前年度比の掲載がないため、利用率のみ前年度のリリースの数値と比較した。 

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ピーチ
 ピーチ独自の利用実績についてのリリースは、確認できなかった。国際線は出して欲しいと思うけれど…。

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ジェットスター・ジャパン
国内線 座席数 125,884席(92.6%) 旅客数 115,654人(99.4%) 利用率 91.9%(+6.3%)
国際線 座席数 8,640席(400.0%) 旅客数 7,211人(388.9%) 利用率 83.5%(▲2.4%)
 国内線は、12月15日に成田~旭川線を開設、A321LRの導入も進んでいるが、座席数は減少しました。なぜだろう?(2月2日追記:ストライキによる欠航がありましたよね。スミマセン)最高の利用率は、下りは12月29・30日で共に95.2%、上りは1月3日の96.4%。期間中全日、上下とも80%以上でした。
 国際線は再開が進み、成田~台北(桃園)・上海(浦東)・マニラ、中部~マニラ線を運行中。座席数は、成田~マニラ線のみだった前年度(しかも1月1~2日の1往復はマニラの管制トラブルで欠航だった)の4倍になりました。最高の利用率はかなり傾向が異なり、日本発は1月1日になって98.2%、日本着は12月29日の86.3%でした。日本発は期間中全日90%台だったのに、日本着で90%を超えた日はありませんでした。
 3月31日の福岡~新千歳線開設・関空~台北(桃園)線再開が、昨日リリースされています。

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スプリング・ジャパン
国内線 座席数 18,900席(100.0%) 旅客数 17,850人(144.2%) 利用率 94.4%(+28.9%)
国際線 座席数 7,707席(600.0%) 旅客数 5,851人(920.0%) 利用率 75.9%(+26.3%)
 国内線の輸送力は変わらなかった(期間中毎日成田~新千歳7往復・成田~広島2往復)が、利用率がだいぶ向上しました。最高の利用率は、下りは12月29日の97.1%、上りは1月3日の98.6%。12月30日の上り(88.7%)を除き、全日90%台でした。
 国際線は、成田~ハルビン・天津・寧波線を期間中毎日1往復運行、座席数は前年度比で6倍になりました(成田~上海線が12月8日に再開しているが、期間中は飛んでいない。新千歳路線の増便に回したと考えられる)。最高の利用率は日本発・着とも12月30日で、発は97.2%に対して、着は77.1%。期間中、日本発は全日80%以上だったのに対し、日本着は80%に届いた日がなく、12月31日は37.0%。完全に片輸送。
 
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ZIP AIR TOKYO
 座席数 30,740席(151.4%) 旅客数 26,591人(157.3%) 利用率 86.5%(+3.2%)
 ここもまたはっきり片輸送になっていて、期間中の利用率のトータルは、日本発96.5%に対し、日本着は75.8%と、約20%の大差がつきました。日本発は全日90%台だった(最高は12月29日の97.6%)のに対し、日本着は90%に届いた日がない(最高は12月28日の81.7%)。現在は成田~ソウル(仁川)・マニラ・バンコク(スワンナプーム)・シンガポール・ホノルル・ロサンゼルス・サンノゼ・サンフランシスコに就航(3月13日より成田~バンクーバー線開設)。

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 以上、本当におおざっぱだが、各社のリリースからこの年末年始の航空輸送について、私なりにまとめてみました。
 国内線は、全体的に輸送力(座席数)が減少しているが、ほとんどが羽田に就航しているキャリアなので、やはり元日の事故の影響はあったはず。どこまでがそうなのかはわからないが。だから単純な比較は、今年に関してはできない部分も多々あったと思います。その中では、全体的には北海道・沖縄方面が好調だったようです。
 国際線は、インバウンド偏重の傾向がさらにはっきりしてきたようです。国際線を期間中に就航させた日本のキャリア5社(データを公表していないピーチを除く)がことごとく、期間中の全てで日本発が日本着を上回る片輸送になりました。しかも、20%前後の大差がついている。円安が主な要因になっているのは、たぶん間違いない。昨年12月28日のレートは1$≒141円・1€≒157円で、コロナ禍直前の2019(R元)年12月27日は1$≒109円・1€≒121円だったそうだから、相当な円安になっています(いずれもMUFGのサイトで調べた)。特に北米大陸・欧州へ行くANA・JALは共に、この2路線は他の方面より利用率が低くなっていて、日本人では海外旅行に行くとしても、近場を選ぶ人が多くなっている事が窺えます(国内の北海道・沖縄へ、という部分もあったか)。その分、「三が日」にこだわりがない(その必要がない)外国人旅客が、この期間の前くらいに来日して日本を楽しむ、そんな傾向になっているのではないだろうか。他にもいろいろ要因はあるが、日本のキャリアと言えども、当分はこの傾向が続くのではないか。もう少し長期(クリスマスの後~成人の日あたり)のデータを拾えれば、よりはっきりその傾向が見えてくるような気がします。それにしてもしばらくは、「オオタニサーン」を観に行くのも、簡単ではないなあ?
 次回はGWです。ANAグループのエアージャパンが中長距離LCCに衣替えして、2月22日のソウル線で就航。その後バンコク線にも展開して、GWを迎える事になります。その成果はいかに?(トキエアはリリースするかなあ?)ともかくまずは、事故なく安全で、安心して空の旅を楽しみたい、それが何より一番、大事です(日本だけじゃなくてね)。
 
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《What's New》
 9日 犬の食用禁止法案 韓国国会で可決
10日 名護市辺野古沖 防衛省 代執行に伴う工事に着手
11日 今永 昇太 シカゴ・カブスと4年契約で合意
12日 日経平均株価一時35,800.54円 バブル期1990年2月以来の最高値 

№2743 バスラマインターナショナル201(ぽると出版)

「バスラマインターナショナル201」、去年の暮れには発売になっていたが、少々遅くなりました。

 まず巻頭(目次のページ)の和田編集長の提言だが、「お客様になりたがり症候群」という言葉を和田氏は最近よく使われるが、私はもうそれ以前に、資本主義的な思考に世論がどっぷり浸ってしまっていると感じている(バス・交通以外の面でも)。それを(少なくとも交通の面で)決定的にしたのが、もう37年前になる国鉄の分割・民営化だった。近年問題視される「カスハラ」は資本主義思考が生み出した典型だと思っているが、この社会全体の思考形態が少しでも違う方向に変わらないと、ドライバーの確保にしたって、少々賃金を上げるくらいでは、解決は難しいのではないか(仕事中に辛い思いばかりするなら、どんなにカネ詰まれたってイヤだ、みたいな思考になって)。バス・交通に限らず、福祉(高齢者介護など)だってそうだろう。極端に言えば「温暖化防止」などの環境対策だってそう。むろん業界ももっと頑張ってもらいたいとは思うが、加えて行政、何より政治の世界はどう考えているのだろうか?誰がそれを変えるのか?誰に変化を託すのか?そして人に変化を求めるだけで良いのか?そっちの方が、今後社会全体の問題になると思う。

 東急バスの青葉台地区への連節車導入、小田急バスのBYDのEV導入は、正直知らなかった。どちらも今のところ、リリースとしては出ていないので。東急の日野車は確かに、電車の2020系と同じカラーリングだ。としたら、田園都市線以外の電車路線沿線でも走る事になるのなら、その路線に合わせたカラーリングになるのだろうか?とか考えたりもする(そういう路線は出てはこないかも知れないが)。田園都市線沿線で言うと、虹が丘〔営〕が運行するたまプラーザ・あざみ野両駅からの路線も連節車導入があって良さそうにも思うが、このエリアは横浜市営地下鉄ブルーラインの延伸が予定されていて、順調に行っても10年は先になるはずだが、連節車導入には慎重にならざるを得ないかも知れない。

速報!いすゞエルガEV

エルガEV.jpg
 私は10月末の「ジャパンモビリティショー」でエルガEVを見に行って、№2721で書いたのだけれど(大阪シティバスのEV展示は知らなかった。反省)、「何でもいいから走る姿を見せられないと、実用化は数年先になるのではないか」みたいな事を書いていました。その後11月になって、実際の走行・乗車の体験の機会が得られた、というので、簡潔だがレポートが記されています(いすゞ社のユーチューブでも走行シーンの動画がアップされている)。
 写真のキャプションでは「3ドア化・前後ドア化が可能に見える」と記されているが、そのためには、後部タイヤハウス部の移動が、もう少し容易にならないといけないだろうと思う。向かい合わせのボックスシートは、グループの語らいに適したスペースとPRしたいようだが(ユーチューブにもある)、鉄道を見ていても、向かい合わせは好まれない所があるので(個人客だったら、特に通勤時は空いていれば「仕方なく」座る人もいるが、特に学生のグループだと、うち一人・二人だけでは間違いなく腰掛けない)、実際に営業運行になったら、評価はどうだろうか。
 ともかく一日も早く、販売開始のメドを。

特集 小規模需要の移動サービス実態調査
 特にワゴン車を使用したバスサービスは、別に今に始まった事ではなく、昭和末期の頃から既にあるにはあったが、特に令和の世になる前後から、急速に増えてきた感があります。また、地方部だけでなく、都心部でも、東京23区内でさえ見られるようになってきたのが、最近の顕著な傾向だろうか。

共同こすずめ号.jpg
 我が神奈川県でもワゴンスタイルのバスが、それも横浜市内でチラホラ見られるようになり、時代が変わってしまったなあとしみじみ思う。71Pでアンケートに協力した事業者以外でも、いくつか運行に携わっている所もあります。この共同が運行する「こすずめ号」は戸塚区の小雀地区を周回するバスで、すぐ近くに神奈中バスの一般路線もある事はあって、日中も30分間隔の運行がある。だから公共交通が全くなくて決定的に不便、というのでもなく、もう少し奥に入る事で地域住民、特に高齢者の移動サービスを提供しよう、というものだと思います(神奈中バス路線のバス停に行くのは大変だろうし)。
 神奈川県に関しては、一般路線バスがなくなって代替で小規模輸送スタイルのバスに転換、というのは、やはり県の西部で目立つように思う。また、県内に限っては、「オンデマンド」スタイルは、今のところはない。路線バススタイルのみ。むろんそんな遠くない将来には、オンデマンドもどこかで現れるだろうと思う。

横浜市営バス日産キャラバン.jpg
「小型車に大型車並みの運賃収受システムが必要か」という疑問も呈されているが、エリアにも拠るだろうが、事前に可能な運賃収受方式を明確にしておけば、多少は絞っても問題はないのかも知れない。私は去年から走り出した横浜市営バス600系統(仲町台駅~都田地域循環)に一度乗った事がある。この系統は現金は取り扱わないが、乗った便に限っては、利用者の大半は敬老乗車証を最初から所持する高齢者で、運賃収受(ICなど)はほぼなかった。600系統に限らず、日中は一般の市バスや地下鉄も似たような傾向なので、福祉サービスと割り切れれば、案外大丈夫なのだろう。民営でも、この手のサービスに最近参入する事業者はICカードなど最初から導入していない小規模な所が多いのだし、とにかく利用方法全般(オンデマンドならバスの呼び出し方も)を、あらかじめはっきり、わかりやすく示しておくことが大事だと思う。
 ともかく、私自身、発想の転換が必要、かな。

バス事業者訪問250 ジェイアール東海バス

JR東海バス.jpg
 前回は2007(H19)年刊行の102号で取り上げられていたが、この時は瀬戸市を中心に一般路線がまだ残っていて、ゆとりーとラインも一部委託されていました。
 輸送動向のグラフを見ると、緩やかな右肩上がりだったものが、やはり2020(R2)年にストーン!と落ちてしまって、徐々に回復しつつあるが、まだ戻り切れていない。2022(R4)年は、コロナ禍前のピークの2018(H30)年の86%。
 近年では福井路線が、北陸新幹線敦賀延伸に伴う鉄道の運転形態の変更(〔しらさぎ〕が金沢まで行かなくなる)も見据えて増便されているが、となると今後は金沢路線あたりも、増便の可能性があるのだろうか。
「バス運転士は社会にとって必要なエッセンシャルワーカー」は全くその通りだが、一般路線があるならともかく、高速専門となると、どこまで世間に受け入れられるだろうか。新人ドライバーの養成は、いきなり高速路線から始まる事になるが、どのようなシステムなのか。最初に比較的「楽」(という言い方はヘンかも知れないが)な近距離路線(東京~静岡とか)から初めて、徐々に長距離や夜行へ、とステップを踏んでいく、という所だろうか。
 なお、高速専門という事では、近年では旧ツアーバス組との競合がどうしても避けられなくなるが(海老名SAなどの休憩駐車の台数の多い事)、この辺の影響については触れられていない。それから、前回の特集から14年のトピックとしては、名古屋駅のバスターミナルの移転も大きいはずだが、この点もなかった。
 在籍車両一覧を見ると、やはりコロナ禍の影響だろう、2021(R3)年には新規導入が1台もなかった。去年も新規導入はなかったようだ。車両称号の付与方法は、近年では一部変わっているようだが、全面的に変更しても良さそうに思う。もう国鉄時代の方法に固執しなくても、良いのではないだろうか。

BRTひこぼしライン快走中!
「BRTひこぼしライン」は私も先月乗って(水素電池バスだった)、今月中には書きたいが、先行した三陸の2路線と比較すると、①JR九州直々ではなく、JR九州バスに委託(一部は日田バスに再委託) ②専用道区間は山間部のみ という点が異なる。一般道区間は「バス停」がきめ細かく設けられたが、という事は、これ以上専用道の延伸はしない、と考えられる。それにしても、EVを奢っているとはいえ、最初から中小型車というのは、相当需要が少ないのだろうと思われる。BRT転換で「バス停」が増えた事で需要が掘り起こされ、今後も安定した運営ができると、良いのだが。

世界最大のバスショー 会場レポート
 10月にブリュッセルで行われたバスのショー。
 これはだいぶ前に書いた事だが、まず日本では「バス専門のショーがある」事自体が、一般にはたぶん知られていない。ここから始めるべきではないだろうか。今は別記事のバステクがその役割を担っているのかも知れないが、業界外の人が参加できるものではない。あるいは「バスの日」の各地のイベントが代わりになっているのかも知れないが(これも別に記事があり、横浜では神奈中バスの新デザインがお披露目)、誰かが音頭を取って、「日本でもバスショーをやろうよ」みたいな空気をつくる事も必要なのではないか?まずはどんな形態でもいい。ただバスが並んでいるだけでもいい。たとえそれらの大半が中国製のEVになったとしても。そこから、日本のバスの進化が再び始まるのではないだろうか。
 これも前に書いたと思うが、今回ラインナップされているバスはほぼ全てEVまたは水素車だが、特にEVは、製造コスト云々以前に、キチンと電力を供給できるのだろうか?特にウクライナ危機以降は電気代も高騰していると聞くし、インフレも心配で、どこかでショーの外で、「公共交通と電力」に関する、一般欧州市民の意識を聞いてみたいと思う。

短期連載 カタログで偲ぶ“平成初期”のバスたち③

JR四国バス エアロクィーン.jpg
 一般のバスファンには、前照灯付近の形状から「パンダ」の異名もあったエアロクィーンだが、今回読んでみて、このフェイスのエアロクィーンは意外に短かったんだなと感じる。約3~4年か。その割に印象が強いのは、発売時期と前後して「高速バスブーム」が起こっていて、新規に開業した長距離高速バス、特に夜行路線で、JRバス各社を中心に一気に多数採用された事が、あるのではないか。
 なお、同じような顔つきでハイデッカー車も少数あったが、ここでは「クィーン」に特化した記載だからか、テキストでは触れられていない。

 次号の事業者訪問は、国際興業が予定されている。国際興業と言えば現在、BU04Dの「再生工事」が行われていて、2月に完成予定と聞く。ひょっとしたら、写真だけでも出るのかな?
(2月25日に飯能市内で国際興業バスのイベントが予定されていて、そこで一般にお披露目?だと勝手に予想して、この日のシフトを空けてもらうよう申請してしまった。楽しみなんだよなあ。その後は飯能で走る予定らしい)

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《What's New》
 6日 スキージャンプW杯 小林 陵侑 [ジャンプ週間」 日本人初3度目優勝
 7日 宮崎 駿監督「君たちはどう生きるか」 ゴールデングローブ賞アニメ映画賞受賞
 8日 旧田中 角栄元首相邸 火災で全焼

№2742 騒然の三が日の旅 ダイジェスト

 正月三が日が終わり、いつもの日常が…と言いたい所だが、能登半島地震に羽田空港の事故が、いまだ尾を引いている感があるニッポン。火事が相次いだり、山手線の中では刺傷事件があったりと、落ち着きを失った状態で、新しい年の日常が始まってしまった感があります。まずは世の中が、落ち着きを取り戻す事が必要だと思います。

 そんな三が日の旅を一昨日終えて、帰宅しました。思えば三が日まるまる休みになったのって、いつ以来だったっけ。あとで調べてみないと。
 大晦日の仕事の終わりの直後から始まった今回の旅、ダイジェストにしてみました。

12月31日

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「青春18きっぷ」大移動でごった返す熱海駅。JR東海の211系。

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 湖西線の強風で〔サンダーバード〕は、米原迂回を強いられていました。近江八幡を通過する〔サンダーバード(たぶん)48号〕。

 1月 1日

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 伊丹空港で撮影。万博ラッピングのJ-AIR。

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 大阪モノレールも万博。

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 大阪メトロも、万博。
 能登半島地震は、この直前に谷町線の車中で知りました。

 1月 2日

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 紀伊半島一周へ。日根野で関空快速と別れた、紀州路快速223系。

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 紀州鉄道は、元信楽高原鐵道車に代替わり。KR205は元SKR205。

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 新宮で並ぶ、西日本・東海のワンマン2連。

 1月 3日

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 JRの駅が高架化されても、相変わらず独立した勝川駅に留まる、城北線。

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 ゆとりーとラインは、ハイブリッド車に代替わり。

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 金山まで行き交う名鉄電車。2000系と9100系。

 今回は、スマホやデジカメからPCへの転送ができなくなったり、そのデジカメのレンズが故障してしまったりで、苦しい旅になってしまいました。撮影デバイスが我が趣味・我が旅の生命線、なのでね。転送は専門家に見てもらって直ったので、今回一部をご覧頂いています。今回の旅については、来月(2月)に改めて書きたいと思います。

 ともかく、平和、というか穏やかな日常が欲しいです。

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《What's New》
 3日 イラン 司令官追悼式典で爆発 95人死亡発表
 4日 琵琶湖水位低下 滋賀県 「渇水対策本部」18年ぶり設置発表
 5日 豊洲市場初競り 最高額クロマグロ 1億1424万円で落札
posted by 菊池 正人 at 23:00Comment(0)日記