№2496 バスラマインターナショナル191(ぽると出版)

「バスラマインターナショナル191」、先月末に刊行になりました。

2022 春のオムニバス
 コロナ禍にあっても例年通り、春には様々話題があるが、最近の傾向としては、中国製EVを、比較的若い「新規参入組」だけではなくて、老舗の大手事業者も導入するようになってきたという所ではないだろうか。京阪バスに続いて近鉄バスのBYD J6がそうだし、188号で出てきた阪急バスのBYD K8も、4月から一般路線でも運用されています。那覇バスのEVM-J採用という話も合わせると、日野のポンチョEZは、大丈夫だろうか?とか思ってしまう。
 三岐鉄道のハイブリッド連節バス導入は意外だった。三岐鉄道はバス部門もあるが(中小でも、バスを直営で運営する鉄道会社は少なくなってきた)、三重県というと三重交通のイメージが強いし、連節バスを必要とするような路線があるとは、正直知らなかった。公式Webの時刻表上では、どの便が連節バスとは記されていない。三洋堂前と四日市北警察署前に停車しない「特」(特急?)の便だろうか。土休日は運行されないようだ。三岐では「BRT」と呼称しているようだが、今後一般の路線にも展開されるのだろうか?
「バスターミナル東京八重洲」は、完成すれば、鍛冶橋発着便の他、京成バス(JRバスが入らない路線)系や東北急行バスなどが入る事になるのだろう。運営が京王電鉄バスなら、京王のバスも入るのか。高速だけでなく、今現在は渋谷~新宿~新橋間を走る「SORA」も入るのかも。

バス事業者訪問236 東洋バス 千葉シーサイドバス

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 東洋バスは、以前は割と貸切バスが大規模だった気がするが、乗合バスとしてはやや地味な印象がありました。老舗ではあるが、鉄道会社などの大資本も入っていないし。なので、今回は興味深く読んだし、実は昨日、実際に乗っても見ました。
 輸送実績は、2020(R2)年度はやはりコロナ禍の影響をモロに受けて、東洋は約138万人(一日平均約3,800人)、シーサイドは約40万人(一日平均1,000人)も減ってしまった。工業団地は比較的安定しているというが、企業送迎バスを運行しているのは東洋バスだけではないので、パイの食い合いにならなければ、良いのだが。
(東葉高速鉄道開業前からのデータがあれば良かった)
 東洋バスは、PASMOの前の磁気式「バス共通カード」は、導入していなかった。PASMO導入は、利用者・ドライバー・運営の3者にとって、相当なプラスに働いた、とみていいのだろう。

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 昨日実際に乗ってみた路線の一つ、米本団地路線の終点のバス停の近辺には、昔の路線図が残っていました(扉の米本団地バス停の写真の一番右に写っている)。東葉高速鉄道が開通する前で、1990年代前半位のものだろうか(新しいものを貼り重ねてあるといっても、相当古いものをそのまま晒しておくのは、いかがなものか)。新山の他、大和田にも営業所がありました(現シーサイドの本社営業所はない)。大和田の他、志津や小室にも乗り入れがあった事が解ります。
 京成の八千代台と勝田台は共に戦後の開業だが、昔の駅との「逆転現象」が見られるのは、他の地域でもある事だと思う。今の京成大和田は、一小駅でしかない(折返し列車は多少あるが)。東葉高速の開業が打撃になったというのも、運賃が高額なのが難点とはいえ、既存のバス事業者のエリアに、都心とダイレクトに直結する高速通勤鉄道が開通したら、バス事業者にとっては痛いというのも、また同じなのだろう。

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 阿宗橋の終点は9年前に行って、本体にも掲げているのだが、昨日、もう一度行ってみました。1日1本になってしまった新ダイヤにおける初便という事にもなったが(このあとまた今日・明日・明後日が運休)、案の定終点まで往復したのは、私一人のみでした(大型車だったのは少々驚きだった。途中の経路もやや狭い所があるのに)。昔の路線図にはないもえぎ野車庫付近は、何か新しい施設が建ちそうなので見込みはあるかも知れないが、もえぎ野車庫~阿宗橋間は、正直もう先がないように思えてならなかった。以前東洋バスが走っていた岩戸付近は、印西市のコミュニティバスが入っていたらしいが、現在はバスの空白域になっているようです。
 今後はもえぎ野を除くと、沿線の伸びしろはあまり期待できなさそうだし、米本団地は建物が老朽化しているように見え、団地路線ながら日中の乗客は高齢者が大半だったように見えたので、コロナ過が落ち着いても、利用の維持は難しい事になるかも知れない。ここでは一切触れられていなかったが、京成・東葉高速と組んだ「京成バラ園」(八千代緑が丘から東洋バス)へのアクセスで利用できる「京成ローズきっぷ 春」を発売していて、地味ではあるが、シーサイドのエリアと合わせて、行楽の需要の取り込みも、考えられるかもしれない。
 車両面では、主力となる中型車、特にシーサイドはどうするのだろう?三菱ふそうが生産を止めて久しく、東洋の本体にエルガミオがいるが、セレガ貸切車導入も合わせて、今後はJBUS系に舵を切る事もあるのだろうか。シーサイドは、乗合車は全て21世紀になってからの導入、PA規制以降なのであと10年は使えるだろうが、ノンステップ車がないのが難点になるだろう。なお、「八千代市ふれあいプラザ」輸送のガーラミオがあったが、今はもうないのか。グループの全体としては車両が古めで、2015(H27)年以降7年間、乗合の新車がない。
 アーカイヴスは、「大和田駅」と書かれた東洋バスを、確かに遠い昔には見た記憶がある。一番下の、中ドア4枚折戸のエアロスターKが東洋バスらしい、と思う。観光バス的な「メトロ窓」も、当時の路線バスとしては異色だったのではないか(道北バスに移ったそうで、次号のバス事業者訪問の1社は道北バスらしいが、東洋バスOBは残っているだろうか)。八千代市には一時コミュニティバス的な「八千代市循環バス」があり、東洋バス唯一だった日産ディーゼル車が使用されていたが、ここにはなかった。

バス事業者訪問237 群馬バス

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 もう一社は、群馬県の群馬バス。
 元々は東急グループに属していたが、現在の群馬バスは、完全な別会社。とはいえ今のバスのカラーは、乗合も、一般的な貸切・高速も、過去の東急バス色の影響が出ているように感じられる(貸切・高速は「ゴールデンデラックス」)。
 路線網(と言い切れるかどうかは微妙だが)は、現在は日赤病院方面を除くと、JRの上越線・両毛線より北西側が中心、と言える。安中とか榛名とかが切れてしまっているのが残念。
 当然ここもコロナ禍の影響が出ていて、観光路線+ローカル路線が多いから、より深刻だろう。ただでさえ、北関東はマイカーが高度に普及しているのだから。自治体に支えてもらえたのはありがたかった、という事のよう。
 そんな最中に高速バスをスタートさせて、横浜にも来ているとは、お恥ずかしながら、全く知りませんでした。東京バスと組んでいるそう。群馬バスからはやや離れるが、「2022 春のオムニバス」のウィラーエクスプレスもそうだが、近年は新規参入組が、在来の事業者と組む、あるいは在来の事業者が運行していた路線に参入するケースが多いように思えます。東京バスは他に羽田空港発着路線を、京急バスや国際興業と共同で運行しているし。群馬バスも、今後高速バスを展開させたいなら、自社単独では難しいだろうから(日本中央バスの存在もある)、こういうケースが増えてくるのではないだろうか。
 一昨年(コロナ禍がやや落ち着いてGO TO トラベルキャンペーンをやっていた時期)伊香保温泉に行った事があって、行きは渋川から関越交通だったが、帰りは箕郷経由高崎行で群馬バスに乗りました。高速バスも経由する水沢で、伊香保温泉からの乗客が大挙して降りて行ったのはびっくりしたが、ここには記されていなかったのがもったいないが、うどんが有名らしい。一つだけ挙げると、群馬バスに限らないが、伊香保温泉のバス乗り場の拠点が、石段街口を除くとてんでバラバラ、という印象がありました。同じ場所でも会社によってバス停名が違っていたりする。JRバス関東などの高速も含めた事業者間で話し合って、もっと分かり易くはできないだろうか?
 その他の一般路線の話を、もう少し聞きたかった。イオンモール高崎の存在は大きいようだ。大型ショッピングセンターはマイカーによる来店に頼る傾向がどこでもあるけれど、もう少しバスを中心とした公共交通へのシフトを促す方向を、示して欲しい。バスターミナルの整備とか(「SDGs」とかのエネルギー政策におけるアピールにもなるはずだ)。
 ICカードは、ここでもプラスに働いたという。nolbeはSuicaの機能が入っているので、全国相互利用対象のICカードで乗れるのも、観光路線では意味があるのではないだろうか。
 貸切は東京にも営業所があって、相模原市緑区にも配車ができるのか。橋本駅があって、リニア新幹線の駅もできるから、うんと先の話になるはずだが、名古屋方面からリニアで着いた団体を、橋本から直接、圏央道~関越道経由で群馬にお連れする事も出来る、という事になる。「オリンピック輸送は干天の慈雨」の一言は、やはり考えさせられた。緊急事態宣言の最中だったから開催反対運動が活発だったし、もちろん医療従事者は大事だから解る話ではある。が、オリンピック輸送が完全に失われれば、経営が完全に行き詰る事業者が出てくる可能性があったわけで、やはり表舞台に現れるトップ級の発言だけでは、測れない部分は多い(この点、私も理解不足の点があり、反省している所です)。
 車両面では、新体制になってからは、大型の新車は導入されていない。観光路線では輸送力は確保できるものだろうか。

低公害車の系譜をたどる
 現代のハイブリッドバスの決定版となった、日野ブルーリボンシティハイブリッド。
「次世代ハイブリッドバス」の屋根上を見ると、現行のブルーリボンハイブリッド(あるいはエルガハイブリッド)につながるものが見えると思った。次回はこの現行のJBUS系のハイブリッド車をやると思うが、EVバスとか、SORAのような燃料電池バスとの比較では、どうなのだろうか。海外、特に欧州ではハイブリッドのバスというのはほぼないようだけれど(彼の地ではハイブリッドシステムそのものへの評価が低いようだ)。

 次号のバス事業者訪問、もう一社は京浜急行バス。空港バスが多いからコロナ禍の打撃も大きいはずだし、〔ノクターン〕を始めとした夜行バスからの完全撤退や、営業所の廃止(堀内・京浜島)と、縮小傾向にある、ようにも見えるが、オープントップバスやSORAの運行などの話題もあります。近年の動きはどうなっているのだろうか。

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《今日のニュースから》 
 1日 安全保障関連の技術・情報流出防止 経済産業省 規制強化 
 2日 政府・ENEOSHD等出資「JXミャンマー石油開発」 ガス採掘事業から撤退
 3日 韓国 検察の捜査権大幅縮小関連法 与党強行採決で可決・成立