№2051では、伊豆箱根鉄道駿豆線を走るアニメラッピング電車「Dr. STONE」「Over the Rainbow」の撮影行について、書きました。大半の皆さんは、車体に大きくデザインされたラッピング(特に、スクールアイドルの女の子たちにね)に、目が行っただろうと思います。
では、それ以外の、車両そのものの部分にはどれだけ関心を持ってもらえたのだろう。「転換クロスシートなんて、豪華だよなあ」(ちなみに、東京から一番近い、無料で転換クロスシートに乗れる鉄道は、伊豆箱根鉄道。大雄山線にもあるが)「どうして先頭車両と中間車両で、ドアの数が違うのだろう」とか、思ったりはされたでしょうか。
約1年ぶりの「私鉄名車列伝」、前回の予告とは変えて、今回は、在籍2編成が共にアニメラッピングデザインとして注目を集める、伊豆箱根鉄道7000系について、簡単にまとめてみたいと思います。
7000系は、駿豆線の快速用として、3000系をベースにして製造されたクロスシート車で、1991(H3)年と1992(H4)年、3連2編成が東急車輌によって製造された。駿豆線では、平成初の新車両であった。観光用と通勤・通学用の用途の両立を狙った車両といえる。
車体は1987(S62)年に導入された3000系5次車と同様のステンレス車両となったが、上部に大型の1枚合わせガラスを使用。乗務員室後方からの展望が良好になっている。下部にはスカートをつけている。先頭車は3ドア、中間車は指定席車両として運用されるため2ドアを採用した、変則的なスタイルとなった。ドア昼間部の窓は2連の1段下降窓を採用、側面の見付は、先頭車はJR東海の311系、中間車はJR西日本の213系とほぼ同一である。先頭と側面には電動式の行き先表示装置を設けた。先頭部には列車番号表示と種別表示も設けられている(現在は使用されていない)。屋根上には初めて、下枠交差式パンタグラフを搭載した。JR線への直通運転を想定しており、運転台は、3000系や大雄山線5000系のワンハンドルマスコンに対して、ノッチとブレーキを分けた、ツーハンドルとしている。基本的な性能は3000系と同じで、120kwの電動機を搭載した、抵抗制御方式・2M1Tの3連ユニットである。
車内は先頭車・中間車とも、端部の固定式を除き、全面的に転換クロスシートを採用した。座席はバケットタイプとして、シートカバーも使われている。いる。自動案内放送装置が採用された。増備車両では、ドア上にLED式の車内案内表示装置を設けている。
第1編成デビュー時の1991(H3)年3月改正時より、午前中に1往復設定された快速に限定運用。途中4駅に停車し、三島~修善寺間を25~27分で結んだ。中間車を座席指定車両として、座席指定料金を徴収していた。この他に普通電車にも運用し、1000系を置き換えている。しかし増備は2編成に留まり、1997(H9)年の増備車は再び3000系に戻る事となった。快速は増発が行われる事がないまま、1998(H10)年3月いっぱいで廃止となった。また、JR線への直通運転も、実現していない。
駿豆線では2009(H21)年4月よりワンマン運転が開始され、7000系もワンマン対応工事が行われた。車内に非常通報装置が新設されている。後に、ドアチャイムの設置も行われた。快速列車なき現在は、基本的には他系列と共通で、線内の普通列車で運用されている。
【編成】
←三島 修善寺→
Mc7100 - *M7300* - Tc7500
快速列車の運行が始まった当時、JTB時刻表の1991(H3)年3月号を紐解くと、快速は次の1往復で運行されていました。
下り 三島9:20 → 9:45修善寺
上り 修善寺10:33 → 11:00三島
途中停車駅 三島広小路・大場・伊豆長岡・大仁 〔踊り子〕停車の三島田町ではなく、三島広小路に停車していたのが目を惹きます。
当時は全区間の運賃が470円、指定席は200円でした。
その後、この1~2年の話題は、皆様の方が良く知る所でしょう。
「Over the Rainbow」編成は、来年3月にラッピング電車としての運行が終了すると、先日リリースがありました。1月からはヘッドマークをラストラン仕様に変更して運行、また、トミーテックから「鉄道コレクション」の発売も発表になっています。
今回の記事は
「鉄道ピクトリアル1991年10月臨時増刊号 新車年鑑1991年版」(鉄道図書刊行会)
「JTBキャンブックス ローカル私鉄車両20年 路面電車・中私鉄編」(寺田 裕一 JTBパブリッシング)
「週刊 歴史で巡る 鉄道全路線 公営鉄道・私鉄 09」(朝日新聞出版) 等
を参考にさせて頂きました。
次回は当初の予告通り、北大阪急行8000系を予定しています。
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芸備線が昨日、約1年3ヶ月ぶりに全線で運転を再開しました。これで、去年の西日本豪雨で被災した路線は、JR・第三セクター・私鉄全てで運転を再開できた事になります。豪雨直後は1,500㎞程度が不通を余儀なくされ、ひょっとしたらこのまま…と思った路線もあったから、ともかく全路線再開できて良かった、と思います。しかし、この豪雨の被災区間の全線再開がまだ、という時期にまた台風19号の猛威で多数の鉄道路線が被災し、特に鉄橋がやられた水郡線や上田電鉄は、芸備線と同じく、再開まで少なくとも1年以上の時を必要とするでしょう。今日は東武の日光線・佐野線が全線で再開、という明るい話題もあったが、この数年の災害を見ていると、これではまた来年も、今回被災した路線が全部復旧する前に、またどこかで大規模な災害を食らって、長期不通に追い込まれる路線が出てくるのではないだろうかと、正直今の時点で憂鬱です。
《今日のニュースから》
23日 キューピー パスタソース8万個余 自主回収
24日 東京株価市場終値 22,750円60銭 4営業日連続で今年最高値更新