№2613 バスマガジンvol.117 (講談社ビーシー/講談社)

「バスマガジンvol.117」、先月末に発売になりました。
 表紙は知多バスのBYD J6だが、車両そのものもさる事ながら、現行の一般路線車のカラーそのもののカラーをまとっているのが、結構新鮮に映る。EVにしろ燃料電池バスにしろ、あるいは連節車などでもそうだが、外国車だったり、在来の内燃とは違った走行システムの車両は、PRもあるのだろう、一般の路線車とは異なったカラーになるのが、現状では普通。運行路線・形態などにもよるだろうが、特別なカラーをまとっているうちは、まだ一般に溶け込んでいるとは言えないかも知れない、と思う。

おじゃまします!バス会社潜入レポート Vol.117 知多乗合/豊鉄バス

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 2社を同時に取り上げるのは初めてらしい(豊鉄バスは2016(H28)年のvol.75で掲載)、どちらも名鉄資本、そして愛知県の2つの大きな半島に路線がある点でも共通点があります。
 路線のつながりは当然ないが、セントレア開港の時点では、セントレア~豊橋間の空港バスの共同運行を行っていました。客足がつかずに数年で廃止になってしまったが、親会社の名鉄も、豊橋~中部国際空港間の特急列車(金山折返し運転)を設定していたのに数年でなくなっている。豊橋の人はセントレアの利用が少ない、のだろうか?
 知多バスは、昔はもっと長距離の路線があったらしいが、現在の路線網は「網」とは言い難いかも知れない。東海市・大府市・東浦町、知多市・東浦町、半田市・常滑市、美浜町・南知多町(と言っても現在は河和駅~師崎路線のみ)と4つのエリアに分かれているし、それぞれのエリアの中でも「落下傘路線」が存在する。特に南部は、平成の頃には名鉄知多新線の駅を発着する路線があり、上野間駅~南知多ビーチランドとかの観光路線もあったのだが、名鉄電車も交えて、この付近の公共交通の不振が現れているような気がする。「あゆみ」の写真を見ると、河和駅や内海駅の前に大型路線車が並んでいて、良い時代だったんだろうなあと思ってしまう。
(内海駅~豊浜~師崎方面は、内海駅~河和駅間共々コミュニティバスに移行しているが、委託先は知多バスではない)

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 豊鉄バスは、一応愛知県東部に広い路線網があり、新城にもある程度の路線がある。親会社の豊鉄渥美線の存在がある一方、JR飯田線のローカルなイメージがあって、山間部の路線はあまりイメージが湧かないが、昔はこちらにも豊鉄の電車があったのだから、路線網があって当然で、訪れた事がないのは恥ずかしい。しかも新城は近年、新東名高速が開通し、首都圏~名古屋・京阪神間のJRの高速バスも停車するようになり、新たな展開を迎えているようだ。いずれは行きたい、と思っているのだが。でもやっぱり、「菜の花」の写真もある通り、渥美半島のイメージが強い。中型車でいすゞが導入されたが、現在三菱ふそうは中型車のモデルがないので、確かに今後は増えそうだ。豊鉄バス・豊鉄観光バス・豊鉄ミディはいずれも豊橋鉄道100%子会社で、資本的には対等という事になる(豊鉄観光バスも、豊鉄バスの子会社ではない)。ここに至るまでの過程は、やや複雑だ。
 師崎港~伊良湖港間のフェリーは、2014(H26)年に廃止になってしまっている。だから間にフェリーを挟んだ知多バス~豊鉄バスの乗り継ぎは不可能だが、高速船を篠島で乗り継げば可能(篠島~伊良湖港間は河和港が始発)なので、こういう旅も面白いかも知れない。

移籍バスの行方を追跡
 第11回は京浜急行バスで、初期のPー・U-規制車。中ドアが両開きの車両はかなりクセのあると思うが意外に移籍先が多かったように見える。阿寒バスに移ったトップドア車は、以前は〔空91〕系統と名乗って一般路線バスの扱いに近かった横浜駅~羽田空港路線に使用されていた車両だが、うってつけの移籍先だったのではないだろうか。と、最初に見た時は思いました。北は旭川から南は石垣島まで、譲渡先が幅広い。

帰ってきた 路線バス全方位レポート Vol.49 鹿児島県
 こちらは前回は、創刊間もない2004(H16)年のvol.3で取り上げられていました。この後林田バスがいわさきグループした後、いわさきグループの再編が行われて、本島に関しては、鹿児島交通に一本化されています。また、桜島町営バスは市町村合併により、鹿児島市営バスになっています。宮崎交通の乗り入れはなくなった。当ブログでも以前書いたと思うが、特に鹿児島市に関しては、いわさきグループと南国・鹿児島市営の関係があまりよろしくないように思える。テキストに記されていたICカードは、両者の相互利用は可能だが、そんなに大きくはない都市で複数のICカードが流通するのは、あまり好ましい事ではないだろう(長崎市もそうだが)。コロナ禍に伴う一般路線の減便は今も続いていて、地域内のバス会社が対立している場合ではないはずだ。
 島のバスが見られるのは嬉しい。

鈴木 文彦が斬る!バスのいま
 私は独身で子供がいないし、教育関係の仕事をした事もないから、現場の実情は解らない。だから「大型バスとかではなく、小型のワゴンタイプで置き去りを見逃してしまうのはなぜ?」という疑問は、私の中にもあります。そんな特殊な作業ではないはずだし、車内の点検をするのに、数秒しかかからないんじゃない?しかし、ここにも「人手不足」があるという。またルーチン化した作業(特殊ではない故)、という問題も指摘されていたが、仲間内だけの職場の送迎とかだと、そういう事が起きそうな気もするが、明確に「見守る側」と「見守られる側」の関係があるドライバーと園児・幼児では、そういう事はないんじゃないかと思ってしまうのだが。
 今号では別記事で、置き去り防止のための機器類についても取り上げられていたが、この問題だけではなく、やはり最後は人間の意識にかかってくるのではないだろうかと思う。機器に頼りっぱなしだと、それはそれでまたミスにつながりそうだ。機器と人間、両方がそろってのチェック体制が求められる。
 プロのバスやタクシー会社への委託(営業ナンバー化)するというのも、この際ありかも知れない。私鉄などの系列で、この手の事業を専門にしている事業者も少なくない。今号の「潜入レポート」で取り上げられた豊鉄バスの関連会社の豊鉄ミディもそうだし、関東だと西武総合企画などがある。一般路線バス会社でも行っている所は少なくない(私の地元の神奈中バスもやっている)。ただ、営業バス事業者も今はドライバー不足だし、不特定多数が集う一般の路線バスなどとはまた違った「旅客」(児童・園児など)への対応の仕方を習得する必要もあるだろうと思うので、これも簡単ではないかも知れない。新規参入組だと、運行そのものの安全性が心配かも。お父さんお母さんにとって大事な子供の安全をさらに外部に委ねる事になるのだから、委託するなら、信頼できる事業者を慎重に選ぶ必要があります。
 今回は自家用バスが中心だが、営業のバスでも、たまに起こる事があります。都営バスあたりだと、終点到着後の自動アナウンスで「乗務員は車内点検を行ってください」と言ったりもするが、これも「慣れ」が関わると、聞き過ごされてしまうかも知れない。また、駅前広場やバスターミナルではない終点だと、道路状況によって長い時間、点検のための停車ができない事もありうる。結局、自家用だろうが営業用だろうが、バスの運行に直接携わる者だけでなく、外部ももっと、バスの運行の安全(事故などだけでなく、車内で起こる事も)のために支援する仕組みの構築が、求められるのだろうと思います。

終点の情景を求めて
 外ヶ浜町営バスの竜飛岬灯台。今回蟹田から竜飛岬までの乗り継ぎで利用された外ヶ浜町営バスと今別町営バスの路線は、共にかつては青森市営バスで、蟹田から三厩までは直通運転だった。35年前の「Bus Japan №8」では、種村 直樹氏による北海道松前から下北半島経由津軽半島への乗り継ぎの終盤で出てきて、真冬のバスの運行の厳しさも書かれている(当時の青森市営バスは市域から相当かけ離れた地域の運行も多く、種村氏は「東部営業所に掲げられていた路線図を見て、その運行範囲の広さに驚かされた」と記している)。加藤 佳一氏も同行し、別に加藤氏による記事もあるのだが、今回乗車したのは旧青森市営バス、という事は記されていなかった(青森市営バス時代は灯台までは行かず、「竜飛」が終点で、灯台へはそれこそ「階段国道」を登る必要があった)。外ヶ浜町営バスと今別町営バスを交互に乗り継ぐのはあれ?と思ったが、外ヶ浜町は旧蟹田町・平館村と旧三厩村の合併で出来ていて、今別町を挟んで2つに分かれている。鯛島は、青森から函館へ向かうフェリーから見た事がある。鯛というよりクジラを連想させたが。むつ湾フェリーは船の費用負担を巡る関係自治体の合意がまとまり、2026(R8)年の就航を目指すという事です。

平成初期のバスを振り返る
 宗谷バス。稚内はもう、何十年ご無沙汰しているだろう?そろそろ行かねばと思う。宗谷本線になるはずだから、宗谷バスの高速バスではなくて申し訳ない、という事になるが。平成初期の時点ですでに、元東急バスが主力になっている。天北線廃止代替バスは、一時廃止が決まっていて、それが急転直下存続になったという経緯があったと思う。元岐阜バスの貸切車のフロントに東急のマークがあるのが面白い。

「ニュース&トピックス」で、臨港バスの連節バススタートの話題がありました。ここではまだ「具体的な運行方は近日発表」とされていたが、3月1日に運行開始、平日の朝夕に急行タイプで12分毎の運行、という感じになります。川崎市営バスからは、この運行開始に対応したと思われる再編成がリリースされているが、臨港バスは、他系統の運行形態については、今日現在では発表がない。

 次号は、潜入レポートは広島バス、全方位レポートは大阪府。前後編になって、パート1がどこまで書かれるか解らないが、大阪府は創刊直後以来、この約20年弱ではやはり大阪市営バスの民営化が大きいだろう。「うめきたエリア」開業は、なにか影響を与えますかね?

 当ブログでは直接のコメントは受け付けません。何かありましたら、引き続き本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。


 三菱「スペースジェット」がついに開発取りやめ、事業撤退に向かう事になってしまいました。今後は技術・経済・さらには政治の様々な面からこの事業の検証がなされ、様々な反応が出てくる事になるだろうが、やはり飛行機は飛んでナンボなので、初飛行が大幅に遅れた事が、結果的に致命傷になったのは間違いなかろう。さて、日本ではANAがローンチカストマーで、後にJALも発注したが、他社も含めて、リージョナルジェットに関わる機材計画は、どうなるのだろう。特にANAはリージョナルジェット機がグループにないのがハンデだと思うので、すぐに新機材の導入を考える事になるのだろうか。エアバスA220シリーズ(旧ボンバルディエCシリーズ)?
 東京都交通局のツィッターのアカウントがロックされ、更新時点では情報の配信ができない状態との事(公式WEBやアプリで配信)。何があった?

《What's New》
 5日 オホーツク海沖合に流氷確認「流氷初日」 平年より12日遅
 6日 中国本土・香港間往来 制限全面撤廃
 7日 レブロン・ジェームズ NBA歴代最多得点記録を更新
 8日 原子力発電所老朽化対応新制度 規制委員会 決定先送り

 トルコ・シリアの地震は、犠牲者が1万人を超える大惨事になってしまいました。現状では、亡くなられた方々にはご冥福をお祈りする、としか言いようがない。ビルディングが次々に、沈むように崩れていく映像は、ショッキングでした。さすがに日本では考えられない(油断もならないが)光景で、トルコもまた地震が多い国なのに(東日本大地震が起きた2011(H23)年にはトルコでも大地震が起きている)、建築物は明らかに、地震に極めて弱い、としか見えない。心配なのはシリアで、被災者の直接の苦境もあるが、これがまた強権的な政治体制に、都合よく利用される心配が、在りはしないか。