№2222 神奈中バス コロナ禍の深夜バス
新型コロナウィルスが猛威を振るいはじめて10ヶ月、4~5月には「緊急事態宣言」まで発出されるに至り、人々のライフスタイルは直接多大な影響を被る事となり、それは当然の如く、人々のライフスタイルに左右される公共交通機関にも、重大なダメージを与え続ける事になります。
その中でも、「深夜バス」は特に影響が大きい分野の一つでしょう。主に始発地を23時台以降に出発、運賃を通常の倍額にして運行する便で、生活の24時間化と、通勤圏の拡大に伴って、特に首都圏などの大都市で運行が活発に行われていました。主要なターミナル駅では、ニュータウンなどに向かう深夜バスの停留所に、大勢の乗客が列をなす姿も少なくありません、でした。
しかし、コロナ禍は状況を一変させました。「テレワーク」の推奨や、飲食店などの夜間営業の自粛要請などの営業はやはり大だったろう、緊急避難的なダイヤ変更で運休や減便を余儀なくされた上、日中の利用がある程度落ち着いてきて、ダイヤが回復傾向にあっても、深夜バスは引き続き運休、という事業者は少なくありません。それどころか、夏休み明け以降あたりから、正式に深夜バスを廃止したり、減便したりする事業者・系統が相当数見られるようになってきています。
その中から、神奈川中央交通の深夜バスの現状を確認してみたいと思います。地元という事もあるが、神奈中バスは1970(S45)年に日本で初めてこのスタイルの「深夜バス」をスタートさせ、今年でちょうど50年という、深夜バスの元祖の事業者です。しかしコロナ禍の苦境は当然神奈中バスも例外ではなく、緊急事態宣言下でも深夜バスの運行は行われていた(土曜のダイヤ。土曜日は休日ダイヤとなって、深夜バスは運休だった)が、それ以降各営業所毎に行われるダイヤ改正で徐々に運行本数が減少、廃止となる系統も出てきました。そして9月5日、土曜日の深夜バスは全系統正式に取りやめとなって、現在に至っています。
ここでは、神奈中バスの公式Webの時刻表検索サイトから、現在運行されている深夜バスを記します(舞岡〔営〕は10日改正以降)。営業所毎に、運行本数も記しました(厚木〔営〕と厚木北〔営〕は区別できないので、まとめています)。
横浜営業所 4本
船11 大船駅→上之
23:18 23:45 24:10
船91 大船駅→上郷ネオポリス(公田団地経由)
23:35
舞岡営業所(10月10日以降) 10本
保06 保土ヶ谷駅東口→不動坂
23:35 24:10
東10 東戸塚駅東口→緑園都市駅
23:30
203 東戸塚駅東口→上大岡駅(芹が谷経由)
23:15
戸22 戸塚駅東口→舞岡
23:30
戸38 戸塚駅東口→保土ヶ谷駅東口
23:35
71 上大岡駅→(循環)上大岡駅(芹が谷経由)
23:30
上96 上大岡駅→不動坂(芹が谷経由)
23:45 24・00 24:14
戸塚営業所 16本
戸13 戸塚駅東口→上飯田車庫
23:25
戸99 戸塚駅→上矢部高校(ラムーナ横浜戸塚経由)
23:25
戸52 戸塚バスセンター→俣野公園・横浜薬大前
23:20 23:30 23:40 23:51 24:01 24:10 24:19 24:35
戸60 戸塚バスセンター→立場ターミナル(汲沢経由)
23:30 23:40
戸73 戸塚バスセンター→金井高校前(ヒルズ南戸塚経由)
23:27
船22 大船駅西口→立場ターミナル(俣野公園・横浜薬大前経由)
23:47
境11 三ツ境駅→宮沢
23:38
境15 三ツ境駅→新橋町
23:30
中山営業所 3本
鴨02 鴨居駅→中山車庫
23:30
115 鶴ヶ峰駅→若葉台中央
23:37
116 三ツ境駅北口→若葉台中央
23:47
藤沢営業所 5本
戸81 戸塚バスセンター→藤沢駅北口
23:30 23:48
船32 大船駅西口→藤沢駅北口(渡内経由)
23:55
船32 藤沢駅北口→大船駅西口(渡内経由)
23:20
藤02 藤沢駅北口→高山車庫(上村経由)
23:40
茅ヶ崎営業所 6本
茅81 茅ヶ崎駅北口→松風台(鶴が台団地経由)
23:37 23:59 24:33
茅35 茅ヶ崎駅北口→浜見平団地
23:37 23:59 24:33
平塚営業所 10本
平30 平塚駅北口→湘南めぐみが丘
23:30
平63 平塚駅北口→田村車庫(横内経由)
23:29 23:54
平51 平塚駅北口→田村車庫(旧道経由)
24:03
平53 平塚駅北口→本厚木駅南口
23:30
平50 平塚駅北口→リバーサイド
23:54
厚55 本厚木駅南口→田村車庫
23:29 23:49 24:09 24:35
秦野営業所 4本
平74 平塚駅北口→秦野駅(下大槻団地)
23:30 23:49
秦63 二宮駅北口→秦野駅南口
23:25
秦65 秦野駅南口→南が丘公園前
23:33
伊勢原営業所 4本
平90 平塚駅北口→伊勢原駅南口(伊勢原団地経由)
23:33 23:49
伊05 伊勢原駅南口→みどりが丘(伊勢原団地・ふじみ野経由)
23:40 24:20
厚木・厚木北営業所 14本
厚14 本厚木駅→清運寺入口(鳶尾団地・まつかげ台団地・半原経由)
23:33
厚11 本厚木駅→上荻野車庫(鳶尾団地・まつかげ台団地経由)
23:50 24:15
厚06 本厚木駅→鳶尾団地
24:32 1:12
厚08 本厚木駅→松蓮寺
23:22
厚25 本厚木駅→緑ヶ丘三丁目
23:18 24:13
厚27 本厚木駅→古松台入口
23:40
厚90 本厚木駅→森の里
23:28
厚61 本厚木駅→春日台団地
23:35
厚22 本厚木駅→上煤ケ谷(宮の里経由)
23:35
厚48 本厚木駅→毛利台団地
23:22 24:05
綾瀬営業所 9本
辻24 辻堂駅北口→湘南ライフタウン(駒寄経由)
23:30 23:50 24:10 24:30 24:45
辻28 辻堂駅北口→湘南ライフタウン(大六天経由)
23:40 24:00
長39 長後駅西口→綾瀬車庫(市民文化センター経由)
23:32
辻26 湘南台駅西口→辻堂駅北口(湘南ライフタウン経由)
23:30
大和営業所 4本
津02 長津田駅北口→成瀬台
23:40 24:10
成01 成瀬駅→成瀬台
23:42
町88 町田ターミナル→鶴間車庫前
23:30
町田営業所 11本
町15 町田バスセンター→山崎団地(境川団地経由)
23:28 23:48
町61 町田バスセンター→野津田車庫(境川団地・藤の台団地経由)
24:28
町32 町田バスセンター→小山田桜台
23:47
町33 町田バスセンター→下山崎(木曽南団地経由)
23:40
町25 町田バスセンター→野津田車庫(山崎団地センター経由)
24:08
町41 町田バスセンター→藤の台団地
23:35
町26 町田バスセンター→野津田(根岸経由)
23:50 24:30
鶴57 鶴川駅→やくし台センター
23:29
鶴11 鶴川駅→鶴川団地センター
23:39
多摩営業所 1本
町63 町田バスセンター→横土手
23:26
相模原営業所 5本
相28 相模原駅南口→麻溝車庫
23:15
大25 相模大野駅北口→光が丘一丁目(北里大学経由)
23:45
大58 相模大野駅北口→さがみ緑風園前(麻溝台経由)
23:26
大55 相模大野駅北口→麻溝車庫(麻溝台経由)
23:45 24:03
橋本営業所 7本
淵34 淵野辺駅南口→光が丘一丁目(上溝団地経由)
23:50
相17 相模原駅南口→水郷田名
23:36
相31 相模原駅南口→峡の原車庫
23:25 23:55
橋57 橋本駅南口→望地キャンプ場入口
23:25
相05 相模大野駅北口→相模原駅南口(大野台経由)
23:45
相02 相模大野駅北口→相模原駅南口(鵜野森経由)
23:45
津久井営業所 2本
橋50 橋本駅北口→三ケ木(若葉台住宅経由)
23:30 23:58
この他、〔永65〕系統(永山駅~豊ヶ丘4丁目~多摩センター)は、共同運行の京王バスが、深夜バスを運行している。
10日以降では、115本の深夜バスが設定されます。時刻で青い文字は24時以降の出発で、28本あります。一番遅いのは〔厚06〕系統・本厚木駅→鳶尾団地で、唯一の1時台の出発です。新宿24時08分発の、小田急線最終本厚木行き急行(新百合ヶ丘からは各駅停車)からの接続になります。
現状で一番便数が多いのは、〔戸52〕系統・戸塚バスセンター→俣野公園・横浜薬大前(昔のドリームランド)で、8本です。
昨日、戸塚駅東口から、〔戸22〕系統・戸塚駅東口→舞岡の深夜バスに乗ってみました。23時30分の便で、現状はこの後2本あるが、10日以降は最終となる便です。出発時点での乗客は12人。普段深夜バスなんて乗らないから、コロナ禍以前と比べてどうなったという事は解らないけれど、空いているなあの印象はありました。戸塚駅やバスセンターで見た他の系統や、江ノ電バスの深夜バスも、23時台半ば、深夜バスの運行が始まるくらいの時間は、皆同じ感じだったように見えました。
バス業界は元々コロナ禍以前からドライバー不足で体力を消耗していたし、「働き方改革」が叫ばれていた(バス業界の外も内も)事で、深夜の需要は減少傾向だったと思われ、このコロナ禍による需要の大幅な減退を機に、という面はあったでしょう。神奈中バス以外にも、西武バスあたりは相当数削減が進んでいるようであるし、東急バスも、業界では最大手級の上に、東急グループの開発が中心の大規模なベッドタウンをエリアに相当数抱えているにも関わらず、未だに全便運休です。事業者によって対応にバラつきがあるようにも見えるが、全体的に縮小傾向にあるのは、間違いありません。
バスだけでなく鉄道も、先日のJR西日本に続いて、今月中にはJR東日本も、最終電車の繰り上げの具体的な計画を発表する見込みです。私鉄も、西武は最終繰り上げの可能性を検討していると聞いています。他の大手もそうでしょう。深夜バスも、特に郊外は(先の鳶尾団地行のように)電車からの接続を考慮した設定になるので、電車のダイヤの行方にも左右されるでしょう。同じ事業者でも路線毎のロケーションは異なるし、全面的にきれいさっぱりなくなってしまう、という事はないと思うが、少なくとも24時を過ぎて駅を出発する便は、どの事業者でもほぼ運行がなくなる事になるだろうと見ています。深夜バス(+深夜急行バス)は誕生から50年で、重大な転機に差し掛かっています。
当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。
《今日のニュースから》 カッコ書きは新型コロナウィルス感染関連
7日 ルミネエスト新宿 午前中一時全館停電
(コロナ禍で延期・中止の公演のチラシ等 早大演劇博物館特設サイトで公開)
8日 京急線神奈川新町事故 トラック運送会社に事業停止60日の行政処分
(対韓国 入国制限緩和 ビジネス等往来再開)
新町事故は、運送会社への行政処分は出たが、運輸安全委員会の事故の調査は、まだかなりかかりそう。あれだけの大事故だから当然だろうが、報告書は、今年中には出ないのではないか?
航空業界は相変わらず大変で、エアアジア・ジャパンに続いて、ジェットスター・ジャパンも国内6路線は撤退(関空の拠点は閉鎖)、ANAは冬のボーナスがナシという事になりそうだが、一方で韓国との往来がある程度でも緩和された、という事で、ZIPAIRは16日より、旅客便を成田~仁川路線に就航させる事になりました。当面は週2往復、火・金曜日の運行。ようやく本来の姿の旅客便がスタートする事になるが、観光・行楽需要をあてにしたLCCなので、ビジネス・業務の利用者からの評価はどんなものになるのだろうか。しばらくは苦戦が続くだろうと思うが、健闘を祈りたいと思います。私も、ある程度落ち着いたら、韓国路線くらいは乗ってみようかと考えています(早くても再来年になるが)。
コロナ禍も相変わらず大変だが、今日本列島には、台風14号が迫っています。直撃になるかどうかは微妙なようだが、交通にも影響が出るかも知れません。大規模な災害はカンベン。