№2702 大阪・金剛バス 12月で事業廃止

 富田林を中心に路線バス事業を運営してきた金剛自動車(金剛バス)が、12月20日の運行を持って事業を廃止すると、昨日発表しました。
 金剛バスは現在、近鉄の富田林駅と喜志駅、上ノ太子駅を起点とした路線を運行しており、便数はやや少なめながら住宅地を循環する路線や、金剛山の登山口やロープウェイの駅への路線も運行しています。しかし報道によると同社の社長は、「慢性的な赤字の上に運転手不足などが重なり、自治体からの補助金をもらっても運転手不足が解消されるわけではなく、来年に残業規制が入ると、相当な減便を行わざるを得ない。もうムリ」と話しているという事です。
 これを受けて、地元自治体の富田林市・太子町・河南町・千早赤阪村が、代替交通の確保に向けた協力要請を行うとしています。

 まいったなあ、寒いなあ、というのが、率直な印象です。私は沿線の利用者でも経営者でもないからあまりああだこうだとは言えないが、影響が少し大きすぎるなあ、と感じました。大阪市から電車で30分程度の地域なのに。路線を絞ってでも、無理のない範囲で運行を継続できないのか、とも思ったが、それすら不可能なほど、追い詰められてしまっているのでしょうか。いきなり運行停止ではなく、3か月前に予告しているというのは誠意だと思うが。
 代替のバス会社を探すと言っても、その代替の会社にしても、どこも程度の差はあれ事情は同じでしょう。一部であっても、引き受け手があるのかどうか。
 運転手不足は日本全国どこでも同じで、減便はまだしも、一部の事業者では路線の廃止に追い込まれている所も、既にありました。しかし、一社まるまるが事業をやめるとなれば、日本のバス苦境の苦境は、いよいよ本格的で深刻なものになった、と言わざるを得ない。一部の外野は安易に「運転手の賃金を上げろ」と叫ぶけれど(もちろんそうなれば良いが)、事業者に原資がなければできない話だし、賃金アップの必要が他の業界でも同じ、なら、結局、少ない人出の取り合いの構図は変わらない。といって私自身状況を好転させる妙案を持ち合わせているわけではないが、もういい加減、業界(労も使も)や関係自治体はもちろん、そして国レベルでも、バス(に限らず公共交通全体)の維持の在り方を、本格的に話し合うべき時ではないのか。

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《What's New》
10日 テニス全米OP ノバク・ジョコビッチ優勝 4大大会最多タイ24回目
11日 同性カップル 扶養手当認定賠償請求裁判 札幌地裁 請求棄却
12日 日産自動車 硬式野球部 活動再開発表

№2701 バスラマインターナショナル199(ぽると出版)

「バスラマインターナショナル199」、先月末発売になりました。

 今月も電気バスの記事が多くて、新規導入のニュースが乗らない事がなくなった。大阪シティバスの新規大量導入計画も注目されるが、西鉄のレトロフィット電気バスも、都市バスでは日本でもリーダ―格である西鉄バスだから、インパクトは大きくなるのではないか。何回も書いているが、EVバスはもう次の段階、大阪市程の野心的な計画でなくても、特定の路線(とくにニュータウン路線)で、予備車両まで含めた全車両をEVで運行、という所に進むべきだろう。それによって利用者、ひいては世論への喚起が図られ、バス業界の地位の向上が図られていくのではないだろうか。そのためにも、レトロフィットEVは期待されるかも(横浜市営バスはどうなったのだろう?)。
 埼玉県の病院のエアロエースは、車内での人的なサービス(と言って良いのか)は、誰が行うのだろうか。

バス事業者訪問248 関東鉄道

関東鉄道バス.jpg
 関東鉄道は、分社もあるが、昨今では珍しく、鉄道事業者が運営するバス事業者となりました。ローカル私鉄でさえ、バス部門の分離が珍しくなくなっているので。
 23年前、だからもう四半世紀近く前になるが、その時点と比較すると、バス路線網は、目が粗くなってしまっている。「鹿行」地域は、他地域とを結ぶ一般路線がなくなり、他の地域からは孤立している。それと、千葉県への乗り入れが、当時は佐原・小見川・布佐と、北柏・我孫子の各駅への路線であったが、今は銚子のみ。
 その23年前、2000(H12年)の63号を読み返すと(この号では、JRバス関東東京支店の「お客様デー」の簡単なレポート記事があり、JRバスの「メガライナー」の写真が掲載されている)、路線網は濃かったが、大半が乗車密度15人未満の「第2種・第3種」路線ばかりだ、との談話が記されていて、路線網の縮小は必然だったのかと思わせる。一方で、TXが既に「常磐新線」の仮称で工事が相当進んでいたはずだが、影響はどうなるのか、という点には触れられていなかったのは、やや意外でした。
 ただ、現状の路線網の中でも、下館(筑西市)や岩瀬(桜川市)の路線は一度全部廃止になっていたのが、復活しているのが頼もしい。筑西市は一時完全なバスなしの市になっていた(昔は東武バスに東野交通の乗り入れもあったのに)し、桜川市(「ヤマザクラGO」と称するが、つくば市に乗り入れているがコミュニティバス)は、筑波鉄道の代替バス路線でした。自治体の首長が「バス路線を復活させたい」と強く希望していた事もあり、やはり地方路線やコミュニティバスは、自治体側の強い後押し(カネだけでなく)がないと、新設・維持は難しいものだと思う。もう少し詳しい話が聞ければ良かった。
 グループの輸送人員を見ると、2018(H30)年度はむしろ前年度より増えていたのに、2020(R2)年度は、一気に1/4近くが失われてしまった(既に2019(H31~R元)年度には影響が出始めている)。特に高速は1/3以下だ。
 自治体との関係は良好だが、他事業者とはどうなのだろうか。特に水戸地域では茨城交通と競合している路線も多いが、両社のICカードに互換性が全くないあたり、利便性という点で問題だと思う。JRバス関東とは、高速バスに加えて土浦地域の路線でダイヤの調整が行われているなど、良好な関係が築けているのではないだろうか。
 高速バスは、23年前は筑波山に加えて守谷・水海道(23年前は、「守谷・水海道」と行先表示が出ている先代ガーラ高速車が表紙を飾っていた)や岩井などへ行く路線もあった。それらはTX開業で廃止になり、つくば路線も減便になったが、高速路線のトータルの利用は、コロナ禍前の2018(H30)年度では、23年前を大きく上回っていた。夜行の大阪路線の利用状況はどうなのだろうか。
 茨城県の最低賃金は10月1日から953円(+42円)になるが、東京都1,113円・千葉県1,026円・埼玉県1,028と比べると低い。茨城県、特につくばや土浦より南は賃金の高い都県に簡単に通勤できるので、賃金だけでなく、なにか+アルファがないと、少ない人手の取り合いに負けてしまうのではないか。これは関東鉄道だけでも、交通業界だけの問題でもないが。
 今回は筑波大学に絡む2路線の乗車ルポがあった。学内バスから発展した循環バスは、それこそ連節バスの導入も考えられないのか。ただコロナ禍の影響で、キャンパスに通学する学生の数も減っているようだから、今は様子見かも知れない。高速バスに関しては、やはりアキバまで快速で45分、定時性が確保されている高規格の鉄道が開通すれば、影響が大きくなって当然だろう。独立国のモナコ公国より広いというのは、トリビアだ。
 先日、今号の特集もあってつくばセンターに行って、撮影も行ってきたのだが、3年前の12月に訪れた時以上に人出が増えていて、ホッとする思いでした。この傾向が長く続いて欲しい。やはり国際的な大学の街なので、学生の人種も多彩、と見えた。

芳賀・宇都宮LRT いよいよ運行開始!

 先月26日に開業した宇都宮ライトレールと、関連したバス再編について記されている。ライトレールは基本的な事項が記されているが、数年前のバスラマ誌は、LRTについては全体的にやや懐疑的な論調、だったはずだが、見方が変わったのだろうか。路面電車の運転免許取得なら、もう少し近くの阪堺電軌などもあるが、連節車が路上を走るので、委託先は限られてくるのか(都電荒川線は、宇都宮とはかなり違うだろう)。最後に記されている通り、JRや東武宇都宮線への直通運転も期待したい。技術的にはできるはず。運賃収受方式も、宇都宮に限らず全国の路面電車、さらには鉄道・バス全てに応用できるのではないか(JR東日本の昨今のワンマン列車、栃木県でも東北本線や水戸線のE531系列車は、似たような思考に思える)。
 懐疑的というのは関東自動車も同じだったはずだが、みちのりグループになった事で、こちらも見方を変えてきたのだろう。ライトレールと直接は関係ないが、EVの大量導入の方針は、初めて聞いた。宇都宮市内の7割が電気バスになるというのは、大阪市程ではないにしてもインパクトは大きくなるだろう。が、関東自動車は当然ローカル路線も多くて、経営も大変なはず(コロナ禍では一時は8割も利用が減ったとか)なので、やはり行政の全面的なバックアップが望まれると思います。宇都宮は理解が得らえると思うが。また今の関東自動車は旧東野交通から移行した、那須高原の観光路線もあるので、そちらの方への導入も期待したいです。

短期連載 カタログで偲ぶ“平成初期”のバスたち ①

臨港バスキュービック.jpg
 新連載。第1回はいすゞのキュービック。また年齢がバレるような事を書いてしまうが、最初に見たのは神奈中バスの藤沢〔営〕の車両だったはずで(戸塚区在住だが、区内の戸塚・舞岡両営業所には配置されなかった)、大胆なスタイルには正直かなり驚いた記憶があります。私だけでなく、学校の先生も驚いたとおっしゃっていました。実際に乗るようになると、特に天井の高さが印象的でした。
 LTは三重交通や北海道中央バスなどで多く見られたと思うが、ひょっとしたらこの位のサイズでノンステップ車、というのが、案外求められているのではないか?

 日本総合リサイクルは、鉄道車両の解体から始まっていて、鉄道ピクトリアル誌の「鉄道車両年鑑2014」に記事がありました。クハ418が屋外にいたが、当時は、鉄道車両の解体は採算がとりづらい、という談話が記されていた。JALでは、自社でリタイアした機体は、以前はアメリカの、中古機の駐機専門の空港まで空輸していたもの。今後は他社にも範囲を広げるのだろうか。

 先の関東鉄道や、宇都宮ライトレールの記事などを合わせて読むと、北関東では、公共交通の存続・維持に関する危機感がかなりあると感じました。意識があるのは良い事。何しろマイカーの普及率が極めて高い地域という事もあるが(昨今のガソリン代の急騰は、公共交通への転移、という行動はもたらさないのだろうか?)、事業者等に残せ残せと叫ぶだけでなく、自治体側も、公共交通の維持・向上に関する強い意志が、今ほど求められている時は、ないのではないか(それは決してカネだけではない)。

 次号はいよいよ200号です。バスラマ誌(ぽると出版)の公式WEBを見ても、具体的に何やるみたいな事は一切記されていないが、今後の情報を待ちたいと思います。

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 昨年4月に知床で起きた観光船沈没事故の最終報告書が、7日に出されました。もっと扱いが大きくなるべきと思ったが、この日はジャニーズ事務所の記者会見や国会議員の逮捕があって、やや影が薄くなってしまったでしょうか。
 運輸安全委員会で扱うのは航空・鉄道・船舶だが、この3つの分野でこれだけ大量に犠牲者が出たのは18年前の福知山線事故以来、運輸安全委員会発足後では初です。という事もあってか、報告書はNMRIとMPATの詳細な分析も含めて、271ページに及んでいます。ひょっとしたら委員会発足後で最も分厚い報告書になったのではないか(全部調べたわけではないが、ちょうど10年前となった、B787の高松空港緊急着陸インシデントが、132ページだった)。それと、公表されたのが事故発生から約1年半弱で、案外早いとも思いました。搭乗者全員が死亡・行方不明で、分からない部分が多々あったはずだが。公表日も異例で、通常は毎月最終木曜日に、他事故・インシデントを含めて一斉に出されるのが通例。7月には意見聴取会も行われており、極めて重要・重大な事故だった事を、改めて思い知らされます。
 報告書は斜め読みレベルでしか読めなかったが、会社に安全管理体制が存在しなかった、という指摘は痛烈だったと思う。経験が薄い船長に「丸投げ」(遺族の言葉)していたという下りは、10年前の軽井沢のバス事故を連想させました。また報道ではあまり取り上げられていなかった事項として、運行基準の理解・遵守の意識が事故の会社のみならず、ウトロ地区の業界全体に欠けていた所があった、というポイントも、割と重要ではないかと思う。私は知床半島を訪れた事はなく(釧網本線に乗った事はあるが)、従ってウトロの町に行った事も、そして観光船に乗った事もなかったから、外野がどうのこうのはあまり言えないだろうが、ひょっとしたら、田舎町にありがちな「馴れ合い」(という表現は失礼かもしれないが、適当な代わりの言葉が見つからなかった)も、背景にはあったのかも知れない。
 他にも思う所は多々あるが、ともかく小型観光船だろうが大型客船だろうが、さらには鉄道・バス・航空と、全ての「乗り物」で、何人・何十人・何百人もが犠牲になるような事故は、もう起こしてもらいたくない。今回の事故では公的機関の検査の不備も指摘され、裁判沙汰にもなっているが、まずは現実に交通の運行に携わる事業者自体が、高度のモラルを持って、運行・運航に当たってもらいたい。ここでも当事者の強い意識が、明確に求められるのだろうと思います。

《What's New》
 7日 ゲームプレー動画無断投稿 ウェブクリエイターに有罪判決
 8日 ビッグモーター 除草剤検出9店舗 警視庁一斉捜索
 9日 林外相 ウクライナ訪問 ゼレンスキー大統領と会談
 プロ野球はオリックスが今日、山本 由伸投手がノーヒットノーランを達成、マジックは12になりました。セ・リーグも阪神がマジックを7としています。リーグ優勝をしても、今はクライマックスシリーズを勝ち抜かなければならないが、1964(S39)年、東海道新幹線開業の年の南海vs阪神以来、59年ぶりの日本シリーズ「関西対決」が、現実味を帯びてきたのか。
 関東地方、特に房総半島から茨城にかけては、記録的な豪雨になりました。交通の被害はまだ全容がつかみ切れていないが、JR外房線・誉田~安房鴨川間といすみ鐵道の全線は、明日も終日運休が発表になっています(ひたちなか海浜鉄道は、「X」が読めなくて分からん)。長期間不通、という事態にならなければ良いが、関東地方も当然、豪雨災害は他人ごとではない、という事です。

№2700 山陰・北陸・東海の旅 昨日帰ってきました

 3~5日の3日間、今年の夏2枚目の「青春18きっぷ」を使って、山陰から北陸、東海の旅に行って、昨日の夜帰ってきました。
(初日の小田原→岡山は〔ひかり〕を利用せざるを得なかったが)
 詳しくはまた来月書くとして、今日のところは、この3日間の旅行の中で撮影した画像の、ごくごく一部をご覧いただきます。こんなものではないですけれどね。

 9月 3日

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 岡山駅前、津山線乗り継ぎまでのわずかな時間の間で撮影した、「チャギントン電車」。

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 豊岡駅のキハ47形と113系、国鉄型の並びはいつまで。

 9月 4日

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 越美北線・九頭竜湖駅。ホームはかなりデコっていました。

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 いよいよ開業日発表、敦賀駅の北陸新幹線のポスター。

 9月 5日

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 湖西線・近江今津駅で並ぶ223系と521系。521系は、湖西線では見られなくなるのか。

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 岐阜駅前で静態保存されている、名鉄513号。大変美しいです。

 今回もローカル線に多数乗って、それとは別に、第3セクター鉄道に転換される北陸本線、あるいは湖西線などに乗り歩いたが、両者の格差はかなり大きいなあと、改めて感じます。それについても来月思う所を記してみたいと思うが、ローカル線はどの路線も、今のままでは路線の維持が大変厳しくなるのではないか、と正直感じました。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けません。何かありましたら、引き続き本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
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《What's New》
 3日 林外相 ヨルダン・サファディ外相と会談 緊密な連携で一致
 4日 西武 山川 穂高 球団独自の無期限公式試合出場停止処分
 5日 英バーミンガム市 財政破綻を宣言
 6日 「スーパークレイジー君」宮崎市議会議員 性的暴行容疑で逮捕

 8月は更新のペースが若干落ちましたが、今月はもう少し回数を増やしたいと思います。週に3日はしたいです。
posted by 菊池 正人 at 23:00Comment(0)日記