№2582 留萌本線中心 やや弾丸っぽい北海道1泊2日の旅 3.留萌本線・最後の旅(後)

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 年齢がバレてしまうと思うが、旧留萌本線の留萌~増毛間に乗ったのは、国鉄時代末期になってでした。しかし…、ほとんど記憶にありません。今と違って写真をあまり撮っていなかった事もあるが、何よりその日は体調が極めて悪く、その後乗り継いだ羽幌線の車内では、ろくに車窓も見ずにウンウンうなっていました。何しろ翌日の稚内では旅行中というのに病院に行って、点滴まで打ってもらう羽目になったのだから。私の人生には重大な後悔がたくさんあるのだが、その中の一つです。
 羽幌線は国鉄が翌日一杯で終わるという1987(S62)年3月30日を持って、留萌~増毛間も6年前、2016(H28)年12月4日を持って廃止になりました。結局両路線とも再訪の機会なし。もう鉄道で日本海の車窓を愛でる、のはもう叶わないのだが、せめて増毛間ではバスででももう一度乗っておきたい、そう思い、留萌からのバス車中の人となったのでした。

 深川で預けそこなったバッグだが、コインロッカーは深川駅にないのなら、留萌駅にあるはずもない。ただ駅員に聞くと、観光案内所が無料で預かってくれるというので、少々距離があるが行ってきました。助かった…。

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 留萌市内のバスの中心は留萌駅、ではなく、歩いて5~10分くらい、かな…、留萌十字街という場所になります。しかしここはバスターミナルなどではなく、本当に、ただの十字路にバス停があるだけ。一応待合室もあるが、窓口等は一切ない。

 増毛へ行くバスが停車する留萌駅前は、そうは言っても駅前の広場ではなく、駅前の十字路の右手にあります。両方向に待合室があり、ここは一応窓口もある、が、現状の営業は、月・水・金の9時30分~16時30分のみだそう。
 なお、このすぐ近くに、札幌からの中央バスの留萌ターミナルという場所もあります。ただし現在は有人の窓口は廃止、乗車券は自動販売機で発売する他、遠隔接客システムで対応しているそうだ(今回は行かなかった)。
 鉄道廃止後のバスの形態はまだ解らないが、鉄道廃止後の留萌駅の現交通広場を活用した、統一バスターミナルを造る事も、考えられるべきではないだろうか。でないと核となるターミナルがないと、路線網などが解りづらくなると思う。

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 その留萌駅前から、13時40分発大別苅行に乗車(始発は留萌市立病院)。日デの大型。どこかからかの中古車両だろう。バス停の女の子が…。

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 国道231号線を南下する。右手には日本海。

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 30分強で、旧増毛駅に着く。本当に、旧増毛駅の真ん前。
 この建物は、廃線時の駅舎ではなく、廃止の数年後に建て替えられたものらしい。

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 現役時代の、留萌線の写真が並んでいる。存続していれば、去年が開業100周年だった。

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 サヨナラ運転のヘッドマークと、(あまり見なくなったけれど)ポイントの標識。

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 廃止区間の路線図。

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 壁の上には、昔の留萌駅から、現状の旧留萌駅まで。昔は線路が多かった。貨物列車で相当賑わっていたのだろう。

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「増毛線」(と呼んでいたのか)の豆知識?「信砂~舎熊間は900mしか離れていなくて、地下鉄以外の駅間では北海道最短」と記されているが、信砂は国鉄時代は正式な駅ではなく仮乗降場、国鉄最終日に駅に格上げになった。それにしても確かに短い。北海道だと、隣の駅まで5~10㎞は平気で離れていて、今の石北本線の上川~白滝間は37.3㎞だ。今の最短駅間はどこになるのだろう?民営化の前後に、特に札幌近郊で駅が多数開業したが、それでも1㎞を切る区間は、詳しく調べたわけではないが、どうやらない?。

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 しかしこの中では、留萌線より、増毛町内の「無電柱化」のPRの方が、扱いが大きいような気もした。
 後は、地元の物産販売が中心の様子。時々観光客が訪れていた。

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 ホームは、ほぼ昔のまま、のようだ。

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 かつては貨物用の線路が並んでいた空間も、今は広々とした空き地だ。

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 駅名標が残されている。

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 一方では、背の高いモニュメントが設けられていた。

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「テルミヌスへの願い」というそうで、旧増毛駅の新しい建物ができたのと同時に造られたようだ。

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 14時50分発のバスで帰ります。先の大別苅行がそのまま折り返してきた。旧増毛駅バス停は、上下とも同じ場所(寄り道する形態)。
 なおここからは、運行日限定で札幌行のバスもある。ただダイヤからすると、ヨソ者は利用する機会がなさそうだ。

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 晴れたり曇ったりで、行きは青かった日本海も、帰りはどんより曇り空を反映して、グレーになっている。これが北海道の晩春、というか初冬、か。

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 右手には、線路跡がまだ残されている。これ、コンクリ橋だからそんなに古くはないと思うのだが。

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 旧礼受駅の、車掌車改造の待合室まで、未だに残されている。

 さて、留萌に帰ってきてまだ少し時間があるので、D61を静態保存展示しているという見晴公園へ行ってみようと、留萌十字街の一つ先、錦町で降りて歩いて行ったのだが…。

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 あ、あれって…。


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 ガーン、だ。全部ブルーシートで覆われてしまっていて、姿を拝む事ができない。冬季の対策なのかも知れないが、何という事だ…。

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 保存されているD61 2の説明書き。D61は、あのD51の従台車(運転室の真下)を2軸に改造したタイプだが、6両しか造られなかった。現存するのがこの1両だけ、なので見たかったのだけれど…。

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 バッグを預かってくれた、観光案内所。地元の物産のほか、留萌線グッズも販売している。お礼、というわけでもないが、いくらか購入。

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 ここで購入した、クリアファイル3種。現役時代の増毛駅と、現状の留萌本線、それに、旧札沼線の新十津川~石狩沼田間の各駅。

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 留萌とのお別れの時が来た。留萌駅は駅員がいるので、乗車券類も購入できる。明日の事も考え、新千歳空港まで通し。また、深川からの特急券(昨日書いた通り、キハ40形代走による所要時間増で深川の乗り換え時間が無くなるのだが、駅員の話では待つ、という事だった。当たり前ではあるが)も込みで購入する。C/Cもちゃんと使える。もうすぐ見られなくなる、「留萌駅発行」の5文字。

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 4928Dの改札を待つ行列。

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 使われなくなったホームへの跨線橋。もちろん立入不可。上の方には、番線案内の表示器が残っている。「深川行…2番線 幌延行…3番線」とか、表示されていたのだろう。

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 改めて、キハ40 1758の車内。そんなに大掛かりな改造はされていなくて、デビュー当時の姿をほぼ留めていると見える。かなり近代的、と昔は思ったのだが、今の若い人から見ると、「レトロ」に見えてしまうのだろうか。

 これで、留萌とはお別れ。鉄道がない留萌には、申し訳ないが正直、再び足を踏み入れる機会は、ないような気がしてならない…。

 この先は真っ暗になるので、正直車窓に関しては、見るものがほぼない。特に駅間には、人家がないに等しいので。

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 峠下で4929Dと交換。旭川始発で、キハ150形単行。

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 現在、留萌本線で行き違いができるのは、峠下1か所のみだ。だが、1日の乗降客は1人に満たない、らしい。

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 石狩沼田駅は、当然無人駅になっているが、待合室の明かりがやけに明るく感じられた。

 来年、石狩沼田~留萌間が廃線になると、その後の交通体系はどうなるのだろうか。「留萌~増毛間と違って、さすがに何がしかの手当がなされるだろう」と前に書いたが、改めてJR北海道が公表しているデータを見ると、この区間の流動が輪をかけて少なく(振興局の境界を跨ぐ事もあるだろう)、新しく代替バス路線を設定する可能性は、ない気がしてきた。現在沼田町内は停車しない沿岸バス・道北バスの旭川~深川~留萌線を、再度増便の上沼田町内のどこかに停車させ(必ずしも石狩沼田の駅前ではないだろう)、あとは沼田町内、留萌市内それぞれで、各自治体が何らかの手段を用意する、という方向に落ち着くような気がする。寂しい話ではあるが、現実は、受け入れなければならないだろう。今日現在、留萌市・沼田町とも、代替交通に関しては何も言及していない(留萌本線廃止が来春に繰り上げ、という事も記されていない)が、留萌市内のバス路線網整備があるかどうかも含めて、今後を注視したいと思います。

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 さて、深川は本来の定刻より5分遅い17時20分の到着。〔ライラック36号〕の発車時刻を過ぎていて、ホームには789系の姿もあるのだが…。

 当然向こうはこちらの到着を待っていて、「お乗り換えの方はお急ぎくださーい」みたいなアナウンスが繰り返されていた。自由席に乗りたかったが、階段を下りてすぐの指定席車から乗り込み、車内を移動する。腰痛もちで、しかも重いバッグもあるのに、ヤレヤレだ…(深川でバッグを預けなかったのは、結果的に吉と出たか)。

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 落ち着いてみれば、さすがに座席はゆったりしている。高速バスにはないアドバンテージ、だと思うのだけれど。

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 デッキには、札幌の市電を描いた、味のあるイラストも。

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 函館本線も岩見沢あたりまでは、停車駅近辺以外は人家は少ない。月夜の中を疾走する。

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 遅れはほとんど取り戻せず、札幌は5分近くの遅れで到着。ホームは夕方の帰宅ラッシュ。

 留萌で買った新千歳までの乗車券は、札幌は改札を出なければそのまま千歳線に乗り換えできるが、この日は札幌宿泊なので、白石~札幌間290円払って、改札を出ました。

 留萌本線は残りが3ヶ月強、10日から始まった「青春18きっぷ」シーズン、そして来春、特に3月以降のやはり「青春18きっぷ」シーズンは、相当な人出が予想される。まずは無事故、そして車内や駅でのトラブルなど、起きないように。正直言うと、詳細は書けないが、私も行きの4925Dでトラブルになりそうな事態に陥ったので。JR北海道の方も、廃止自体はどうのこうのは言わないが、車両の整備など万全な体制で、皆がトラブルなく最後を迎えられるよう努めて頂きたいと思います。

 さて、明日はどうしようか。天気次第だが、あまり良くはなさそう…。
 
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posted by 菊池 正人 at 22:00Comment(0)旅行