「バスマガジンvol.103」、先月末発売になりました。コロナ禍の中で取材活動は大変なはずだが、ともかく2カ月おきの定期刊行が維持されている事は、評価したいと思います。
おじゃまします!バス会社潜入レポート Vol.103 越後交通
越後交通は、2005(H17)年のVol.13で取り上げられていて、2度目になりました。前回は新潟県中越地震から1年という時期で、沿線のあちらこちらで、未だに傷跡が残るという状況でした。結局2008(H10)年に廃止となる北長岡〔営〕が、プレハブで営業している姿の写真も見られます。
正直言って、私は、少なくとも一般路線の越後交通バスは、乗った事がありません。だから、実体験から語る事はありません。ただ、現状の路線を映した写真を見ると、むろん路線の廃止も進んでいるのだろうが、案外昔の面影が残った路線が少なくなさそうだな、のイメージ。範囲が広いから、海にも山に路線があって、車窓が美しそうと感じました。
車両面では、新車導入と中古車の購入を並行して進めているようだが、大型車は案外長尺が多い。FHIボディのKC-LV280Qは元横浜市営という事は、109系統でベイブリッジを渡っていた車両に違いない。「ハイライトカラー」なんて、今でもいいデザインだと思うが、どのくらい残っているのだろうか。
「あゆみ」では、ここでは田中 角栄の名前が出てこなかった。越後交通の歴史を語る上では外せない名前だと思うが。公式Webを見ると、「田中角栄記念館」なるものもあるらしい。「昭和の偉人」と祀り上げられている。新潟の外では、功罪様々という人物なのであるが。
高速バスが経営の柱だが、新潟~東京線は先月16日から運休が追加され、現在は6往復(4割弱)しか運行されていない(うち越後交通は新宿発夜行を含めた1往復)。上越~東京線も8月から再度運休になっている。越後交通に限らないけれど、この不安定な状況は、いつまで続くのだろうか。
移籍バスの行方を追跡
川崎市交通局。川崎市営は、昭和までいすゞと三菱ふそうが二分していたのは、市内に両社の工場があったからだろう(いすゞは今はなく、跡地はキングスカイフロントになっている)。長尺車が多くなったのは、東扇島方面への輸送量が増加したからか。なので譲渡車両も、長いの短いの様々という感じ。
譲渡先で印象的なのは、個人的には青森市営バス。テキストにもあるように、かなりまとまって導入があったので。青森市営バスはそれまでは中古導入を(たぶん)行っていなかったが、座席の地ですぐ解って、新鮮に感じたものだった。
オノエンスターEV 10.5 大型路線バスEVのぱってりーがカラっぽになるまで走る!!
思えば、中国製のEVは航続距離が長い、というのが高評価の理由の一つになってはいるが、では実際に、充電なしではどこまで走れるのか、その視点で長距離走行を行った、というルポは、他誌も含めてなかったねえ。
走行そのものだけではなく、ワイパーやヘッドライト、クーラーの使用も気を使ったという事だが、最終的には、1%(フル充電でどの程度の電力を蓄積できるのかは記されていなかった)で3㎞前後の航続距離と言う。という事は、非常に単純な計算では、テキストにもあるが、フル充電では300kmは走れる計算になる。無論実際には「ガス欠」ギリギリまでというわけにはいかないから、せいぜい250kmくらいが実用上の限界となろうが、確かに過酷な条件の高速道の走行でこの数字なら、一般路線バスとしては、十分すぎるスペック、という事になるだろう。
(走行ルートを記した地図があれば良かった)
日本の導入第一号は、どこになるか?
帰ってきた 路線バス全方位レポート Vol.35 静岡県 Part 1
今回は、前号の予告と同じ静岡県。ただし今回は西側。イメージとしては、静岡県は薩捶峠で東と西に分けられ、東側は関東地方の影響が強まるような気がする。
前回は2007(H19)年に、やはり東西に分割して掲載されていた。ただし前回は富士急グループも西側に加えられていたが、今回は純粋に、静岡市(もだいぶ範囲が広くなっているが)より西。基本的には、静岡市を中心としたしずてつジャストラインと、浜松市を中心とした遠州鉄道に二分されている。どちらも、静岡県内では交通に留まらず、流通などにも幅広く手を広げる大手企業になると思う。市中心部に大規模なショッピングセンターを抱えているし。
ただ、今回はしずてつジャストラインの車両一覧があるが、未だにU-規制の車両が相当数残っているのは非常に気になるところで、しずてつレベルでも代替は大変という事だろうが、政令指定都市でもあり、早めに新車両への置き換えが望まれると思う。両者とも低公害車はないようだが(遠州鉄道のエアロスター・エコハイブリッドは早々に消えた)、この辺も、ぜひ。EVには、関心があるだろうか?
バスと直接関係はないが、「東海道新幹線は〔のぞみ〕の県内停車がなく、交通ネットワーク構築のネックになっている」の一文には、考えさせられた。JR東海は、リニア新幹線が開業すれば、東海道新幹線の〔ひかり〕〔こだま〕が増える(=静岡県内の停車が増える)と間接的にリニアの静岡県へのメリットをPRしていて、浜松駅での展示もご覧頂いているが、南アルプスの工事を巡る静岡県(知事)とJR東海の対立を見ると、この点は簡単には解消されそうにない気がする。
ところで13年前は、富士宮市の山梨交通(当時は山交タウンコーチ)の記載がなかった。県外資本であっても、県内に「自主運行路線を持つ事業者」なのだから、やはりキチンと取り上げるべき。次号での掲載があるのか。
鈴木 文彦が斬る!バスのいま 第29回
今回はいったんコロナ禍の現状を離れて、EVバス。正直、鈴木 文彦氏自ら大型免許を保有しているとは、知りませんでした。
登坂力が優れているというのは、先のレポートと同じ。全体が軽量化されているが、特に重いディーゼルエンジンがないというのもあるだろう。それは、乗ってはいないが、3月に行ったヘルシンキでEVのバスを見て、何となく感じた事でもあります(12m級で、ピュアディーゼルエンジンが後ろ2軸に対し、EVは1軸という所で)。
今回試乗したオノエンスターに、既に割と普及しているBYD、テキストには記されていないアルファバスと出そろった中国製のEVは、いずれも性能的には十分満足できるものと言える。では今後の課題は?やはりコストだと指摘している。ディーゼルバスの3倍では、大手クラスでも厳しい価格だろう。岩手県交通も、県内では大手であっても経営的には厳しいはずで、一方で昔から相当数の旧式のディーゼルバスを抱えている事業者だが、それを一気に置き換えるという事には、やはりならない。先のしずてつジャストラインでさえ、U-規制がかなり残っているくらいだから、数台でもEV導入というのは、事業者単独では簡単ではないだろう。まして、今のコロナ禍の現状では。行政、それも市町村レベルでなく都道府県、最終的には、最後に指摘されているが、国レベルのバックアップは求められるのではないだろうか(この点、菅新政権、あるいは野党連合は関心を持ってくれるだろうか?次の総選挙の争点の一つになるくらいにはなって欲しい)。
それとここでは指摘されていないが、バス以外の路上交通でもある程度EVが普及するのなら、充電ポイントとか以前に、肝心の電力の供給はどうする?発電は脱化石燃料・脱原発、全部再生可能エネルギー、とは簡単に言うが、それは、電力の消費が現状のレベルのままキープされ続けるのならいい(コスト面は心配はないだろう。太陽光発電などのコストも下がり続けているし、なんだかんだ言っても、日本が世界有数の経済大国であり続けているのは間違いないから、負担は耐えられるはずだ)。しかし、これも温暖化防止対策として、マイカーなども片っ端からEV化するというのなら、急増する事になる電力を、安定して供給し続けられるのだろうか?もちろん電力が必要なのは交通だけではないし、どこかで優先順位をつける必要もあるだろう。路上交通に関しては、バスなどの公共交通に電力を優先して配分するルール作りも、合わせて求められると思う。この辺も、政治的な判断が欲しい。
いずれにしろ、今後温暖化対策は都会だけでなく、地方都市でも重大な課題になる事は間違いなく、バスにおいてもピュアディーゼルエンジン車の早急な置き換えの要求が強まる事は十分に予想される。しかし、繰り返しになるが、経年化したディーゼルバスを長期間使い続けなければならない事業者には、大量に導入する体力はないだろう。今の所はEVも燃料電池車も、事業者のPRの材料の域を出ていない感があり、そうではなくて業界全体で導入を加速できる状況を作って欲しいし、国や行政も積極的にバックアップしてほしい。コロナ禍においては簡単に口にできないが、それでもやはり、EV化は公共交通優先の政策のレールに乗せて進めるべきだろう。とりあえずは、東京都営バスなどがリーダー役を務める事になるのだろう。
終点の情景を求めて
小松バスの尾小屋。小松バスの前身の尾小屋鉄道が廃線になって、もう43年になってしまった。私は、存在自体はリアルタイムで知っていたが、実際に乗った事がある方は、もうよほどの大先輩だけだろう。最後の非電化ナローオンリーの鉄道で、やはり一度は乗ってみたかった…。前回東京オリンピックの時の時刻表を開くと、新小松~尾小屋間は13往復の列車の運行がありました。16.8kmで1時間前後かかったから、やはり遅かった。今のバスは3往復しかないそうだが、あるだけまだ健闘しているのかも知れない。近年廃止になった鉄道でさえ、代替バスも数年で廃止に追い込まれる路線が少なくないので。キハ3は、元々は遠州鉄道奥山線の車両なので、「全方位レポート」とも縁がある。
平成初期のバスを振り返る
関東自動車(栃木県)。プロパー車は、前後ドアという事もあるが、やはりどこか田舎臭くも感じる。貸切改造車は、関東自動車以外でも、北関東は多かった。特に後付けの行先方向幕は印象的で、旧東野交通や、旧東武鉄道(日光だけでなく、昔は宇都宮にも路線があった)でも見られたものでした。関東自動車にはもうないけれど、どこか一般路線、それもできればガチな観光路線以外で貸切改造車が走っている所、ないでしょうかね?
横浜市営「BAYSIDE BLUE」を大きく取り上げるのではないか?と思ったが、全くなかったですね。次号は(予告通りやってほしいが)、「転属を繰り返してナンバー15枚」という記事が面白そうであるのと、ここにはないが、今日スタートした「東京BRT」はやって欲しいと思う。
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京王は、10月30日(金)からのダイヤを一部修正を発表しました。〔京王ライナー〕は、現在は空白となっている、下り18~19時台の新宿発京王八王子行1本、橋本行2本を増発し、京王八王子行は17時00分~23時00分、橋本行は18時20分~23時20分(+16時40分・17時40分)の間、60分間隔で運行。一方で0時台は平日・土休日とも取りやめ。上りは京王八王子発2号(現90号)・10号(現92号)を定期運行に変更。橋本発94号は取りやめ。一般列車は、夜間を12→15分サイクルに変更(平日・土休日とも)。平日の相模原線準特急の、京王多摩センター~橋本間各停運転の時間帯を拡大。京王はこの段階では、最終電車の時刻にまでは手を付けていないが、この他東武バスからは、深夜急行バスの一部系統廃止も発表になっています。関東の夜間の足が、急速に縮小しそうな予感です。
JALの英語の機内アナウンスの変更が、ちょっとした話題になっているようです。これまでの「Ladies and Gentleman」は、今日から「All Passenger」や「Everyone」と、性別を意識させない表現に改めているという事です。LGBTQの意識の高まりを反映しているものだが、ANAや、海外のキャリアはどうなのだろうか。海外の方がより敏感な気もする。先日乗った、ヴァイキングラインのトイレのマークも思い出しました。25年くらい前に乗ったフランスSNCFの列車のアナウンスが、「Madame、Mademoiselle, et Monsieur」で始まっていた事も思い出すが、彼の地は今は、どうなっているのだろうか。
《今日のニュースから》 カッコ書きは新型コロナウィルス感染関連
30日 楽天5Gサービス開始 月額2,980円
(NFLタイタンズ 選手ら陽性反応 試合中止)
1日 改正著作権法施行 無許可音楽アプリ運営は罰則対象
(「Go To トラベル」東京発着スタート)
声優の富田 耕生さんが亡くなりました。先月27日だったとの事。ご冥福をお祈りいたします。たくさんの代表作品があって、ロボットアニメでは悪の親玉の役が多かったが、個人的には、「装甲騎兵ボトムズ」のゴウトですね。「ボトムズ」も乾 裕樹氏(音楽)、滝沢 敏文氏(演出)、鳥海 尽三氏(脚本)、弥永 和子さん(フィアナ役)、塩山 紀生氏(キャラデザイン)と、関係された方々が次々に亡くなってきていて、だんだん遠くなっていくなあ。