№2380 2021年度お盆休み 航空利用データ分析

羽田空港2.jpg
 オリンピックが終わった途端、新型コロナウィルスの感染が爆発的に拡大、そして熱波から一転、破壊的な豪雨、今年の夏は、どうなっちゃっているの?各交通機関の皆様も、いろいろな意味で、ご苦労が絶えない事だろうと思います。本当は私も応援で乗って、遠くへ行きたいけれど、スミマセン、少なくとも今月一杯はガマンです。
 さて、諸外国の情勢も交えて、世界的に「カオス」の様相も感じられたお盆休みが終わり、その航空輸送の実績が16日、各航空会社からリリースされました。今回は8月6~15日の10日間が対象です。今回も「分析」とまでは言えないけれど、気が付いた部分を簡単にコメントしてみたいと思います。
 会社によって呼び方が若干違うが、「座席数」「旅客数」「利用率」で統一。注記以外は、コードシェア販売分の扱いは記されていません。
 なお、ANAとJALグループ、それと今回はSKY・SNAも前々年度、つまり2019(H31~R元)年のお盆との比較のパーセンテージも記しています。前々年度の数値は、アンダーラインを引いて並べて記す事にします。

全日空
国内線 座席数 1,287,698席(90.2%・70.3%) 旅客数 645,879人(140.7%・41.7%) 利用率 50.2%(+18.0%・△34.3%
国際線 座席数 77,038席(166.4%・20.9%) 旅客数26,988人(227.8%・8.3%) 利用率 35.0%(+9.5%・△52.6%
 国内線は、「感染者数拡大の影響はあった」ものの、前年よりは増加しました。対前々度比では1/4以下だが。下りは7日(69.0%)、上りは15日(70.3%)が、「期間中利用率が最も高かった日」となった。8日は上下合計で39.8%と、4割を切りました。羽田=札幌・福岡・那覇・宮古島・石垣島、大阪=那覇に臨時便を合計87便運航。
 国際線は、去年は運航がなかったホノルル路線にA380が再就航したが、期間中は2,551席を提供し、利用が783人(利用率28.9%)。日本発は10日(47.6%)、日本着は12日(39.2%)が「期間中利用率が最も高かった日」。オリンピック関係の需要があったという事。日本発が閉幕直後の9日(44.2%)・10日に比較的利用が多くなったのは、それを裏付けているだろう。羽田発フランクフルト・ロンドン・ブリュッセル行合計5便の臨時便を運航。
   
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日本航空
国内線 座席数 837,693席(91.1%・68.7%) 旅客数 449,578人(129.8%・42.7%) 利用率 53.7%(+16.0%・△32.7%
国際線 座席数 87,240席(260.5%・28.5%) 旅客数 25,862人(300.7%・9.1%) 利用率 29.6%(+3.9%・△63.3%
 内際とも、減便の対応を行ったという事。国内線は、下りは7日(71.7%)・上りは15日(72.8%)、国際線は、日本発は8日(41.1%)・日本着は14日(32.2%)が最高になりました。日本着は20%を下回る日が、かなりありました。
(国内線は去年の冬スケジュールから、JAC運航便はJAL便として運航されている)
  
日本トランスオーシャン航空
 座席数 87,615席(82.9%・78.6%) 旅客数 28,999人(108.6%・30.7%) 利用率 33.1%(+7.8%・△51.6%
   
琉球エアコミューター
 座席数 17,600席(95.4%・98.3%) 旅客数 8,865人(148.2%・64.3%) 利用率 50.4%(+18.0%・△26.7%

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スカイマーク
国内線 座席数 268,686席(107.4%) 旅客数 146,893人(152.4%) 利用率 54.7%(+16.2%・△35.6%
国際線 運航なし
 国内線の「ピーク」は、下りが7日(66.8%)、上りが15日(70.4%)。上下合計の平均では、8日以外は50%を超えたが、15日以外は60%未満。
   
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エア・ドゥ
 座席数 81,414席(104.4%) 旅客数 43,025人(185.8%) 利用率 52.8%(+23.1%)
「ピーク」は、下りが7日(74.2%)、上りが15日(71.2%)。

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ソラシドエア
(ANA販売分は含まず)
 座席数 87,219席(97.4%・122.8%) 旅客数 31,076人(220.1%・52.7%) 利用率 35.6%(+19.8%・△47.5%
 羽田~那覇線の開設と那覇~石垣線の増便があったからか、座席数は一昨年よりも増えました。「ピーク」は、下りは7日の50.6%、上りは15日の46.6%で、上下合計の平均は全日、50%を割ってしまいました。14日の下りが25.6%と極めて低かったが、九州の豪雨の影響があったかも知れない。

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スターフライヤー
(ANA販売分は含まず)
国内線 座席数 48,549席(121.7%) 旅客数 25,767人(181.5%) 利用率 53.1%(+17.5%)
国際線 運航なし
 ここも具体的な「ピーク」は示されていない。下りは7日で、80.0%と高率なのが目を惹く。上りも15日が79.9%。40%を割ったのは、8日の上りのみ。
   
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フジドリームエアラインズ
 座席数 72,516席(103.9%) 旅客数 35,287人(165.1%) 利用率 48.7%(+18.1%)
 最高の利用率になったのは、小牧は発が7日(65.4%)・着が15日(71.3%)、静岡は発が7日(75.7%)・着が15日(66.4%)、松本は発が15日(80.3%)・着が7日(84.0%)、神戸は発が7日(73.1%)・着が15日(69.0%)。今夏より就航の路線は、静岡~熊本が44.5%、神戸~花巻が50.4%。状況を考えたら、健闘しているだろう。   

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IBEXエアラインズ
 座席数 13,258席(175.7%) 旅客数 7,637人(217.7%) 利用率 57.6%
「ピーク」は、下りが7日の82.0%。上りが15日の82.4%。8日の上りが44.4%の他は、全日上下両方向とも50%以上をキープしました。運休便はなかったとの事。なおこのリリースでは、去年の利用率が記されていない。去年は46.5%でした。

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ピーチ
 利用実績についてのリリースは確認できなかった。

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ジェットスター・ジャパン
国内線 座席数 162,000席(100.0%) 旅客数 127.336人(136.4%) 利用率 78.6%(+21.0%)
国際線 運航なし
 国内線はの「ピーク」は、11日になり87.5%、上りが15日の90.5%。8日の上りが59.6%だったが、大半の日が70%以上の高率でした。
 国際線は全便運休(成田~上海・香港・台北・マニラ、中部・関空~マニラ路線の設定は変わっていない)。

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春秋航空日本
国内線 座席数 11,340席(100.0%) 旅客数 4,409人(139.3%) 利用率 3809%(+11.0%)
国際線 座席数 1,134席(284.8%) 旅客数 729人(159.9%) 利用率 64.3%(+4.0%)
 国内線の「ピーク」は、下りは6日となって55.0%、上りは15日の63.7%。50%を上回った日がほとんどなく、低調でした。
 国際線はこの期間中、8・15日ににハルビン線、9日に天津線(現在隔週運航)のみ運航。6日に予定していた南京線が欠航となったが、南京空港側の事情により、今後も今夏スケジュールいっぱいは欠航となる。

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ZIP AIR TOKYO
 利用実績についてのリリースは確認できませんでした。9月7日に成田~シンガポール線を開設、10月1日に成田~ホノルル線を増便。

 国内線に関しては、全体では前年度比1.4倍、直前の予約も多かった、との事。お盆休みと重なるように第5次緊急事態宣言が出され、しかも今回の感染規模は、第4次までとは比べ物にならないくらいに拡大しています。その中でも航空各社は前年に比べると健闘…と軽々しく行っていいのかどうか…していると言えるが、やはり、外出が多くなる事が問題視される現状では、限界があるでしょう。宣言の地域拡大もあり、この後各社とも減便を行う予定で、今年いっぱいは、低調傾向が続くでしょう。
 国際線も必要最小限の運航に留まっていて、それでもある程度は復便も見られるが、国を跨ぐ往来が少しでも自由にならないと、国内線以上に厳しい状況は、変わるまい。
 春秋航空日本のJALグループ入り、エア・ドゥとソラシドの共同持ち株会社設立の発表があり、いつになったら「アフター」と言い切れる状況になるかさっぱり解らないが、ともかくコロナ禍後を見据えた動きの種は蒔かれつつあります。これが、今後の航空需要にはどう影響するのか。次回の分析は年末年始シーズンになります。ここまでの間で感染状況がどうなるのか。少しは改善されるだろうと思いたいが、ここまで来てしまうと、少なくとも来年までは何らかの形で引きずってしまうと思われるので、航空業界は、再編成の道を模索しつつ、まだまだガマンが続くのだろう。なんとか耐えて欲しい。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。


 東武は昨日、特急「スペーシア」「リバティ」の車内販売営業(現在は営業休止中)、及び特急列車内の飲料自動販売機の営業を、今月いっぱいで終了すると発表しました。東武の特急は、かつてはスペーシアの前のDRCに、ジュークボックスも置いたサロン室があり、スペーシアでもサービスカウンターを設けて軽食の提供をするなどしてきました。小田急の「走る喫茶室」とか、近鉄の「スナックカー」とかもそうだったと思うのだけれど、こういうプラスワンのサービスが、私鉄の有料特急の魅力、だったはずなのだが、利用の減少に加えてコロナ禍の影響もあるだろう、近年は急激に減少してきました。デラックスな料理を提供する観光列車とか、新幹線「グランクラス」のような富裕層向け、もいいのだけれど、一般のグレードアップされた車両と、プラスワンのサービスが、鉄道復権の王道だと私は常々考えていました。しかし、JRの新幹線の車内販売でさえ急速に縮小、在来線ではもうない、という列車が少なくなくなり、私の理想は、だんだん遠くなっていくようです。時代も状況もあるのだろうけれど、寂しい方向に向かいつつあると思う。〔のぞみ〕に食堂車、せめてバーコーナー、なんてもはや非現実的な妄想、でしかないのだろう。

《今日のニュースから》 カッコ内は新型コロナウィルス関連
15日 「ゼロ戦」墜落の水田 合同慰霊祭 千葉県大多喜町
(奈良県 総人口の35.3% 2回目ワクチン接種完了)
16日 公立学校にスクールバス導入 議員連盟立ち上げ
(フィギュアスケート中国大会 コロナ禍で中止決定)
17日 熱海土石流災害 遺族が告訴状提出
(阪急うめだ本店 クラスター確認で今日から一部臨時休業)


 緊急事態宣言が20日から、茨城・栃木・群馬・静岡・京都・兵庫・福岡の7府県にも発出され、合計13都府県に拡大される事になりました。「まん延防止等重点措置」も10県に適用され、合計16道県に拡大される事になります。甲子園では2校が出場を辞退する事態にもなり、これまでとは根本的に、状況が悪化しています。分科会の会長が「法律に乗っ取った行動制限の仕組みづくり」に言及するなど(もう「お願い」ベースではムリだという事)、先の知事会での「ロックダウン」発言と合わせて、現状の憲法にのっとった法の統治の在り方にさえ、影響が及びつつあります。これは、迫る衆議院選挙の争点に、間違いなくなるでしょう。
 状況を変えるには、今はワクチンの接種が急がれるわけだが、実は、いよいよ私にも、ワクチン接種の順番が回って来る事になりました。明日、第1回目の接種を受けます。「イヤ」という人も少なくなさそうだが、私は打ちますよ。私一人だけで何かが急激に変わるはずはないが、それでも、ほんのわずかでも終息に近づけるのなら、喜んで。とっとと終わりになってもらいたいから。