№2657 バスジャパン・ハンドブックシリーズV111 宮城交通

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「バスジャパン・ハンドブックシリーズ」(「BJシリーズ」)の最新刊「V111・宮城交通」は、今年の春先には刊行されていたが、また遅くなってしまいました。

 宮城交通は、BJシリーズでは24年前、1999(H11)年秋口にNEW29として刊行されていました。当時は宮城交通を中心に、地域ごとに別々の分社(宮交栗原バス・宮交登米バス・宮交大崎バス・宮交気仙沼バス・宮交仙南バス・宮交バスシステム)があり、廃止代替路線を貸切免許で運行していました。また観光バスは別に、宮城交通観光バスが運営していました。しかし、宮城交通自身も、今のような仙台市とその近郊だけでなく、地方部にも営業所を構えていました。これが後に、仙台市域中心の宮城交通と、地方部のミヤコーバスに再編される事になります。

◆ 宮交バスの車両たち
 NEW29では宮城交通直営だった塩釜・名取・石巻・気仙沼・佐沼・古川・築館・白石・村田の各営業所は、地域分社各社と共に、ミヤコーバスの営業所となりました。一方で仙台北・泉・仙台南各営業所が開設されています。旧宮交栗原バス・宮交仙南バスの営業所は廃止になった一方、津谷〔営〕(気仙沼線BRT本吉駅の近く)が開設になっています。旧宮城交通観光バスの営業所は、仙台(宮城交通とは別だった)・大河原両営業所は廃止、山形〔営〕は、宮城交通の高速バス専門の営業所になっています。
 今の宮城交通とミヤコーバスは、本社の所在地は同じ仙台市泉区にある。が、ミヤコーバスの営業所は全て、仙台市外。
 データ分析では適宜NEW29との比較もするが、従って単純には比較できなかった部分も、多々ありました。

 グループ2社(宮城交通・ミヤコーバス)の合計の台数583台は、NEW29では847台だったから、2/3程度にまで減少している。宮城交通は320台でグループ全体の54.88%、ミヤコーバスは263台で45.11%。
 用途別の割合は、乗合61.92%・高速17.84%・貸切20.24%。24年前は定期観光・廃止代替が別計上されていたが、乗合62.80%・高速(当時は一般道の特急車も含んでいた)5.66%・定期観光0.47%・貸切22.19%・廃止代替8.85%。今の貸切は企業送迎が相当数含まれていると思われるので、純粋な「観光バス」は数字以上に減っているはず。高速の割合がかなり高まっている。
 宮城交通では、乗合70.63%・高速16.25%・貸切13.13%。ミヤコーバスでは、乗合51.33%・高速17.84%・貸切28.90%。

 宮城交通・ミヤコーバスでそれぞれ、営業所別に台数と社内での割合を分析します。
 宮城交通の乗合車は、仙台〔営〕(以降、全て村田駐在を含む)が71台で31.42%、3割以上を占めている。次いで富谷〔営〕が45台で19.91%、泉〔営〕が44台で19.47%。富谷〔営〕は、24年前は127台だったから大幅な減少だが、純粋な利用の減少もあろうが、泉〔営〕の開設もあるだろう。富谷・泉両営業所の合計で宮城交通全体の39.38%となり、仙台市北部の割合が高い。1992(H4)年の仙台市営地下鉄南北線泉中央延伸や、それに伴う開発の進展で、この数字になっているのだろうか。
 ミヤコーバスでは石巻〔営〕が27台で20.00%・1/5、塩釜〔営〕が21台・15.56%。しかし塩釜〔営〕は、24年前の宮城交通時代は80台だったので、1/4近くと大幅な減少になっている。震災の影響もあるだろうが、仙台から仙石線でも30分程度の、宮城県でも有力な都市の一つと思われるのに、いくらなんでも減り過ぎではないか?と思った。20台以上あるのは、あとは古川〔営〕20台のみ。名取〔営〕は1台のみだが、名取〔営〕付近は、現在路線がない。どのように運用されているのだろうか?津谷〔営〕も3台しかないが、ここは気仙沼線BRTの受託が中心のはず(BRT車両はJR東日本籍)。
 高速車は、宮城交通は仙台北・仙台南(以降、全て名取駐在を含む)・山形の3営業所に配置。仙台〔南〕が27台・51.92%と半分以上で、他を仙台北と山形で分け合っている。仙台~山形線は山交バスとの共同運行なのに、さらに自ら山形に高速専門の営業所を持つとは、山形側の需要が極めて多い路線、と言えるだろう。
 ミヤコーバスでは、古川・吉岡・気仙沼・佐沼・石巻・村田の各営業所に配置がある。石巻〔営〕は15台もあり、配置車両の1/3以上。皆仙台市中心部から離れた場所で、営業所がある地域と仙台を結ぶローカル高速路線が生命線、という事だろうか。
 貸切車は、宮城交通は仙台・仙台北・泉の各営業所にあるが、純粋な「観光バス」の型式は、大半が仙台北〔営〕配置。他は泉〔営〕に1台あるのみ(リフト装備でスクールバスとして運用)。仙台北〔営〕は、乗合車は2台のみで、高速・貸切が中心になっている。ミヤコーバスでは築館・古川・吉岡・塩釜・名取・白石・村田の各営業所に配置があるが、純粋な「観光バス」の型式は、塩釜〔営〕の6台のみ。大半はコースターやローザと言ったいわゆる「マイクロバス」。白石に「観光バス」がないのは多少意外だった。東北新幹線で白石蔵王駅に降り立った観光の団体を蔵王方面へお連れする、という需要もあるかと思うのに、専業事業者に負けてしまうのだろうか?

 平均車齢を分析してみます。2022(R4)年を0年として計算しました。
 乗合は、宮城交通11.72年・ミヤコーバス13.08年。やはりミヤコーの方が高いが、前回の神奈中バスが9.96年だったので、両社とも思ったほどは高くないかも知れない。北隣の岩手県交通は19.66年(2020(R2)年現在)でした。
 営業所別では、宮城交通では2台しかない仙台北〔営〕が20.50年。それを除くと、仙台〔南〕が13.58年と最も経年化しています。ただ、一番若い泉〔営〕も10.57年、営業所による経年のばらつきはない。
 ミヤコーバスでは、吉岡〔営〕が10.25年、石巻〔営〕が12.00年と若く、津谷〔営〕が19.67年、築館が18.33年と経年化している。石巻〔営〕は2015(H27)~2021(R3)年にかけて継続的に、毎年1~3台の新車両の導入があります。
 グループ全体では、2004(H16)年式が39台・10.80%と最も多い。ただし大半が名鉄バスからの譲渡車両で、グループ内発注車は7台しかない。登録番号から推測して、2014(H26)年頃の導入と思われる。台数としては、1999(H11)~2006(H28)年式と、2013(H25)~2018(H30)年式の、2つの「山」が存在する。2007(H19)年式は、乗合車には存在しない。最高齢はミヤコー佐沼〔営〕に2台在籍する、1998(H10)年式の、名鉄バスから移籍したエアロミディ。
 高速は、宮城交通6.44年・ミヤコーバス8.21年とさすがに若い。宮城交通は3営業所のそれぞれの平均が6.23(山形〔営〕)~6.59(仙台南〔営〕)年と、ほぼ差がない。ミヤコーバスは吉岡〔営〕が6.40年と一番若く、村田〔営〕が9.57年と最も経年化している。
 グループ全体では、2014(H26)年と2019(H31~R元)年がそれぞれ13台、2011(H23)年と2013(H25)年がそれぞれ12台。最高齢は、ミヤコーの古川・佐沼両営業所に合計3台在籍する2003(H15)年式。3台とも元名鉄バス。コロナ禍の直撃を受けていた一昨年も1台、去年は3台の新規導入がありました。
 貸切は単純な計算は無意味とも思うが、一応宮城交通9.33年・ミヤコーバス14.74年。宮城交通は、仙台〔営〕が3台しかないが2.33年、泉〔営〕は11.29年。ミヤコーバスは、最若の村田〔営〕が12.60年、最経年化が名取〔営〕の16.78年。グループ全体の再経年車は、泉〔営〕に在籍する1998(H10)年式のローザで、乗合・貸切を含めた全体でも最高齢です。去年も7台の導入があったのが目につきます。しかも純「観光バス」のエアロエース2台・セレガ1台が入っています(他4台はリフト装備のガーラミオで、スクールバスと思われる)。

 乗合車のノンステップ率は、グループ全体では55.68%。
 宮城交通は65.49%。泉〔営〕は79.55%。8割近くがノンステップ車。仙台南〔営〕もちょうど50%(仙台北〔営〕の2台は非ノンステップ車)。
 ミヤコーバスは39.26%。1台だけの名取(ノンステップ車)を除くと、吉岡〔営〕が62.50%と高いが、仙台市内への路線を運行している(泉中央駅発着)。次いで村田〔営〕が50.00%。一方、佐沼〔営〕は11.11%とかなり低く、営業所(地域)によって、数値にバラつきがあります。グループ全体ではやはり、仙台市に近いエリアが高くなる傾向にある。

 中古車は、グループ全体では39.79%。宮城交通は13.55%、ミヤコーバスでも26.24%で、意外に少ないかも知れない。
 今回は、譲渡元が記されていない車両が多い。ミヤコーバスの貸切車は全て非公表。全て「マイクロバス」で、「自家用の購入のため前歴の公表を控えている」としている。
 公表されている中では、名鉄バスが圧倒的に多い。譲渡車両全体の58.19%。乗合では76.25%。ミヤコーバスでは、グループ内発注車を含めても乗合全体の37.77%と、完全に主力になっている。ミヤコ―では高速バスでも3台ある。宮城交通には貸切車も10台あるが、全て泉〔営〕の、一般乗合の型式。名鉄バスからの譲渡は24年前もあったが、貸切用のSHD1台のみだった。震災支援もあるだろうが、名鉄の関与が一気に強まったという事か。
 名鉄バス以外では、都営バス14台、京王バス10台が目に付く。特に元都営バスは石巻・津谷・気仙沼の各営業所への配置が多い。登録番号から見ても、震災の支援車両だろう。元京王バスは、ミヤコーの高速車にもある。なお当時の支援車両は他からも来ていて、津谷〔営〕に旧明石市営バスの姿を見た事もあるが、元々経年車が中心だったし、既に震災から12年経っているので、退役も進んでいるようです。24年前の譲渡元はもっと多彩だったが、現在は、公表されているのは8者のみ。最遠は神姫バス。

 今号発売時点での低公害車両は、「SORA」1台のみ。ハイブリッド車もない。
(刊行後にEVMジャパンのF8シリーズ4が「まちのり」に導入された)
 在籍する車両の型式を見ると、ポンチョが意外に少ない。グループ全体で6台のみ。しかも全車名鉄バスからの移籍。ミヤコーバスが古川〔営〕の2台のみとは、かなり意外だった。比較的長距離の路線が多いからだろうか。なお6台中2台は「まちのり」専用車(現在は「ながまちくん」に転用)で、ポケモン「ラプラス」をラッピングしているが、このためか、登録商標云々のキャプションがあった。BJシリーズでは初めて。

◆ 宮城交通のあゆみ
 まず、トップのページの画像。工事中の高架橋が並んでいるが、やはり東北新幹線か。という事は、撮影は1970年代半ば~後半くらい、となるのだろうか。
 宮城交通が成立する以前、前身となる事業者は、鉄軌道を運営していた所が多い。皆残っていればなあ、と思う。ご多分に漏れずここでも、宮城交通成立の前後で、様々なゴタゴタが見られる(特に労働争議)。もちろん当事者たちは皆真剣、だが、ここでエネルギーを使ってしまうと、肝心の運行や営業に悪影響・後遺症を残しかねない。
 現在の宮城交通は、いったん持ち株会社ミヤコーとなってバス部門を分社したが、再度統合している。だから会社の設立は、統合時の1970(S45)年10月1日のままだ。
 今の泉〔営〕は、二代目。旧岩沼〔営〕の名取への移転は、全く方向が違う(仙台の北→南)。
 東日本大震災は避けては通れないが、外野からはあまり口にできる事はない気がする。それでも全滅した気仙沼〔営〕は悲惨だし、更地になってしまった被災地を走るエアロスターは寂しさを募らせる。何とか立ち直って、バスの利用の増加につながって欲しい。
 なお、ミヤコーバスの村田〔営〕は4月24日に移転し、関連する2路線の運行が変更になっています。

◆ 宮交バスのいる風景
 新富谷のニュータウンを走る「SORA」は、秋の風景が美しい。取材時期もあったのだろう、写真は皆秋の様子のようだ。直接の震災の被災地の写真は、石巻の1枚のみ。

◆ 宮交バスで伊達な旅 陸前の町と海を訪ねて
 24年前の紀行は種村 直樹氏による、北上川・迫(はさま)川をさかのぼるものでした。一旦石巻に出て、そこから西に向かうルートで、最初の仙台駅発石巻行はバスガイド乗務の観光バスが現れて驚いたが(通常運用の車両の点検による代走)、当時は仙石線快速の毎時1往復に対してバスは1日4往復で、種村氏は「お付き合い程度の運行と見える」と記していた。今は廃線になっている石巻~豊里車庫路線は女性ドライバーで、今ほど採用活動は活発ではなく、事務職から転じたのだそうだった。旅の終点は、旧くりはら田園鉄道細倉マインパーク駅よりさらに奥の、温湯という場所だった。現在は手前の座主までが市民バスとして、栗原観光タクシーによって運行が維持されているが、その先温湯へは、ヨソモノが乗れる交通はもうないようです(地域住民のみ利用可能なデマンド交通だけらしい)。
 今回の谷口 礼子さんの紀行は、種村氏とは逆に一旦内陸の登米に高速バスで向かい、そこから気仙沼の方に抜ける形態になっている。石ノ森 章太郎のペンネーム(石森)が故郷の地名から来ているとは、正直知らなかった。でも、石巻の方が良く知られていると思う(ラッピングのJR列車が仙台から来ているくらいだ)。登米の方は、漫画に関する展示、というのはないようだ。登米が「とめ」とも「とまい」とも読むというのは、種村氏も「難儀だ」と記していた。
 気仙沼へは一般路線ではもう行けなくなっているので、JR東日本のBRTを利用するが、ミヤコーバスが受託しているので、ミヤコー繋がり。
 2日目に出てくる大崎線は、24年前は大島と対岸とのつながりがなく、島の中だけの浦の浜~親王平間で完結していた。私はさらに前、大島線について書かれた地方紙の記事を読んだ事があります(手元にない。申し訳ありません)。駐在の運転士とバスがいて、島の住民とは皆顔なじみだった、みたいな事が書かれていた。バスにとって、今よりはまだ良い時代だった、ですねえ(大島線も市中心部直通になったのだから飛躍的に利便性が向上したが)。

◆ 終点の構図 仙台港フェリーターミナル
 24年前は気仙沼に近い、羽田でした。近くに加藤編集長の奥様の実家があったそう。「幼い沿線住民が高校生となるまで、(当時の)宮交気仙沼バスには頑張ってもらいたい」と結ばれていたが、現在は宮城交通のバスとしては廃止になり、気仙沼ハイタク運行による乗合タクシーに移行しています。
 今回は「終点」というより、ややターミナル的な形態になるが、ここは三井アウトレットパークが近く、仙台駅行(毎日4往復)の他、土休日にはアウトレットパーク経由地下鉄荒井駅行の便もあります。太平洋フェリーは名古屋~仙台~苫小牧間を結んでいて、名古屋~仙台間は隔日だが、仙台~苫小牧間は毎日運航されています。苫小牧までは2等9,000円・B寝台11,800円。夜行列車がなくなって久しい(名古屋は元々なかったが)今、我々鉄道ファンも、フェリーの利用を積極的に考えて良いのではないでしょうか。
 サンドウィッチマンは、仕事で気仙沼にいた時に震災にあったそう。

◆ 宮交バスの路線エリア
 24年前は高速路線も記されていて、単純に地図だけでは比較できないが、特に地方部は、完全にスカスカになってしまった。一般路線は仙台市域・県中央部・石巻・気仙沼とエリアが4つに分かれて、だから紀行の通り、一般路線だけでエリアを跨いで行く事は出来なくなっている。気仙沼エリアは、以前は海岸沿いと、津谷から内陸を通って佐沼に行く路線があったのに、一般路線では孤立したエリアになってしまった。現状はそれぞれのエリアと仙台を、ミヤコーバスの県内高速バスで結ぶ、という構図になっているのだろう。それにしても、地方部は仕方ないとしても、仙台市に近い名取市中心部から南部は、完全に路線がない(名取市は、北部のニュータウンから直接仙台市に行く路線はある)。むろん、特に沿岸部では震災の影響が大、だろうが、電車で1時間もかからない、仙台のベッドタウンにもなりうる地域に路線が全くない、と言うのは、正直驚きでもあった。
(名取市はコミュニティバスがあり、SATの駅への乗り入れがあるが、宮城交通グループの運行ではない)。
 県外へは、一ノ関への乗り入れが継続されている。現在は栗原市民バスという形態で、築館~一ノ関間を平日5往復・土休日4往復運行(令和になってからは、ダイヤは変わっていない)。一ノ関から気仙沼にかけては宮城県と岩手県の県境がせめぎあった感じがあり、気仙沼は逆に岩手県交通の一ノ関~千厩~気仙沼~大船渡の路線があります。ある程度は両県の交流があるようです。一ノ関以外の一般路線の他県への越境は、24年前もなかった。山に遮られているからか。

 宮城交通も日常的に利用するわけではないからあまりどうこう言えないが、仙台中心の宮城交通、地方部のミヤコーバス、共に、当面は利用をいかに繋ぎ止めるか、という事になろうかと思います。特に震災であまりにも甚大な被害を被った沿岸部は、厳しいだろうけれど…。
 やはり宮城交通グループと言えども単独ではいろいろな面で苦しく、JR東日本(鉄道もBRTも)や、仙台市交通局などとの連携の強化は必須だと思う。仙台市営とは地下鉄開業の前後で確執もあったようだが、現在は共通ICカードの発行などの協力関係もあります。これを是非とも続けて、はっきりと定着させて欲しい。
 高速バスは、長距離路線、特に夜行は、コロナ禍の後遺症にドライバー不足(宮城交通の現状はどうか)、他事業者との競合もあって、運行を維持し続けられるだろうか。やはり県内や周辺の県(山形・宮城・岩手)を中心とした東北エリアや、東京方面が主力となるのではないだろうか。
 宮城県自体がそうだが、仙台市一極集中という傾向は、宮城交通グループを中心とした交通網でも、今後も変わらないものと思います。仙台市で生み出されたエネルギーが地方部に波及する、そういう効果を、宮城交通のバスでも期待したいと思います。

 なお、今回宮城交通のWEBサイトを検索してみたところ、なぜか地方部のミヤコーバスの情報が閲覧・検索できませんでした。先の築館~一ノ関路線の時刻も宮城交通のWEBでは検索できず、グーグルで「栗原市 バス」と入力して、栗原市のWEBでようやく分かりました。理由は分からないし、ひょっとしたら検索の仕方が悪かったのかも知れないが、同じグループなのだから、やはり何とかして欲しい。
(ミヤコーバス独自のWEBサイトはない)

 さて次号は、神姫バスです。前回は2011(H23)年のR76で取り上げられていて、№682で書きました。来月上旬には刊行される模様。さらに10月には西武バスが予告されています。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けません。何かありましたら、引き続き本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。


《What's New》
14日 柔道世界選手権 混合団体 日本 大会6連覇達成
15日 東京株式市場株価 終値2万9,626円台34銭 今年の最高値更新
16日 広島カープ 秋山 翔吾 1500本安打達成 プロ野球史上133人目
 宮城交通について書いている時に、栗原市内の東北自動車道でバスとトラックが衝突事故を起こした、という一報が入りました。多数のけが人(一部は意識不明とか)が出ているらしいが、22時現在ではそれ以上の詳細が分からず、今後の情報を待ちたいと思います。

№2656 相鉄新横浜線開業 新ダイヤ分析

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 3月18日、相鉄新横浜線・新横浜~羽沢横浜国大間が開業。同時に開業した東急新横浜線(日吉~新横浜間)とつながり、新横浜線を介して東横線・目黒線との相互直通運転を開始しています。相鉄としては、2019(R元)年11月30日のJRとの相互直通開始に続く第2・第3の都心直通ルートの完成となり、プロジェクトは全て完成しました。
 新ダイヤでは、これまで考えられなかったシーンが相鉄線内でいくつも展開され、戸惑うばかりです。何しろ4年前までは神奈川県内の東側、30㎞程度の相鉄線内のみで完結する小さなネットワークだったものが、一気に東京都を経由して、埼玉県にまで広がったのだから。
 開業から既に2か月、各趣味サイトなどでは、根掘り葉掘り新たなシーンが紹介・分析されています。なので「何を今さら」ではあるが、それを承知で敢えて、相鉄線の新ダイヤについて、私なりに軽くおさらいをしてみようと思います。

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 相鉄新横浜線は今回、新横浜~羽沢横浜国大間4.2㎞が開業し、JR直通開始時に先行して開業していた羽沢横浜国大~西谷間と合わせて、6.3㎞となりました。
 新規開業区間には中間に駅はなく、4.2㎞という駅間距離は、相鉄では最長となりました(これまでは本線・かしわ台~海老名間の2.8㎞)。この開業で、相鉄全線の旅客営業キロは42.2㎞となって、40㎞の大台に乗りました(他に貨物専用の厚木線2.2㎞)。
 ちなみに東急新横浜線は5.8㎞で、この開業で軌道の世田谷線、第2種事業免許のこどもの国線を合わせると103.4㎞となって、ついに100㎞の大台突破です。
 新横浜駅は、相鉄・東急両方の営業となり(他の相直境界駅のような、どちらかが相手に委託、と言うのではない)、北改札が東急、南改札が相鉄と分け合っています(この間に市営地下鉄の中央改札が新設になっている)。

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 新横浜開業を機に、同業他社とコラボ的な広告も展開しています。左はJR東海だが、体裁が右の相鉄とほぼ同じ。相互直通をしてこなかった鉄道だけに、このような形態の広告コラボは、これまでほとんど見られなかったものでした。

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 埼玉の地でも、相鉄線の駅の名の表示が見られるようになりました(既にJR埼京線では少数だったが見られていたが)。これは和光市駅で、当然ながら「ヒカリエ」も、相鉄線内に入ってきます。

 相鉄では、全線の時刻表を、公式WEBサイトに掲載しており、PDFファイル形式でダウンロードもできます。
 相鉄線内では、列車番号からは運用(どの会社の車両か)は読めないのだが、親切にも?運用番号を併記してくれています。これと、「MY LINE東京時刻表」(交通新聞社)を基にして、運用面を中心にいろいろ分析してみます。

相鉄線運転系統図.JPG
 改めて、運行形態を確認します。基本的には、本線⇔東急目黒線(~東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道・都営地下鉄三田線)、いずみ野線⇔東急東横線(~東京メトロ副都心線・東武東上線)となるが、朝晩を中心に、本線⇔東横線・いずみ野線⇔目黒線の運行も見られます(これに本線⇔JRが加わる)。

 参考として、横浜・海老名・湘南台各駅の時刻表を作成してみました。列車番号・運用番号も添えています。

時刻表01横浜.jpg
横浜駅

時刻表02海老名.jpg
海老名駅

時刻表03湘南台.jpg
湘南台駅

運用番号
00・10・20・30K番台 … 東急目黒線8連
10番台 … 自社線内8連 21000系が入る事もあるだろうが、基本的には10000系のみ。
30・40G番台 … 目黒線直通8連(21000系)
50・60番台 … 自社線内10連
50・60K番台 … 東急東横線10連
70番台 … JR直通10連(12000系)
(上り朝方の74~79(新宿以遠まで運行)はJR編成のはず)
80番台 … JR10連
90G番台 … 東横線直通10連(20000系)
 JR編成は、以前は90番台だったが、新ダイヤから80番台になっています。

003東急5050系.jpg
 開業前には、今回の新横浜線開業に関係する各社局7者の車両の集合写真も見られた。が、その7者全てが、関係する区間を走るわけではない。全区間を走るのは、東急のみ。相鉄は、東武東上線には入らない(和光市まで)。メトロ(南北線)・埼玉高速・都営は、相鉄線には入らない(新横浜まで)。メトロ(副都心線)・東武・西武は、新横浜線自体入線しない。相鉄~東急~メトロ~東武直通が数本あるが、全て東急編成。
 東急目黒線に直通する相鉄21000系だが、目黒より先は、今のところは都営三田線の方が圧倒的に多い。平日14往復・土休日16往復の直通がある。平日は他に三田線内運用(白金高輪折返し)が1往復(1930G→2031G)ある。一方メトロ南北線・埼玉高速直通は、新横浜折返しが中心でもあり、平日4往復、土休日1往復のみ。

 基本的に一番遠い行先は、東武東上線の森林公園。しかし、土休日の早朝に1本、海老名発小川町行が設定されています。改正前の菊名始発を変更したものです。

海老名5:14 → 7:39小川町 東急54K
海老名~(急行3700)~新横浜~(急行054052)~渋谷~(急行554K)~和光市~(快速急行154K)~小川町
 運賃は4社合計で、1,810円。
 なお、この区間をJRだけで行こうとした場合、海老名5時07分発の相模線初発橋本行で出発すると、橋本・八王子・高麗川と乗り換えて、小川町には7時32分着となります。所要時間は同じ。運賃1,520円。
(一番早いのは、小田急で町田に出て横浜線乗り換え)

005二俣川駅.jpg
 一方、東横線と目黒線の編成が、他社の同じ線路を行き交うシーンも、日常茶飯事に見られるようになりました(画像は鶴ヶ峰)。

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 東急とJRが同じ線路を走るようになり、両者が並ぶシーンが頻繁に見られるようになった。それだけでもオドロキだが、加えて瀬谷または二俣川で、東急がJRを追い抜く、あるいはその逆が何回か見られるようになりました。

瀬谷
平日下り
 東急がJRを追い抜き 東急04K(浦和美園発3839)→JR85(新宿発6263) 17時31分頃
 JRが東急を追い抜き JR86(新宿発3135)→東急23K(高島平発6599) 19時12分頃
平日上り
 東急がJRを追い抜き 東急22K(浦和美園行3806)→JR79(池袋行6222) 8時18分頃
            東急10K(浦和美園行3816)→JR84(新宿行6256) 16時48分頃
土休日下り
 JRが東急を追い抜き JR83(川越発3123)→東急20K(浦和美園発6561)9時03分頃
土休日上り
 JRが東急を追い抜き JR85(新宿行3144)→東急09K(西高島平行6584) 18時55分頃
            JR86(新宿行3146)→東急13K(西高島平行6584) 19時15分頃

007二俣川駅.jpg
二俣川
平日下り
 東急がJRを追い抜き 東急13K(西高島平発3807)→JR85(新宿発6241) 12時12分
平日上り
 JRが東急を追い抜き JR74(川越行3124)→東急51K(森林公園行6404) 6時46分
 両者とも川越へ行く。川越は東急の方が先着。
土休日下り
 東急がJRを追い抜き 東急04K(浦和美園発3809)→JR84(新宿発6263) 19時27分
土休日上り
 JRが東急を追い抜き JR83(新宿行3152)→東急31K(目黒行6594) 22時24分

 また二俣川では、いずみ野線湘南台発着の東急編成(主に各停)が、海老名発着のJR編成(主に特急)を待ち合わせるケースもある。
平日下り
 JR87(赤羽発3125)→東急53K(千川発7403) 10時02分
平日上り
 JR87(新宿行3148)→東急62K(森林公園行3752) 18時59分 ※東急も特急
土休日下り
 JR86(新宿発3137)→東急54K(和光市発7449) 18時47分
 JR85(新宿発3157)→東急55K(横浜発6801) 23時28分 ※東急は相鉄線内列車
土休日上り
 JR75(大宮行3124)→東急57K(志木行7402) 7時03分
 JR76(大宮行6222)→東急60K(渋谷行7404) 7時21分 ※JRも各停
 JR77(川越行6224)→東急59K(川越市行7406) 7時41分 ※JRも各停
 川越行と川越市行が並ぶ。川越はJRの方が先着。
 JR86(新宿行6232)→東急55K(川越市行7412) 9時11分※JRも各停
 JR86(新宿行3146)→東急52K(渋谷行7450) 19時19分
 JRの3146列車は、瀬谷で東急目黒線、二俣川で東急東横線の編成を追い抜く。

011二俣川.jpg
 さらに二俣川では、土休日には東急同士の並びも見られる(片方は相鉄線内列車横浜発着)。
土休日下り
 07K(横浜発海老名行6557)→34K(目黒発湘南台行6713) 8時13分
 31K(西高島平発海老名行3815)→55K(横浜発湘南台行6791) 21時38分
土休日上り 
 06K(海老名発浦和美園行3802)→26K(湘南台横浜行6704) 6時53分
 11K(海老名発横浜行2026)→51K(湘南台発川越市行7410) 8時42分 ※2026列車は快速
 18K(海老名発横浜行2080)→55K(湘南台発川越市行7436) 15時43分 ※2080列車は快速

009相鉄線内各駅停車.jpg
 前述の通り、新ダイヤでは東急編成の相鉄線内横浜発着列車がいくつかあります。平日は1往復だけだが、土休日は結構あります。

平日下り
 61K 横浜11:20 → 11:33西谷 各停7035
平日上り
 61K 海老名10:26 → 11:16横浜 各停6010
土休日下り
 60K 横浜6:20 → 6:53湘南台 快速2501
 34K 横浜7:50 → 8:31湘南台 各停6713
 26K 横浜8:10 → 8:23西谷 各停7011
 22K 横浜8:28 → 8:59湘南台 快速2503
 11K 横浜9:09 → 9:44海老名 快速2023
 63K 横浜9:59 → 10:34海老名 快速2031
 29K 横浜10:09 → 10:36海老名 特急3013
 18K 横浜16:00 → 16:41湘南台 各停6769
 55K 横浜21:15 → 21:58湘南台 各停6791
 55K 横浜23:07 → 23:48湘南台 各停6801
土休日上り
 60K 海老名5:33 → 6:10横浜 快速2004
 26K 湘南台6:33 → 7:14横浜 各停6704
 34K 西谷7:32 → 7:45横浜 各停7010
 22K 海老名7:43 → 8:17横浜 快速2020
 11K 海老名8:20 → 8:56横浜 快速2026
 63K 西谷9:33 → 9:46横浜 各停7024
 29K 西谷9:44 → 9:57横浜 各停7026
 63K 海老名10:43 → 11:18横浜 快速2040
 18K 海老名15:23 → 15:57横浜 快速2080
 55K 湘南台20:36 → 21:11横浜 快速2512
 55K 湘南台22:15 →23:00横浜 各停6796

 基本的には間合い運用だが(特に海老名の線路容量の少なさも理由になりそうだ)、55Kは横浜~湘南台間を2往復する。
 土休日の日中は、星川駅構内の留置線に、東急編成3本が留置される。

010相鉄線内各駅停車.jpg
 相鉄線内に目を向けると、横浜発着の各駅停車の半分近くが西谷折返しになりました。西谷という行先は、JR直通開始時、羽沢横浜国大~西谷間1駅間だけの区間運転の行先で初めて現れたが、本線では見られませんでした。今回の改正では、横浜発着の他、新横浜線の直通列車でも何本か見られます。

 今回の改正では、急行が取りやめになりました(正式に廃止になったのではないと思う)。夕方のラッシュ時の横浜は、特急もなくて、快速と各停の2本立てになりました。それも、一頃の急行・各停が5分間隔、というダイヤからはかなり減少しています。コロナ禍による需要の変動もあるだろうが、やはり東京直通に相当数転移する、と見たのだろうか。でも、仮にも「大手私鉄」の最大のターミナル駅、にしては寂しく映るし、横浜から遠方へは、より時間を必要とする事になる。引き続き横浜駅を利用する旅客の反応はどうか、少々気になる部分です。

 今後のダイヤ編成の上で問題になりそうだと思うのは、いずみ野線内の線路容量の少なさ。特に車両基地・留置線がない事。これは開業日の3月18日に既に現れていて、(理由は分からないが)東横線内の混雑による遅延のため、東横線からいずみ野線への直通列車が大幅に遅延し、一部では運休も発生していました。本線のかしわ台のような基地、少なくとも西横浜のような留置機能が必要だと思うのに、それがないため、下りが遅れると、ストレートに湘南台の折返しにも影響が出る事になります。既にいくつもの会社にまたがる直通列車だけに、余計問題になると思う。現在ゆめが丘駅に隣接して大規模な商業設備が建設中だが、そうではなく、新しい車両基地を、少なくともJRとの直通が始まる時点で整備しておくべきだったのではないか?(商業施設は、その上に造る事だって可能だ)今さら手遅れではあるが、ちょっと心配のタネです。

 あと一つ、今後検討すべきは、「系統記号」の導入。今回の改正で3つの都心直通ルートができたが、上に書いたように、同じ行先でも大きくルート(会社)が異なるため、利用者に混乱を与える面はないだろうか。一応JR…緑・東急東横線…赤・東急目黒線…青で区別しているものの、駅の時刻表上では区別されず、やはり不十分だと思う。相鉄の場合は一案として、JR直通は埼京線の「JA」、東横線直通は「TY」、目黒線直通は「MG」をそのまま使用し、駅の時刻表や発車案内表示の他、列車にも表示する。相鉄に限らず、そろそろ旅客案内の面で、直通ルートごとに「記号」を設定し、旅客案内で積極的に使う事を考えるべきではないか(そのためには、一部運行形態そのものの整理も必要かもしれない)。そうでないと、鉄道ファンでさえも少々混乱しそうな昨今の相直ルートの拡大、一般の旅客はなおさら困るのではないだろうか。

 JRと東急、2つの大きなダイヤの流れをそのまま持ち込んだ感があるため、新しい相鉄のダイヤは、かなり複雑なものになったような気がします。今後需要の動向を見て、改めてダイヤの編成を行う事になるだろうが、もう少しスッキリしたパターンダイヤの拡大と、あとは朝ラッシュ時の速達化、これは相鉄より東急かも知れないが、この辺を考慮して頂きたいと思います。
 ともあれ、ついに完成した相鉄の都心直通ルート、相鉄線と、その沿線の発展に寄与する事が、大いに期待されます。

 最後に、今回の改正のダイヤを、平日だけになってしまうが、相鉄全線時刻表から作成してみました。運行番号も付記しているが、相当見づらくなってしまっているかも知れません。ご了承ください。このダイヤの画像は、常識的な範囲であれば、どのように使っていただいても構いません。ただし、公的なものではなく、あくまで私個人の趣味の一環で作ったものです。このダイヤの画像の使用によってどのような不利益を被られても、私は一切責任を持てません。その編はご承知おきください。

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 当ブログでは直接のコメントは受け付けません。何かありましたら、引き続き本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。


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 京王が先日、今年度の設備投資計画を発表しました。5000系1編成を増備(先の新造車と同じく、リクライニング機能付き)し、ライナー列車の拡充を図る。また8000系26両(10×1・8×2?)のVVVFインバータ制御装置を更新する。運行情報を表示するディスプレイは多言語化し、4駅の発車案内表示装置をフルカラー化する。ホームドアは、今年度は笹塚(2・3番線)・神泉で整備。井の頭線は2020年代中頃、京王線は2030年代前半の全駅の整備を目指す。一昨年発生した車内傷害事件を踏まえ、車内防犯カメラの設置を、今年度中に全車両で完了する。ホームの防犯カメラも、今年度中に全駅で完了。笹塚~仙川間の連続立体化工事を、引き続き推進する。投資総額380億円。
 なお、東急も今年度の設備投資計画を発表したらしいが、東急電鉄のWEBでは確認できませんでした。見落としたのかも知れないが、確認次第書きます。

《What's New》
11日 AOKIホールディングス社長謝罪 オリ・パラ汚職で前会長ら有罪判決確定
12日 キオクシア 昨年度決算発表 1,300億円の最終赤字
13日 阪神タイガース 岡田 彰布監督 通算600勝達成
 なんだか日本各地で地震が多く、一昨日は木更津の地震で我が家も大きな揺れになってビックリしました。東急東横線・目黒線は落雷で長時間停まってしまったし(何年か前に、田園都市線で同様の落雷のアクシデントがなかったっけ?)、どうも落ち着かないです。今日は小田原の東海道線で何かトラブルがあったらしい。撮影絡み?詳細がわからんので、とりあえずここでは何も言わない事にするが。
posted by 菊池 正人 at 23:00Comment(0)鉄道

№2655 2023年度GW 航空利用データ分析

羽田空港2023_0503.jpg
 あまりにも寒い数字に背筋が凍り、単純に数字を並べるだけでしかなかった、「悪夢」のGWから3年。「第9波」の懸念を残しつつも、4年ぶりに行動制限がなかったGW。人々はウィルスの呪縛から解き放たれたかのごとく、海へ、山へ、故郷へ、異国の街へと旅立っていきました。羽田空港のターミナルだけ見ても、内も外も、「旅に出るんだ!」のエネルギーが満ち溢れていた、今年のGW。人はやはり、「巣ごもり」じゃ、ダメなんだ。
 この期間(今年は4月29日~5月7日の9日間)の利用実績が、昨日9日になって、各社から発表になりました。その利用実績を、張り切って分析してみたいと思います。
 基本的には(会社によって呼び方が若干違うが)「座席数」「旅客数」「利用率」の数値のみ記します。注記以外は、コードシェア販売分の扱いは記されていません。カッコ内は前年比。また、「ピーク」の文言は使用せず、基本的利用率が一番高かった日と、パーセンテージを記す形に統一します。

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全日空
国内線 座席数 1,517,010席(110.9%) ※旅客数 1,049,674人(120.6%・84.9%) 利用率 69.2%(+5.6%)
※ピーチとの合算では1,251,069人(115.4%・94.1%
国際線 座席数 215,074席(252.7%) 旅客数 163,486人(275.3%・63.4%) 利用率76.0 %(+6.3%)
 ANAは、旅客数のみコロナ禍前の実績を公表しているが、対象が2018(H30)年になりました(下線で表記)。理由は記されていないが、後述のJALと同様、2019(H31~R元)年が10連休だったので、単純には比較できないと見たのだろうか。
 国内線の方面別では年末年始から、「その他」に「LLP対象路線」が含まれています。LLPとは「地域航空サービスアライアンス」の事で、去年秋より、九州(長崎・鹿児島)の離島路線の維持を目的として、航空会社の系列を跨いで設立されたものです。ANAでは、AMX・JACの一部便に、ANAの便名を付与したコードシェア運行を行っています。
 その国内線では、座席数・旅客数とも前年を上回りました。旅客数は「その他」が前年比134.2%と一番の伸びだが、その「LLP」対象路線を含んだ事があると思われます。それ以外では中国・四国路線が、前年比で一番増えました。利用率では関西方面が76.7%と最も高かった。なお、今回は「15歳以下と64歳以上の利用が多かった」旨、利用者の年齢層にまで踏み込んだ記述がありました。
 最高の利用率は、下りは5月3日の93.5%、上りは5月7日の95.7%。5月1日は谷間の普通の平日という事もあってか、上下合計で45.4%と低かった。羽田発着の臨時便を64便運航。
 国際線は、中国路線の旅客数が前年比1040.8%と、10倍以上になりました。入国規制の緩和が大きかったと思われる。が、利用率は54.2%とまだまだ低い。方面別では最低。最高は北米路線で、84.5%になりました。ハワイ路線は旅客数が前年比542.8%と中国路線に次いで伸びが大きく、「コロナ禍前の9割にまで回復した」としています。5月5~7日のハワイ発はほぼ満席だったそう。
 最高の利用率は、日本発は4月29日の90.0%、日本着は5月7日の88.3%。全日、上下計では70%以上をキープしました。
 
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日本航空
国内線 座席数 1,067,532席(97.2%) 旅客数 849,064人(111.8%) 利用率 79.5%(+10.3%)
国際線 座席数 209,852席(200.1%) 旅客数 151,735人(229.8%) 利用率 78.0%(+9.3%)
     
日本トランスオーシャン航空
 座席数 102,771席(98.7%) 旅客数 68,649人(112.2%) 利用率 66.8%(+8.0%) 
   
琉球エアコミューター
 座席数 18,899席(110.5%) 旅客数 12,095人(100.4%) 利用率 64.0%(△6.4%)

 JALは「2019年度は10連休だったため、2018年度との比較を記した」旨、記載があります。
 国内線の利用実績はJAL・JTA・RACの合算が記されているが(ここでは各社別に記載)、この3社合計の乗客数(1,189,202人)が2018(H30)年比101.5%となり、コロナ禍前を上回りました。2019(H31~R元)には及ばないが、4年前は特殊だった、という事だろう。
 なおJALでは、LLPの一環で、ORC便でのコードシェア運航を行っているが、ここには含まれていない。
 座席提供数はB777ー200・300の引退が進んだからか若干減ったが、旅客数は増加し、利用率は全方面で70%を上回りました。
 最高の利用率は、下りは5月3日の95.2%、上りは5月7日の94.6%。臨時便は、JALは羽田・セントレア発着の38便を運航したが、前年の85便からは大幅に減少しました。定期便の復便が進んだからだろう。JTAはセントレア~那覇2便を運航。
 国際線は、中国メインランドの5都市(北京・大連・上海・広州・天津)への座席数は前年比で10倍を超えたが、旅客数は前年比892.1%にとどまり、利用率は50.2%と、ここも方面別では最低になりました。去年は運航がなかったソウルへは83.8%で、方面別最高になりました。
 最高の利用率は、日本発は4月29日の91.9%、日本着は5月7日の90.7%でした。臨時便・チャーター便は前年に続き運航なし。
(JALグループは、両方向の合算の利用率は公表していない)

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スカイマーク
国内線 座席数 246,561席(97.8%・102.3%) 旅客数 210,688人(130.6%・100.2%) 利用率 85.5%(+21.5%・▲1.7%)
国際線 運航なし
 コロナ禍前は、2019(H31~R元)年との比較でした。座席数は、前年比では減少している。最高の利用率は、下りは5月3日の96.8%、上りは5月7日の97.6%。上下とも、70%を割った日はありませんでした。
   
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エア・ドゥ
 座席数 78,552席(98.1%) 旅客数 72,237人(103.8%) 利用率 92.0%(+5.1%)
 コロナ禍前との比較はなし。昨年7月就航の札幌(新千歳)~福岡線が含まれているが、座席数は前年より減少。 最高の利用率は、下りは5月3日の98.9%、上りは5月7日の99.1%。下りは全日、80%以上の利用がありました。5月1・2日も、下りは90%を超えています。

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ソラシドエア
(ANA販売分は含まず)
 座席数 86,753席(101.7%・122.1%) 旅客数 60,152人(104.1%・96.9%) 利用率 69.3%(+1.6%・▲18.1%
 コロナ禍前は2019(H31~R元)年との比較でした。前年よりは上回っているが、利用率がまだ低く、70%に届かなかった。最高の利用率は、下りが5月3日の94.0%だが、その他の日は全て、80%に達していない。上りは5月7日の97.4%。3月31日のリリースで、臨時便の運航が予告されていた。 

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スターフライヤー
(ANA販売分は含まず)
国内線 座席数 50,248席(112.0%) 旅客数 44,636人(126.3%) 利用率 83.5%(+9.4%)
国際線 運航なし
 最高の利用率が他と若干違う傾向になり、下りは5月7日(92.7%)になりました。5月3日は89.3%。下りは全日、80%以上になりました。上りも5月7日の98.4%が最高だが、5月3日も92.6%になりました。
 
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フジドリームエアラインズ
 座席数 72,688席(106.8%) 旅客数 58,324人(117.6%) 利用率 80.2%(+7.3%)
 最高の利用率は空港別に公表され、名古屋(小牧・セントレアの合算)は発が5月3日(95.4%)・着が5月6日(97.3%)、静岡は発が5月3日(96.5%)・着が5月6日(96.1%)、松本は発・着が共に5月3日の97.0%、神戸は発が5月3日(90.7%)・着も5月3日(95.6%)。
   
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IBEXエアラインズ
 座席数 7,056席(75.3%) 旅客数 5,716人(70.6%) 利用率 85.7%
 前年度より利用がかなり減っている。年末年始同様、前年度運航があった仙台~広島・松山線の期間運航便の運行がなかったからか。最高の利用率は、下りは5月3日の93.4%、上りも5月3日の95.9%。

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ピーチ
 ピーチ独自の利用実績についてのリリースは、確認できませんでした。

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ジェットスター・ジャパン
国内線 座席数 160,984席(106.5%) 旅客数 144,118人(116.3%) 利用率 89.5%(+7.6%)
国際線 座席数9,720席 旅客数7,822人 利用率80.5% 
 国内線は17路線を運行。最高の利用率は、下りは5月2・3日で共に94.7%、上りは5月6・7日で96.5%になりました。下りは全日、利用率が80%を上回っています。
 国際線は3月26日にセントレア~マニラ線が再開して、成田~台北・マニラ線と合わせて3路線の運航。最高の利用率は、日本発は4月29日の93.0%、日本着は5月7日の92.2%。

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スプリング・ジャパン
国内線 座席数 21,924席(128.9%) 旅客数 18,903人(230.0%) 利用率 86.2%(+37.9%)
国際線 座席数 3,106席(544.0%) 旅客数 1,891人(375.9%) 利用率 60.9%(▲27.2%)
 国内線は3路線を運航(成田~佐賀線は土曜日のみ)、かなり復調したのかと思えます。最高の利用率は、下りは5月2日の98.6%、上りは5月3日の96.1%と、他とかなり異なる結果が出ました。期間中、新千歳・広島路線では増便も行われた模様。
 国際線は、現在は成田~ハルビン線を週4日(月・水・金・日)、成田~天津線を週3日(月・水・土)運航。期間中の最高の利用率は、日本発・日本着とも4月29日でした(発95.8%・着96.3%)。5月1日は日本発・着とも50%を割りました(着は28.3%)。

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ZIP AIR TOKYO
 座席数37,700席(206%) 旅客数 28,406人(383%) 利用率 75.3%(+34.8%)
 最高の利用率は、日本発は4月29日の97.1%、日本着は5月6日になり、93.5%でした。現在、成田~ソウル・バンコク・シンガポール・ホノルル・サンフランシスコ・サンノゼ・ロサンゼルス線を運航。 

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 以上、相当におおざっぱだが、今GWの航空輸送についてまとめてみました。
 国内線は、一部を除いてコロナ禍前に戻ってきたか、あるいは上回りました。潜在的な旅行熱は高かったという事か。ただ、5月1・2日に年休を取れば9連休になる人が多かったはずだが、4月29・30日は、もちろん大半のキャリアは利用が多くなったが、5月に入って以降より高くはなりませんでした(コロナ禍前の2019(H31~R元)年の10連休では、下りは4月中がピークになっている所が大半だった)。今回は普通の平日も挟んでいるし、さすがにいきなり9連休で羽根を延ばす、という雰囲気になり切れなかった、かも知れません。全体的には、下りは80~90%と平均的、上りは、4月は70%台位で、5月3日以降大きく増える、という傾向になりました。
 国際線は、報道に拠れば、もちろん大幅に回復しているが、まだコロナ禍前の2/3程度に留まる、という利用になったようです。中国メインランドは、ある程度入国規制が緩和されているが、やはり「ゼロコロナ」政策の混乱が、GWでも尾を引いているような感じです。ANAのリリースには「今後ますます海外旅行が盛り上がることを期待しています」と記されているが、それは、今期はまだまだ低調だった、という利用実績の裏返しでは、なかったか。
「第9波」はまだ懸念材料だが、ともかくコロナ禍はもう「5類」に移行、WHOの「緊急事態」も終了した事で、もう後戻りはできないし、させてはならないと思います。次は夏のお盆シーズンに分析を行うが、是非ウィルスの心配を、今以上にしなくて済む、楽しい夏休みを迎えたいものです。それが、航空(だけでなく交通全般)のためにもなる事です。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けません。何かありましたら、引き続き本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
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 京急が今日、今年度の設備投資計画を発表しました。1000形を8連×1本・6連×1本新造(「サスティナ」になるのか注目)。また2026(R8)年度までに、全車両に防犯カメラを設置する。一部車両ではフリースペース新設、非常通報装置増設、固定窓の一部開閉化を行う。品川付近、大師線の連続立体交差事業を引き続き推進。4年前の新町事故を踏まえ、踏切障害物検知装置を赤外線レーザレーダを用いたものに更新するほか、制動操作支援システムの導入を進める。ホームドアは、2023~2024年度は青物横丁・梅屋敷・六郷土手・八丁畷・生麦・弘明寺・杉田・金沢文庫・金沢八景の各駅に設置する予定。神奈川新町駅で大規模な改良工事(橋上駅舎化)に着手し、エレベーター・エスカレーターの他、道路との接続橋を整備する。羽田空港第1・第2ターミナル駅の引き上げ線新設、泉岳寺駅の再開発計画に連動した改良を推進する。投資総額295億円。なお別リリースで、10月1日の運賃改定時より、小児IC運賃を75円均一にするほか、「空港連絡特殊割引」の廃止を発表しています。

《What's New》
 8日 熊本県益城町役場 新庁舎で業務開始
 9日 マイナンバーカード コンビニ証明書交付システム 河野デジタル相 一時停止を要請
10日 トヨタ自動車 昨年度営業収益37兆1542億円 過去最高も減益

 今回の航空利用実績の分析で、ピーチは自社独自の実績は公表しなかったが、別リリースで、現在展開中のアニメ「ひろがるスカイ!プリキュア」とのコラボ企画で、新たにイラストを発表しました(既にラッピング機が飛んでいる)。ところで今回の「プリキュア」、シリーズでは初めて4人中1人が男の子(キュアウィング・夕凪ツバサ)になり、コラボイラストではパイロットの制服を着用しています。アニメを見ていないからはっきりとは言えないが、この設定、やはり昨今のLGBTQに関わる関心・意識の高まりが背景にあるのでしょうか?大河ドラマでさえ、「どうする家康」の第10話、側室選定に関わるエピソードは明らかにLGBTQを意識したものだったし、他にも同様の映像作品が、最近目立って増えてきています。航空ではCAの制服もその辺を考慮したデザインになってきているし、今後乗り物の世界も、LGBTQの存在を、ビジネスでも、実際の運営でも、より深く意識せざるを得なくなってくるのでしょうか。