№2511 JR九州 9月23日(金)ダイヤ改正 西九州新幹線開業

 西九州新幹線(武雄温泉~長崎間)開業を最大の目玉とした、JR九州の9月23日ダイヤ改正の詳細が、先週の金曜日に発表になりました。
 再三書いているように、今春のダイヤ改正(JRも私鉄も)はコロナ禍の影響で去年以上に「目玉商品」なきものになり、必然的に、西九州新幹線開業に、期待が高まっていたと思います。そのダイヤや運行形態(新幹線・長崎以外も含めて)には、注目が集まっていました。
 リリースを私なりに分析・解釈して、今改正のポイントをまとめてみました。新幹線・特急(一般・D&S)・一般列車に分けます。

西九州新幹線

◆ 武雄温泉~長崎間69.6㎞が開業する。
 途中嬉野温泉・新大村・諫早に停車。嬉野温泉は新幹線単独の新駅。新大村は大村線共々駅を新設する。諫早は在来の駅に併設。
 在来線の博多~武雄温泉間は81.9㎞、新幹線との合計で、博多~長崎間の営業キロは151.5㎞。現行の長崎本線は153.9㎞で、大きくは違わない。
◆ 武雄温泉~長崎間22往復・新大村~長崎間下り2本・上り2本を設定する。基本的に朝夕は毎時2本・日中は毎時1本運行。
 武雄温泉発着は、途中諫早のみ停車、新大村・諫早に停車、各駅に停車の3タイプを運行する。最速23分。
◆ 武雄温泉では全列車が、博多~武雄温泉間の特急と、同一ホームで接続する。
 博多~武雄温泉間の特急は〔リレーかもめ〕と呼称する。一部は〔みどり〕との接続になる(「リレーかもめ」の副称が付く)。基本的には3分で接続する(対〔みどり〕ではもう少し長くなる列車もある)。号数は〔リレーかもめ〕と〔みどり〕〔ハウステンボス〕で通しになる。
 博多~長崎間最速は1時間20分(〔リレーかもめ17号〕→〔かもめ17号〕・〔かもめ16号〕→〔リレーかもめ16号〕となり、30分短縮。新大阪~長崎間最速は3時間59分となり、30分短縮(博多乗り換え)。

在来線

特急(一般)
◆ 博多~佐賀・肥前鹿島間〔かささぎ〕を新設する。博多~肥前鹿島間7往復(101号は門司港始発・104号は吉塚行)、博多~佐賀間下り1本(小倉始発)・上り2本を運行。885系6連・787系6・8連、783系8連)
◆ 〔みどり〕5往復に885系を導入。博多~佐世保間最速は1時間34分となり、9分短縮。
◆ 〔リレーかもめ〕は885系6連・783系8連で運行。9・65号は門司港発着で運行。

◆ コロナ禍のため臨時列車として運行している(現在は8月31日まで毎日運行)博多~大分間〔ソニック〕のうち、現行81・80号を、29・46号として定期運転に復帰。
◆ 夜間の小倉→博多間〔きらめき7号〕は取りやめ、朝方の門司港→博多(→肥前鹿島)間〔かささぎ101号〕を設定。
◆ 福間に朝方下り〔かささぎ〕1本・夜間博多発〔ソニック4本〕が追加で停車。赤間に日中〔ソニック〕博多行6本・博多発5本が追加で停車。
◆ 〔ソニック8号〕が戸畑に、〔ソニック12号〕が戸畑・香椎に停車。〔ソニック59号〕〔きらめき9号〕は、吉塚は通過になる。
◆ 〔九州横断特急2・3号〕は、大分~別府間を取りやめる(熊本~大分間に短縮)。

特急(D&S)
◆ 〔ふたつ星4047〕の運行を開始する。
 武雄温泉~長崎間を、午前便は武雄温泉→江北→長崎本線→長崎・午後便は長崎→大村線→早岐→武雄温泉で運行。
(喜々津~浦上間は午前・午後とも旧線経由)
◆ 〔36ぷらす3〕は月曜日のルートを変更する。詳細は後日通知。現行の博多~長崎ルートは9月19日が最終運行になる。他の曜日は変更なし。
◆ 〔かわせみ やませみ〕は、豊肥本線・熊本~宮地間で運行する。
◆ 〔A列車で行こう〕の下り(熊本→三角)は全列車、網田に10~13分停車する。
 全てのD&S列車の運行日は、後日通知。

一般列車
◆ 鹿児島本線は、全体的に減便になる。
 ・ 門司港~荒尾間で7~9時台、減便や運行区間短縮などで、7~10%の輸送力削減を行う。
 ・ 10~16時台は快速を取りやめ。博多発着の区間快速のパターンを2種類に整理。鳥栖~熊本方面間の区間快速を普通に変更し、博多方面との区間快速と、鳥栖または久留米で接続する。
 ・ 小倉~荒尾間で17~23時台、毎時1本程度運行本数を削減する。
 ・ 博多0時02分発上り最終赤間行は福間止まりに短縮する。東福間・東郷・赤間への普通列車の最終は23時26分発(折尾行)になる。
  (博多23時44分発〔リレーかもめ64号〕を利用すると、福間で最終折尾行に接続する)
 ・ 小倉23時20分発下り最終福間行は赤間止まりに短縮する。東郷・東福間・福間への普通列車の最終は22時55分発になる。
  (小倉23時11分発〔ソニック60号〕を利用すると、赤間で最終福間行に乗り換えられる(遠賀川で追い抜き))
 ・ 鳥栖23時50分発下り最終荒尾行は、0時03分発荒木行に変更。23時35分発荒木行が23時34分発荒尾行となり、荒木より先の最終列車になる。
◆ 日豊本線は、朝方の小倉~中津間1往復、夜間の小倉→宇佐間及び中津→小倉間各1本を取りやめる。柳ヶ浦→宇佐間の下り普通最終は1時間12分繰り上げ。
◆ 若松線・福北ゆたか線(筑豊本線・篠栗線)は、下りは若松→折尾間1本・折尾→直方間2本・直方→博多間1本、上りは直方→折尾・黒崎間2本・折尾→若松間1本を取りやめる。直方22時54分発下り最終博多行は、直方発を12分繰り上げる。博多22時06分発直方行は新飯塚行に短縮。
◆ 久大本線は、筑後吉井6時24分発(日田までは土休日運休)大分行は久留米始発に延長。日田6時11分発久留米行は鳥栖まで延長。久留米21時54分発日田行は取りやめ。23時18分発最終日田行は筑後吉井止まりに短縮、22時28分発善道寺行が22時14分発日田行となり、筑後吉井より先の最終列車になる。

長崎支社
◆ 大村線に新大村及び大村車両基地駅が開業する。長崎本線・肥前山口は江北と改称する。
◆ 長崎本線・肥前浜~長崎間は電車の運転を取りやめ、非電化となる。江北側は原則肥前浜で乗り換えになるが、同一ホームでの乗り換えとし、通勤通学時間帯には江北への直通運転を行う。長崎側は原則諫早で乗り換えになるが、通勤通学時間帯には長崎への直通運転を行う他、諫早乗り換えとなる場合でも、可能な限り同一ホームでの乗り換えを可能とする。同区間はキハ47で運行するが、一部リニューアルを行う(ハイブリッド車は、小長井より東には入線しない)。

2017年9月4日 肥前飯田駅.jpg
 2017(H9)年9月24日の肥前飯田駅。№1749の再録だが、このようなシーンは見られなくなる。

◆ 〔シーサイドライナー〕は、通勤時間帯と日中で停車駅のパターンを区別する。通勤時間帯は全列車諫早~長崎間、日中は(佐世保・)早岐~新大村間の各駅に停車する。
◆ 長崎5時48分発諫早行(新線経由)を増発。諫早で〔かもめ2号〕に接続する。
◆ 長崎22時34分発(旧線経由)竹松行は諫早止まりに、23時23分発(旧線経由)諫早行は長与止まりに短縮、23時57分発(新線経由)諫早行は取りやめ。
 最終列車は、岩松・大村・諏訪・新大村・竹松へは22時04分発(佐世保行)、現川・肥前古賀・市布・喜々津・西諌早・諫早へは23時18分発、本川内・大草・東園へは22時34分発(諫早行)に、それぞれ30~50分程度繰り上がる。

大分支社
◆ 日豊本線下りは、大在6時43分発大分行を増発する。
◆ 日豊本線上りは、佐伯16時00分発臼杵行と臼杵16時36分発大分行を一本化し、直通運転とする。
◆ 豊肥本線は、朝方の豊後竹田~三重町間1往復を取りやめ。

熊本支社
◆ 鹿児島本線は、11~14時台の荒尾~玉名間は毎時1本に削減。鳥栖発着区間快速→銀水発着普通に変更する。この他一部列車の取りやめ・運行区間の短縮・延長がある。
◆ 豊肥本線は、熊本→肥後大津間2本・肥後大津~宮地間2往復を削減。前後の列車を中心に時刻を変更する。

鹿児島支社
◆ 指宿枕崎線は、指宿~山川間1往復を削減。
◆ 肥薩線は、一部列車の編成両数を変更する。
◆ 竜ヶ水駅は、通過列車を追加する。

宮崎支社
◆ 宮崎発最終列車を、日豊本線延岡方面は14分、都城方面は26分、日南方面は24分繰り上げる。
◆ 夕方の宮崎発佐土原行3本を、日向新富まで延長する。
◆ 日豊本線の一部DC列車を電車に置き替える。
◆ 日南線は、8~11時台の各列車の時刻を変更する。上り〔日南マリーン号〕は南宮崎止まりとなる(始発の普通に接続)。

 さて、先に西九州新幹線開業で、博多~長崎間・新大阪~長崎間は30分の短縮になると書きました。
 では東京はどうか?現状ではあまり実用性がなさそうだけれど、今回ちょっと調べて、時刻表にしてみました。

東京~長崎間乗り継ぎ時刻表.jpg
(博多の乗り換えは、必要とされる7分以上の時間を取った)
 最速は、下りが6時間33分(東京6時51分発 のぞみ7号→リレーかもめ25号→かもめ25号 長崎13時24分着 )、上りが6時間30分(長崎17時15分発 かもめ46号→みどり46号→のぞみ64号 東京23時45分着)となりました。
 現行の最速は、下りが7時間ちょうど(東京6時51分発 のぞみ7号→かもめ19号 長崎13時51分着)、上りが6時間59分(長崎16時46分発 かもめ32号→のぞみ64号 東京23時45分着)。上下とも、〔のぞみ〕は現行と同じ列車を利用したパターンが最速になり、下りは27分、上りは29分の短縮です。
 この両列車は博多の乗り換え時間が7分だが、現行の〔かもめ〕は、毎日運行の定期〔のぞみ〕とはあまり相性が良くなく、博多では25分前後の乗り換えが必要になるのが一般的。新ダイヤの〔リレーかもめ〕(〔みどり〕含む)は、博多発着が基本的に現行〔かもめ〕の時刻をほぼ踏襲するので、西九州新幹線開業分の短縮効果のみという事になります(臨時〔のぞみ〕が利用できる日なら、もっと早く行けるパターンが多い)。まあこれでも、44年前の「ごお・さん・とお」のダイヤをひも解くと、当時の〔ひかり〕+〔かもめ〕では10時間近くかかり、鉄道では日帰りはできなかった(東京~博多間だけでも7時間かかっていた)ので、時間的には大変な進歩になる、とも言えます。

 本格的にはやはり、博多~武雄温泉間が開業して、この区間が1時間弱で走れるようになり、東京~長崎間が博多1回乗り換えだけで6時間弱、くらいで行けるようになれば、アクセスに時間を要する(羽田以上に長崎)空路から新幹線に乗り換え、という利用者も出てくるのかも知れません。
 やはり全線の早期開業が望まれる、のだが、何しろルートそのものが決まっていなくて、いつ工事が始まるか解らない。新八代開業から7年後に全線開業した九州新幹線のようなわけにはいかず、北海道新幹線札幌延伸や、下手するとリニア中央新幹線開業より後になってしまうかも。相当な長期間覚悟しなければならない不便が、利用の足かせにならなければ良いのだが。関係者それぞれ言い分があって簡単には調整できないだろうが、ともかく納得がいくまで話し合って、早期に全線開業の道筋をつけて欲しいと思う。

 なんだかんだ書いたが、今のところは、〔リレーかもめ〕含めて、今年中には乗りに行く予定です。コロナ禍の推移と、それ以上に現状では、自分自身の体調(腰痛)と相談しなければならないのだが。

 ところで、在来線は、普通列車は案の定朝ラッシュ時も含めて減便を強いられていて、これはある程度予想通りだったが、前回も書いたが、一般の在来線特急は、長崎本線以外は思ったほどは変わらないと思った。〔にちりんシーガイア〕はもう終わりだと思ったけれどねえ(少なくとも大分以北は廃止または〔ソニック〕立て替えだと考えていた)。D&S列車は新しい列車も走る事になり、JR九州も地域輸送が苦しいのは他と同じだから、当面は九州・西九州新幹線を柱に、一般・D&S含めた特急網で、輸送を支えていく事になるのだろう。
 ただ、これも以前に書いた事だが、D&S列車は、アコモデーションとか提供サービスは良いが、「特急」の2文字は、明らかに適切ではない。〔かもめ〕や〔ソニック〕と同列には扱えないはずだ。しかも、〔A列車で行こう〕は今改正で下りが網田に長時間停車になり、熊本→三角間の所要時間が平均38分→51分に延びる事になる(これは、現行の普通列車とほぼ同じ)。リリースでは、むしろ所要時間増大をセールスポイントとしてアピールしているかのようにも読めるが、「特急」としては誤りではないか?「特急」というのは、有料だろうが無料だろうが、先を急ぐ人のためにある列車なのだから。車内設備や付帯サービスの提供に対する代価が欲しいのなら、全く新しい種別名(それこそ「D&S」とか)を用意し、一般特急とは別の料金体系にすべきだろう。今後コロナ禍がある程度収束してインバウンドが帰ってくる、あるいは在来D&S列車の老朽化(〔ふたつぼし4047〕含め、大半がキハ40系)で代替が必要になるとか、これまでとは違った展開も予想される。その機に、特に料金面でのD&S列車の在り方を再考すべきでは、ないだろうか?これはJR九州以外にも言える事です。

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