№2244 「コロナ」と「豪雨」の四国~九州 陸海空立体旅行 5.ゆふいんの森2号
久大本線の特急〔ゆふいんの森〕は、平成の世になってすぐの1989(H元)年3月に、臨時特急として運行を開始(久大本線の主役がまだ急行〔由布〕という時代)、早いものでもう30年以上の歴史があります。キハ71系3連でスタート、すぐに増結され、その後はキハ72系が導入されたり、一時はキハ183系(今の〔あそぼーい!〕車)が起用されたりと、あまたの変遷を遂げつつ、久大本線のスターの地位を確立しています。
7月豪雨の影響で全線で運行を見合わせたのち、8月より博多~豊後森間2往復で運行を再開しています。前回書いたとおり、キハ71系4連は由布院で身動きが取れなくなってしまっているから、キハ72系がピストン運行を行っています(オフの検査時はキハ185系の〔ゆふ〕として運行)。本当は豊後森から久留米の間も普通列車にしたかったのだけれど、豊後森~日田間の普通列車が極めて少ない事、福岡空港からの羽田行SKY便の搭乗を考えると、〔ゆふいんの森2号〕以外の選択肢がありません。この機会に、JR九州が誇る観光特急はどんな列車なのか、見て、乗ってみるのもいいだろうと思って、由布院駅で指定券を手に入れたのでした。
〔ゆふいんの森2号〕に接続する11時40分発代行バスは、亀の井バスのガーラ2台。豊後森まで直行で、大分道を走るらしい。
車内。当然、観光客が多い。座席利用の制限は、最前列以外は特にない。各地の高速バスなどの中には、座席の使用を制限して運行(窓側だけ使用とか)する所が少なくないが、これを見ると、バス側の対策がしっかりしていれば、そんなに神経質になる必要もないのではないか?とも思ったが、どうでしょう。
最後部に座り、大分道に入って後部を見ると、由布岳がそびえていました。交通量は、やはり東名あたりと比べると、はるかに少ない。
同じ亀の井バスの貸切車とすれ違う。〔ゆふいんの森1号〕からの接続便だったのだろうか。
山間部を行く。ほとんど寝ていました。
豊後森駅に、ほぼ定刻に到着。
玖珠観光バスの待合所。これも大分交通系の分社で、旧国鉄宮原線の代替バスも運行しているが、残念ながら姿がなかった。JALの看板が未だに「Arc of the Sun」。今後もこんな形で、地方では残っていくのだろう。
豊後森駅の、駅舎の中。豊後森駅がある玖珠町も、最近は観光で売り出している所で、駅舎も合わせて改装されているようです。
駅構内のはずれには、扇形庫の建物が残されています。由布院への鉄路の早期開通が、待たれます。
〔ゆふいんの森2号〕は、キハ72系の5連。当分の間、〔ゆふいんの森〕は同系の孤軍奮闘。
側面のエンブレムと、行先表示。行先表示はステッカーを貼って、表現しているようだ。
豊後森駅のホームは、他には列車がいなくて、閑散としている。普通列車はこの後13時08分に日田から来るまでない。日田へ行く普通は10時00分の9844Dのあとは15時44分の9862Dまで、6時間近くも列車がない(この間に〔ゆふ4号〕がある)。
2号車、キハ72-2の車内。空席が多いのにほとんどのカーテンが閉まっているが、豊後森折返しの間は、カーテンを全部閉めているようです。車内の温度の上昇を防止するためだろう。だから少々暗い。
天ケ瀬の手前では、左手に現れる「慈恩の滝」の見物のために徐行。乗務員も、「慈恩の滝」と書かれたボードを持って、車内を巡回する。ただ正直なところ、列車からだとケーブルが少々ジャマ。
日田を出発して、日田川を渡る。3年前の九州北部豪雨では鉄橋が流され、翌年の再開まで、〔ゆふいんの森〕は小倉・大分経由での運行を強いられていました。
久大本線はまだしも、夜明で分岐する日田彦山線は、未だに不通のまま。どうやらこのまま、完全にバス転換(BRT?)という方向に行きそうだ。この路線も、相当長い期間、乗らないままだったのだけれど…。
5号車の先頭部から、運転室越しに前方を見る。線路はやはり、特急が走るにしては少々貧弱、だろうか。
日田を出発した時点で乗客を数えてみたのだけれど、⑤号車…28人・④号車…7人・③号車…6人・②号車…6人・①号車…16人、合計63人しかいない。72系は5両で定員が266人だそうだから、1/4も乗っていない。両先頭車にある程度集中しているのは、先頭部からの展望もウリにしている列車らしいけれど、やはりコロナ+豪雨で代行輸送、が響いているのではないだろうか?
車内販売が回ってきたので、「かぼすシャーベット」を食してみました。やはり最初のうちはコチンコチン、しばらく時間を置いた方が良いか。
その後、ドーナツとコーヒー。
4号車のビュッフェコーナー。といっても見た感じは売店に近い。窓際に、立ち食いが出来そうなカウンターはあるけれど。コロナ禍で乗客が減少しているため、弁当やサンドイッチの販売は中止(弁当は2日前の予約のみ)だし、仕方がないのだけれどビニールのシートで仕切られたりして、せっかくの売り物なのに、正直残念だよねえ、と感じました。でも、車内販売のドーナツがおいしかったから、もう一つ、コーヒーと共に買ってしまいました。
クリアファイルも購入。別の場所には記念乗車証が置いてあって、スタンプも押せます。
列車は既に鹿児島本線に入ってもう終点間近、南福岡通過。〔ゆふ〕のキハ185系がいますね…。
博多、着きました。すぐに〔3号〕として、折り返し。
乗り通してみて、一つ気づいたのは、放送が昨今はやりの自動放送ではなくて、車掌、またはアテンダントの肉声放送だった事。それに、英語など他の国の言語の放送が、たぶんなかった。コロナ禍前はインバウンドの利用も多かったはずだが、問題にならなかったのだろうか?
列車そのものはJR九州が誇る観光特急(いわゆる「D&S列車」とはまた違う扱いのようだが)だけあって、意欲的な仕掛けがあちらこちらに見受けられました。それだけに、コロナ禍+豪雨で利用が低調なのは残念。JR九州は、久大本線に関しては来年春までの全線復旧を目指しているそうで、その時点で…インバウンドはまだ戻って来れまいが…、いくらかでも賑わいが戻ってくれればと思います。
それにしても〔ゆふいんの森〕は、先に書いた通り3年前には九州北部豪雨で大回りを強いられたりしていて、久大本線が被る水害の影響を、この数年は何度も受けています。久大本線自体、久留米側も大分側も、特急が走る路線の割には線路が貧弱だと思いました。異常気象が固定化しつつある昨今なので、復旧後もまたいつか、災害の影響を受けてしまう事になるかも知れない。JR九州にとっては単なるローカル線ではない、いろいろな面で重要な路線なのだから、災害にあってから数年かけて復旧、の繰り返しではなく、抜本的な改修工事、場合によっては別線の建設などもやって、災害に強い、幹線としての機能が強化された路線を、追求して頂きたいと思う。これは久大本線だけでも、JR九州だけの問題でもないのだが。
福岡空港に向かう前に数点。
佐賀県では、アニメ「ゾンビランドサガ」のデジタルスタンプラリーが展開されているらしい。改札口を出た先の、サイネージのCM。
(私はゾンビランドより、ヴィンランドの方がいいです。佐賀県は行きたいけれど)
運行計画。7月豪雨の影響と、コロナ禍による11月1日からの計画運休。
(なお、〔ソニック〕5往復と〔かもめ〕1往復は、21~23日の3連休は運行が決定している)
今のJR九州のイチオシのD&S列車が「36+3」。曜日による運行ルートの違いを、カラフルにPRしています。
しかし、この列車だって本来はインバウンドの利用をある程度想定していたはずだが、彼らが利用するだろうレールパスのカウンターは、完全に閉鎖されているのでした(だからこのような展示もできるのだが)。
福岡からは、5年ぶりのSKY便で羽田に向かいます。次回、最終回です。
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