
ナルヴィクは、西側ヨーロッパでは、最北の鉄道駅がある事で、鉄道ファンにはおなじみの場所でしょう(ロシアにはもっと北に駅があるらしいが)。24年ぶりに訪れた最北の地、ほんの少しだけ歩いて、夕方はこの日の投宿先、ボーデーへバスで向かいます。

改めて、ナルヴィクの駅舎。
この駅は1993(H5)年11月と、1996(H8)年7月(「1994年」と書いてしまっている。後で書き直しておきます)に来ていて、24年ぶりになります。駅舎そのものは変わっていないが、改装されています。
しかし…、この駅も、窓口がない。なのでかつて、多数の鉄道の旅人が求め、または欲してきた「最北の駅到達証明書」は、もう手に入りません…。駅以外で手に入るかも知れないが、やはり駅でないと…。

ナルヴィクに発着する路線の時刻表。24年前はノルウェー側だけ走るローカル電車もあったが、今はストックホルム・ルレオ行と、ルレオ行単独の、合計2往復の発着のみ。

貨物列車をけん引する機関車のガイドが、待合室の壁面に掲げられていました。スペックも書かれている。結局この路線は、貨物が主、旅客は従。重い鉱石運搬列車を引いて高い山を越えるので、ハイパワーな専用機が、昔から導入されてきました。

ホームには、小型のSL「ビフレスト」が静態保存されています。

説明書きが、ノルウェー語と英語で書かれています。1882(M15)年にスウェーデンのトロルヘッタンに構える鉄道車両メーカー「Nydqvist and Holm」(NOHAB)によって製造され、1900(M33)年秋にナルヴィクに来る前はスコーネ地方で使われ、ナルヴィクではLKAB(キルナの鉱山の会社)の入換え機として、1903(M36)年(鉄道が到達した年)から1942(S17)年まで使用された、みたいな事が書かれています。「ビフレスト」とは、北欧神話に出てくる虹の橋の名前、らしい。

その、鉄道の開通の記念碑。1903年7月14日。

現在の、貨物列車の専用機。LKAB所有なのだろうか。3軸2台車×2車体で12軸。日本では2軸2台車×2車体で「EH」と表記される(EH10・EH200・EH500・EH800)が、ではこの機体は、日本だったらどう表記されるのだろうか。「EL」となるのだろうか?さすがにスケールが違う。

駅の西側で構内をまたぐ高架橋から、ナルヴィク駅全体を見る。街は案外大きい。右手の山の中腹にはスキー場。
3月になったとはいえ天候は定まらず、多少青空が広がった、と思ったら、また雪が降る。

そんな中、15時15分発93列車として、再びストックホルム(+ルレオ)に向けて出発しようとする、「ノルトピレン」。

雪が舞う中、再び山越え・国境越えに挑むべく、定刻に出発していきました。

撮影の時系列が前後するが、駅に到着した直後に撮影した、ナルヴィク市中の通り。案外車が多い。決して、「辺境のド田舎」のイメージではない。貨物で賑わう港町、だからだろうか。
ここでちょっとマズイ事に気づいた。ノルウェーの通貨(NOK)が手元にない。当然駅では両替できないし。駅から10分程の観光インフォメーションで聞いたら、通りの向かいの商店が両替してれると言う。普通の商店にしか見えなかったけれど、ちゃんと手元のSEKを、NOKに両替してくれました。

ナルヴィクには小規模ながら市内バス路線も2系統あります。残念ながら、今回は乗る余裕はなし、風景写真の撮影のみになりました。1系統は毎日走るが、この2系統は、平日は30分毎、土曜日は1時間毎、休日は運休(だったと思う)。

ナルヴィクは長距離バスの中継点でもあり、便数は少ないが、長距離バスの発着があります。さすがに大きい。ナルヴィクの路線は、NORWAYでの運行ではなくなっているようだ。

長距離バスターミナルは、観光インフォメーションがあるビルの隣の、ショッピングセンターのビルの1F。ところが鉄道駅だけでなくバスターミナルもまた窓口がないし、ここでは券売機もない。日本などではあるだろう、直前の出発便のインフォメーションもない。待合室から、外のバスの様子を見て、乗り込む事になるようだが、ヨソ者には利用し辛くなった感があります。

運行のインフォメーションは、外の壁に貼られた時刻表を見るしかない。ボーデー~ナルヴィク線の時刻表。これを見ると、ボーデーの終点は、今は空港だ。
結局、少し前から「Ikke i tafikk」(「回送」の意味だろう)の表示で留まっていた車両が、行先をボーデーに変更していて、これに乗る事になる。白一色で、面白みはないなあ。スカンレイルパスは通用しない。ボーデーまで457NOK(≒5400円)。C/C払い。

車内。長距離バスだが、2ドア(北欧は基本的に、長距離バスも2ドア)。一番後ろに座りたかったのだが、学校帰りらしい娘たちに占領されていて、中ドアの直後に座る。
座席は中扉を境に、前が7列、後ろも7列、合計で57席。中央部にベビーカーと車いすのスペースがあるのだけれど、HDで4ステップだからなあ。リフトもないし。

定刻に出発。しばらくは港の傍らを走る。鉄道の操車場を見る。キルナの鉱石以外にも、貨物が多そうだ。

ベイスフィヨルド橋を渡る。

今度は右手にナルヴィクの街を見る。雪山も。

ナルヴィクも、だんだん遠くなってきた。

海(オフォトフィヨルド)は、所々凍っている。

雲が多いけれど、夕暮れ。

さらに雪山が続く。それにしても、ナルヴィクを起ってから、全然止まらない。乗降が全くないし、信号もない。
50分位走って、バランゲンの街に入る手前のバス停で、ようやく停車。バランゲンはスーパーの前に停車し、乗降の他に貨物の積み込みがありました。

今度は山越え区間。

フィヨルド。

フォルサ山、というのだろうか。

一部のバス停には、このような小さな待ち合わせの小屋がある、が、バス停の名前はなさそうだし、時刻表とかは掲げられているのだろうか?

中間の大半のバス停は、こんな感じで、道路標識然としたポールが立つのみ。地元の人以外は利用する事がほぼないだろうから、これでいいのか。
外はかなり暗くなってきたけれど、車内は明かりがつかない(読書灯が点灯する)。

やがて右手に小さな船が見えてきた…、と思ったら、そのまま乗り込む。
この路線、27年前にボーデーからナルヴィクまで乗った時は、確か3か所でフェリーを利用したのだが、今はこのスカーバーゲット~ボグネス間のみになっている。とはいえ、国道が繋がらずフェリーの区間があるというのが、ノルウェーらしい。

乗り込むと、即出航。バスの外に出て、船のキャビンへ。

フェリーの時刻表。他にもいくつかの路線があるようだ。

船内のカフェ。
このバスは、ボーデー到着が22時を過ぎる事になり、夕食を食いはぐれる事になりそう。なので、ここで多少多めに、サンドイッチとワッフル、それにコーヒーを食する。

ラウンジで飲み食いしていたら、もう対岸のボグネスが近くなって、外に出る機会がありませんでした。30分弱、なので。

どこだか忘れてしまったのだけれど、途中のバス停(では、こんな小型のバスが連絡していました。小型のワゴンに毛が生えたような感じだけれど、ちゃんと系統番号に行先まで入っていて本格的。ノルウェーにもこんなバスがあるとは。
(ここはトリウムセルバで、向こうの行先はドラグ、となるのだろうか)
この先、もう外は真っ暗で、もったいない話ではあるけれど、ひたすら寝ていました。真夏だったらガンガン明るいので、外を見ていたはずだが。

そういう状況だったので全くのうろ覚えでしかないのだが、どこかのバス停(今調べたら、たぶんSteigen kryssという所)に、ナルヴィクへ行くバスがいました。どうやら、ドライバーが相互に交代、各々、出発地に戻っていくようだ。27年前のNORWAYバスではボーデーからナルヴィクまで通しの乗務だったはずで、大変な激務だと思っていたのだが、事業者が変わって、運行体制も変わった、という所だろうか。

この後、10分位遅れて着いたファウスケでかなりの下車。セントラムトロンヘイム行夜行への乗り継ぎに違いない。暗闇の中を走り、やがてボーデーの町中に入るが、バスは空港まで行ってしまう。なので、YHを併設するボーデー駅に近い、ボーデー中央バス停で下車しました(一つ手前がもっと近かったようだが)。
雪の中を、トボトボ歩いていく。開いている店はまだいくつもあったが、人通りは少ない。
こうして、ナルヴィクから6時間強のバスの旅は終わりました。全区間昼になる夏になれば、もっと存分に景色を楽しめたはずだが、前半だけでもダイナミックな景色を楽しめて良かったと思います。
次に乗る機会を作れるなら、ナルヴィクに1泊して、翌日午前の便に乗りたいと思います。もっと楽しめると思うので。
この後YHに宿泊、翌日は列車でトロンヘイムへ…となるのだが、それは次回。6月になります。
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ドイツ政府は、ルフトハンザ・ドイツ航空(LH)に90億ユーロの財政支援を行うと発表しました。LHはこれまでも何度も利用して、当ブログでも書いてきたけれど、欧州(というより世界)の航空業界では、優良キャリアの一つと思っていました(近年はストも少なくなかったけれど)。そこに、日本円で1兆円強の支援を行わなければならない、というのだから、事は深刻だと思います。LHでこうだと、他キャリアはどうなりますかねえ。感染防止対策で搭乗客数を制限しなければならなくなる、とか言ったら、LHクラスはまだしも、LCCはもう生きていけなくなるかも。ビジネスモデルの根底が否定される事になるので。
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