№2410 「よんさんとお」復刻版 読んでみた 1.索引地図

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 10月6日、1968(S43)年10月号、鉄道史に名を残す国鉄の白紙改正「よん・さん・とお」の復刻版が発売されました。以前にも電子書籍版が発売されていたが、待望の紙の時刻表です。 今月から月1回程度、復刻版を読んだ印象を、少しづつ書き記していきたいと思います。
「よん・さん・とお」と、それ以前はどう違う?というのは、直前の時刻表はないから比較のしようがありません。あっても、手に負えないだろうと思う。なので、あくまで令和の世の現状からみて、当時はどうだった?という目線で書く事になります。
 当然一度にたくさんは書けず、ほんの少しづつ、読んでみた印象を書き連ねる事になるので、できるだけ手短に書くつもりだが、相当な期間(ひょっとして数年?)を要する事になると思うが、ご承知おきください。

 最初に書店で手に取った印象として、「思いの外薄い」と感じました。全体のページ数は測っていないが、今2021年11月号と比較で、1/3、あるいはそれ以下ではないかと。復刻版では旅館・ホテル一覧表のページを省略しているという事もあるが、グラビアもないし。当時の「180円」の価格は、東海道新幹線のビュフェのカレーライスと同じだが、今の価値だとどの程度のレベルになるのか。
(復刻版は10%の税込みで1,980円、2021年11月号は税込み1,205円)

 今回は索引地図。デザインそのものは、後に分割・民営化でJRになり、「国鉄監修」ではなくなってからも続くものになっています。一般周遊券の周遊指定地も緑の網で描かれているので。読みやすくなっているかな?の印象がありました。
 国鉄・私鉄・バス等々、当時はなかった路線も、逆に当時はあったのになくなってしまった路線も、多数あります。ここではそのあたりを中心に書きます。
 全体として今と比較すると、空港のマークがない。県庁所在地駅の二重丸は赤色の二重丸、そのほかの市の代表駅を(私鉄のみ、バスのみも含めて)白の二重丸で表していた。一方で「みどりの窓口」所在駅は、索引地図では区別されていない(この後の緑色のページに記載があるが、今よりだいぶ少ない)。

九州地方(P2・3):福岡の炭鉱輸送の路線が、ほぼそのまま存在する。「特定地方交通線」以前に廃線になった幸袋線(小竹~二瀬)や世知原線(肥前吉井~世知原)、臼ノ浦線(佐々~臼ノ浦)、細島線(日向市~細島)がある。皆1~4駅の短路線。後の高千穂線(→高千穂鉄道→廃線)は日ノ影までの開通で日ノ影線、後の大隅線(→廃線)は国分~海潟間が開通しておらず、古江線と称していた。長崎本線は喜々津~浦上間の、肥前古賀経由の新線が開通していない。筑肥線は、博多~姪浜間は地下鉄開通前の、筑前高宮経由のルート。また、東唐津と唐津はつながっていない。
 私鉄では大分交通や鹿児島交通があり、熊本電鉄は菊池まで走っていた(藤崎宮の路線がなぜか記されていない)。
 なお、沖縄は返還前だからだろう、与論~那覇間の航路以外は一切記載がない。

中国地方(P4・5):山陰本線の今の倉吉は上井(あげい)と称し、ここから分岐して、後に廃止になる倉吉線に倉吉駅(ここが市の代表駅)があった(4年後に上井→倉吉・倉吉→打吹と改称)。三江線は口羽~浜原間が未開通で、三次~口羽間が三江南線・浜原~江津間が三江北線と称していた。口羽~浜原間の交通の記載がない。連絡船で宇高航路・宮島航路の他、仁堀航路・大島航路があった。
 私鉄では井笠鉄道があり、下津井電鉄も茶屋町からの分岐だった。一畑電鉄の現雲州平田は、当時も雲州平田と称していた。当時は旧平田市(今は合併して出雲市)の代表駅で、2年後に平田市と改称。

四国地方(P4・5):後に土佐くろしお鉄道となる中村線は土佐佐賀まで、中村にはまだ到達していない。予土線も江川崎~若井間が未開通で、宇和島線と称していた。窪川~江川崎間は国鉄バスが連絡していた。牟岐線は牟岐まで。後にごめんなはり線が開業する後免~安芸間には、土佐電気鉄道が運行されている。

近畿・中部地方(P6・7):何しろ湖西線が未開通。江若鉄道が浜大津~近江今津間で運行されていた。国鉄は篠山線(篠山口~福住)があり、舞鶴線には東舞鶴~中舞鶴間の支線があった。中部地方は、後に愛知環状鉄道となる岡多線は、影も形もない。越美北線は勝原まで。
 私鉄は、石川県には、北陸鉄道の路線が相当数残されていた。尾小屋鉄道も健在。一方で近鉄鳥羽線がまだ開通していない。静岡鉄道は、駿遠線が新藤枝~大井川間のみ残存していた(2年後廃線)が、現存する静岡~清水間の静岡清水線は記載がない。

関東地方(P8・9):只見線が全通していない。なぜか、既に只見に到達している福島県側が(会津滝ノ原(現会津高原尾瀬口)への路線と共に)「会津線」で、大白川までだった新潟県側が「只見線」と称している。現吾妻線の長野原線は、本体は長野原(現長野原草津口)までだったが、長野原~太子間の支線があった。五日市線も武蔵五日市~武蔵岩井間の支線がある。鹿島臨海鉄道はもちろん、鹿島線も開通していない。外房線は房総東線、内房線は房総西線と称していた。
 私鉄は、上田交通は現別所線以外にも丸子町・真田・傍陽への路線があった。越後交通も鉄道線があり、新潟交通、蒲原鉄道も全線が運営されていた。東野鉄道も健在。成田空港がまだないから、京成は成田まで(国鉄と同じ駅に発着しているように書かれている)。

東北地方(P10・11):気仙沼線は本吉~気仙沼間のみ開通していて、現在鉄道として残存する前谷地~柳津間はまだ。川俣線が残っていた。後に三陸鉄道に転換される各路線は、この時点では全く開通していない。今の八戸は尻内と称し、南部鉄道が五戸へ延びていた(ただし、時刻表刊行時点では地震のため不通になっていて、結局立ち直れず廃線となる)。
 私鉄はこの他、山形交通・庄内交通・羽後交通・福島臨海鉄道の鉄道線が残っているが、皆国鉄線の支線的な、短区間の路線だった。福島交通も福島・伊達~梁川・掛田の路線があった。十和田観光電鉄の終点だった十和田市は、当時は三本木と称していた。

北海道地方(P12・13):当然石勝線は開通していない。「特定地方交通線」以外にも、根北線(斜里~越川)・胆振線(京極~脇方間の支線)があった。札沼線は石狩沼田で留萌本線と接続していた。千歳線は、苗穂~上野幌間は旧ルートで、途中の東札幌から定山渓鉄道が分岐していた。
 私鉄は野幌~夕張本町間の夕張鉄道、黒松内~寿都間の寿都鉄道、釧路からの雄別鉄道、さらには羽幌炭鉱鐡道、留萌鉄道、士別軌道、そして歌登町営軌道も健在。

神戸・大阪・京都付近(P14・15):和歌山線の和歌山付近が複雑で、田井ノ瀬から紀和を経由(途中紀伊中ノ島で阪和線と接続)し、南海の和歌山市に発着していた。本来の和歌山発着は連絡線的な扱い。
 私鉄は泉北高速鉄道、近鉄難波線がまだ開通していない。能勢電鉄は川西能勢口~川西国鉄前の区間が残る一方、日生線が開通前。南海多奈川線の深日港からは、淡路島だけでなく、徳島、高知への航路があった。 

名古屋付近(P15):伊勢線(現伊勢鉄道)は未開通。名鉄はある程度、支線の整理が一段落した頃と思われるが、上挙母~大樹寺間の支線が残されている。一方で知多新線・羽島線・豊田線は未開通。新安城は今村と称していた。

東京付近(P16):かなり意外だが、1ページしか充てられず、船橋(東武野田線)より東の千葉県は、ここでは出てこない。武蔵野線は開通していないし、根岸線はまだ磯子まで。競馬場支線が国分寺~東京競馬場間を走っていた。
 後の多摩ニュータウンへの路線は、京王も小田急もまだ開通していない(京王相模原線は、まだ京王多摩川まで。小田急は新百合ヶ丘駅がない)。東急は砧線が残っているし、渋谷~二子玉川園(現二子玉川)は、まだ玉川線。田園都市線はつくし野まで。東急は鉄道線も、都内の一部の駅が省略されている。京急の久里浜線は三浦海岸までで、久里浜~三崎公園(現三崎港)間のバス路線が記されている。なお、井土ヶ谷の「土」の字が「戸」になってしまっていた。

 地下鉄はまだ全体の路線数が少ないためか、東京(今の銀座・丸の内・日比谷・東西・浅草線)も名古屋(今の東山・名城線)も大阪(今の御堂筋・谷町・四ツ橋・中央線)も、別枠にはなっていない(一部区間のみ開通の路線がまだ大半)。また、いわゆる「路面電車」は、当時は横浜や京都などにも残っていたが、西鉄北九州線以外は記載がない。。
 あとは、国鉄バスのネットワークが相当広い。国鉄も私鉄もバスも、残っていたらファンがわんさか押しかけそうな路線ばかりでした。

 これからはおいおい、各路線・地域ごとの時刻を、本当に簡単なものになると思うが、令和の現代との単純比較を中心にチェックしていきます。

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 JR東日本は、来年3月までの1年間の業績を下方修正し、1,600億円と2年連続の赤字になる見通しと発表しました。ボーナスカットの可能性に言及しているほか、さらにコスト削減を進めるとしていて、いよいよ首都圏でも、ワンマン運転を実施・拡大する路線が増えてきそうです。びゅうプラザも(元々コロナ禍とは関係なく)閉鎖が進んでいるし、みどりの窓口も廃止になる所が、急速に増えてくるでしょう。駅務体制そのものにも影響が出てきそうで、今後1~2年の間で、利用に大きな影響が出てきそうです。JR東海も2年連続の最終赤字の見通しと言っているし、この2社でこうなら、他のJR、そしてJR以外の私鉄・公営も推して知るべし、だと思う。

《今日のニュースから》 カッコ内は新型コロナウィルス関連
27日 リニア中央新幹線中津川トンネル工事現場で崩落 作業員死亡
(政府調達マスク8000万枚余り未配布 会計検査院指摘)
28日 三菱自動車 プラグインハイブリッド車新モデル 9年ぶり発表
(ワクチン「ブースター接種」 2回接種者全員対象 厚生労働省分科会で一致)