№2682 平成の30年 都道府県別鉄道回顧 27.大阪府(3)

 平成の鉄道回顧・大阪府、今回はデータ編です。JR西日本では「アーバンネットワーク」成立と期を同じくして、大半の路線で愛称名が制定されました。大阪府で言うと、「ゆめ咲線」(桜島線)、学研都市線(片町線)などです。が、あくまで愛称名であり、正式な路線の改称ではないので、ここでは愛称名は記さず、正式の路線名を記しています。いまさら大阪で「東海道本線」とか「関西本線」と言われても、ピンとこない人が多くなったのも事実だろうが。「改称路線」にも含めていません。

◆平成時代の新規開業路線・区間 〔カッコ内は新線開業に伴う新駅(府内のみ)〕
1990(H2)3月20日
 大阪市交通局 鶴見緑地線 京橋~鶴見緑地
 〔京橋/蒲生四丁目/今福鶴見/鶴見緑地〕
1990(H2)年6月1日
 大阪高速鉄道 大阪モノレール線 千里中央~南茨木
 〔千里中央/山田/万博記念公園/茨木/南茨木〕
1993(H5)年3月4日
 大阪市交通局 堺筋線 動物園前~天下茶屋
 〔天下茶屋〕
1994(H6)年6月15日
 西日本旅客鉄道 関西空港線 日根野~関西空港
 〔りんくうタウン/関西空港〕
 南海電気鉄道 空港線 泉佐野~関西空港
 〔りんくうタウン/関西空港〕
1994(H6)年9月30日
 大阪高速鉄道 大阪モノレール線 柴原~千里中央
 〔柴原/少路〕
1995(H7)年4月1日
 大阪府都市開発 泉北高速鉄道線 光明池~和泉中央
 〔和泉中央〕
1996(H8)年12月11日
 大阪市交通局 長堀鶴見緑地線 心斎橋~京橋
 〔松屋町/玉造/大阪ビジネスパーク〕
1997(H9)年3月8日
 西日本旅客鉄道 JR東西線 京橋~尼崎(兵庫県)
 〔大阪城北詰/北新地/新福島/海老江/御幣島/加島〕
1997(H9)年4月1日
 大阪高速鉄道 大阪モノレール線 大阪空港~柴原
 〔大阪空港/蛍池〕
1997(H9)年8月22日
 大阪高速鉄道 大阪モノレール線 南茨木~門真市
 〔沢良宜/摂津/南摂津/大日/門真市〕
1997(H9)年8月29日
 大阪市交通局 長堀鶴見緑地線 大正~心斎橋
 〔大正/大阪ドーム前千代崎/西大橋〕
 大阪市交通局 長堀鶴見緑地線 京橋~門真南
 〔門真南〕
1997(H9)年12月18日
 大阪港トランスポートシステム テクノポート線 コスモスクエア~大阪港
 〔コスモスクエア〕
 大阪港トランスポートシステム ニュートラムテクノポート線 中ふ頭~コスモスクエア
 〔トレードセンター前〕
1998(H10)年10月1日 大阪高速鉄道 国際文化公園都市線 万博記念公園~阪大病院前
 〔公園東口/阪大病院前〕
2006(H20)年12月24日
 大阪市交通局 今里筋線 井高野~今里
 〔井高野/だいどう豊里/清水/関目成育/鴫野〕
2007(H19)年3月19日
 大阪高速鉄道 国際文化公園都市線 阪大病院前~彩都西
 〔豊川/彩都西〕
2008(H20)年3月15日
 西日本旅客鉄道 おおさか東線 放出~久宝寺
 〔高井田中央/JR河内永和/JR俊徳道/JR長瀬/新加美〕
2008(H20)年10月19日
 京阪電気鉄道 中之島線 天満橋~中之島
 〔なにわ橋/大江橋/渡辺橋/中之島〕
2009(H21)年3月20日
 阪神電気鉄道 阪神なんば線 大阪難波~西九条
 〔大阪難波/桜川/ドーム前/九条〕
※大阪難波は近畿日本鉄道の駅として開業済み
2019(H31)年3月16日
 西日本旅客鉄道 おおさか東線 新大阪~放出
 〔南吹田/JR淡路/城北公園通/JR野江〕

◆平成時代の新規開業駅 〔新線開業に伴わない単独開業駅〕
1989(H元)年11月11日
 西日本旅客鉄道 関西本線 東部市場前
1991(H3)年12月6日
 近畿日本鉄道 大阪線 大阪教育大前
1997(H9)年3月8日
 西日本旅客鉄道 大阪環状線 今宮
2001(H13)年3月1日
 西日本旅客鉄道 桜島線 ユニバーサルシティ
2008(H20)年3月15日
 西日本旅客鉄道 東海道本線 島本
2010(H22)年3月14日
 阪急電鉄 京都本線 摂津市
2015(H27)年2月1日
 阪堺電気軌道 阪堺線 石津北
2018(H30)年3月17日
 西日本旅客鉄道 おおさか東線 衣摺加美北

◆平成時代の統合駅
1993(H5)年4月18日
 南海電気鉄道 南海線 岸里玉出(←岸ノ里+玉出)

◆平成時代の改称路線
1996(H8)年12月11日
 大阪市交通局 長堀鶴見緑地線 京橋~鶴見緑地
                (←鶴見緑地線)
2009(H21)年3月20日
 阪神電気鉄道 阪神なんば線 西九条~尼崎(兵庫県)
               (←西大阪線)

◆平成時代の改称駅
1994(H6)年9月4日
 西日本旅客鉄道 関西本線 JR難波(←湊町)
1997(H9)年5月22日
 大阪高速鉄道 大阪モノレール線 宇野辺(←茨木)
1997(H9)年8月29日
 大阪市交通局 谷町線 関目高殿(←関目)
            四天王寺前夕陽ヶ丘(←四天王寺前)
2000(H12)年12月23日
 南海電気鉄道 高野線 大阪狭山市(←狭山遊園前)
2006(H18)年12月24日
 大阪市交通局 長堀鶴見緑地線 ドーム前千代崎(←大阪ドーム前千代崎)
2009(H21)年3月20日
 近畿日本鉄道 難波線 大阪難波(←近鉄難波)
2009(H21)年6月1日
 水間鉄道 水間観音(←水間)

◆平成時代の廃止路線・区間 〔カッコ内は廃線に伴う廃駅(府内のみ)〕 日付は営業最終日
1993(H5)年3月31日
 南海電気鉄道 天王寺線 天王寺~今池町
 〔天王寺/飛田本通/今池町〕
1997(H9)年3月7日
 西日本旅客鉄道 片町線 京橋~片町
 〔片町〕
2016(H28)年1月30日
 阪堺電気鉄道 上町線 住吉~住吉公園
 〔住吉公園〕

◆平成時代の電化路線・区間
1989(H元)年3月11日
 西日本旅客鉄道 片町線 長尾~木津(京都府)(直流1500V)

◆平成時代の営業譲渡路線・区間
2005(H17)年7月1日
 大阪市交通局 中央線 コスモスクエア~大阪港
            (←大阪港トランスポートシステム テクノポート線)
 大阪市交通局 南港ポートタウン線 中ふ頭~コスモスクエア
            (←大阪港トランスポートシステム ニュートラムテクノポート線)
※大阪港トランスポートシステムが第3種鉄道事業者

◆平成時代の事業者名称変更
2018(H30)年4月1日
 大阪市高速電気軌道 ←大阪市交通局 ※民営化

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27大阪府2.JPG

大阪府の歴代知事
岸 昌→(1991(H3)4月23日~)中川 和雄→(1995(H7)年4月23日~)山田 勇(横山ノック)→(2000(H12)年2月6日)齋藤 房江(大田 房江)→(2008(H20)年2月6日~)橋下 徹→(2011(H23)年11月28日)松井 一郎→(2019(H31)年4月8日~)吉村 洋文


令和以降の大阪府の鉄道
 おおさか東線では、全線開通直後の2019(R元)年11月より、新大阪~奈良間の臨時特急〔まほろば〕が運行された。新幹線から奈良方面への観光客の誘致を目的としており、287系を使用して、途中ノンストップで運行された。なお〔まほろば〕の名は、2010(H12)年春の「奈良ディスティネーションキャンペーン」時に、大阪環状線・大和路線(関西本線)経由で設定された臨時特急でも使用されている。
 しかし、翌2020(R2)年以降の新型コロナウィルス感染禍は、大阪の鉄道にも重大な影響を与えた。特に、関西空港を発着する航空便が国際線を中心に激減したため、JR〔はるか〕・南海〔ラピート〕共、日中の全列車が運休になるなど、大幅な減便に追い込まれた。その後、感染の鎮静化による需要の回復と共に復便も行われているが、現在も〔ラピート〕は日中60分間隔のままであり、〔はるか〕も日中は全列車臨時列車の扱いである。なお〔ラピート〕50000系は、2022(R4)年11月より、泉北高速鉄道の特急〔泉北ライナー〕の一部列車に、暫定的に運用されている。
 空港関連以外でも有料特急のコロナ禍の影響は大きく、JRでは大阪発着の〔サンダーバード〕〔こうのとり〕〔くろしお〕などが減便となり、後に復便したものの、臨時列車の扱いとされている。近鉄も特に観光需要が中心の南大阪線・吉野線では、運行本数がほぼ半減した。
 近鉄では2020(R2)年3月、名阪間ノンストップ(名阪甲)特急に、新型特急車両80000系「ひのとり」が導入された。両端車をハイデッカー構造のプレミアム車、中間車をレギュラー車両として、特別車両料金を必要とする。全席にコンセントを備え、カフェスポットも用意されている。翌2021(R3)年3月には名阪甲特急は全て「ひのとり」となった。なお「ひのとり」は、奈良線の一部の特急にも運用されている。「アーバンライナー」21000系・21020系は名阪乙特急などに転用され、玉突きで経年化した一般特急車両の置き換えが図られた。これにより12200系が一般の特急から引退したが、4連1編成は観光特急「あをによし」(19200系)に改造され、2022(R4)年4月より、大阪難波~近鉄奈良~京都間で運行を開始している。
 一般列車でもコロナ禍の影響は大きく、特に京阪は、緊急事態宣言下では、時間帯・区間によって最大50%削減の臨時ダイヤが施行された。後のダイヤ改正では、特急が再び15分間隔に削減され、補完して快速急行が日中に再設定された。快速急行は主に3000系で運用され、特急同様に「プレミアムカー」サービスが提供されている。阪急でも「京とれいん」が2編成とも、運行が取りやめになり、6300系「京とれいん」は、昨年12月のダイヤ改正で引退した。阪急では来年2024(R6)をめどに有料座席サービスの導入を発表しており、ダイヤ改正時には導入を見込んだ種別形態の見直しも行われている。この他JR西日本や各大手私鉄で、減便を主としたダイヤの見直しが行われている。2021(R3)年春のダイヤ改正では、JR西日本の各線区で、最終列車の大幅な繰り上げが実施された(2019(R元)年10月に検討が発表になっていて、コロナ禍の直接の影響ではない)。
 今年・2023(R5)年3月18日、旧梅田貨物駅跡地に建設が進められていた地下ホーム「うめきた新駅」が、大阪駅の一部の「うめきたエリア」として開業した。2面4線のホームの内、21番線には、特急・通勤車双方に対応した、新型スクリーンタイプのホームドアが設置された。この他にも各所に様々な新機軸が採用されている。従来より貨物線を経由していた〔はるか〕〔くろしお〕が停車する他、おおさか東線が「うめきたエリア」発着に延伸された。臨時特急〔まほろば〕も、3年ぶりに「うめきたエリア」発着で運行されている。2031(R13)年には、JR難波・南海新今宮からなにわ筋を北上し、「うめきたエリア」を発着する「なにわ筋線」の開業が予想されている。さらに阪急による「なにわ筋連絡線」「新大阪連絡線」構想も、2022年’(R4)年末に阪急から発表されており、「うめきたエリア」は将来的に、新幹線駅と空港を結ぶ、JR西日本・南海・阪急各社の相互直通運転の拠点となる事も期待される。
 北大阪急行電鉄は千里中央から北進し、箕面市への新線の建設を進めているが、当初の2020(R2)年度開業の予定より3年遅れの、今年度末(2024(R6)年春頃)の開業が発表になった。箕面萱野駅を起点とし、千里中央駅との間には、箕面船場阪大前駅が設置される。
 大阪モノレールは、門真南より南進し、瓜生堂(近鉄奈良線との交差地点)付近への延伸事業を開始、2020(R2)年より工事に着手した。中間には3駅が設置され、大阪メトロ長堀鶴見緑地線・JR学研都市線(片町線)・近鉄けいはんな線と接続する。また瓜生堂付近には第2車両基地が設けられる。新駅建設が予想される近鉄奈良線も含めた、大阪市中心部に向かう各鉄道路線との接続により、外環状線機能の強化が期待される。なお大阪モノレールは2020(R2)年6月1日、「大阪高速鉄道」から「大阪モノレール」へ、正式に社名を変更した。
 南海線では各所で連続立体交差事業が推進されてきたが、高石市内については2021(R3)年5月22日、南海線の羽衣・高石両駅が上下とも高架に移転した。一方高師浜線は工事期間短縮を図るため、3年の予定で列車を運休し、バス代行輸送を行っている。堺市内の浜寺公園駅付近の立体化では、阪堺電軌浜寺駅前駅付近の路線の、南海線東側への移設が予定されている。2018(H30)年に移設された浜寺公園の旧駅舎に続き、2020(R2)年には諏訪の森の旧駅舎も移設、共に地元NPO法人による、地域の憩いの場として活用されている。

 大阪府はさすがに平成・令和共にボリュームがありました。次回は兵庫県です。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けません。何かありましたら、引き続き本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。


《What's New》
21日 サッカーアルゼンチン代表メッシ アメリカプロサッカーリーグにデビュー
22日 東京湾アクアライン 「ロードプライシング」試験導入

 明日午後から水曜日まで、北海道に行きます。JRローカル路線、特に来年春で廃線となる、根室本線・富良野~東鹿越間乗車が、メインの目的となります。本当は9月前半にしたかったが、都合で今月になりました。もう夏休みに入っているので、めっちゃ混雑にならなければ良いのだが。