№2485 バスマガジンvol.112 (講談社ビーシー/講談社)

「バスマガジンvol.112」、先月末には発売になっていたが、また相当遅くなってしまいました。

おじゃまします!バス会社潜入レポート Vol.112 名阪近鉄バス

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 大垣地域の路線バスは、ずっと昔は「名古屋近鉄バス」と称していました。名古屋市(どころか愛知県)にも路線がなかったのになぜ?と思ったので、今回は先に「あゆみ」を読みました。今は大垣市中心の路線網が定着しているが、名古屋~大垣間の路線が免許になったのを機に「名古屋近鉄バス」と称したそうだが、「近鉄グループの名古屋での一大発展を期し」という事は、名古屋市など愛知県内でも、近鉄グループの1社として路線網を拡張しよう、とか考えられていたのだろうか?愛知だけでなく、滋賀県の彦根や長浜にも入っていたのは初めて知ったが、今だと?な路線になるだろう。が、1950年代だと、東海道本線も電化はされていても、一般の利用はまだまだ不便で、バスも十分に需要があった、のだろう。その当時の路線図の写真もあって、小さくて少々読みづらいが、桑名にも入っている。完全に近鉄養老線(→養老鉄道)と並走するのだが、近鉄グループ内でのパイの食い合い、という事は起きなかったのだろうか。
「近鉄グループとしての効率的な運営」と言っても、大垣市中心の一般路線バスと、名阪高速道路の高速バス(大垣のBSへの停車はあるが)が合併しても、どれほど効果があるものかと思う。今でも大垣市を起終点とする名阪近鉄の高速バスというものはないし。「にしみのライナー」は路線バスの事業エリアの発着だが、プレスリリースを読むと、やはりコロナ禍が後押ししている感じがある。途中名神大垣・安八に停車(乗降制限なし)に停車するが、大野町はそれほど人口が多くはなさそうな印象があるので(だから名鉄の鉄道も全部なくなってしまったのだろうから)、定着するだろうか。大垣市はまだしも、そのほかの郊外の町村は大変だと思う。その名鉄の谷汲線の代替バスも運行していたが、数年であっさり廃止になってしまったほどなので。
 イオンモール熱田シャトルのバス、私も先日の愛知県の旅で見かけました。あれって、名鉄バスがやっていたんじゃなかったっけ?今更ながらだが、本社は名古屋市なのか。全体の7割が貸切車で、今は貸切が営業の中心になっている。名古屋グランパスの貸切車は、4年とちょっと前の2017(H29)年11月に岡山で見ていて(この年のグランパスはJ2だった)、№1773で出しました。あとは去年、オリンピック輸送の車両を根岸線の列車から見ています。デラックスな貸切車があるし、高速バスは展開が大きくはなく、路線バスも範囲が限られるので、今後も貸切が同社の花形になっていくのだろう。

自衛隊東京大規模接種センターシャトルバス
 状況が状況だったので、見に行く事はしなかった。東京都と東急(トランセ)は貸切車もあるが、動員できなかったのか。並行してオリ・パラも行われていたので、招集が難しかった部分もあっただろう。高速バスを運行する事業者もいくつかあるが、高速車を使用しているのは、写真を見る限りでは、京王バスとウィラーエクスプレスのみ。一番遠い事業者は、磐梯東都バスか。

移籍バスの行方を追跡
 神奈中バスのPART2で、南東北から北関東。福島交通の富士重ボディは、比較的最近まで三菱ふそう一色だった事を思えば、隔世の感あり。経営体制が大きく変わったのが一因だろう。
 神奈中バスが一時期、使用年数が短めだったのは、冷房車への置き換えを進めたから、という事もあったか。東急バスや相鉄バスでは冷房改造を行った車両もあるが、神奈中はそういう事はしなかった。
 本筋から外れるが、グリーン観光バスは行先からして、くりはら田園鉄道の代替バス、ですよね。この市民バスも「くりはら田園線」と称するらしいが、今は平日9往復・土休日は石越発6本・細倉発5本しかない。鉄道時代よりさらに減っているようでは、名鉄谷汲線代替同様、雲行きは怪しいかも。

帰ってきた 路線バス全方位レポート Vol.44 長崎県

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 長崎県は、前回はVol.55(長崎を中心にした南部)とVol.56(佐世保を中心とした北部)の2回に分けられていたが、今回は本号の1回。
 バスから離れるがトリビアとして、「陸上から海岸線への距離が15㎞を超える地点がない」というのが興味深い(もちろん直線距離でという事だろう)。
 事業者としては、佐世保市営バスがなくなったというのが一番大きい。西肥バスにさせぼバス委託車専用カラーがあるが、西肥バスとさせぼバスの折衷になっている。尼崎市営を引き継いだ阪神バスに近い、という所か。また、同じく前回はあった、鷹島を走る松浦市交通課もなくなっているが、「鷹島のりあいタクシー」に移行しているようだ(完全予約制)。
 五島列島などの離島のバスも多いが、離島は長崎県ではあっても、経済的には福岡や佐賀との結びつきが強い、というのは、前回書いてありました。鷹島も、本土と橋で結ばれたが、対岸は佐賀県唐津市で乗り入れてくるのは昭和自動車、県内の足は、今福からの船しかない。また対馬や五島列島への航空便は、長崎県内はORCの小型機だが、福岡へのANA便の方が便数が多い(今はORCも飛び、ORCは全便ANAとのコードシェアあり)。
 長崎県は、「長崎スマートカード」の終了と引き換えのICカードが、長崎自動車の「エヌタスTカード」と、それ以外の事業者(+路面電車)の「nimoca」に分裂してしまい、両者は相互利用はできるが、「エヌタスTカード」はJRの鉄道に乗れないなど、不便も多い。ポイントサービスの違いからの選択なのだろうが、やはり何とか統一できなかったのだろうか?長崎自動車と、特に長崎県営は仲が悪いのか?空港バスの長崎自動車参入時には確執もあったのかも知れないが、共同運行の市内バス路線もあるし、今月には運行エリアの調整も行われていて、先鋭的な対立はないだろう、とは思いたい。
 長崎県はやはり、9月23日の西九州新幹線開業が、最大の関心事となるだろう。当分の間、博多方面へは武雄温泉での乗り換えを必要とするので、これが高速等を含めた長崎のバス事業にはどう影響するのか、少々読みづらい。良い方向に行って欲しいと思います。
「帰ってきた」レポートも、38都府県まで来ました。残るは北海道・岐阜県・大阪府・和歌山県・広島県・高知県・福岡県・佐賀県・宮崎県。結構大物が残っていますねえ。
(和歌山県は次回の予定)

鈴木 文彦が斬る!バスのいま 第38回
 メインのテーマは、改めてコロナ禍がもたらした乗合バスの現状と、地域との関係。これがウィルス感染症の特性という事だが、市井の人々の日常生活とダイレクトに連動して起こる事なので、交通は皆そうだが、特にバスは深刻だと思う。ドライバーが直接感染するリスク(勤務中でも、私生活でも)と、行動自粛要請に伴う利用の激減というダブルパンチ。一昨年の暮れには地下鉄大江戸線でも減便が行われたほどだし、今現在でも、関東地方では東武バスや小田急バスの一部系統でドライバー不足から間引き運転を余儀なくされているほか、他の事業者でも減便を余儀なくされた所は少なくない。また、利用者の減少から、ダイヤ改正の旅に便数が減少(それも相当急に、相当な便数が)が起きていて、このままだと地域によってはバスなしに陥ってしまうのではないかという心配もあります。
 ここでは「理解を深めてもらうためにも情報発信と、課題を整理してアフターコロナに向けて取り組むよう」という提言でまとめられているが、この内、後者で言うと、特に複数の事業者が多数乗り入れている地域では、事業者の垣根を超えた路線再編成とか、インフォメーションの統一など、行われても良いのではないだろうか。特に我が神奈川県ではかなり多数の事業者が運行路線を持っているわけだが、基本的には協調路線ではあるが、一方で並行区間が長いのに時刻が調整されていないので待ち時間が不ぞろいになってしまうとか、系統番号の付与方法がてんでバラバラだったりと、足並みがそろっていない部分が多々あるように感じられます。どこかが音頭を取った上で各事業者が話し合って知恵を絞り、「どの事業者の路線でも、基本的な利用方・利便性のレベルは同じ」という姿に持って行って欲しい。何度か書いているが「案内所」もそう。これには鉄道事業者側にも協力を求めたいが、神奈川県の場合、民営バス事業者はほとんどが鉄道事業者の傘下にあるのだから、駅にバス案内所機能を統合する事は、不可能ではないのではないか。もちろんJRにも協力して欲しい。定期券発売所や「びゅうプラザ」の閉鎖などで、駅に空きスペースがかなり発生しているので。路線・ダイヤに関しては「独占禁止法」に抵触する心配もなくはないが、この現状だから少々の路線・エリアの調整は大目に見て欲しいとも思う。岡山県のような先鋭的な対立はないし。他にもいろいろあると思うが、鉄道もだが、利用者が減少→列車・バスの便数の減少は確かに厳しい、痛いが、一方では様々な「しがらみ」「くびき」を整理する、良い機会とも言えます。是非業界全体で考えて欲しいです。
 冒頭のロシア(+ベラルーシ)だけれど、本当は政治的な事を抜きにすれば、両国とも魅力的な旅先になるだろうと思うのに(言葉は相当困る事になりそうだが)。そういえばロシアのバスの現状は、バス趣味誌ではほぼ取り上げられていない(確かウラジオストックはバスラマ誌が取り上げていたような気がするが)。確かに大多数の市民は戦争を望んでいない、そう信じたいけれども、一方でかなり急進的な政権支持層の存在も決して皆無ではない事も、各種報道から思い知らされる。政権を支持するしないで家族が分裂してしまった、という話も聞きます。外野からの圧力は限界があり(まして武力では)、内部からの変革を望みたいが、「市民が団結して行動を起こし、強権的政権を追放して平和な体制を構築する」(昭和→平成の頃に東欧で起きたような。一方で一部ではその副作用もあったが)という、日本を含めたよその国の平和活動家が夢想するような「おとぎ話」的な甘い展開には、残念ながら簡単にはなりそうもない。

終点の情景を求めて
 徳島県の日和田。阿南からほぼひたすら、高知県との県境の近くの終点を目指す。ここでは途中下車を何度もして観光を楽しみながら行くが、ひたすらバスを乗り継ぐだけでも、阿南から日和田までは、最短でも3時間以上かかる(丹生谷線4往復中の内2往復は、出原下~日和田間の区間運転)。
 平成になってから開業したロープウェイの存在は、初めて知った。札所となっている寺への参拝者の利用を期待して敷設されたのだろうか。
 日和田の先は高知県になるが、昔は国鉄バスが、土佐山田から大栃経由(乗り換え)で県境を超えて、徳島県側では日和田の手前となる北川まで乗り入れていたらしい。JTB「よん・さん・とお」復刻時刻表の索引地図に、路線の記載がある(ただし、高知県側の土佐別府と北川の間は、時刻の記載がない)。阿南から土佐山田まで、バス乗り継ぎで行けたわけだ。

平成初期のバスを振り返る
 くしろバス。昔は東邦交通と呼んでいて、その当時に撮った画像を、本体で公開しています(東邦時代のカラーの復元なんて、やらないかな?)厚岸の旧JRバス路線も後にほぼなくなってしまったし、浜中町には行かなくなってしまった。「ルパン三世」ラッピング車も、もう終わってしまったらしい。でも今本体の方を見直してみたら、現行の鶴を描いたより前の、くしろバスとしてのストライプ新カラーは撮っていなかった。釧路そのものがご無沙汰になってしまったから…。

 他にもいくつか読んだ中では、沖縄・那覇交通の「うたばす」。本筋からは離れてしまうが、修学旅行が規制だらけだったのに、生徒が「来られただけで嬉しい」と話していた、という下りは、やはり考えさせられてしまう。お友達との体験の共有とかも貴重な財産になるのだから、やはり「リモート」はダメ。沖縄県はまた感染が拡大傾向にあるらしく、「JALうたばす」は新車両代替の上で通常通りの運行は確保されているようだが、これがまた運休になったりしない事を願いたいです。
 小湊鐵道のバス部門は、旅館の自動車部から始まっているそうだが、旅館のバスがいつどこで小湊鐵道のバスになったのかが、やや判然としなかった。大多喜は、最近は一時期品川行高速バスもあったほどだから、いすみ地方では有力な町だ。
 スマートバス停は、当面は「Dタイプ」の普及が期待される。ABC各タイプはコストがかかりそうで、トータルの便数が多くないとコスパ的にどうか。在来の紙の時刻表もだが、時刻表に記載する内容も、本当に利用者に読みやすいものになっているかどうか(これはバスそのものの運行形態や、バスの表示にも関わってくるが)適宜確認して欲しいのと、前述した事の繰り返しもあるが、複数の事業者が共用する事になるのなら、事業者に関係なく、スタイルの統一も図って欲しい。根本となるダイヤ作成システムの共用は、できないものだろうか。

 次号、バス会社は鹿児島交通だそうだが、「いわさきグループ」一括とはならないのか。鹿児島市も、いわさきと市営・南国との軋轢を感じる部分がありました。少々ご無沙汰になっているが、今はどうなっているのだろう。

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 JR西日本は今日、「ローカル線に関する課題認識と情報開示について」というプレスリリースを出しました。JR西日本在来線全区間の輸送状況を地図上で示したうえ、輸送密度2,000人/日未満の17路線・30区間に関しては、経営状況の情報が開示されています。予想以上に厳しい印象です。元々大変だろうと思われていた中国地方山間部(芸備線・東城~備後落合間の収支係数が25,416)などだけでなく、電化されていたり、特急が運行されている路線・区間でも、2,000人/日未満が少なくありません。後日、もう少し詳しく書きたいと思います。

《今日のニュースから》 
10日 熊本県球磨村「球泉洞」 1年9か月ぶり営業再開
11日 アストラゼネカ製新型コロナワクチン 厚労省 4000万回分購入キャンセル
12日 法人SMBC日興証券・前副社長ら4人 証券取引等監視委員会が刑事告発

 日曜日は佐々木 朗希投手の完全試合につきます。令和の世に完全試合が生まれるとは。ナイスピッチング!佐々木投手が20歳、受ける松川捕手が18歳のルーキー、若いペアが大仕事をやってくれました。久しぶりの明るい話題、です。

公園.jpg
 その日曜日、自宅近くの公園で、仕事帰りに撮った写真です。さすがに桜はほぼ終わりになったが、それでも青空の下、子供も大人も、皆楽しそうに遊んでいました。マスクを除けば、「当たり前の休日・そして日常」そのものでした。こういう光景こそ、何の疑いも必要としないで、早く戻ってきて欲しい。