№2636 駅の時刻表から見る 私鉄ダイヤの変遷 21.東武東上線 ふじみ野駅 〔前〕

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「駅の時刻表から見る 私鉄ダイヤの変遷」、今回は東武東上線のふじみ野駅です。
 ふじみ野駅は1993(H5)年11月15日、鶴瀬~上福岡間に新規に開業した駅です。古くからある両隣の駅を差し置いて、いきなり急行停車駅としての開業となりました。今年の暮れにはちょうど、開業から30年となります。ふじみ野駅共々、東上線のダイヤの30年の変遷を、振り返ってみたいと思います。

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 開業から間もない頃の、ふじみ野駅(西口)です。駅はそんなに変わっていないかと思うが、周辺の開発はだいぶ進みました。今はここから、ららぽーと富士見へ行くバス路線もあります。

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 去年東口の階段に掲げられていた、富士見市市制50周年記念の横断幕。
 あれ?と思われた方も、おられるかも知れません。少々ややこしいが、ふじみ野駅があるのはふじみ野市ではなく、富士見市です。開業当時はふじみ野駅を囲むように、上福岡市と大井町がありました。「平成の大合併」で両者は合併してふじみ野市を名乗る事になったが、ふじみ野市にある駅はふじみ野ではなく上福岡駅、という事になります。ふじみ野市では現在、市内循環ワゴン「ふじみん号」を運行し、ふじみ野駅前(東西とも)にも入ってくるコースがあるが、越境して乗り入れているという事になります。

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1993(H5)年11月15日改正(開業時)
 当時の東武は東上線のみ、ダイヤが平日・土曜日・休日の3本立てになっていたが、土曜日ダイヤについては、ここでは割愛させて頂きます。
 当時の東上線は、基本的には急行・準急(当時は青で表記)・普通の3本立て。この改正で準急が30→15分間隔となり、日中は15分サイクルが確立した。急行は、改正前は先行する準急を追い抜けなかった事もあり、池袋~川越間は日中でも31~33分かかっていた。ふじみ野開業により、ここでの追い抜きができるようになって、停車駅が増えながら、同区間はちょうど30分に短縮されている。
 平日(と土曜日)の朝ラッシュ時には、通勤急行が設定されていた。
 また当時は特急(ふじみ野通過)が平日1往復・土曜日・休日各3往復あって、特に土曜日・休日の1往復は池袋~寄居間の直通だった。この改正前は、休日は下り7本・上り6本の設定があり、全てに愛称があって、特に秩父鉄道直通が2往復(三峰口発着〔みつみね〕・上長瀞発着〔ながとろ〕)あり、その名残と言える列車だった。当時の東上線池袋口は8連と10連の混用だったが、寄居特急の他、平日にも6連があった(下り5時40分発森林公園行・上り21時32分発準急池袋行)。特急は、池袋~川越市間の停車駅は志木のみだった。

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1994(H6)年12月 7日改正
 この改正から、土曜日と休日が一本化された。
 後に副都心線の一部となる、有楽町線新線の池袋(新線池袋と呼称)~小竹向原間(要町・千川駅はまだない)が開業、東武と西武からそれぞれ直通列車が設定された。東武は、基本的には新線池袋~志木間の折返し運転だが、朝方にはふじみ野からも新線池袋行があった(森林公園からの送り込み運用と考えられる)。
 時刻の変動はあるが、急行・準急・普通の3本立てによる15分サイクルは変化がない。
 特急は、平日は設定がなくなり、土休日は下り3本・上り4本が運行されている。うち1往復は引き続き寄居直通。

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1998(H10)年 3月26日改正
 急行が朝霞台に新規停車した(通勤急行は引き続き通過)。日中の15分サイクルは、ここでも変わっていない。
 特急が再度平日にも設定された。平日は下り2本・上り1本、土休日は下り3本・上り2本を運行。平日・土休日共、池袋~川越間がノンストップになった。一方で土休日に1往復運行されていた寄居直通は、小川町~寄居間はノンストップ→各駅停車に変更されている。

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2002年 3月26日改正
 当時東上線では、森林公園~小川町間の複線化工事が行われていて、まず森林公園~武蔵嵐山間が開業した。途中、つきのわ駅が開業している(東上線ではふじみ野以来の新駅)。日中の森林公園行急行の一部が、武蔵嵐山まで延長された。武蔵嵐山行、という列車が見られたのは、この時の改正ダイヤが唯一だった。
 また特急は、午前中の上りと、午後の下りにも各1本設定された。ひょっとしたらこれが、後の〔TJライナー〕への布石だったかも知れない(ふじみ野は引き続き通過だったが)。

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「武蔵嵐山行なんてあったの知らないよ」という方も、少なからずおられると思う。ここでは、当時の東上線の小冊子状時刻表の表紙をご覧いただきます。10030系の正面に「武蔵嵐山」と記されている。ふじみ野駅開業時点の東武の時刻表はA4版で、東上線も伊勢崎線と同列で記載があったが、この後両者は分離する。東上線は元々専用の小判サイズを発行していたが、分離後の東上線の全線時刻表は、このサイズのみとなった(今は版は小さくなったが、再び東武全線を記載した時刻表を刊行している)。

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2005(H17)年 3月17日改正
 武蔵嵐山~嵐山(信)間の複線化が完成し、武蔵嵐山行は全て、小川町まで延長された。「武蔵嵐山」行は、3年の短命だった。
(結局嵐山(信)~小川町間の複線化は、今に至るまで実現していない)
 小川町~寄居間は、ワンマン運転が始まりました。
 この年、新型車両50000系が東上線にデビュー、以降地下鉄直通用50070型・〔TJライナー〕50090型へと発展していきます。

 開業からここまで11年とちょっと。当時はダイヤ改正の頻度もそんなに高くはなく、特急の運行形態はその都度変わっていくが、ふじみ野駅に関しては、急行・準急・普通の3本立てで日中15分サイクル、の構造は変わりませんでした。
 しかし、次の2008(H20)年6月14日改正で有料列車〔TJライナー〕がスタートすると、その後副都心線開通・東急東横線直通開始・「川越特急」スタートなど、ダイヤの形態は東上線全線規模で、急激に変わっていく事になります。それを、次回書きます。

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《What's New》
 3日 農家の畑で入社式 東京の食品企業 群馬県で挙行
 4日 フィンランド NATOに正式加盟
 入社式と言えば、相鉄が列車内で入社式をやったというのが、一般のニュースにもなりました。JALでは3年ぶりに全職種参加の入社式が羽田空港の格納庫で行われたそうであり、今回各交通事業者に入社した新戦力が、コロナ禍で傷ついた企業、ひいては業界の復活を支える柱に育つ事が、大いに期待されます。 

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