「バスラマインターナショナル186」は、先月末発売になりました。
各地の新車から
都営バスのエアロスターは新鮮。川崎市営バスのエルガ・ハイブリッドは、先日本体で画像を公開させて頂きました。
丸建つばさ交通のエルガミオは、白一色はつまらない(フロントに描かれているのは、バラ?)とは思うが、今は緊急事態でもあるし、今後新しいデザインも考えられるのだろうか。
新型コロナウィルスCOVID-19の影響 Ⅲ
グラフを斜め読みして、他の動向も合わせて、少し感想を書いてみます。
一般路線は、観光路線が多い濃飛バスを除くと、やや下げ止まっているとは見える。しかし、グラフの4社のみならず、全体的に低迷傾向なのは肌身にも感じられるところで、大手クラスでも改正の度に減便が繰り返されたり、あとは割引制度の見直し・廃止(PASMOの「バス特」や、各地の「ワンコイン運賃」など)。高速バスは、私が見た感じだと、特に九州の減便がキツイ用に感じられる。ここにはないが、宮崎交通の宮崎~鹿児島路線が廃止になったりしている。JR九州の特急も減便しているので、九州内の移動(特に北⇔南間)は相当しんどい状況になっていると思われる。
定期観光バスは、バス事業の中では一番「不要不急」の利用、という事になってしまうのだろう。グラフの2社(はとバス・京阪バス)以外は、ひょっとしたらほとんどなくなってしまう危険があると思う(元々コロナ禍の前から縮小傾向だった)。貸切バスも、安定していた需要が止まってしまうと苦しいし、空港連絡バスはとにかく旅客機次第。特に国際線が大半の成田空港関連は、今でも多数が運休の状態で、相当しんどいだろう(便数が少ない上、現状では着いてもすぐ、目の前にいるバスに乗れるわけではない)。
公共交通の維持が危機的、という結びになっていて、各事業者は「補助・支援」を口にする。確かにそれも必要でもあり、国・政府には、「我慢を要求するなら、見返りはあるのか」とも問いたい。が、短期的にはそれで良くても、やはりバスに限らず交通は「移動のニーズ」があってこそ、なので、それが失われた状態では、長期的には行き詰ってしまうのではないか。個人的にはこの機に、単なる減便とかだけではなく、熊本で行われる事になるような、複数社を巻き込んだ、大規模な運行形態の再編成も必要になると思う。コロナ禍の前からすでにドライバー不足等が起きていて、運行の維持に影響が出ていたのだから、この機に、という感はあります。
(なお、「航空業界の早期割引」は通常運賃の値上げがあってこその施策」という意見もあったそうだが、それは違うと思う。LCCなどの新規参入に対する大手側の対抗策、の意味の方が強いのではないか?)
バス事業者訪問 224 サポート観光
225 アルペン交通
226 プリンシプル自動車
今回は3社で、皆貸切専業。正直一般的な「観光バス」は乗らないし、皆中小なので名前もほとんど知らなかった。プリンシプルは見た事があるが(地元だし、カラーがインパクトあるから覚えている)、北陸の2社は、たぶん見た事がない(あってもすぐ忘れてしまっているだろう)。次にどこかで見た時は、はっきり覚えていられると思う。
巻頭の編集長の文言で「規模が小さくても、何かキラリと光るものは持っているはずだ」と記されているが、私自身、一般的な「路線バス」であっても、もっと小さい所が取り上げられてもいいと、ずっと思っていました。「光るもの」があるかどうかは解らないが、逆に小規模ゆえの苦難の道が見えてくる、小規模ゆえに言いたい事があるのではないかとも思っているので。
特に北陸の2社に共通していたのは、中古導入は、トータルでは決して「安上がり」にはならないという事。特に「観光バス」は走行条件が厳しくなりがちだし(しかも北陸2社は雪もある)、故障のリスクは高まるだろう。この2社は、以前はどの程度の経年の車両を使っていたかは解らないが、コロナ禍前の成田空港とか、著名観光地に集まる零細貸切事業者は、相当古い車両が集まっていたのも見ていて、素人目にも「大丈夫かなあ」と思ったりしたものでした。ただ、安定して新車を導入し続けるには、やはり経営も安定したものにならないといけないだろう。それは、一般の路線バス事業者も同じだろうが。地方だと大手でも中古導入が半分以上を占める事業者も少なくないが、ただ比較的大手なら自社内での整備もできるし、市内路線のバスなら観光バスや高速バスなど程は厳しくはならないだろう、とは思うのだが。
プリンシプル自動車の神奈川営業所は、コロナ禍でほとんど稼働していない状態の神奈川営業所の写真があるが、実は今日、彼の地に行ってみました(厚木アクストの近く)。大型車はガーラ2台だけ残って、何の輸送かは解らないが、ほとんど出払っている状態だったのは一安心(町田ゼルビア専用だったエアロバスが、登録を抹消された状態で留置されていた。アルバムには記載されていない)。
この3社で一番印象的だったのは、アルペン交通でした。会社の発足は他の零細事業者とほとんど同じ同じ、中古バス数台から開始し、インバウンドやツアーバスもやっていたが、東日本大震災と、翌年の関越ツアーバス事故(この記述だと、この事故は震災の直後に起きたように読めてしまう。実際は翌年)で、方向を全面的に転換、ドライバー採用の在り方を根本的に見直し、車両も新車導入を中心にして(今でも中古導入が、ないわけではないが)、高評価を得られるようになったという事。こういう志が、他の零細事業者にも生まれて欲しい。コロナ禍は全ての貸切専業事業者に打撃となったが、これで「ブラック」な事業者が淘汰されるのなら、それは悪い事ではないだろう。
サポート観光の福井県は、石川県や富山県と比べると、北陸では地味な県なのは、申し訳ないが間違いない。無論魅力がないわけではないが、県内への空路がない事(小松空港で十分間に合う)、JR北陸本線の、特に大阪・名古屋からの特急が全て、福井は単なる通過点になっている事、県都福井市の人口が約27万人で金沢市(約47万人)・富山市(約42万人)と比較しても小さいうえ、嶺北と、敦賀を中心とした嶺南で生活圏が割と異なるようだから、つかみどころがないのではないだろうか?北陸新幹線の敦賀延伸が3年後、中部自動車道の大野~油坂間開通は5年後、の予定だから、もう少し辛抱が必要なのか。
アルペン交通とプリンシプル自動車は、以前はインバウンド輸送もやっていたそうだが、読む限りではリスクも相当大きそうだ。もう少し大手でもやらない、という所もあり、コロナ禍後に戻ってきた時、業界全体でもう少し、まともな受け入れ態勢を構築できていないといけないだろう(万が一大事故が起きたら、国際問題にも発展する。事業者だけに任せてはいけない話だ)。
プリンシプルでは運賃制度の話も出た。この点は連続ツアーバス事故でもクローズアップされたが、旅行会社がキチンと守って欲しいのが一番だけれど、利用者の側も、本当にただ「安ければ」いいのか、一度考えなければならないだろう。ただ、航空のLCCに見られるように、「安いのが一番、運賃値上げはけしからん」という認識が、特に平成の30年間で出来上がってしまっているので、意識改革は難しいかも。金の流れの透明性が、純粋な民間企業であっても求められるだろう。
今後もこの3社のような中小貸切専用事業者を取り上げる機会はあるだろうが、リクエストさせてもらえるとすれば、近年は大手乗合事業者が路線を廃止した後、代替で自治体などが主導して運行を開始するコミュニティバスとか、乗合タクシーなどを受託する貸切事業者が多くなってきているので(神奈川県にも数社ある)、そこを取り上げて欲しいです。貸切の経験は、乗合にはどの程度生きるものなのか。
超長期実用テスト 京浜急行バスH3401が引退
走行距離が100万kmに届かず(おなじモニター車の鹿児島交通のユニバースは達成したそうだが)、道半ばでの無念の引退、という事になるが、モニター車、というより、京浜急行バスが夜行高速バスから全面撤退した、という方が、インパクトが大きい。〔ノクターン〕がヒットし、〔ムーンライト〕の西鉄・阪急と共に、昭和末期~平成初期の高速バスブームを引っ張ってきた、大手中の大手なので。京浜急行バスの夜行高速は元々縮小傾向にあったが、コロナ禍がとどめを刺した、という所だろう。この点にも触れて欲しかったが、来年初頭の増刊号あたりで期待したいです。次はどこで走るのだろうか。
(なお、京浜急行バスの夜行路線へのの日野導入は現行セレガが初めてではなく、〔キャメル〕スタート時に、初代セレガより前のブルーリボンSHDを導入していた(本体で公開しています)。京浜急行バスの夜行専用車は、最後まで全車両がSHDだった事は特筆していいでしょう)
入れ替わりのモニター車は、京成バスのブルーリボンハイブリッド連節バス。連節バスをモニター車にするのは初。
日産シビリアン
アニメのキャラクターを描いた幼稚園バスのシビリアン、多かったよね(版権は大丈夫なの?と思っているのだが、どうしているのだろう)。
シビリアン、というより「幼稚園バス」、ひいては通学バスの目線で言うと、今後の幼稚園の経営って、少子化がさらに進むので、かなり困難になってくるところがあると思われるがどうだろう?一方で学校は、特に地方では統廃合が進んで学区が広域化し、必然的に児童・生徒の通学距離が長くなるし、八街の事故に見られるように、徒歩での通学には危険も伴う。ので、今後はトヨタのコースター(日野リエッセⅡ)や、三菱のローザが代替策となるのだろうが、高年齢(小・中学校)向けへの仕様のシフト、という方向になるのかも知れない。アルペン交通で通学バス受託の話もあったが、この分野に的を絞った考察があってもいいのではないだろうか。
(千葉県の熊谷知事が、スクールバスの助成への要件の緩和を文部科学省・国土交通省・警察庁に送ったという事)
今回の香港からの報告は、キャセイパシフィック航空(CX)のクルー専用バス。当然航空会社は全世界的に苦しいが、特にCXは、中国メインランド路線以外は全て国際線となるから、本当に大変だと思う。しかもクルーと言えども帰国後2~3週間の隔離を要求されるというのでは、防護服を着用するドライバーも大変だが、CXのクルーもまた大変。この忍耐が、いつか報われる日は、来るのだろうか?日本の隔離措置の在り方についての批判は少なくないが、結局どこの国だって、同じなのではないか?
モニター車は、京王バスのT20711号車も今年で14年となり、そろそろ代替が視野に入るのではないか?
次号のバス事業者は、北恵那交通を除くと皆、沖縄の宮古島の事業者。バステクフォーラムもあるが、次号の発売日は、オリンピックは終わって、パラリンピックの真っただ中、というタイミングになる。関連した輸送に関する報告はあるだろうか?ある、という状況であったなら、良いのだが。
当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。
《今日のニュースから》 カッコ内は新型コロナウィルス関連
30日 ブラインドサッカー日本代表ユニフォーム発表 オリンピック男女代表と同デザイン
(JICA ワクチン接種支援 パレスチナ暫定自治区で署名式)
1日 「電話リレーサービス」 開始
(救急救命士 ワクチン接種開始 神奈川県海老名市)
いろいろな意味で正念場の7月を迎えました。東京都は感染者数が拡大傾向で、「オリンピックは大丈夫なの?」の疑問の声も、当然高まるでしょう。次回の更新は先日鉄道各社から出された、オリンピック輸送の計画についてもまとめるが、無事完遂される事を願います。ともかくやると決まった以上は、無事に開幕を迎えて、無事に全部の競技を終えて、選手・関係者らが誰一人として感染する事なく、無事母国に帰国して欲しい。開幕前の9日には東京都議会選挙もあるし、しばらくは様々な分野で、緊迫した日々が続くのでしょう。