№2520 バスラマインターナショナル192(ぽると出版)

「バスラマインターナショナル192」、先月末には発売になりました。

電気バス 最新事情
 少人数のガイドツアーのバスで小型EVは、珍しい導入例ではないだろうか。
 やんばる国立公園はBYDのJ6、那覇バスはEVM-J、サイズ的にポンチョのライバルとなるが、大型も含めて、EVもそろそろライバルの競争、という構図が、一部の地域では出始めている。選択の決め手は、何になるのだろう。
「レトロフィット」は、去年横浜市営バスでもエルガの改造で走って、私も実際に乗ってみたのだが、あの後どうなったのだろう?しかし電軌にしろディーゼルにしろ、昨今の燃料代の高騰や電力事情のひっ迫は、コスト以前の問題だろう。燃料価格や税金を下げろという運動は世界各地に広がって、イギリスではノロノロ運転のデモも起きたと聞くが、そうじゃなくって、(コロナ禍という問題もあるが)公共交通への回帰という選択肢を、世論の側も持つべきではないだろうか。それが必然的にEVへの関心を呼んで、EVの革新を促す事になると思う。

バス事業者訪問238 道北バス

道北バス 旭川200か946.JPG
 道北バスは、4年前の北海道旅行で旭川に行った時、旭川電気軌道と共に、結構多数画像を撮ったものでした(旭川は2年前にも行っているが、曇天だったのでJRに乗っていて、撮影はしていない)。札幌の方からJRで来ると、神居古潭の長いトンネルを抜けて近文に近づくと右手に広々とした道北バスの車庫があって、ああ旭川に来たなと感じたものです。
 まず、実際の地理と連動した形の、全体の路線図がないのが少々残念。道北バスの公式Webにもない(PDFの時刻表に記されているのは略図で、長距離バスもあるので距離感もつかみづらい)。一般路線車で一般道を延々と長距離走る路線が少なくなく、長距離路線と市内バスの境目はやや曖昧かも知れない。
 輸送人員の推移をみると、確かに以前から減少傾向にはあったが、それにしても去年は、前年の62.5%に留まり、1/3以上も失われてしまった。何とか500万人台は維持していたのが、一気に400万人さえ割ってしまっている。道北バスのエリアではないが、2年前に富良野に行った時も、観光の賑わいが全く感じられなくて、大変な事になってしまっているな、と感じたものでした(現在、道北バスのWebページには、北海道のバスの窮状を訴える、北海道バス協会からのメッセージが掲げられている)。
 釧路線の、阿寒バスとの乗り継ぎ運行(時刻表上では北見市美園で休憩と書かれている)は、北海道では他に、釧路~根室線(くしろバスと根室交通)でもやっているはず(平日の一部を除いて、厚岸で交代)。この方法は、新城で乗り継ぎになるJRバスの東名高速路線くらいの便数があればいいが、この路線のように2往復と少なかったら(現在午後便が運休中)、休憩場所で必ず上下が出会うダイヤにしなければならないから、ダイヤ設定が多少硬直化しそうなのと、どちらかが大幅に遅延すると反対方向も遅延してしまう可能性がある事は、多少考えなければならない(よほど大きなアクシデントさえなければ、渋滞なんて簡単には起こりそうもない道路事情だとは思うが)。それにしても長距離も一般路線も、さすが北海道で、ちょっと郊外に出れば風光明媚な車窓を存分に楽しめそうな路線ばかり、という感じがしました。
 一般路線の、JR北海道の鉄道路線との関係はどうだろうか。特に留萌本線は、私はもうあと数年しか持たないだろうと思っているのだが、万が一廃線となった場合、多少エリアから外れる事になるが、道北バスにも影響が出るだろうか?
 旭川電気軌道との関係は良好なようで、このまま続いて欲しい。ICカードは旭川のバスでしか使えないが、JR北海道のKitacaも、札幌市内交通のSAPICAも、旭川では難しいだろうか。次回のシステム更新時には考えられても良いかと思う。
 車両面では、やはり北海道らしい、という事か、極端にカーブが多くて坂が急、という路線はほぼないようで、中古車が少なくないが、大型のノンステップ車が多いのは特筆されてよいと思う。前号の東洋バスの時、中古車が道北バスに移動しているようだから出てこないかと思っていたが、さすがにもうないようだ(「アーカイブス」にも出てこなかった)。今後は遠州鉄道から来たという、富士ボディの日野車が、大いに注目されるだろう。もうすぐ30年になるし。
「アーカイブスⅡ」には「ルベシベ」(留辺蘂)行の天窓付きの日デが映っている。この路線は、今は東側の北海道北見バス路線とは分断されてしまっているわけだが、写真のような時代の再到来は、もはや夢のまた夢、でしかないのだろう。

バス事業者訪問239 京浜急行バス

京浜急行バス.jpg
 前回、2010(H22)年2月の118号で取り上げられていました。羽田・横浜・湘南分社の後に、京急電鉄からバス専業として独立して7年、という時期でした。
 こちらは路線の概要が記されていて、基本的には12年前の路線が大方維持されているように見えました。
 地域分社に関しては、12年前にははっきりしたメリットは記されていなかったように読めるが(地域密着になった、という事だろうか)、この直後のドライバー不足でデメリットが顕在化した、というのはどこも同じで、京急バスも例外ではなかったという事か。
 当然コロナ禍の影響は甚大で、輸送実績の推移を読むと、特に空港・中距離路線の輸送人員は、2018年(H30)年度までは右肩上がりだったのに、年度末に影響が出始めた2019(H31~R元)年度が微減、次の2020(R2)年度は1/3以下と、目を覆いたくなるような数字になってしまいました。走行キロはそこまでは減っていないから、ガラガラのバスを、ある程度は辛抱強く走らせていた、その苦境が見えるようです。昨年度はやや持ち直して3,000万人台にまで持ち直しているが、辛抱にも限度があって、廃止にした路線が少なくない(私の実家の近くの羽田空港~東戸塚駅・港南台駅路線もそう)。夜行都市間も、コロナ禍から既に見直しも行われていて、年度によって増えたり減ったりはしているが、2020(R2)年度が一気に前年度の1/25になってしまっていました。夜行バスは、12年前には既に旧ツアーバスの影響が出ていて、運賃そのものだけでなく、決済システムやコスト面で太刀打ちが難しくなっていた、みたいな事も記されていました。その後の関越・軽井沢の連続事故で同じ土俵に立つような法整備が行われたが、回復は難しく、コロナ禍の今が潮時、と判断されたのだろうと思います。後に記されるが、一般路線のドライバー不足、という事もあったのかも知れない。
 空港バスも、12年前は羽田空港の国際線新ターミナルオープン直前で、鉄道も新駅が造られるので厳しくなると見られているが、バスはターミナルの出発階・到着階とフロアが同じなのが強み、と語られていました。しかし今号を読むと、JRの新線計画もあり、やや弱気になってきているのか、と読めなくはない。ともかく空港バスは航空需要に左右されるので、バスにしろ鉄道にしろ、二次アクセス側だけの努力だけではどうにもならない部分が、他の分野以上に多いだろう。さらに路線の選別が進むかもしれない。
 一般路線は、12年前にはすでに、横須賀市内や三浦では少子高齢化や高校の統廃合で、輸送需要が曲がり角、と記されていた。これが今でも続いているらしい。
 車両面では、12年前には、特にノンステップ車に関しては、「リーフサスがエアサスに変わっただけで、フルフラットが理想なのに、これはという車種がない。ただし、我々もコスト増を嫌って、妥協に走ってしまった」と記しているが、今号では特に評価の文言はない。今号はむしろ、EVなどの環境対策に期待しているようです。
 あくまで個人的な好み、の問題でしかないが、バスのカラーリング、一般路線車はこれでいいと思うし、存続するなら夜行バスのカラーもこのままで良かった。ただ、空港・中距離路線の赤+白は、色遣いは残しつつ、違うデザインを考えてみても良い時期なのではないかと思う。また、空港バスを連想させる「LIMOUSINE」の文字も、空港とかかわりのない路線だと、どうだろう。

今こそ貸切バス事業存続のための施策を
 上の道北バスでも、公式Webの冒頭に、北海道のバスの窮状を訴えるバス協会の意見が記されている、と書いたが、特に貸切バスは他分野以上に厳しい、というのは、「年鑑バスラマ2021→2022」の「緊急提言」でも訴えられていた。今号では改めて、貸切事業者の統括団体と言える、「一般社団法人バスユナイテッドセーフティ」(本当に申し訳ないが、この組織自体、初耳だった)の生沼 建二氏への、貸切バスの窮状に関するインタビューが掲載されている。
 №2465で書いた文言の繰り返しになる部分が多くなるが、まず貸切バスの運賃制度は、結局、どのような形態が理想なのだろうか?事業者の利益になり、安全への投資が十分にできて、ドライバーなどへの賃金もキチンと支払えて、なおかつ利用者も安く…とは行かないまでも納得できる、関係するすべての立場の人々が納得する金額、そして金額決定システムとは、どのようなものであるべきなのだろうか?そもそも、今の運賃制度は、関越・軽井沢の連続ツアーバス事故の反省から生み出されたもので、生沼氏も「当初は事業者にとって安心感のあるシステムだった」と語っています。
 読んでみると、昔も今も、発注する旅行会社の圧力が足かせになっているように感じられます。このあたりも、もう少し世間に広く訴えても良いのではないだろうか。
 安全性を重視するか否かの事業者の線引きを行政にやってもらいたいというのは、確かに公平だとは思う。が、貸切(に限らず)事業者の中には、行政の介入を嫌う所も少なくのではないか。それは、外野のメディア・ジャーナリズムの論調の中にも時々見え隠れしていると思う。「アウトロー」的なものを「カッコいい」とみなす風潮が、日本には(バス業界に限らず)結構はびこっているように見えるので(それが、大事故を起こすような「ブラック」事業者を生み出している部分が、ありはしないか)。
 ついでに言うと、安全性の確保は、もちろん政治や行政による法制度の整備とか監査の強化、安全性を確保するシステムの強化とかも必要になるが、やはり根本は、各事業者(組織としてだけではなく、組織に携わる者一人一人も)の自覚が第一、ではないだろうか?知床の観光船事故に関しては、やはりそれが組織の中になかった、と言わざるを得ないと思う。過去のバスや鉄道の大事故も、同じではなかったのか。
 同じ危機的状況でも、一般の市内バスは地域の日常の足なので、JR各社がローカル鉄道路線の経営状況の数値を公表を始めた事もあり、一般のニュースでもあり方が取り上げられるようになりました。その点、貸切バスは、申し訳ないがどうしても「不要不急」の側面が強く、優先度は低くならざるを得ないのは、ある程度は仕方がないような気もする。やはり交通は何でも移動のニーズがなければ成り立たないし、特に貸切バスはその単位が大きくなるので、「外に出るな、移動はするな」となると、相当弱い。ここにきてまた感染が急速に拡大しているのが懸念材料で、今のところはまだ行動制限という事にはならないようだが、経済施策もいいが、やはりまず、感染の拡大をキチンと止める、という事が優先されるのではないだろうか。いずれにしろ、これも繰り返しになるが、業界の側が積極的に、公共の場で声を大にして、窮状を世に知ってもらう、という事が、必要だろうと考えます。外野には任せられないと思う。

 旭川電気軌道の3軸バス、動く所を見るのが非常に楽しみになってきた。若い人には(私も現役は見た事ないが)どう映るのかが楽しみ。士別軌道のモノコックとのツーショットも、大いに期待したくなります。年代は10年位違ってくると思うが。

 次号の事業者訪問は都営バスだそうで、オリ・パラが終わって一段落、という所だろうが、この後の車両展開、動力源にしろノンステップにしろ、どのような方向を目指しているのか。

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 コロナ禍はついに「第7波」が現実のものになってしまったようです。猛暑なのにマスクをせねばならないし、皆苦しいし、私だって苦しいけれど、人の事はどうでもいいから、我が身と自由な暮らしは、自分自身で護らなければならない。これは何度でも言わせてもらいます。海外でも韓国の感染者は先週の2倍だそうだし、欧州でも増えていると聞いているし、本当にウィルスの感染は、簡単には終わらないものと痛感させられます。とにかく暑くても、楽しい夏休みを迎えましょうよ。
 東京メトロは今日、銀座・丸の内・東西・千代田の各線の、来月27日のダイヤ改正を発表しました。このコロナの影響もあってどの路線も減便、特に銀座・丸ノ内線は土休日も含めて終日に渡る減便になり、両路線とも日中は毎時12本(というから5分間隔?)の運行になります。銀座線は、コロナ禍の前は日中3分間隔・毎時20本の運行だったから、4割減少する事になります。丸ノ内線は、方南町支線の3連運転がなくなります。02系の去就はどうなる。