№2547 JTB時刻表2022年10月号(JTBパブリッシング)

「国葬」がつつがなく終わったが、改めて書くけれど、その是非は、私個人としてははっきり言って、どうでもよい。それよりも、2度の3連休を直撃した、台風14&15号の爪痕の方が、遥かに心配です。14号はJR九州の、特に南部の路線に甚大な被害を出して、それでも大半の区間は、10月上旬には運行を再開できる見込みらしいが、日南線・南郷~志布志間は路盤が完全にえぐられて、再開の見通しが立っていない。「輸送密度1,000人未満」の区間でもあり、存続か否かの議論になってしまうのか。15号の直撃を受けた大井川鐵道はもっとひどく、大井川本線も井川線も全線運休中です。何しろ線路が完全に土砂に埋まってしまっているのだから。大井川はこの10年位、長期運休に追い込まれる自然災害に何度も被災しているし、一般の利用者が激減しているので、下手すると…、とか、その先は口走りたくない方向に、行ってしまうかも知れない(清水の断水も大変だけれどね。エスパルスが飲料の提供を行っている)。8月の豪雨で手酷くやられた東北各線も、今のところは再開の見通しが立っていない。年を追うごとに、鉄道網がズタズタに近い状態に陥っているような気がします。

「JTB時刻表2022年10月号」、先週発売になりました。
 表紙は、今年限りで運行を終了する、釜石線の「SL銀河」。

「のりもの情報局」は、「JR東日本クロスステーション『時刻表ジグゾーパズル 国鉄監修交通公社の時刻表』発売」「カンゼン『東急電鉄とファン大研究読本』発売中」「伊豆急行 伊豆満喫フリーきっぷ発売中」。
 現在自ら時刻表を刊行しているJRが、JTB(交通公社)の時刻表を元ネタにしてジグゾーパズルを発売するのが面白い。

私の鉄道の思い出 ~鉄道愛を語る~
 鉄道開業150周年の記念企画だが、もう少し派手派手しい内容になるかと思っていた。著名人の、鉄道に関する思い出が連ねられている。
 個々の思い出については、私がどうのこうの言う事はないと思う。荒川 好夫氏は、国鉄~JRの移り変わりの取材というのは、多少ジャーナリストの目線が入っているように感じられた。
 私の場合は、どうなんだろう?いい年齢になって、国内も海外も割と乗ったけれど、それ故なのか、強烈な印象、というのは、意外にない気がする。辛うじて、583系〔はつかり〕に乗った事がある、という所だろうか。あとは新幹線でも在来線でも、食堂車を何度も利用した事がある、というのはあるだろう。この辺は、水戸岡 鋭治氏と同じか(787系時代の〔つばめ〕のビュッフェ、行きましたよ!)。
 最近だと、これは今思い出したのだけれど、ちょうど10年前で№733でも書いたが、寝台特急〔あけぼの〕のソロに乗って、朝目が覚めて窓の外を見たら、朝日と鳥海山のシルエットが印象的でした。バスにはない、列車(それも寝台車)の隠れた魅力だと、改めて思い知らされたものです。時すでに遅しの感もあったが。
 次の150年の、鉄道による「思い出づくり」、となると、というか10年・20年スパンの事になるけれど、あくまで個人的な願い、に過ぎないが、「エンタメ」的な要素から、ではなく、日常生活の中から、あるいはその延長線上から、「思い出」を紡いでくれる存在になって欲しいと、最近は思います。「無味乾燥な通勤電車」だって、構わないから。この点、最近はちょっと心配な部分が多々あるように、感じられます。この辺は、JRを始めとする鉄道運営事業者が、ちょっと考えて欲しい事です。

特集のページ
「NEWS」の4文字、今月号は昔の特急用客車(展望デッキ付)で、EF58 150号にけん引されているスタイル。EF58 150は国鉄時代末期に茶色一色になり、JR西日本に2011(H23)年まで在籍していた、という事です。

 西九州新幹線開業に伴う、JR九州のダイヤ改正の概要が、改めて記されています。これまでの繰り返しなので、この場では特に追加して記す事はないです。この後本文で、もう少し突っ込んでみます。
「鈴鹿F1日本グランプリ」が3年ぶりに開催(10月7~10日)、先月号では特急の時刻が掲載されたが、今回、臨時快速の時刻も発表になりました。3年前と比較すると、最終日の鈴鹿サーキット稲生21時00分発名古屋行臨時快速の設定がない以外は、基本的には変化はない。予選初日は普通列車だけ、特急と快速は8・9日の運行。
(この他、快速〔みえ〕は、8・9日は全車自由席で運行し、鈴鹿サーキット稲生に臨時停車)
 飯山線は、トンネル工事のため、10月1日~11月20日の戸狩野沢温泉~森宮野原間はバス代行。列車と同じ8往復が運行されるが、森宮野原発のうち3本は、飯山まで運行。

 会社線は、9月23日に改正した島原鉄道と、10月1日に改正する一畑電車の時刻を掲載。島原鉄道は、ついに急行が全部なくなってしまった。南部の区間が廃線になった時点で、1時間に1本は設定があったのに。一畑電車(平日のみ)は逆に、日中の普通電車の一部を急行化したほか、夜間に雲州平田終点の急行を設定(回送の実走化という事)。
 また、千葉交通の東京~銚子間の高速バスが再編成され、銚子発着路線の東京駅はバスターミナル東京八重洲発着となったほか、匝瑳市・旭経由便を設定(「横芝光・旭ルートと称している」)。このためJRバス関東との共同運行の東京駅~八日市場線は、多古~八日市場(匝瑳市)間が廃止。

本文
● 西九州新幹線開業に伴うダイヤ改正は、これまでは新幹線と特急の時刻が公表されてきたが、今号で、普通・快速列車の時刻も掲載になりました。

 まず鹿児島本線(門司港~八代間)のページを見て、ずいぶんスカスカに見えたのには、少々驚かされました。小倉~博多間の本数がだいぶ減っている印象。
 特に、小倉(北九州側)が相当減少しています。
 試しに今回、時刻表を作ってみました。小倉→博多で日中の小倉発11・12時台、特急は除いて快速・普通列車のみです。

鹿児島本線 2022_0923.jpg
「快速」といっても,
日中は全区間の快速運転は取りやめ、区間快速が毎時2本、小倉側はこれに直方直通の普通列車が毎時1本加わるものの(改正前は折尾折返し)、小倉~折尾間は普通列車のみ毎時3本です。折尾~海老津間は区間快速2本のみ。

 参考までにちょうど20年前、2002(H14)年3月23日改正の、同区間・同時刻の時刻表も作成してみました。

鹿児島本線 2002_0323.jpg
※ししぶ・福工大前・千早は開業前
 快速・普通が共に毎時3本、これに直方直通の快速もありました。
 なので小倉~折尾間は、この20年で日中の快速が純粋に全部なくなり、乗車券だけで乗れる列車は半分以下。折尾~海老津間は1/3です。
 同じ福岡県ながら、折尾(遠賀川)~海老津間は一般の旅客の流動の分水嶺になっている所がある、という事情もあるが、それにしてもコロナ禍より前から減少の傾向にはあったものの、ローカル線はまだしも、JR九州一の大幹線区間のはずがここまで減便してしまうとは、いろいろ理由はあるにしても、少々暗澹としてしまいました。
 所要時間の面でも、改正前の快速が日中1時間06分、新ダイヤの区間快速は1時間17~19分、快速も特急の通過待ちがあり(「アーバンネットワーク」の新快速ほどの「王様」ではない)、ガンガン早いわけではないが、やはり遅くなったなあの印象はあります。
 同区間は特急で…という事だろうが、特急も、20年前は〔有明〕もあって毎時3本あったのが、今は〔ソニック〕2本のみ、それも速達タイプは「11月30日まで運転」の臨時列車扱い。運休になってしまう事はないと思う(思いたい)が、JR九州を利用しての2大都市間の移動は、ずいぶん不便になってしまったなあの印象が否めない。
 博多以南も、区間快速が毎時1本削減されて、終点鳥栖まで快速運転1本(せめて久留米まで、とは行かなかったか)、二日市から各駅に停車する列車が1本、それに普通列車が羽犬塚行1本と二日市行の2本だけ。こちらも久留米・大牟田という有力都市への足が、かなり衰えてしまいました。JRだけでなく、西鉄も天神大牟田線の特急が、平日の日中は取りやめになっているので、福岡県自体、他地域以上に日常の流動が減少してしまっているのかも知れない。
 時刻表をスカスカに見せているのは減便だけではなく、平日と土休日で運行区間・時刻が統一された事もあるだろう(朝方に土休日運休の列車が数本ある)。

 下関~門司間は、夕方の小倉以遠との直通列車が全て小倉発着の折り返し運転となり、小倉以遠との直通は、下りは5521M(下関発6時16分→大分着9時23分)、上りは5520M(柳ヶ浦発4時49分→下関着6時39分)及び5522M(行橋分5時57分→下関着6時50分)、上下合計3本のみとなりました。この区間は全列車415系(鋼製車体車は全て引退したそうで、全部ステンレス車という事になる)だが、いつまで使い続けるのか。そして後継車両はどうするのか。

 長崎本線は、今号から江北(旧肥前山口)と諫早で掲載が分割になりました。鳥栖~江北間は佐世保線、諫早~長崎間は大村線と一体で掲載。
 江北~諫早間は、肥前浜~諫早(~長崎)間で電車の運転がなくなったが、途中の乗り換えが必要になってはいるものの、運行本数自体は基本的に変化はなく、江北~肥前浜間では午後に増発も行われている。県境を挟む肥前大浦~小長井間の普通列車は上下各8本で変わらない。下りは江北を17時48分に出発する2157Dが、肥前大浦より先へ行ける最終列車。特急もなくなったから、これ以降江北から諫早・長崎方面へ行きたかったら、それこそ西九州新幹線または佐世保線経由で行く必要がある。
 その佐世保線の普通列車も、日中は江北~早岐間折り返し運転のDC列車(列車番号6000番台)となり、電車列車は朝晩の合計8往復のみ。これは、長崎県内のJR在来線を走る電車の普通列車の全て、にもなります。

 福北ゆたか線(筑豊本線)・折尾~直方間は、改正前は若松~折尾~直方間が日中毎時2本だったが、うち1本を鹿児島本線直通に、若松~折尾間は区間運転に運行形態を変更している。こちらも、平日と土休日の運行区間・時刻を統一(朝方に土休日運休の列車あり)。

 なお、8月号特集のページ「長時間運転列車」で、早岐・肥前大浦発門司港行がJR九州で1位だったが、肥前大浦編成が肥前浜始発に短縮されたものの、運行形態そのものは変わっていない。早岐発5時33分→門司港着10時07分の4920M~2824Mが引き続き第1位。ただし所要時間は4時間34分と、大幅に短縮されました。
 2位だった延岡→鹿児島中央間753M~6973Mは、南宮崎で完全に分割されて圏外へ。3位の門司港発荒尾行2333Mも、運転系統改編で消滅。一方、熊本15時55分発354Mは、鳥栖で荒木から後を追ってくる区間快速門司港行3238Mに連結されます。門司港着が20時10分なので所要時間4時間15分。これが2位になると思われる(ただし、熊本編成の連結が門司港までになるかは解らない)。
 新ダイヤにおいて、JR九州の普通列車で所要が4時間を超えるのは、この新1・2位の2本のみです。以下は門司港発江北行143M~2887Mが3時間43分、川内発宮崎行2433M~6930Mが3時間35分、このあたりが3・4位となるのだろうか。

● 東北地方は、8月の豪雨で長期間の不通が避けられない区間がいくつもあるが、今号では欄外の注釈のみで、時刻表上では反映されていない。

● 先月9月号で予告だけされていた、281系引退記念〔スーパー北斗〕の時刻が、今号で公表されました。10月22・23日に各1往復運行。

下り
 函館8:35 → 12:16札幌

上り
 札幌12:38 → 16:37函館

 停車駅は上下とも東室蘭のみ。苫小牧とかも停まらないの?デビュー時の1994(H6)年3月号をひも解いてみると、当時の最速タイプは札幌発朝方・函館発夕方と逆で、札幌発〔スーパー北斗2号〕は確かに、東室蘭のみの停車だった。上り〔スーパー北斗19号〕は苫小牧も停車していたが、上下とも函館~札幌間の所要時間は2時間59分だった。当時よりも相当遅くなっている(上りはちょうど1時間遅い)のは臨時列車であるし致し方ないが、それでも定期〔北斗〕に抜かれるようなマネがないのは、アッパレだと思う。当然新函館北斗も停車はなく、下りは「藤城線」経由になるからかすりもしない。全車指定席。

● 札幌駅は新幹線工事のため1番線が閉鎖され、11番線が供用開始。学園都市線(札沼線)の札幌発は、基本的に全て11番線発(653Mが運休になる日(次は10月16日)に運行される最終9653Mのみ10番線発)。

● 高速バスは、バスターミナル東京八重洲開業により、東京駅八重洲口近辺の路上、あるいは鍛冶橋駐車場に発着していた路線が移転。ただ、今回は全路線ではなく、東北急行バス(新庄線は運休中。なお仙台線〔ニュースター号〕はJRバスターミナル発着)、千葉中央バス、ちばグリーンバス等は在来の停留所のまま。バスターミナルはこの先さらに拡張が進められるから、残りの路線も順次移転、という事になるはず。
 東京・新宿~可児・名古屋線は10月1日改正。なお、東濃鉄道が入っているが、JRバス関東からのリースを受けているらしい。先日新宿で、JRバスカラーのまま、裾の部分の社名だけ「東濃鉄道」と重ね貼りされていたセレガを見ました。それにしても、高速バスは相変わらず運休中の路線・便が多くて痛々しい。
● 会社線は、岩手県交通の盛岡駅~鶯宿温泉路線が、今月いっぱいで廃線(繋温泉発着に短縮)。観光地へのバス路線も少なくなりつつあると、以前も書いたが、鶯宿温泉の場合、10月以降の公共交通のアクセスは、どうなるのだろうか?雫石町の公式Webも、県交通バス路線が廃線になるとあるだけで、代替交通機関については、(今日現在)一切記されていない。
 西日本JRバス若江線は10月1日にダイヤ改正を行うが、2往復削減されて1日11往復、最終の1往復は上中折返しになる。小浜の滞泊がなくなり、近江今津発最終が繰り上げ、小浜発初発は2時間も繰り下げになる。これでは、北陸新幹線延伸を待たずに、廃線になってしまうかも?
 ゆいレールは9月1日にダイヤ改正を実施(平日のみ)。本文中には9月30日までと記されているが、10月31日まではこの時刻表で行く見込み。朝・夕ラッシュ時に合計18本(9往復?)増発。初発・最終・土休日は変更なし。
 なお、秩父鉄道が10月1日にダイヤ改正を行うが、今号は記載なし。アウトレット開業に伴う、熊谷~寄居間の大幅増便がメイン。

営業案内
 西九州新幹線に関連する事項としては…。

① 隣接する駅同士の特定特急料金(自由席利用)は870円(他新幹線と同じ)。新大村~長崎間も、特定特急料金が適用される。
② 門司港~武雄温泉間の特急1本(〔リレーかもめ〕など)と西九州新幹線を、武雄温泉駅の改札を出ないで当日中に乗り継ぐ場合は、通しの指定席料金が適用される。博多~長崎間3,190円。全区間自由席の場合は、通常期から530円(嬉野温泉発着は880円)引き。
③ 他の特急との乗り継ぎ割引は適用されない。
④ 諫早~長崎間は、並行する在来線と同じ線として営業キロなどを扱う。
⑤ 西九州新幹線は、12月26~31日が繁忙期、そのほかの日は通常期となり、閑散期はない(JR九州在来線特急と同じ)。
⑥ ICカードは利用不可。
⑦ 車いす対応座席の利用は、最寄りの係員配置駅等に申し込む(電話番号は記されていない。WEBでの予約はできない)。
※ 西九州新幹線の沿線で係員が配置されている(一部時間不在を含む)のは、新幹線各駅の他は、江北・有田・早岐・佐世保・ハウステンボス・大村・浦上など。

 次号の特集は、何でしょうかね?運転を再開する只見線あたりをやってくれたら、嬉しいかも。しかし、ローカル線はなんだか、1歩進んで5歩後退、そんな感じの繰り返しに見えるのは、気のせいか?

当ブログでは直接のコメントは受け付けません。何かありましたら、引き続き本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。


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posted by 菊池 正人 at 22:00Comment(0)時刻表