№2135 バスマガジンvol.100(講談社ビーシー/講談社)

「バスマガジンVol.100」、ついに100号を迎え、先月末発売になりました。
 第1号は2003(H15)年刊行なので、17年前になります。どんな事が書いてあったっけな、と眺めてみると、表紙は北海道中央バスの日野車(旧塗装)、特集がエアロクィーン、「ネオクラシックバス」と称していた、70~80年代のモノコック車、「バス会社潜入レポート」は北陸鉄道のグループ、「全方位レポート」は北海道道央で、翌年に民営完全譲渡完了を控えた、札幌市営バスも加えられていた。また、都営バスで営業運行していた、トヨタの燃料電池バスFCHV-BUS2と、日の丸自動車興行が「丸の内シャトル」に導入していた「タービンEVバス」の記事が見られました。今につながる低公害車の流れが、少しは見えてきていたのでしょうか。

おじゃまします!バス会社潜入レポート Vol.100 神奈中グループ

神奈中バス 湘南台駅西口.jpg
 という歴史を積み重ねてきた割には、神奈中バスは初めて、なんですね。
 地元も地元の事業者で長年の馴染みであるが、神奈川県の大半をカバーしていて、特に県央部(相模川の流域あたり)は、ほぼ独占といっていいかもしれない。なので、ニュータウン輸送からローカル線まで、路線網にバラエティがあるのが、魅力でしょうか。観光路線としては、大山が、神奈中バスとしては一番大きいだろうか。ここにはないがラッピングバスもあるし(車内の広告も、基本的には大山PRのみ)、車内放送でも「丹沢・大山フリーパス」を頻繁にPRしているので。もう少し田舎の路線の写真も見たかった。
 車両面では、大型は三菱ふそうが圧倒的ではあるが、他メーカーも継続して導入(UDはもう新規はないが)、中型は逆に、三菱ふそうは現在製造していないのでいすゞエルガミオ一本、小型は日野のポンチョ。連接車はシターロに統一されつつあり、高速車は三菱ふそうオンリー、神奈中観光はエアロエースとガーラが拮抗、という所だろうか。三菱ふそうの中型は、純粋なエアロミディはもうなくなっていて、あとはOEM供給の「S」だけになった。
 空港車は今月から、リフト装備のエアロエースが、田村車庫・本厚木駅~成田空港路線で導入されているそうです。
 車両リストがやはり分厚い。行を詰めているが、19ページもある(前号の名鉄バスは7ページだった)。
 本当は、東部(特に横浜市内)で営業所の配置が路線網と一致しなくなっている所が目立ってきていて(横浜市営地下鉄延伸などの歴史上の経緯もあるが)、これが運用効率を悪くし、ドライバーの労働条件にも悪影響を与えているように思えます。特に、特に駅⇔営業所間などの回送距離・時間が長くなると、いろいろな面で無駄が多いので、何とか改善できないだろうか。神奈中もご多分に漏れず運行状況は苦しく、元々ドライバー不足で減便が相次いでいる上、新型コロナウィルスの影響で、土曜日は今月から当分の間、休日ダイヤで運行される事になっています(基本的には、朝方以外は休日ダイヤと同じ系統が大半だが)。神奈中バスレベルの最大手でこれではちょっと厳しいのだが、何とか業界のリーダーとして、踏ん張ってほしい。

オノエンスターEV debut!!

 車内まで公開されたのは、今回が初めて、試乗レビューもあり、ポンチョEVとの比較もされています。
 前後車輪間にドア2か所というのは、このサイズでノンステップ、となると、もうこれ以外ないのだろう。前後の間隔がポンチョより狭いので、流動性はどうかと思うのだが、ただ、幅が広いのはいいかもしれない。
 スペック的にはこれで十分、あとは地上側の充電設備だが、コミュニティバスとなると、一般のマイカーと同じ充電スタンドを利用するのが基本となろうか。
 この工場は中国のどこにあるのだろう?デビュー時期が気になるが、こちらも新型コロナウィルスの影響が、早期の納入には出るかもしれない。

帰ってきた 路線バス全方位レポート Vol.32 京都府

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 こちらは2010(H22)年刊行のVol.41で取り上げられており、№236で書きました。
 基本的に、「南高北低」の構図は変わらない。京都市内は京都市営バスを中心に、京都バスと京阪バスが加わって、北部は丹後海陸交通が中心。(旧)京都交通の路線網が南北に分割され、北部は日本交通グループ、南部は京阪バスのグループになっている、というあたりは同じです。
 南部は新規事業者の参入が以前から比較的多いが、ケイルックが参入している一方、Vol.41にはあった名前の事業者が、いくつか撤退している。ケイルックは、ブルーリボン・ハイブリッドもあるのか。京都バスにもあるが、ぜひ市営バスにも欲しい。それと、長距離路線があった名残だろう、南部では近鉄バス、奈良交通の落下傘エリアがあるのも特徴的だろうか。阪急バスもそうで、大阪府の路線とはつながっていない。
 丹後海陸交通は、エリア均一200円という運賃をやっているので、この点も記して欲しかった。

鈴木文彦が斬る!バスのいま 第26回
 やはり避けては通れぬ、新型コロナウィルス感染の影響。残念ながら収束とは程遠く、むしろ世界規模で状況は深刻なものになってしまっているのは、いまさら記すまでもない。
 高速バスに関しては(ウィラーエクスプレスが、共同運行以外の全路線全便の、4日から今月一杯の運休を決定した)、よく言われる「三密」に当てはまると思われてしまうかもしれない、と記されている。先月末東京都から「土日の外出を控えるよう」要請が出た時、大勢の旅客が週末の夜行便に集中した事態があったのだが、ツィッターを読むと「ウィルスを外部に持ち出す気かよ」とか、かなり無責任な書き込みが多数見られました。実際には高速バスだって換気はキチンと行っているし、それを言うなら、新幹線や特急列車、旅客機だって、同じ、ですよね?
(どうもSNSという媒体は、路上で交わすオシャベリ程度の言葉がまんま社会全体で独り歩きするところがあり、フェイクニュースというより、こういうのがいつの間にか「真実味」を持たされ、拡散して、世間を惑わす原因になっているように見える)
 インバウンド中心の中小事業者は、相当困難な状況に陥っている、というのは、見なくても解る感じ。数年前のような顧客側の政治的な敬遠、ではなく、そもそも世界的に移動がまかりならん、のでは。バスは見ていないが、最近江ノ島海岸付近を歩いてみても、驚くくらいバッタリ、人がいなくなりました。従業員であるドライバーの皆さまはもっと不安だと思う。ただ、一つだけ希望的観測を挙げるとしたら、この事によって、関越や軽井沢のような事故を惹き起こしかねない「ブラック」な事業者が淘汰され、バスの安全性や採算性(感染終息後の話だが)にとってプラスに働く可能性も、あると思う。ドライバーも、労働条件がだいぶ変わる事を厭わないなら、一般のバス事業者のドライバー不足は深刻だから(今号でも、「どらなびEXPO」の記事がありますね)、食いはぐれる心配は、実は意外に少ないのではないかとも考える。甘いでしょうか?今は大変だが、この辺、終息後も見据えて、事業者も従業員も、一人ひとり行く末を考えてもいいかも知れない。バスに限らないが、今後は交通業界の大幅な再編成も、ありうるのではないか。

終点の情景を求めて
 岩手県交通の新鉛温泉(宿泊は手前の大沢温泉だったが)。電車が残っていればなあ…。前回の東京オリンピック(1964(S39)年)の時点では、区間運転を含めて17往復の運転を確認できました。もう少し頑張って残っていれば、その珍しさから、大勢の鉄道ファンが訪れるようになったかもしれないが、車両や設備が持たなくなっていたかも。県交通バスは引き続き国際興業色だが、三菱ふそうや日デも見られて、いすゞオンリーだった頃からはだいぶ様変わりしているようです。

平成初期のバスを振り返る
 前号の沖縄バスから一転、北海道の旭川電気軌道。ここに限らないが、関東のバスを見慣れた目には、北海道のバスは「長いなあ」と、昔も今も思います。連接バスも運行していたくらいだから、潜在的な利用者は少なくない、という事でしょう。旭川は北海道第2の都市だし。極寒地だが、坂道は少ないので、ノンステップバスの導入には向いていたのではないか。北海道全体のバスのノンステップ化の先鞭をつけた、という点で、意義があったと思います。

「バスマガジン」誌の次の100号、200号を刊行する時点では、バス業界は、どのような変化を迎えているでしょうか。
 …の前に、目の前の世界的な脅威が早く終わらなければならないが、バス業界にはどうにか変える力はなく、残念ながら、おとなしく、息をひそめて動向を伺う以外ないのか。「バスマガジン」誌に限らないが、出版業界は今日の状況で、普通に取材活動をやれるもの、でしょうか?次号以降、少々気になるポイントです。TVドラマでさえ、収録中止に追い込まれたりしているので。
 バスって、同じ乗り物でも、鉄道や航空に比べるとややマイナーな部分が、昔も今も若干あるのだが、その点「バスマガジン」誌は、当初からカラー写真をふんだんに使って、「マガジン」の名にふさわしい、バスの世界を気軽に読め、バス趣味を鉄道などと同等レベルに引き上げた媒体として、評価できると思います(途中編集の「分裂」もあったが)。バラエティのある内容も、「マガジン」ならでは、だろう。ただ、現状は、記述がやや若年層に触れている気がします。むろんそれも悪くはないが、もう少し高齢者層の読者の存在を意識したテキストの記述を求めたいと思います。あと、今はだいぶ改善されたが、予告と実際の内容のかなりの部分が一致しない時期があったので、日本有数の出版社からの刊行でもあり、もっと意識して、編集をやってほしい、それが「バスマガジン」誌の、次の100号に期待する所です。

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《今日のニュースから》
 1日 米シェール・オイル企業「ホワイティング・ペトロリアム」 連邦破産法第11条の適用申し立て 経営破綻
 2日 滋賀県 患者死亡事件 元看護助手再審 無罪確定

 4月も引き続き、「〇〇県で何人感染」「○○県で何人死亡」、朝から晩まで、こんなニュースばかり。この時期、例年だったら長蛇の列の定期券発売窓口や券売機も、まったく行列が見られません。改めてビックリしてしまう。いくら「外出するな」「遠くへ行くな」としつこく言われても、精神的に「抑圧」された毎日も何日も、破りたくなる人が増えるのも、心情的には致し方無い事でしょう。私も、ひょっとしたらそうなるかも…。明るい話題、とは言えなくても、何か「癒し」が欲しい。