№2052 エリアまたぎICカード問題 抜本的解決を

 前回は三島まで出向いて、伊豆箱根鉄道駿豆線のアニメラッピング電車を撮って来た事について書きました。
 今回は、関東エリア(Suicaエリア)から三島に向かう際には、必ずクリアしなければならない、ICカードの問題について書きます。しつこいかも知れないが、20日になって、JR東日本・西日本と連名で、各社のICカードエリアをまたぐ利用方に着いての新たな施策のリリースが出ていますので、併せて考えます。

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 私は、今回は戸塚から来ました。戸塚を含むSuicaエリアから来ると、熱海~函南間(または国府津~下曽我間)を経由してTOICAエリアにまたがったら、改札口は利用できない。
 基本的な取り扱いとしては、他エリアから来た場合は、ICカードで入った駅からの運賃を全額収受した上で精算の記録が発行され、後日他エリアで入場を取り消す、流れになります。
 図に記されたように、JR東日本に接続する函南~熱海間、下曽我~国府津間(加えてJR西日本に接続する醒ヶ井~米原間)は、JR東海の区間なのに、TOICAを導入されていない。

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 ある程度このような事態に対応する、という意味なのか、Suicaエリアからの乗客が多そうな一部の駅、今回降りた三島の他、沼津・富士・御殿場の駅では、Suicaエリアの一部の駅から入場したICカードの精算ができるようになっています。

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 カードを挿入すると、チャージされている金額から不足分が引かれます。足りなければ、追加で投入します。

 だけど、対象となるSuicaエリアは、山手線内と東海道線、横須賀線、伊東線の駅に限定され、その他の駅からは精算機を利用できません。
 あらかじめ乗車券を買っておくように、とJR各社は言っています。
 だけど、東京~大宮間のSuica定期券を持っていて、大宮から直通電車で来る場合(まして今は、少なくとも熱海までは直通が多い)、運賃は東京からの分だけ払えばいいのだが、その東京からの切符はどうしたらいいの?いったん東京で降りて、切符を買い直して乗り直すの? バカらしい。全然シームレスじゃない。
 英語の案内書きもあるが、このしくみを外国人の利用者はどう捉えるだろうか?JRの評判を落とす事になるのではないかと、心配です。
 三島や沼津では特に休日、精算可能エリアの外からICで来た乗客が改札の有人ブースに行列をなして問題、という話が、SNS等を通じて聞こえてくる。むろん、例のアニメの影響も大だろう。この朝はいなかったのだが、8月に三島で降りたときは、別の目的だろうが、Suicaエリアから来た家族連れが、改札の有人ブースで立ち往生、というシーンも見かけました。

 そんなことも考えながら帰宅したところ、20日になって、JR東海・JR東日本・JR西日本が連名で、エリアをまたぐICカードの利用についてニュースリリースが出ました。2021(R3)年春からという事で、まだ先の話になるが。
 新幹線もあるが、在来線に絞ります。在来線に関わるポイントは3つで、

① TOICAエリアとSuicaエリア、TOICAエリアとICOCAエリアにまたがる在来線の定期券を、Suica・TOICA・ICOCAで発売する。
 例えば、小田原~熱海~沼津間の定期券を、SuicaかTOICAのどちらかで発行する。
 ただし、IC定期券では、定期券外の区間では自動改札機を利用できない。例えば、小田原~熱海~沼津間のIC定期券で小田原~茅ヶ崎間を乗り越しで利用しようとしたら、自動改札機は通れない。乗車の場合は小田原までの乗車券を購入する必要があり、後者の場合は有人ブースでの精算、という事になるのだろう(精算機で対応できる事になるかは、ここでは解らなかった)。
 また、リリースを読んだ限りでは、御殿場線と東海道線にまたがるIC定期券は発行しないのか?としたら、上大井~国府津~小田原のような区間は、IC定期券は発行されない。同じ神奈川県なのに、問題とはならないのだろうか?

② 交通系ICカードで、チャージ額を利用してエリアをまたがる利用はできない

③ TOICAエリアは、(函南~)熱海・(下曽我~)国府津・(醒ヶ井~)米原まで拡大する。
 しかし、②により、チャージ額では、その先の他エリアの範囲へは行けない。

 これでは、一番最初に挙げた、三島や沼津の改札の有人ブースで起きる出来事は、解消されない事になります。片手落ちも良いところ、なのではないか?

 根本的な解決策は一つしかない。TOICAとSuica・ICOCAの各エリアと、完全には通しで利用できるようにする事。
 技術的な問題ではないはずだ。SuicaとPASMO、SUGOCAとはやかけん(筑肥線~福岡市営地下鉄)の相互直通区間は、問題なく通しで利用できます。ましてJR東海・東日本・西日本の各社は32年前までは同じ組織で、今でも基本的な営業規則等は、ほぼ同じです。特に熱海~函南間は、今でも東日本からの直通が9往復あります。電車が直通するのに、相互利用を行っているエリアには行けないというのは、ヘンではないでしょうか?
 長い距離を利用されると困る(東京~熱海~米原~大阪とか)のなら、ICOCAでやっているような、距離制限を設けるのもやむを得ない。本当はこれもあまりスマートではないが、ICカードは、本来はそんな長距離の利用を想定したシステムではないように思えるので。
 それに、今からエリアをまたぐ利用に細々制限を加えてしまうと、例えばTOICAだと、比較的利用が多い、身延線・甲府~鰍沢口間などには導入できなくなるし、すでにSUGOCAを受け入れている西日本の下関付近でも、今後ICOCAを導入できなくなってしまいます(かつてJR九州の電車が山陽本線に直通していたほどだから、相互の往来は多い)。一部で見られるような、中間のIC簡易改札の導入など、やって欲しくないし(物理的にも無理だろう)。

 なんだか、本州のJR3社による「縄張り争い」みたいなものを、私は薄々感じます。なんとか各社が知恵を絞って、というか、譲れる所は譲る形で、真にICカードの利便性が方策を見いだして、エリアに関係なく、一枚のカードでスムーズに移動できる方向に行って欲しい。そうでなければ、抜本的な解決、とはならないでしょう。ICカードの存在が、バリアにはなって欲しくない。

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《今日のニュースから》
22日 ソウル 東大門市場 商業ビルで火災 
23日 トーマス・クック・グループ破産 航空便全便運行停止 
24日 西武 パ・リーグ優勝 2年連続23回目

 トーマス・クックというと、欧州旅行ではいつもお世話になる「ヨーロッパ鉄道時刻表」を連想するが、6年前にトーマス・クック社の手を離れ、ヨーロピアン・レイル・タイムテーブル社の刊行になっているので、時刻表への影響はない。