№2140 嵐の前の静けさ 陸・海・空 北欧立体周遊 3.トゥルク往復 列車旅

 今日、Googleを利用された方、おられますでしょうか?トップページのロゴマークの「e」と書かれている部分がバスになっていて(「e」がドライバーになっている)、カーソルを合わせると「公共交通を支えるみなさん、ありがとう」のメッセージが表示されます。バスや電車の利用者が「緊急事態宣言」発出以降、目に見えて激減しているし(「通勤者7割削減要請」なんて出されたからなおさら)、前にも書いたが、ツィッターによる高速バスの「風評被害」もあります。懸念されるのはこの結果、新型コロナウィルス感染が一定の収束を向かえ、安全な状況を取り戻す事になったとしても、利用者が公共交通を敬遠し、バス・電車には戻って来なくなるのでは、という事。通勤通学では「仕方なく」利用しても、日常の買い物とか、休みの日の行楽はマイカーに再度転移してしまって、公共交通の客足が、回復しなくなってしまうのではないかと。それに、既にトラックではドライバーが暴言を浴びせられたり、アルコールスプレーを吹きかけられるとかの嫌がらせを加えられるとか、新居浜市の小中学校では、トラックドライバーの子供が要請されて入学式を欠席せざるを得なかったという事案もあるそうで、これがバスのドライバーや鉄道の乗務員にまで向けられるのではないかと、今から心配でなりません。Googleではないけれども、少なくとも我々乗り物ファンだけでも、バス・電車だけでなく、トラックも、飛行機も、船もです。困難な状況下でも、人や物を運ぶ仕事に携わる(我々のためにやっている事です!)、名もなき大勢の人々に、少しでもリスペクトを払いたいものだと、痛烈に思います。「心」を忘れたら、それこそ新型コロナウィルスに対する敗北です。

001 ペンドリーノS220.jpg
 北欧周遊の旅、2日目から本格的に鉄道に乗ります。この日はトゥルクまで鉄道で往復、夕方のフェリーで、ストックホルムに渡るプラン。

2020年 3月 3日(火)

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 YHの朝食会場のレストラン。10.9€とYHにしては高め、だと思うのだが、その分、内容はホテルに近くて食材が豊富。大スクリーンでは英BBCのニュースが流れていて(音声は出ていなかった)、そろそろ欧州でも問題になりつつあった新型コロナウィルス感染(ツィッター社はテレワークとか言っていたようだ)の他、イスラエルの総選挙や、米大統領選「スーパーチューズデー」についても報道されていた。

 トゥルクまで単純往復、今夜乗るヴァイキングラインのターミナルに近い事もあるので、大きなバッグはYHの倉庫に預けておいた(ここで一度でも、中身を確認しておけば…という事が後に判明する)。

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 前日は市電で来たが、中央駅までは歩いても20分程度。短距離では運賃が高いし、トゥルク行の列車の出発時刻にも余裕があるから、腹ごなしも兼ねて、この朝は歩き。その途中、市電の写真や動画を撮ったりしました。背後の建物は、生神女就寝大聖堂、らしい。

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 朝方のヘルシンキ大聖堂。思うに、北欧で一番好きな建築物になったかも知れない。高層建築物が少ないヘルシンキにおいて、清楚かつ堂々としたイメージが好きです。と言いながらいつも遠くから眺めるだけになっているのだが。

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 アレクサンテリン通りの、市電の電停。
 いくつかの電停で市電の乗降のシーンを眺めてみたのだが、郊外でも中心部でも、市電は市民の日常生活の、本当に一部になっているのだなと実感。「仕方なく」乗るのではない。日本の路面電車・LRTにも、こういうシーンが欲しいものだと思いました。

006 ガントレット.jpg
 中央駅に近い、7系統の走行ルートの一部、ミコン通りは、ガントレットになっていました。

007 ヘルシンキ中央駅バスターミナル.jpg
 中央駅の駅舎の東側は、市内バスのターミナルになっています。

008 ヘルシンキ市内バスVDR.jpg
 長いっ!ここを発着するバスは皆、後ろ2軸の15m級車。これはVDR製。
 ヘルシンキはEVはないのかな、と思っていたら…。

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 23系統で現れました。Linkkerというのは正直聞いた事がないメーカーです。パンタグラフ充電式(ここには充電設備はない)。 

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 その側面。先のピュアディーゼルのVDRより、少しばかし短いだろうか?後ろは1軸だが、重たいエンジンがないので、これで重量のバランスが取れているのだろうか。

 窓口は、平日は9時オープン(遅いな…)。ペンドリーノの指定券を入手しました。追加料金6€。

指定券.jpg
 発見された指定券は、今はレシート状だ。フィンランドは以前の1等・2等という言い方はなくなったようで、旧2等をEco(エコ),旧1等はComfort(コンフォート)と称するようだ。

011 ヘルシンキ中央駅発車案内.jpg
 案内表示。今回のるトゥルク行S987列車は、一番左の上から4番目。 

012 ヘルシンキ中央駅ホーム.jpg
 中央駅のホーム。前回書いたように、中央部は、以前は宮殿の中庭のような印象だったが、ドーム状の上屋がかかっていました。その両側、駅舎からだとやや遠い位置に、主に近郊電車が発着するホームがあります。

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 旧型電車が、まだ残っていました。全国で、どの程度走っていますかね?

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 フィンランドの鉄道VRは、カラーだけでなく、マークも変わっていました。以前のものより、やや柔らかくなった印象。

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 ロシアのサンクト・ペテルブルグから、高速列車「アレグロ」が到着しました。フィンランドとロシアの合弁会社カレリアン・トレインが運行しているそう。ヘルシンキとサンクト・ペテルブルグは3時間30分強、というから結構近い。ロシアも、政治を抜きにすれば魅力的な旅先、なのだけれど、今の所は食指がなかなか動かない。

 ペンドリーノS220は、21年前の1999(H11)年6月29日に乗っていて、№1221で書きました。その当時とは、まずカラーリングからして全く変わって、緑系になっています。S987列車は、中央部ではなく、西側の13番線から出発。

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 車体は緑をベースにして、自然をモチーフにしているのか、動物や植物のイラストがラッピングされています。

017 S220食堂車.jpg
 食堂車のラッピングも、なかなかユニーク。

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 左側に、S220が着きました。トゥルク発S954列車。 

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 21年前乗った時は、座席は2等でも2-1配置だったが、2-2配置に改められていました。空いていたのでこれでもゆったり。オーディオシステムはなくなっていて、代わりにPC用の電源プラグが設けられているのは今ドキ。なお、座席番号は背もたれの横の部分の小さなプレートだけで、自分のシートを見つけにくい。

 定刻に、何のアナウンスもないまま、静かに出発。

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 ラッパヴァーラまでは複々線で、近郊電車を追い抜いたりする。
 ラッパヴァーラを出発し、人家が少なくなってきた頃、検札が回ってきた。先にご覧いただいた指定券にQRコードが印刷されているが、これを読み取る。ピーパパポと音がします。

021 郊外.jpg
 郊外へ抜けると、人家は少なくなり、逆に木々が多くなります。トレーラーを追い抜く。

022 田園地帯.jpg
 キルッコヌンミを通過すると単線。雪はないのだけれど、水たまりは凍っていたりする。時々こういう田園地帯になるが、民家の造りは北欧らしいです。

023 カリヤー.jpg
 ほぼ中間の、カリヤー。雨が降り出した。

024 食堂車車内.jpg
 ここを出て、食堂車に行きます。前回乗った時は、ここでの飲食はあまり考慮されていない、と書いたのだが、改装でもう少し本格的なものになったようです(その代わり「ミニビストロ」は回って来なかった)。先客は4人。おばさん2人がおしゃべりしている以外は、男2人がノートPCを叩いているだけ。

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 基本的に食堂車はケチりたくないが、YHで朝食をたらふく詰め込んだばかりなので、ここではデニッシュと紅茶にします。もっと本格的なメニューもあります。紅茶のティーバッグの包み紙には、日本語まで書かれていた。「ノンカフェインフレーバードリンク」だって。

026 集落.jpg
 どこだか解らないが、信号所ですかね?現れる集落も、小さい。カリヤーから先はさらに小さい。一方で、たまにトンネルも現れたりしました。

027 バス.jpg
 もうすぐトゥルク郊外、という所で、市内バスを追い抜く。やはり15m級の特大車両。

028 モニター.jpg
 トゥルク直前の、天井のモニター。「ご乗車ありがとうございました」位の意味でしょうか?

029 トゥルク到着.jpg
 定刻にトゥルク到着。そんなに多くなかった乗客は、すぐに方々へ散っていきました。
 S220は、全体的な乗り心地はもちろん快適だったが、振り子列車らしさは、ほとんど感じませんでした。一般のICと同格になっているのか(列車によっては、曜日によって時刻を変えずにICになったり、その逆という列車もある)。所要時間も同じだし。振り子装置は使っていないのかも知れない。ヘルシンキ~トゥルク間194㎞を1時間57分。表定速度約95㎞/h、これでも十分だと思いますが。

030 トゥルク駅.jpg
 トゥルク駅。
 21年前はここのYHに泊まり、渡し船にも乗ったりしているが、今日は51分でですぐに折り返さなければならない。12時25分発IC956列車に乗ろうと窓口に向かうと、指定券は必要ないという返事だった。

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 駅舎の中。2Fの廊下から撮りました。№1225とほぼ同じアングルだと思うが、左手の観光案内所はなくなり、コンビニスタイルの売店になっている。2Fにも部屋があるが、使っていない。

032 トゥルク駅有料トイレ.jpg
 この駅のトイレ、有料はまだしも、電話を掛けないと使えない?あるいはQRコードを読み取るか。ヨソ者には使えなさそう…。
(目の前のカフェの客は利用できる)

033 トゥルク駅ホーム.jpg
 トゥルク駅のホーム。

034 車運車.jpg
 車運車が留置されていました。トゥルクからも北部のロバニエミに行く長距離の夜行列車があり、これに連結されるのでしょう。

035 ロシアタンク車.jpg
 ロシアのタンク車もいました。書かれている言語が全部ロシア語。21年前にもロシアのタンク車の貨物列車が止まっていて、ロシアからここに着いて、この先航送、というのが、有力な国際貨物列車のルートになっているのだろう。

036 IC.jpg
 帰りのヘルシンキ中央行、IC956列車。全2階建て。ELが後部に連結された、ペンデルツーク。
 食堂車の連結が、ない…。手持ちの「ヨーロッパ鉄道時刻表」には食堂車のマークがあるのだが。

037 IC客車.jpg
 2階建て客車は、とにかく大きい…。21年前は編成中1~2両程度の連結、だったと見えたが、今のICはこのタイプが一般的のようだ。 

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 2Fの車内。当然PC用のプラグがある。 

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 1Fの車内。上下とも、圧迫感がほとんどない。

040 クピター.jpg
 トゥルクを定刻に出発し、すぐに次のクピターに停車。S220も含めて全列車が停車するが、ビジネスの中心はここだろうか。オフィスビルが多く、富士通のロゴも見られました。
 発車してすぐ、検札。通路の反対側に座ったお嬢さんは、スマホの画面を見せて、車掌がそれを読み取っていました。フィンランドはIC乗車券が相当普及しているようだ。

041 マフィン&コーヒー.jpg
 食堂車が欠車の代わりに、ミニビストロが乗っていました。客室の端にリフトがある。マフィンとコーヒーを購入してみました。5.2€だった。紙コップのイラストがユニーク。

042 パイミオ川.jpg
 パイミオ川。

043 サロー駅.jpg
 サロー駅。

044 トゥルク行IC.jpg
 ヘルシンキ~トゥルク間は、現在はS220とICを合わせて平日は1時間間隔の運行になっていて、このサローで行違うようなダイヤになっています。トゥルク行IC951列車は、食堂車を連結していた。乗りたかった…。

045 牧場.jpg
 沿線には、牧場も見られます。
 ヘルシンキ近郊のレッパバーラの駅前を見たら、EVの市内バスが相当並んでいました。充電スタンドが並んでいたように見えた。充電方式はパンタグラフとプラグイン、両方があるのだろうか。

046 ヘルシンキ直前 リンナンマキ遊園地.jpg
 パシラを過ぎて、もうすぐ終点、という所。リンナンマキ遊園地の観覧車が見えます。

047 ヘルシンキ中央到着.jpg
 ヘルシンキ中央に到着。やはり定刻に到着しました。中央部の4番線に到着。

 今回は他の北欧との込みだったから、トゥルクへの単純往復で終わったけれど、また北のロバニエミとか、行きたいなあ。オーロラなんて、生きているうちに一度は見たい、かも。

 フェリーの出発まで、少し時間があります。乗り歩き、とはいかないが、市電にもキチンと乗っておきたい。それは次回。

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