№1998 航空利用データ分析 2019年度GW10連休 総決算

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 長い長い10連休が終わり、その間に世は平成から令和に移ったけれど、ともあれ日常の生活が戻ってきました。年末年始以上に長いから、曜日の感覚がマヒしてしまった…。連休が明けると、国の内外とも、急に世情は慌ただしくなってきたようです。
 という令和最初の平日の7日、GW中の航空利用のデータが、航空各社から発表されました。例年通り、データから利用状況を読み解いて行きたいと思います。異例の10連休、航空利用はどう動いたのでしょうか。
 今年はGWスタート前日の4月26日から5月6日までの11日間が対象となり、例年より1日長くなっています。

 会社によって呼び方が若干違うが、「座席数」「旅客数」「利用率」で統一します。国際線は「日本発」「日本着」で統一。
 注記以外は、コードシェア販売分の扱いは記されていません。カッコ内は前年比。今シーズンから、「ピーク」とは呼ばないで、各社毎の最高利用率の日を記し、適宜、別に利用率が高かった期間を記します。

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全日空
国内線 座席数 2,030,117席(100.1%) 旅客数 1,732,194人(112.9%) 利用率 85.3%(+9.7%)
国際線 座席数 404,958席(101.0%) 旅客数 330,476人(101.9%) 利用率 81.6%(+0.7%)
 国内線は、全方面で搭乗率が前年度を上回りました。特に北海道が前年比116.2%、沖縄が114.5%。東北・北陸(何度か書いているが、分けて欲しいんだけれど)路線の座席数は前年度寄り少なくなっているのに、旅客数は前年比113.9%と大きく上回っています。
 最高利用率は、下りが4月28日の98.0%、上りが5月3日のやはり98.0%。下りは27日~1日、上りは2日~6日が95%を上回っています。
 国際線は、ウィーン路線がスタートした欧州路線の座席数が、前年比117.5%となりました。利用率が一番高かったのは中国線の89.5%。インバウンドもあるかも知れない。北米路線は76.3%と方面別の利用率では一番低いのだが、ANAでは「好調だった」としています。
 最高利用率は、日本発が4月27日の98.8%、日本着が5月5・6日の97.4%。日本発は4月26日から混雑が始まり、30日までが95%以上、日本着は4~6日が95%以上(3日も94.1%)になりました。
 臨時便・チャーター便の運航は公表されていない。
 これも繰り返し書くが、ANAは、アジア・オセアニア路線はもう少し方面別に細分化して公表すべきではないか?韓国、香港、インド、その他の東南アジア、オセアニア(オーストラリア)は、性格・傾向が大分違うはずなので。9月1日にパース線、その後チェンナイ線がスタートすると、より違った傾向になると思われるので、そろそろ見直しを考えて欲しい所。

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日本航空
国内線 座席数 1,309,989席(102.3%) 旅客数 1,117,293人(117.7%) 利用率 89.9%(+11.8%)
国際線 座席数 339,868席(103.5%) 旅客数 292,464人(104.1%) 利用率 86.1%(+0.5%)
 国内線はすごく伸びていて、利用率が前年より10%以上も上回っている。特に中国・四国、九州、沖縄各路線は、前年比で20%以上の増加になりました。利用率は全方面で85%以上。
 最高利用率は、下りは4月29日の98.2%、上りは5月5日の98.8%。下りは27日~2日、上りは1日~6日が95%以上で、令和の世が始まって2日間は、上下合わせて相当な混雑になったようです。
 臨時便は羽田~新千歳9便、羽田~出雲4便、羽田~沖縄32便で、前年(2路線)の3倍以上の運航。
 国際線は、韓国線の座席数が前年比20パーセントの増だが、JAL自身は増便などは行っていないはず。コードシェアを含んでいるので、KEの座席数が増えたのだろう。シアトル線がスタートした北米路線の座席数が10.6%の増。グアム線は「搭乗率が高かった」と言っているのだが、今スケジュールから定期便は減便(2→1/日)しているので、座席数、旅客数は減少しています。
 最高利用率は、日本発は27日の98.9%、日本着は6日の99.4%。日本発は26~30日、日本着は3~6日が95%以上になりました。
 臨時便は成田~ホノルル1便・グアム6便、チャーター便は成田~コロール(パラオ)4便・ローマ2便・ミラノ1便で、こちらも、コロール4便のチャーターのみだった前年より大幅に増えています。
 
日本トランスオーシャン航空
 座席数 129,250席(107.3%) 旅客数 110,658人(118.8%) 利用率 85.6%(+6.2%)
 JAL沖縄路線の好調を、JTAも受け継いだ格好。臨時便も関空~沖縄6便、中部~沖縄4便と、前年はなかった本土発着の臨時便が出ています。他に沖縄~宮古6便。
   
琉球エアコミューター
 座席数 22,250席(98.0%) 旅客数 18,253人(106.0%) 利用率 82.0%(+6.2%)
 その傾向はRACも同じか。ただし、臨時便は今期はなし。

日本エアコミューター
 座席数 32,068席(67.8%) 旅客数 24,999人(76.4%) 利用率 78.0%(+8.9%)
 JAL(J-AIR)移管が進んでいるから座席数は大幅に減っているが、利用率は大きく向上しました。臨時便は奄美~徳之島1便。

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スカイマーク
 座席数 292,758席(110.3%) 旅客数 257,868人(112.0%) 利用率 88.1%(+1.4%)
 この一年の間で再開した路線があるので座席数が増えたが、旅客数はそれ以上に伸びました。最高利用率は、下りが27日の99.5%、上りが5日の98.9%。上下とも70%を切った日はありませんでした。
   
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エア・ドゥ
 座席数 96,288席(105.8%) 旅客数 90,912人(117.5%) 利用率 94.4%(+9.4%)
 これはかなり高い。前年より10%近くも、利用率が上がっている。路線別は解らないが、帯広路線だと「なつぞら」の放映もあるのかな?ひょっとしたら、エア・ドゥ史上最高記録かも。最高利用率は、下りは28~30日が連日99.8%、上りが4日の99.9%と、ほぼ満席でした。80%を切ったのは、初日26日の上りのみ。羽田~新千歳間に11往復の臨時便を運航。

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ソラシドエア
(ANA販売分は含まず)
 座席数 86,107席(104.4%) 旅客数 77,624人(117.7%) 利用率 90.1%(+10.2%)
 こちらも相当な伸び。前年より10%以上、利用率が上がっている。最高利用率は下りは27日の99.8%、上りは5日の99.6%。ただ、初日26日の上りと、最終6日の下りは60%台で、片輸送の傾向があるかも知れない。便数は解らないが、羽田~長崎路線で5日間、羽田~熊本路線で4日間、臨時便を運航。

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スターフライヤー
(ANA販売分は含まず)
国内線 座席数 63,464席(95.2%) 旅客数 58,171人(108.4%) 利用率 91.7%(+11.2%)
国際線 座席数 6,600席 旅客数 4,671人 利用率 70.8%
 国内線は、座席数が少し減ったが、旅客数は逆に大幅に増え、ここも利用率が10%を大きく上回る伸びになりました。最高利用率は、下りは30日の99.6%、上りは3日になり、99.4%。28日と1日は、両方向とも90%台で、70%を割り込んだ日はない。
 一方国際線の最高利用率は、日本発は27日の99.7%、日本着は5・6日の99.0%だが、明らかに片輸送の傾向が出ていて、6日の日本発は6.7%!26・28日の日本着も10%台前半に低迷していて、インバウンドの利用が、SFJに限るとまだ少ない事が伺えます。年末年始の時にも書いたが、とにかく台湾での知名度を上げる事でしょう。
   
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フジドリームエアラインズ
(JAL販売分を含む)
 座席数 68,364席(105.0%) 旅客数 61,897人(121.1%) 利用率 90.5%(+12.0%)
 座席数の増加以上に旅客が増加し、ここも前年比で10%以上の大幅な伸びになりました。
 FDAは路線別の搭乗実績を公表しているが、利用率が一番高かったのは小牧~出雲路線の94.0%。全路線が80%以上の利用率で、一番低かった静岡~丘珠路線も81.2%、前年が63.7%の低率だったから、大きく改善されました。前年の小牧~北九州は今スケジュールから静岡~北九州にシフトされているが、前年の74.9%がシフト後は84.8%と10%近く上がったから、シフトの効果は、今スケジュールでは出たと言えます。今後も定着できるか。
 最高利用率は、小牧は出発が27日の97.2%、到着が5日の98.1%、静岡は出発が27日の99.7%、到着が5日の98.7%、松本は出発が27・29・30日の99.6%、到着は1日になり、100%、全便満席でした。
 なお、23日に山形空港でインシデントを起こした機体は、27日より運用に復帰しており、GW輸送への影響は出ませんでした。
   
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ピーチ
国内線 座席数 126,360席(102%) 旅客数 119,260人(105%) 利用率 94.3%(+2.5%)
国際線 座席数 93,240席(115%) 旅客数 81,020人(113%) 利用率 86.9%(△1.8%)
 国内線は、ほぼ横ばいだろうか?最高利用率は、下りが30日、上りが4日で共に96.5%、期間中の全日、上下とも90%台でした。
 国際線は25日の新千歳~ソウル線開設などもあり、座席数、旅客数とも増えたが、旅客数の伸びは座席数には追い付かず、利用率は減少しました。最高利用率は、日本発は29日の98.1%、日本着は5日の97.4%。4月の日本着がやや低調だったか。内際とも、下り・日本発のピークは、LCCにしては遅めかなという気がする。 

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ジェットスター・ジャパン
国内線 座席数 217,980席(110.5%) 旅客数 200,750人(118.0%) 利用率 92.1%(+5.9%)
国際線 座席数 20,700席(82.7%) 旅客数 18,789人(87.5%) 利用率 90.8%(+4.9%)
 国内線はこの一年の間に成田~高知・長崎・下地島、関空~高知・熊本の開設があり、座席数が増加、それ以上に乗客が増えて、利用率が90%を越えました。最高利用率は、下りが30日の95.5%、上りが4・5日の97.6%。
 国際線は逆に関空・中部~台北路線が休止になったためか、座席数は大幅な減少になったが、利用率は向上しました。あまり利用状況が良くない路線だったのだろうか。最高利用率は、日本発は27日の98.6%、日本着は5日の96.2%。

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春秋航空日本
国内線 座席数 24,570席(295.5%) 旅客数 21,484人(284.0%) 利用率 87.4%(△3.5%)
国際線 座席数 14,742席(177.3%) 旅客数 14,016人(179.4%) 利用率 95.1%(+1.1%)
 国内線は新千歳路線の再開や復便があり、前年比で座席数は3倍近くになりました。旅客数はそこまでは追い付かなかったから利用率はマイナスにはなったが、ともあれ年末年始に続き、絶好の再スタートが切れていると思います。最高利用率は、下りは27日と2日の2回来ているのが特徴的(97.5%)。上りは3日の98.0%。6日下りのみ、70%を切っています(65.0%)。
 国際線は25日に成田~寧波線の開設がありました。座席数、旅客数とも順調に伸びているようです。最高利用率は、日本発が27日の99.1%、日本着が29日の97.2%。4日日本着が86.2%と、唯一90%を切っていて、やはり中国系だからか、インバウンドの利用が多いだろうと思われる傾向が見えます。ともあれ、ロゴマークも新しくなり、心機一転のSPRING JAPANには、期待される所も多いと思います。 

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 なお、バニラエアとエアアジア・ジャパンは、今日17時の時点ではリリースを確認出来ませんでした。両社ともGWスタート前の予約状況のリリースがなく、このまま公表はしないのか。
 全体的には、どのキャリアも、国内線・国際線どちらも、前年比で大幅に乗客が増加しました。前回の年末年始の時に、「どう動くか読みづらい」と書いたが、やはり「10連休」の魅力には勝てなかった、ですかねえ?利用率で言うと、今回は大手とLCCに挟まれた中小キャリア、特にADO・SNA・SFJ・FDAの利用率が90%の大台に乗っているのが、注目点ではないでしょうか。
 報道によると、トータルでは国内線で14.2%、国際線で3.8%の増加となり、ANAとJALでは、利用率が過去10年で最高になったそうです。ともあれ日本に関しては、(JALの一部トラブルはあったが)運航の事故なくGW輸送を完遂できて、なによりだったと思います。航空会社や空港運営事業者など、関係者の方々の努力に、敬意を表したいと思います。
 次回は夏のお盆休みです。ANAのA380就航にピーチ・バニラ統合のフェイズの進行があるから、また昨年と違ったものが見られるでしょう。
 
 当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。


 JR東日本は、来春運行開始の新特急の愛称を、〔サフィール踊り子〕と発表しました(サフィールとは、サファイアのフランス語読み)。全車両がグリーン車で、8連の内、伊豆側の先頭車は「プレミアグリーン車」、2・3号がグリーン車個室、4号車がヌードルバー、5~8号車がグリーン車。プレミアグリーン車は片通路の横2席(1+1)配置で、シートピッチ1,250㎜。「グランクラス」のような付帯サービスはあるのか?(今回は発表なし)なお、在来の〔踊り子〕については何の発表もなし。そろそろE257系改造車の導入がありそうだが(遅くとも、相鉄への直通が始まる11月30日まで、にはか?)今の〔踊り子〕は「スーパービュー」も含めて車内販売がなくなってしまっているし、〔踊り子〕、ひいてはJR東日本に限らないが、どうも「富裕層」向けの列車・クラスと、一般向けのそれらとの間の「格差」が、この数年で大きくなってきているように思えてなりません。我々の考える「ゆとり」と、他一般の人が求めるそれとは、ベクトルが違ってきているようだから、それを反映している、のではあろうが。
 JR東日本からは別に、上越新幹線のスピードアップのリリースも出ました。2022(R4)年度末までのE7系全面置換え以降、大宮~新潟間の最高速度を275㎞/hに引き上げ、1時間14分運転を目指すとの事。
 JALのシステムトラブルは午前中には修復したようだが、ダイヤは今日いっぱいは乱れる模様。JALはこんな事はあまりない、と思っていたのだが、1日には手荷物仕分けシステムのトラブルも起きています。また機長の飲酒とかの問題も起きているし(事前の社内の検査で発覚したのだから、一連の対策は機能しているとは思うが)、今一度社内で気を引き締め直してやって頂きたいと思います。

《今日のニュースから》
 5日 タイ ワチラロンコン新国王パレード 15万人祝賀
 6日 埼玉茶 入間市で今年初取引
 7日 社民党又市党首 肺がんを公表 手術のため休養
 8日 競泳池江璃花子選手 公式ホームページ開設


 という事で、とにもかくにも10連休は終わりました。期間中、航空各社だけでなく、JRなどの鉄道も利用が増加し(北海道新幹線は前年比45%増だったらしい)、高速道路も大きな渋滞が頻発しました。どこもかしこも混雑・混雑で、私としては少々辛い。連休最終日の6日、成田線の普通電車に乗って、何の変哲もない209系で、車内もそんなには乗っていなかった(ガラガラという程でもないが)が、窓の外の千葉の田舎は、これも何の変哲もない農村地帯だったのだが、やはり千葉の田舎は捨てがたいと思ったし、名もなきローカル列車から独り外を眺めている、というのが、私には一番あった旅のスタイルだと、実感しました。だから帰りの京葉線や東京駅の混雑は閉口してしまったし、上で書いた〔サフィール踊り子〕で展開されそうな「至れり尽くせり」のサービスは、私には向いていない。
 それにしても10連休、やはり長すぎる。働き過ぎて過労死、というのは最悪だが、ダラダラ10日も連続して休み、というのも決して良くない。業種にもよるが、「5日働いて2日休み」、このリズムが維持されるのが、働く者にはベターなのではないか、と、改めて思いました。これを、働く人全てに及ぶようになるのを、「働き方改革」の基本線とすべきと考えるが、皆様はどう感じられたでしょうか。
 明日も更新します。連休の序盤、平成最後の休みに出かけた、「電車の終点」について書きます。そこも比較的静かで穏やかな、埼玉の田舎町でした。