№2039 新生三陸鉄道と BRT縦貫の旅 5.三陸鉄道 旧北リアス線

 当ブログは昨日、スタートから10周年を迎えました。前回の末尾に書いた事の繰り返しになってしまうが、今後も乗り物と、乗り物を取り巻く世界について、あくまで自分の目で見て、耳で聞いて、そして自分の言葉で綴って行きます。今後もよろしくお願いいたします。

 三陸鉄道の旅も最終日となりました。北リアス線に乗り通し、久慈からは八戸線と、東北新幹線〔はやぶさ〕を乗り継いで帰ります。

 7月31日(水)
 その前に、今回のJR山田線からの転換区間の残り2駅をまだ見ていません。先にこちらに行って、それから宮古へ。

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 まず磯鶏駅。今回泊ったホテルからだと、一番近いのはこの磯鶏駅になりました。と言ってもバスの利用が必要だったのだが。市民会館前で下車して、徒歩5分程。ホームの向かいに、静態保存のSLが。

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 磯鶏駅。盛直通の5008D。36-100・200の3連。

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 36-208は、「あまちゃん」のロケで使用された車両らしい。撮影の風景の写真とか、イラストとか様々展示されていました。「北三陸鉄道」では、先行してリアス線の名称を使っているのか。一番下の「北三陸駅」は、この後降りる、久慈駅。

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 三陸鉄道全線開業を告げる、岩手県のポスターもありました。

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 八木沢・宮古短大駅の駅名標。旧JR線転換区間は、皆このデザインになっています。QRコードがついている…。

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 八木沢・宮古短大駅。宮古行5Dが着きました。
 なお、この八木沢・宮古短大と、前日降りた払川の両駅は、新規転換開業の3月23日に開業した新駅だが、通年営業の一般駅としては、平成最後の新規開業駅でもあります。
(4月20日開業の常磐線Jヴィレッジ駅は臨時駅)

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 宮古駅構内の、36-RとZ形。

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 36-101は、ターキッシュ・エアラインズの全面ラッピング車。

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 宮古駅前に現れた、奥浄土ヶ浜路線で運用されるEV改造車。

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 ところで、この日は県北バスの106急行で、アストロメガの特急便が運行を開始する事になっていました。

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 そのチラシ。

 どんなものか、待っていました。
 ところが、9時20分少し前、浄土ヶ浜から現れたのは、普通のセレガ…。バス停付近にいた県北バスの職員も不審に思ったようで、ドライバーに聞いていた。セレモニーも行う盛岡からの便から運用開始、なのだとか。ガッカリ…というか、県北バス社内でもこの情報がキチンと伝わっていなかったというのは、どんなものであろうか?

 そこで、歩いて訪ねる事にしていた、旧北リアス線の山口団地駅まで、急遽列車で行く事に。

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 山口団地駅。この駅は震災の直前、2010(H22)年10月16日に開業しています。三陸鉄道としては、初の追加の新駅でした。
 5108Dが来ました。一旦宮古へ戻ります。

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 宮古に着くと、入れ替わるようにJRのキハ110形の単行の回送が出発します。どこへ?茂市だろうと思われる。山田線はワンマン化されておらず、女性の車掌が乗務していました。

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 三陸鉄道の車両基地。リアス線全線開業で、釜石にもあった車両基地は、宮古一ヶ所に統合されています。

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 先に乗ってきた5108Dが、列車番号を5010Dと変えて出発します。R3号を増結しました。一般の客も乗れるようだった。

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 やはり先のキハ110形の単行は茂市への回送で、折返し635Dとして戻ってきました。宮古~釜石間転換により、JRの発着は8往復だけとなり、圧倒的に三陸鉄道の方が多くなった。だから前日見たように、駅の業務は三陸鉄道への委託となり、JRは三陸鉄道の駅に乗り入れる、という形態になった、と言えます。

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 改めて、久慈へ。10時44分発5111Dで出発します。盛始発で、5205D~5009Dと番号を変えて来ていました。3連で来ていたが、後部1両はここで切り離し。
 右側のキハ110形は、お昼寝…。JRの次の出発は、14時34分の茂市行640Dまでない。山田線の残存区間は、臨時快速とかはあるが、もはや路線そのものが秘境、という感じ。特に上米内~川内間は、4往復しかない(うち1.5往復は、快速〔リアス〕)。

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 36-705号には、クウェートからの支援による車両という事が書かれています。アラビア語・英語・日本語。
 宮古出発時点の乗客数は、先頭11人+2両目10人。観光客が多いようだ。ヨソ者がたくさん利用してくれるのは、今の三陸鉄道にとっては、ありがたいはずです。

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 出発して勾配を上がっていくと、右手に県北バスの宮古営業所を見ます。一般路線バスの他に、夜行バス〔ビーム1〕の姿も、格納庫内に見えます。2台いるようだ。京急バスはいなかった。

 写真がないが、田老駅を出発するとすぐ、新田老駅の工事現場を通過しました。今年中には開業の見込み。

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 摂待駅に進入。旧北リアス線は、開通が比較的新しいので、基本的には長いトンネルと高架線の繰り返し。

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 島越駅。昔はホームも駅舎も海側だった。津波で被災してしまい、新しいホームと駅舎が山側に造られています。
 
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 田野畑駅の駅名標。先のJR転換区間とは、デザインが異なる。QRコードがあるのは同じ。

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 田野畑で、1110Dと交換。向こうの2両目は、ラグビーW杯のラッピング車。

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 トンネルを抜けると、海も見えるのだけれど、まぶしい位の緑の水田が広がる様も、これまた印象的。

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 車内の様子。やはり観光客の方が多い。
 白井海岸~堀内間では、橋上で一旦停止し、運転士が、ここが「あまちゃん」のロケで使われた所だとアナウンスする。乗客も思い思いに撮影。
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 堀内駅到着直前、右手に見るのは堀内港。

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 堀内では、5分停車。皆外に出て撮影。

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 駅の上を走る道路に通じる階段から、堀内駅と、港を撮る。

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 堀内~野田玉川間の安家川。ここでも一旦停車。鮭の遡上が見られるとアナウンス。

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 十府ヶ浦海岸~陸中野田間でも減速運転。この線路と防潮堤の間には防風林があったそうだが、津波で全部流されてしまったそうだ。

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 陸中野田の先、右手にJRバス東北のモノコック車体を見ました。平成の世に入ってもしばらくは、旧北リアス線沿線はそれなりにJRバス路線のネットワークがあったのだが、現在は盛岡と二戸から入る、久慈間での長距離便のみ。

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 久慈駅、到着しました。宮古から、観光停車も含めて2時間弱、という所でしょうか。盛からだと4時間30分。

 この日の旧北リアス線区間も、貸切の列車はなかったけれど、観光客の利用の方が目立ったようでした。しばらくは三陸鉄道全線を通じて、観光客の利用が、営業の生命線となるのでしょう。
 前回の更新の後、「三陸鉄道って、本数が少ないのですか?」とメールも頂きました。「本当はもう少し多ければ良いのだけれど…」と結んだ事を受けての発言だったと思います。三陸鉄道は、旧南北リアス線も、国鉄から転換された区間でも本数を増やして利便性を高め、後の第3セクターの経営のお手本の一つとなりました。現状でも、沿線のロケーションからしても、とりあえずはこんなものだろう、という本数は確保されているとは思います。ただ、三陸鉄道に限らないが、鉄道は元々は大量輸送を特性とする輸送システムなので、各々の線区の状況も勘案する必要はあるが、個人的には、本当は1時間に1本程度の運行が確保されるほどの輸送量(旅客でも貨物でも)が欲しいと思っています。でないと、車両だけでなく、設備の投資も莫大な鉄道としては、やや厳しい部分もあるのではないか?三陸鉄道も、特に日中は観光の利用が中心になっているが、沿線の復興がさらに進み、日常の利用者も増えて、増発も必要だろう?と思えるような状況が作れれば、それが三陸鉄道にも、沿線の人々にとっても、良い事なのだろうと思います。皆が知恵を出し合って、三陸の足を盛り上げる方策を考えていって欲しいと願います。
 今回はJR転換区間が中心となったため、旧南北両リアス線の途中駅は、降りる機会がありませんでした。先の島越のように、大津波で壊滅的な被害を受け、後に再建した駅も多数あります。今回は復旧後に開業した十府ヶ浦海岸駅にも降りられなかったし、この後新田老駅の開業もあります。いずれまた全線に渡って訪れる機会を作れればと思っています。その時には三陸鉄道と、それ以上に未だ復興途上の沿線の町は、どのような姿を見せてくれるのでしょうか。

 この後八戸線と東北新幹線〔はやぶさ〕を乗り継いで帰宅、となるが、木曜日に書きます。次回は、このお盆期間の航空輸送のデータを分析し、水曜日に書きます。今シーズンは国内線・国際線とも波乱要素が数多くありました。どのような結果が出るでしょうか。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
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《今日のニュースから》
16日 債券市場 長期金利 3年振り低水準 一時-0.255% 
17日 五輪ホッケー場完成 小池都知事始球式

 明日で「京アニ」放火事件から1ヶ月になります。まだまだ関係者の方々も、ファンの皆様も、心の傷は深いのだと思います。癒える日は、いつか来るのだろうか。この一件、日本のポップカルチャーにおけるアニメの地位が格段に高くなった今、当然他のスタジオも人事ではあるまい。「君の名は。」「天気の子」と立て続けにヒットを出したコミックス・ウェーブ・フィルム、「あの花」「ここさけ」を出したA-1ピクチャーズ、「ラブライブ!」のサンライズ(「原作:矢立肇」で解るとおり、元々はサンライズの企画)などなど、京アニと同じような問題・悩みを抱えているところ、少なくないのではないだろうか。とにかく、アニメはどんなジャンルでも、穏やかに見たいです。穏やかに見るものだと思うし。