№2325 私鉄名車列伝 150.四日市あすなろう鉄道260系
「私鉄名車列伝」、今回は四日市あすなろう鉄道の260系です。
四日市あすなろう鉄道は、2015(H27)年4月に、近鉄が運営していた内部線(近鉄四日市(転換時にあすなろう四日市に改称)~内部)・八王子線(日永~西日野)を継承して開業した新鉄道で、四日市市が線路・施設及び車両を保有し、同鉄道(現在の出資比率は近鉄75%・四日市市25%)が運営を担う、「公有民営」鉄道です。260系は四日市市の鉄道事業再構築実施計画に基づいて生み出された系列で、2016(H28)年度の鉄道友の会ローレル賞受賞は、創業間もない小規模ローカル鉄道としては、画期的な出来事でした。
260系の母体となったのは、近鉄時代の1982(S57)年、両路線の近代化のために導入された260系で、先頭車8両(Mc5両・Tc3両)を新造し、三重交通時代からの在来車の改造車も交えた、5編成14両で構成されていた。新造車は、同じナローの北勢線(現三岐鉄道北勢線)270系をベースとし、カルダン駆動を採用、内部は先頭方向を向いた一人掛けクロスシートを並べ、冷房はなく、代わりにラインデリアを搭載していた。先頭部は、急カーブ対応のため、内側に絞られた形状が特徴的である。1989(H元)年にワンマン化改造が行われている。元は近鉄のマルーンをベースに、ドア部をオレンジ色としていたが、近鉄末期にはマルチカラーとなっていた。
継承後の同鉄道では、新車並みの大掛かりなリニューアルと、冷房化工事を行う事になった。その最初となる261Fは、両先頭車は近鉄から継承された車両を改装、即窓はUVカットガラスを使用して、固定窓と上部内折れ式の開閉窓の組み合わせとなり、車端部には床置き式の冷房装置が搭載されている。先頭側のドアは、乗務員室直後に移設された。前頭部は尾灯を上部に移した他、行先表示窓は社名表示に固定され、運行区間は、円形の板で表す方式とした。老朽化していた中間車は新造車に代替となり、座席数確保のため1ドアとなって、点対称に配置されている。3両とも、ドア付近に行先を表示する3色LED表示器を設けた。駆動方式は釣り掛け式を継承している。
車内は一人掛け固定式クロスシートとなり、両先頭車は先頭向き、中間車は左右で逆向きとしている。いずれも、座り心地を改善した新シートを採用しており、手すりはハート形を模している。両先頭車の連結寄りにはベンチシート、先頭寄りには車いすスペースを設置した。
261Fは転換直後の2015(H27)年9月に営業デビュー、その後、2018(H30)年8月までに順次リニューアルと新造を行い、5編成(3連×4・2連×2)の陣容が出揃った。在来車の改造で賄っていた先頭車両は、リニューアル車に準じたク164形2両を新造して代替している。260系は、リニューアル車7両・新造車7両の陣容となった。2016(H28)年の262Fから、外部塗装は白と緑(「なろうグリーン」と称する)のツートンカラー+青(「なろうブルー」)帯となり、当初は全編成が統一される予定だったが、261Fはデビュー時の白青のツートンを維持している。なお、車両は施設と共に四日市市が保有し、大掛かりな検査は引き続き、近鉄の塩浜検修車庫で行っている。
【編成】
←あすなろう四日市方 内部・西日野方→
Mc260* - T180 - Tc160(164) Mc260* - Tc164
(* パンタグラフ)
車両のリニューアルも終了し、一段落という四日市あすなろう鉄道だが、今後の伸びしろとなると、どうだろう。距離も短いし、全線に渡って三重交通のバス路線が並行しているので、利用の増加を図るのは簡単ではないだろう。ダイヤも現状ではたぶん変えようがない。少なくとも増発はできない(現行のダイヤは、転換開業時のまま)。コロナ禍もあり、困難な状況にあるだろうと思うが、健闘を期待したいと思います。私もいずれ、できるだけ早く再訪したいと思います。ここにも「鉄道むすめ」(追分 あすな)がいるんだねえ。
今回の記事は、
「鉄道ピクトリアル 2003年1月臨時増刊号 【特集】近畿日本鉄道」「同2016年10月臨時増刊号 鉄道車両年鑑」(鉄道図書刊行会)
「私鉄車両編成表」(交通新聞社) 等
を参考にさせて頂きました。
次回は北九州高速鉄道(北九州モノレール)1000系を予定しています。VVVF改造等のリニューアルも行われてはいるが、36年前の開業当時の車両が未だに現役です。現在の日本のモノレールでは、現役最古となりました。
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《今日のニュースから》
12日 「ヤングケアラー」中学生17人に1人 文部科学省初の実態調査で判明
(東京大学入学式 コロナ禍で2年ぶり)
13日 台湾 自前新造の揚陸艦「玉山」 高雄で進水式
(日本大学相撲部 部員29人のコロナ感染判明)
「ヤングケアラー」17人に1人、単純計算では、クラスに2人以上はいる事になるから、大変な数だと思う。私の中学生の頃は、どうだったのだろう?全くいなかったわけではないとも思うが、今のコロナ禍ではより状況は厳しいはずで、これこそ政治が何とかしなければならない事ではないのか。
大阪府のコロナ禍感染者数が一気に1,000人を突破して、正直驚きです。変異種の脅威も増してきているようで、今年のGWも、穏やかならざる事態を覚悟せねばならないのか。
松山 英樹選手、マスターズ優勝、おめでとうございます。正直、この位の明るすぎるニュースもないと、今の世の中、精神的にやっていけないよねえ。