「バスラマインターナショナル183」、先月末通常通り刊行になったのに、大幅に遅くなってしまいました。
実は、この更新の数日前、横浜市営のEVに乗ってきました。運用が公表されているわけではないから、寒空の中横浜駅西口のバスターミナルでいつ来るかと待っていたのだけれど、本文記事とは若干異なり、昼頃の50系統(横浜駅西口→神大寺入口)・346系統(神大寺入口→横浜駅西口 50系統の復路となる35系統のうち、松本から横浜駅西口までノンストップでショートカットする急行便)になりました。横浜市の事前のリリースでは、26・34・36・59・87系統と記されていたから、やや意表を突かれたのだが。
この両系統(事実上同じ)の特徴としては、松本~神大寺入口間は、丘陵地帯の、住宅街が連なるやや幅の狭い尾根道を走るという事だろうか(だからランドマークタワーなどのみなとみらい地区のビル群も、見る事ができます)。急カーブに急こう配もあり、大型車としてはやや難儀な路線だと思う。
技術的な事は解らないし、ドライバーの運転の様子も見られないが(最前部シートは使用中止だし)、まずは、とにかく静か、というのが第一印象。一番後ろに座ったが、車内アナウンスをかなりハッキリと聞き取れたのが、印象的でした。また、ところどころ道路に面して商店もあるのだが、排気ガスがない、というのは歓迎材料になるだろう。浅間町〔営〕が多彩な性格の路線を管理するのでEVの配置先に選ばれた、という事だが、生活環境に敏感な住宅地を走る路線が、EVには一番向いていそうな気がしました。
浅間町〔営〕にはすでにハイブリッド車が多数あるし、CNG車もまだ残っているが、在来の低公害車との比較(特に今回は、国産バス同士)は、興味が持たれると思う。どこかで検証した記事が欲しいです。改造などのコストが低く抑えられたら、もう少し普及が進むのではないだろうか。
協同バスのBYD導入も興味深い。協同バスはCNG車への改造が多い、というイメージがあったのだが、EVにかじを切るという事だろうか。「ENEOS」というのは最初はやや?だったのだが、ENEOSがバッテリーのリサイクルにも取り組んでいるとは知らなかった。久喜市のコミュニティバスは、今日現在では、EV導入の発表はない。
西武バスと東武バスのSORAは、同じ水素ステーションで充填を行うが、「エア・リキード所沢松郷水素ステーション」は、浦和所沢バイパスと県道が交差する松郷交差点の近く(所沢ナンバーを交付する登録事務所のすぐ近く)で、東所沢駅のやや北に位置するから西武バスはいいが、東武バスは、鶴瀬駅とも、新座〔営〕ともかなり遠い。せっかくの水素が長大な回送で無駄になってしまわないかと思うが、どのくらいの頻度で充填するものだろうか。いくつか施設を使えるJRバスとは対照的とも思えて、郊外部での水素バスの普及は、充填設備の適切な配置もポイントになるだろう。
バス事業者訪問 219 芸陽バス
まず運行される範囲は、三原から広島までのJR山陽本線の沿線をカバーしていて、路線の整理も行っているが、それでもかなり範囲が広い。運行便数は解らないが、東の三原から西の広島まで、普通の芸陽バスだけで乗り継いで行けそうだ。本郷と白市の間は路線がなくて、三原~西条間は山側と海側、大きく離れたルートの選択になるのが面白い。
(以前行った事がある上竹仁は、後に路線再編成で途中経由地となり、土日も乗り入れになったが、結局現在は廃止になっているようだ。再公開はもう少し待ってください)
輸送人員は、2016(H28)年間では300万人台をキープしていたが、この3年間は、かなり落ち込みがきつい。2019(H31~R元)年は、1年間で40万人近く、14%も減少している。路線の整理は一段落していたはずで、集中豪雨の影響もほぼなくなっていたろうし、何があったのだろうか(「年」であって「年度」ではないのか。「年度」だったら、年度末のコロナ禍の影響もあったかも知れないが)。
コロナ禍という点では、ここでも「バス離れ」が指摘されている。テレワーク普及や高齢者の通院の頻度が減っている上に、通院でマイカーなどへの転移が見られる、渋滞の影響はコロナ禍以前と同じだと。何回か書いているが、芸陽バスに限らずどこでも、非常に懸念される傾向だと思います。いくらバス(に限らず交通全体)がウィルス対策を徹底しても、外的な要因による減少は、手の打ちようがない。
広島のバス事業者の協調関係は頼もしい。親会社となった広島電鉄の影響が大きいと思うが、隣の岡山市のスッタモンダを見るにつけて、余計そう感じます。見聞きする限り、広島県では、新規事業者の参入は、地方部のコミュニティバス的な路線を除いてはないみたいで、この良好な関係が続く事を望みます。広島県に限らないが、どこの事業者も乗客減やドライバー不足といった課題は共通なのだから、もっと踏み込んで、路線やダイヤの再編成、インフォメーション体制の共通化などに、業界全体で踏み込んで取り組んでもらいたい。鉄道のJR西日本との連携の強化も一層望まれます。
広島電鉄の傘下となったのは2012(H24)年と比較的最近だが、貸切バスは既に全部広電グループ統一カラーになっている。それ以前のカラーはもう残っていないのだろうか。高速車は「たまゆら」ラッピングがある。
カラーリングは、現行のシンプルなパターンと、90周年記念のカラーがあるが、「アーカイブス」のパステル調が印象深いです。モノコック車だと、こちらの方がフィットしていると思う。テキストでは芸陽バスより、日野車体へのコメントが目立つ気がする(ボディがモノコック→スケルトンへと移行する頃が中心なので)。
バス事業者訪問 220 鯱バス
個人的には、「東急鯱バス」の社名が印象に残っています。
「Go To トラベル」は、ここでは好意的に受け止められているよう。ここでも「車庫巡りツアー」というのがあったんだ。東海バスでやっていたのはフェイスブックで知っていたし、他にも同様のツアーを行った事業者も少なくなかったようだが。それだけに昨今の「緊急事態宣言」再発出(愛知県・岐阜県も昨日再発出された)は打撃ではないだろうか。「需要が冷え込まないよう祈っている」と語っているようだったが…。
(政治的には、「Go To トラベル」は批判も多く、その言い分も解るが、これによって大いに助かった、という人々、業界が少なくない事も、少しは理解すべきではないか)
車両アルバムの貸切車には「(徳川)家康」があるが、今年だったら同型で「(明智)光秀」があるようだから、そちらを出せば面白かった。出払っていて、撮影できなかったのか。でも「関白」って、人物の名前じゃないよね?(天皇に代わって政を行う位の名前)武将じゃない人もいるし、若き日の名前もある(「(木下)藤吉郎」は後の豊臣秀吉)。正室の名前とかもあるが、さすがに全部中京地域の武将というわけにもいかずに、結構全国に散らばっている。「春日局」「(前田)利家」「(真田)幸村」も大河ドラマの主人公になった人物だし、歴史が好きな人なら楽しめそうだ。路線バススタイルの企業送迎者は貸切と特定、両方あるが、どう違うのだろうか。個人的には、「観光バス」のカラーリングはやや古臭い気がするが、これで定着できているなら、敢えて変える必要もないか。このカラーリングのまま、現代的なアレンジを加える事が出来れば、と思うが、どうでしょうか。
私はドイツの韓国人バスドライバー
№180から4回シリーズで連載されていた、ドイツのバスの運転手を目指した韓国人の自伝で、今回改めて読み直してみました。やや斜め読みになってしまったが。
根本的な疑問として、なぜ異国の地のバスドライバーを目指したのか?普通にバスドライバーとして生計を立てたいなら、地元韓国でも十分だったはず。徴兵時代に軍用バスのドライバーをやっていたのなら、なおさら。テキストを読むと、単に運転の仕事だけでなく、そこからドイツを中心とした、欧州の交通システムの現状を学びたいという意思を感じました。また、はっきりとは口にしていないが、韓国では、バスドライバーは地位が決して高くない(これは日本でも同じだが)だろう事がうかがえます。
それにしても、多国籍企業の海外転勤ならまだしも、いきなりよその国で、バスドライバーとして働くんだ(しかもシステムエンジニアの職を捨てて)、と言われたら、本人はいいだろうけれど、家族は確かに大変だ。普通の海外転勤だって大変なのに、まして行った先には、同国の同僚はいない。さすがに1回目は失敗に終わったが、2回目は相当準備万端整えていった事がうかがえます。そのくらいやらないと、海外でイチから職を得るのは難しいという事。ドイツの側も、懐自体は深そうです。勉強は当然大変だが。
私はバスドライバーを目指した事はなかったから免許のシステムはよく解らないが、スイスの教則本を読むと、優先権は日本以上に厳しそうだ。「右優先」は、例え右側が自転車であっても最上位になるのは、日本にはない思想かも知れない。路面電車が最優先、というのは、うらやましいなあ。
長年の努力が実ってバスドライバーとして独り立ちできた事は、めでたいと思います。今は教える側にもなっているそうで、これからの活躍を期待したいと思います。でも、さすがに後に続く人って、そんなに多くないだろうとも思います。自ら5~600㎞も面接のために移動して、バスドライバーの職を得ようとするのは、日本では考えにくい。たとえ同じ国内でも(最近の日本の「どらなび」のような就職相談会的なものが開催されているなら別だが)。
ひるがえって日本ではどうだろうか。まず、日本人が他国のバスドライバーを目指したいと、考えるだろうか。欧州なら同じ左側通行のイギリスあたりになるのだろうが、基本的な生活基盤の確立だけでも苦労が大きいし、そもそも相手国が、遠い異国の国民を、労働者として受け入れてくれるだろうか?異国民を排斥する傾向が強まっている昨今の欧州の状況を見ると、特にそう感じる。即戦力として認められなければなるまい。最低限、英語はペラペラでないと。
一方、日本では慢性的ドライバー不足で、外国人(この場合は東南アジア諸国など)を受け入れたいと考えている事業者は少なくないようだが、日本の法規に沿って安全運転ができる一人前のドライバーを、キチンと養成できるだろうか?最低、ここに挙げられたドイツくらいの制度・システムは必要だろうと思うが、整える事は可能だろうか?少なくとも、一事業者では無理だろう。国家レベルで取り上げる必要もあるだろうが、外国人労働者や、技能実習生に関してトラブルが少なくない日本だと、ちょっと?。ドイツ並みのレベルにはならないだろうと思います。
ともかく、一韓国人の夢への挑戦は、読みごたえがありました。また、ドイツの交通システムの一環が垣間見えた事もあって、興味深い連載になったと思っています。もう少し、読み進めてみようと思います。
次号のバス事業者訪問は大島旅客自動車と予告されています。伊豆大島のバス会社(以前の東海汽船のバス部門)で、離島のバス会社は事実上初めて(161号で瀬戸内海交通があったが、掲載時には、しまなみ海道で今治と結ばれていた)。観光が中心で、それゆえコロナ禍の現状は心配される(特に、本土からウィルスが持ち込まれるのが怖い、という点で)が、完全に本土から隔絶した環境では、どのような運行がなされているものだろうか。晴海ふ頭からの客船は海の状況で入港地が変わるので、その点大変だろうと思われるが。沖縄のバスも期待されるが、予告にはないが、西武バスが2月から、飯能市内の路線で、一般路線バス形態では初めての無人運転の実証運行を行うと発表しているので、速報でも取り上げられる事になるだろうか。
当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。
「緊急事態宣言発出」に伴う国土交通大臣の要請を受けて、首都圏のJR・私鉄・地下鉄等の各社は昨日、一斉に20日からの最終電車の繰り上げ等を発表しました。今回の繰り上げは、各車が3月から実施すると予告しているものとは異なっていて、規模も様々です。次回まとめて書きます。
明日は、軽井沢のツアーバス事故から5年です。私は去年夏、横川から軽井沢に向かうJRバスに乗車したが、その途中で、事故の慰霊碑を見る事になりました。このような事故が繰り返されてはならないが、コロナ禍の影響で、バス会社が旅行会社から、法令を下回る運賃での運行を要求されるとか、それを監視すべき「適正化センター」で、人員を削減せざるを得なくなっているケースがあるという事です。心配な材料だと思います。
《今日のニュースから》
13日 パナマ船籍貨物船 宮古島沖で浸水
(ロシア プーチン大統領 全国民の国産ワクチン接種推進指示)
14日 韓国 パク・クネ前大統領 懲役20年の判決確定
(バトミントン桃田 堅斗 10日間待機後自主練習開始)