№2155 嵐の前の静けさ 陸・海・空 北欧立体周遊 7.「ノルトピレン」ナルヴィクへ(前)

 近鉄は今日、30日から当分の間の、土休日の特急の一部減便を発表しました(一般列車はダイヤ通り)。全部運休になる小田急ロマンスカーに比べればまだましな方だが(「しまかぜ」「青の交響曲」も運行)、もうすぐ関西でも緊急事態宣言が終了しそうな状況なのに(関東はひょっとしたら微妙かも)、遠くへ旅行に行こう、という意欲が一般にかきたてられるようになるには、時間がかかりそうです。梅雨に入る6月のオフシーズン、という事もあるだろうが。何度でも繰り返すが、とにもかくにも緊急事態宣言が一刻も早く全国で終了し、夏休みが始まるまでには、全ての交通で、最低でも通常の定期のダイヤが戻って来る事を、強く希望します。

 1カ月位間が開いてしまったが、3月あたまの北欧旅行記、再開します。最初に「14回に分けて書く」としたが、もう少し回数が増えそうです。今月は3回位しか書けない見込みで、少なくとも来月、ひょっとしたら再来月まではかかります。

 今回の北欧旅行の目的の一つは、ストックホルム中央と、ノルウェーのナルヴィクを結ぶ長距離夜行列車、「ノルトピレン」に乗る事でした。この区間を鉄道で移動した事は既にあるし、「ノルトピレン」も、乗った事はあります。ただ、過去はいずれもこの区間を乗り通した事がなく、乗車はストックホルム中央~ルレオ間にとどまり、ルレオ~ナルヴィク間は別の列車でした。
 我々のような鉄道ファンの間では有名な列車ではあるけれど、少なくとも今は、しょせん普通の寝台車、クシェット、座席車、食堂車で蘇生された、距離はかなり長いけれど、豪華でも何でもない、ありふれた夜行列車でしかありません(それでも、スウェーデンでも夜行は少なくなりつつあるので存在は貴重)。しかも、遠い昔には連結されていたビデオカーがなくなり、食堂車もセルフサービスになって簡素化されているなど、合理化も進んでいます。
 それでも、ミーハーだとは解っていても、やはり一度は全区間を通して乗っておきたかった。それが、今回の旅の動機となったのでした。北欧のスケールの大きさを、実感できる事になるはずだと思って。
 本当は1回で全区間書くつもりだったが、画像を作っていくうちに、ボリュームが大きくなりすぎそうなので、2回に分けて書きます。

 ところで、ずっと「ノルトピレン」という「愛称」でこの列車を呼んできたけれど、日本人向けのガイドブックにはそう書かれていても、実際のところ、彼の地ではこの名前は全く使われていません。手持ちの「ヨーロッパ鉄道時刻表」にもこの名前は一切出てこないし、機関車にヘッドマークがつくわけでもない。ここでは以降、基本的には列車番号の94列車と記す事にします。

201 ストックホルム中央発車案内.jpg
 ストックホルム中央駅コンコースの、発車案内のモニター。左から2番目の、上から4行目が94列車。

202 ストックホルム中央駅コンコース.jpg
 中央駅駅舎内のコンコース。

203 ノールピレン ストックホルム中央入線.jpg
 出発の30分と少し前、列車が入線してきました。推進運転だった昔の上野駅のブルトレとは違い、機関車にけん引されての入線になります。

204 号車・行先表示.jpg
 ドアの窓部の行先と、号車番号の札。この辺は昔から変わらないなあ。「ノルトピレン」の名は、どこにも出てこない。

205 クシェットコンパート.jpg
 今回お世話になる、クシェットのコンパート。3段式だがまだ座席状態で、2段目はたたまれて背ずりの状態です。ベッドメイクは乗客自身で行う。テーブルのパックは、ミネラルウォーター。
 指定された85番は、左側の上段。相部屋の客が来る前に、さっさとベッドメイクを済ませておきました。 

 この後、この列車の車両の番号を控えておきました。備忘録的に、ストックホルム中央出発時点の、94列車の編成を記しておきます。ナルヴィク行とルレオ行を併結、ボーデンで分割します。

 RC6 1326
11 WL6 5623 寝台車 S-N
12 WL6 5616 寝台車 S-N
14 BC4 5440 クシェット S-N
15 BC4 5467 クシェット S-N
16 B2 5531 座席2等車 S-N
  R12 5188 食堂車 S-L
20 BF4 5405 座席2等車 S-L
21 BC4 5427 クシェット S-L
22 WL6 5625 寝台車 S-L
23 WL4 5581 寝台車 S-L

 S-N ストックホルム中央~ナルヴィク間
 S-L ストックホルム中央~ルレオ間

 乗客は、ウィンタースポーツを満喫しよう、みたいな人が大半。コンパートには、かなり大きなボブスレー?を持ち込もうとした男性2人組がやってきた。これだけで部屋がいっぱいになってしまう。ボブスレーは、別の場所に移動されました。

206 ストックホルム中央発車前.jpg
 発車前の94列車。

207 ストックホルム中央ホーム.jpg
 発車間際のホームの様子。

208 発車案内表示.jpg
 ホームの発車案内表記。「ノルトピレン」の名はないが、「Arctic Circle」(北極圏)と書かれている(列車名ではない)。

 定刻にストックホルム中央駅を出発。ナルヴィクまで1,467㎞、18時間46分の長旅の始まり。何しろ東京~鹿児島間と、ほとんど同じだ。

209 アーランダ空港駅.jpg
 アーランダ空港駅。ここからの乗車も少なくない。

210 近郊電車.jpg
 ウプサラで見かけた近郊電車。前にも別の場所で乗ったっけ。
 ストックホルムは雪がなかったが、ウプサラあたりから、うっすら雪が積もっているのを見るようになります。

211 イェーヴレ停車中.jpg
 ストックホルムから2時間弱で、イェーヴレ。11年前はここにある鉄道博物館を訪ねて、ルレオ行の夜行を待っていたものでした。あの時はそんなでもなかった雪が、ここではかなり積もっていました。ここで少々停車。ホームに降りてタバコを吸う乗客が目立つのは、この国でも同じか。
 ここで食堂車に行きたかったが、テーブル席が全部埋まっているので、少し様子を見る。

212 走行中.jpg
 コンパートは誰もいない(相部屋の客は食堂車だろう)ので、部屋の明かりを消して、闇夜の景色をボンヤリ眺めていました。人家の明かりはほとんど見られず、ひたすら暗い雪道を行く。どこからか単線になっていて、途中で行き違いのため、列車が待っていた。

213 セーデルハムン.jpg
 セーデルハムン駅。雪が本降り。そんな中、10人程度の下車がありました。ホームは上屋がなく、バス停のような小さな小屋がいくつか並んでいるだけ。行き違いはなかったが10分停車。

214 食堂車.jpg
 ここで改めて、食堂車へ行ってみました。幸い、空きがあった。車内のインテリアは、11年前に比べると質素、かな。前はもう少し温かみがあったのだが。当然セルフサービス。車内はイェーヴレ出発直後と変わらぬ賑やかさ、ビールの空き缶がテーブルにゴロゴロ転がっている。なんでみんな、こんなオシャベリ好きなんだろう?

215 夕食.jpg
 夕食。と言ってもプラケースに入ったシーフードのサラダとサンドイッチ、オレンジジュースと、これは11年前とあまり変わらない。しかしこの内容でも、217SEK(≒2,530円)もする。

216 食後.jpg
 ここはさらに、スィーツとして、チョコレートボールとコーヒーを買う。29SEK(≒340円)。これは現金払い。ここでは現金も受けつけます。

217 走行情報.jpg
 列車の走行情報を表示したモニターがあるのが、目につきました。列車のアイコンがあるのが現在地点で、フディクスヴァル付近を、時速110㎞/hで北上中。あれ、列車番号「97」?
 スピードは出るが、ややカーブが多くなってきた。

218 スンズヴァル.jpg
 ストックホルムから4時間30分、スンズヴァルに着きました。結構な「大都会」に見えて、もう22時30分を回って夜中だが、マクドナルドが開いているようだし、市内バスもまだ走っている。11年前のウメオでも感じたが、スウェーデンは全体的に、町の大きさと中心部を発着する列車本数が比例していない都市が少なくない。これが日本と大きく違う点だろう、と思う。ただ、今は昼間もストックホルムからの列車が割とあるようだ。いつか昼間に来てみたいが、機会を作れるだろうか。

219 除雪作業中.jpg
 かなり雪が積もっている。構内では除雪作業が行われていました。作業車のエンジン音が、静まり返ったはずの駅の構内に響く。

220 スンズヴァル構内.jpg
 12分停車。やはりホームで一服、という乗客は多い。当然列車は完全禁煙だが、ホームに関しては「喫煙コーナー」さえなく、完全にオープンだ。ややあって、反対側から、日本のDD16に似たスタイルのDLがけん引する貨物列車が通過していきました。

 定刻に出発。食堂車はもう営業を終了、座席車も減光されていました。コンパートに戻ると、他の3人はベッドメイク終了。
 明日はボーデンでの入換え作業の様子を見たいので、ここでオヤスミ、最上段のベッドに横たわります。続きは次回です。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。


 タイ国際航空が、事実上経営破綻しました。この前ヴァージン・オーストラリアが破綻したばかりだが、ナショナル・フラッグキャリア(TGは株式の51%を国が保有)まで、となると、今後世界全体では、航空業界はどういう方向に行ってしまうのかと、ちょっと恐怖です。とにかく、飛ばないと話にならないのが航空なので。日本はそうならないと思いたいが、破綻、とまでは行かなくても、大型の再編成が(時には国境をも跨いで)起こるのかもしれない。

《今日のニュースから》 カッコ書きは新型コロナウィルス感染関連
17日 山梨市八幡山の山林火災 鎮火確認
(「10万円給付」 ドライブスルー方式申請受付開始 秋田県鹿角市) 
18日 ソフトバンクグループ 赤字額1兆3646億円 過去最大
(10万円給付金業務の一部 LCCピーチに委託 泉佐野市)
19日 河井案里議員陣営 選挙違反事件 秘書が起訴内容認める供述
(東京都 財政調整基金9,500億円取り崩し 新型コロナ対策)

 ウィルス感染者は減りつつあるが、反比例して、このところあちらこちらで、地震が多くありません?