№2653 バスラマインターナショナル197(ぽると出版)

 能登地方の地震が起きた時、私は埼玉にいました。埼玉の方も若干揺れたそうだが、私は全く気づきませんでした。地震で亡くなられた方もおられるそうで、お悔やみを申し上げたいと思います。連休中ゆえ、観光客も少なくなくて、混乱もあったようです。私は幸い、旅行中に大きな地震にあった事はないが、旅先で突如の大災害(地震以外も含めて)に出くわしたら、どうしよう?鉄道は、震源に一番近いだろうと思われるのと鉄道を始め、JR西日本や北陸鉄道は、幸い線路設備等に被害はなかったようです。能登空港発着のANA便も、影響はなかった模様(そういえば以前、離陸機から今回の震源に近い場所を見下ろした事があった)。この更新の直前にはまた大きな地震があって、岩手でも起きたそう。地球に住む限り、地震から逃れる事は、できないなあ…。

「バスラマインターナショナル197」は、先月発売になりました。

2023 春のオムニバス

宮城交通EVM.jpg
 EVが急激に増えたという印象。特に大型車の導入が目立つ。1年前の「春のオムニバス」では、EVは小型車ばかりだったのに。
 先月の旅行記でも書いたが、宮城交通の「まちのり『チョコット』withラプラス」は、何の予備知識がないまま仙台駅前で見かけたので、ちょっと驚いた。ただ、中休みの時間が2回あるのが少々気になる点で、ドライバーの勤務形態(休憩時間確保)もあるだろうが、都心部の循環バスならやはり終日の運行が望ましい。この路線は去年秋にスタートしたばかりらしい。先代のポンチョも「ラプラス」を描いていたそうで、こちらはデザインを変えずに長町の方に転用されているそう。

京浜急行バス BYD.jpg
 地元でもEVが本格的に走り出した。お隣の区ではあるが。まだ撮影だけで乗車はしていない。基本的に京浜急行バスのカラーと言うのが、逆に新鮮。
 大新東の「SORA」は、充填設備の問題もあるだろうが、横浜市金沢区の一般路線でも走れないだろうか?

川崎鶴見臨港バス 川崎BRT.jpg
 今回実際に乗ったのは、臨港バスの「KAWASAKI BRT」。写真撮影の都合で今回は全線踏破とは行かなかったが、朝7時台の川崎駅発便に乗車しました。

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 川崎駅前の出発直前の様子。通勤客が多い。連節車だからまだ余裕がありそうだが、一般の単車だと、当然かなりのぎゅう詰めだろう。途中の乗降にも影響が出てしまいそう。
 これは前号の速報を読んだ時の感想の繰り返しになってしまうが、平日朝夕の通勤時間帯のみの運行では、「BRT」の名はふさわしくないと思う。臨港バスに限らないけれど、地域・路線によって違いはあるが、現状の連節車の運行は、通勤・通学の輸送のピーク時の輸送に特化されるケースが大半だと思う。撮影後、一般のディーゼル単車で川崎駅に戻ったが、途中の乗降に難儀し、中ドアから乗客を乗せるケースも見られた。BRTが走るエリアは鉄道の空白域であり、何のかんの言っても利用者は恒常的に多いはず、ドライバーの確保や、バスターミナルの連節車受け入れの問題もあるだろうが(公道よりもここが問題だろうと思っている)、BRTと呼称するからには、日中や土休日でもフリークエントサービスを提供する方向に行って欲しい。あとは他にも通勤系統が多数あるので、他路線にも展開があるのか(エリーパワー行で、単車が続行運行になっているのを見かけた)、また、東扇島行など似たような通勤系統が数多くある、川崎市営バスへの導入は考えられないのか、川崎市東部の今後の展開には注目されます。
 羽田エアポートガーデンのバスターミナルは、今のところはしずてつジャストライン以外の乗り入れは、皆旧ツアー組。東海バス・伊豆箱根バスがコロナ禍前にはWILLERと組んで三島~横浜・羽田空港・新木場線の開業を計画していて、東海バスの公式WEBでは今でも時刻表が掲載されているが、いつ実現するのだろうか?ショッピング目的が多いというのなら、純粋な空港バス以外でも、比較的近距離の路線の展開がありうるかもしれない。

電気バス採用事業者にアンケートで聞く 導入・運用の実際

東急バスEVM.jpg
「アンケート回答事業者」は、「各社の導入状況」の一覧表と一定していない、としているが、導入内容をよく読めば、ある程度A=どこ、B=どこ、と言うのはわかるのではないだろうか。 EV導入全者というわけではなく、思いつく所では、岩手県交通・平和交通・富士急バスあたりはない。選定先は事業者の事情もあるし、地域にもよるだろう。
 自由回答のコメントを読んだ中では、再生可能エネルギーは通常電力より割高で、EVバスとのパッケージ化は必要、と言うのがあった。なるほど、西武バスが2月にBYDのEVの導入を発表した際には、運行を行う新座〔営〕に「オンサイトPPA」(太陽光パネルを設置し、発電される電力を自家消費するシステム)を同時に導入するとしていた。こういう事なのだろう。小型コミュニティバス数台、の規模ならまだしも、大型EVのフリークエントサービスを行う段階まで来たら、地上側のシステムの整備も必須、という事か。
 そのコミュニティバスは、地域によって違うが、便数が多い、あるいは一周の距離が長い循環系統だと、ドライバーが途中で乗り継ぎながら周回を続ける路線が少なくなく、充電回数の減少は、ダイヤ上の利便性の確保や、ドライバーの負担の軽減という意味でも必要だろう。

 この結果を踏まえた分析も記されているが、充電方式に関しては、大型車でもパンタグラフを使用したい、という所はなかったようだ。トロリーバスを転換したアルペンルートのEVバス(国産ディーゼル車の改造)はパンタグラフ集電だったが、運行区間が限定されているし、トロリーバスで使っていた施設を使えるという事もあったはずだ。欧州ではパンタグラフ方式がある程度普及しているのも、コロナ禍直前の北欧旅行で見てきたが、地上設備の整備にコストがかかるという事だろうか。今後何らかの機会に、充電方式それぞれのメリット・デメリットが比較できるものがあれば良い、と思う。
 この1~2年位で何回か書いているが、EVバスに関しては次のフェーズ、特定の系統でいいから、特にフリークエントサービス(日中でも15~20分位の間隔で運行)を行うニュータウン路線で、予備車両も含めて全車両をEVで固め、全便をEVで運行する所まで行っていいのではないか。一般の旅客、ひいては一般の市民にも、EVバス、そして路線バスそのものを強力にアピールする時が来ていると思う。地上設備もセットで「パッケージ化」するなら、スケールメリットの点でも、なおさら。
 昨今の地球温暖化問題等への取り組みへの批評(世界で起きている若者たちの「先鋭的」な活動とか)とか見ていると、EVはいいことづくめだからもっと早く進めよ、という論調が多いようだが、アンケート結果を冷静に慎重に読んでいくと、外野が考えるほど簡単な話ではない事も伺える。むろん、クリーンエネルギーへの流れが後戻りする事はなかろうが、もう少し、実際にEVを運行している事業者(バス以外も含めて)の、体験を踏まえた意見等も聞くべきではないだろうか。
「六価クロム」は、昭和の終わりの頃、東京都内の土壌の一部を汚染していて相当問題になった物質で、令和の世になってこの名を聞くとは思わなかった。

公益社団法人日本バス協会 会長 清水 一郎氏に聞く
 公共交通の在り方、という点では、うまくはまとめられないが、感触としては、創刊30周年記念インタビューで出た、180号の小嶋 光信氏(両備グループCEO)とも、181号の松本 順氏(みちのりHD CEO)とも、違う気がした。「民間の事は、民間に任せて欲しい」、という姿勢のように感じられた(ただし、必要な補助はして欲しいようだが)が、では、公営バスとの関係はどうするのか(民営化を積極的に進めるべきなのか?今は民営も体力がないはずだが)とか、岡山など一部の都市で起きている民営バス同士の対立、そこまでいかなくても地域内の民営事業者同士の利害関係の調整はどうするのか。様々なタイプの事業者を抱えている日本バス協会の会長としては、調整役も期待されるはずだが、どう考えているのだろうか。
「バス運転士の外国人の登用を早く認めて欲しい」という意見は、利用者の目線ではどう映るだろうか。少なくとも、直接の接客がある一般路線バスでは、簡単ではないはず。バスドライバー不足の問題は、賃金だけではないと思う。根本的に、いろいろな面でバスの社会的な立場が極めて低い事があるのではないか。
 バスと直接関係なくなるが、伊予鉄グループ社長としてお伺いしたいのは、伊予鉄道の松山市内線はどのような方向にもっていきたいのだろう?という事。特に⑥番(松山市駅~本町6丁目)は減便が続き、土休日は運休・平日も日中に運行がない時間帯が発生していて、伊予鉄バス路線がまるまる並行している事を考えると、「廃線」の2文字がチラついてしまうのだが。一方で、JR松山駅高架化の時点で、路線の西部への延伸の構想もあるようだが、どうするのだろう。

バス事業者訪問245 知多乗合自動車
 知多バスは、バスラマ誌では初めて。
 輸送人員の推移を見ると、やはりコロナ禍の影響が極めて深刻だったのがはっきり見て取れる。特に空港バスが、1年間で2千人(1日当たり5人強)というのは辛い。一方でコミュニティバスはそこまでは減少はきつくなく、2021(R3)年は路線の拡充もあるのか利用が増えていて、一般路線の輸送人員に近づいている。
 路線概要を見ると、「網」になっていない。名古屋に近い東海市や知多市、半田市でも、ほとんどが落下傘路線。また知多半島南部は、昔は常滑~上野間・上野間~南知多ビーチランド・河和~内海~師崎という路線もあったが、皆知多バス路線ではなくなってしまった(ビーチランドはもうない)。常滑~上野間間は「グルーン」に移行したが、河和~内海~師崎路線は、知多バスの運行ではない。知多バスと言うより、名鉄知多新線の衰退に見られるように、名鉄グループとして低迷している部分があると思う。
 知多バスは以前、常滑~半田路線で燃料電池バスが使われていたが、使用状況はどうだったのだろうか。現在のEVと比較してはどうなのだろう。大型車(K8)の導入は、在りうるだろうか?
(なお、「グルーン」のEV車両については、六価クロム対策を施しつつ、通常通りの運行だったそうだ)
 知多バスは空港バスも運行するとはいえ、比較的地味な印象がある事業者だが、今後も「事業者訪問」では、このような中小規模の事業者を、積極的に取り上げて欲しい。バスに求められるものは、事業者の大小とは関わらないものだと思うから。

バス事業者訪問246 西表島交通株式会社
 EVの記事が多くなったからか、2社目もEV導入事業者になりました。しかも、離島でありながら、大型車を導入しているので注目されている(六価クロム問題はどうしたのだろう?公式WEBには何も記されていなかったが、離島なので、より面倒だったのではないか)。
 この島を有名にしたのは、やはり「イリオモテヤマネコ」ではなかったか。でも失礼ながら、沖縄県のさらに西の果てなので小さい島のように思ってしまったが、面積は289.3㎢あって、これは伊豆諸島の大島の3倍以上だ。バス路線も55.6㎞は、JR東海道本線の東京~辻堂間より長い。
 1日乗車券の他に3日乗車券もあるそうだが、3日もかけてみて歩く場所が、西表島には多いという事だろうか。ありがたいお客さんなのは間違いない。
 ドライバー不足の問題も記されていたが、離島でもやはりあるものか。島の外から雇われる職員と言うのは、いるのだろうか。離島であっても、本島・本土と同じ問題、同じ悩みというものは結構あるものだと思った。魅力ある島だと思うが、やはり簡単には行けないなあ。

 次号はバステクフォーラムをやるそうだが、旭川電気軌道のMR430がゲスト出演するそう。でも旭川から大阪まで、どうやって運ぶのか?当然、基本海上輸送のはずだが、特に旭川は内陸なので、港まではどこも遠い。フォーラムそのものだけでなく、輸送の模様まで記載してもらえると、面白そうだ。

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