№1999 この列車の行先・終点はどんな場所 9.小川町
3月16日は、JRグループ以外でも関東大手私鉄でダイヤ改正があり、新しい運行形態の列車もいくつか見られました。
東急東横線~東京メトロ副都心線~東武東上線で運行される相互直通列車は、基本的にはほとんど変わりがないが、土休日の早朝に設定がある、東上線内快速急行運転の3本が、行先を森林公園から小川町に延長、東横線から小川町までの列車が走る事になりました。今回はこの終点、東上線の小川町を訪ねてみようと思います。
東横線からの小川町行は、次の3本の設定があります。全て土休日のみ運転です。
菊名5:49 → 7:32小川町 052052~552K~152K 東横線:急行 副都心線:急行 東上線:快速急行
菊名6:43 → 8:33小川町 055062~655K~155K 東横線:急行 副都心線:急行 東上線:快速急行
元町・中華街7:33→9:33小川町 731072~731S~131S 東横線:特急 副都心線:急行 東上線:快速急行
1本だけある元町・中華街発小川町行は、100.1!㎞をちょうど2時間で走り、表定速度50.05㎞/h。メトロ持ちのこの列車に乗っても良かったけれど(メトロ編成では、中央林間~南栗橋間を抜いて最長?)、東急の編成が小川町へ、というのが面白いのだから(メトロでも面白いが)、先月の29日、菊名から55K運用に乗り通してみました。
菊名駅のホームの発車案内表示装置。東急では、渋谷以外でも液晶式の表示がチラホラ見られるようになってきた。東急の電車が埼玉県まで走るようになったのも、平成の鉄道史の1ページを飾る出来事でしょう。2つ上特急の行先の小手指も、№1378で書いたが、埼玉県所沢市にある西武池袋線の駅です。
6時30分を少し回り、上り各停が出て行った所で、小川町行となる55K運用の回送編成が現れました。下り線から直接クロスに進入して上り線に転線し、5番線に入る。引上げ線が10連に対応していない、事もあるが、早朝で回送される列車は同じケースがいくらかあるようで、一つ前に菊名始発で出て行った8連の和光市行各停003062も、同じように下り線から直接5番線への入線でした。東急ではホームに着いてからしばらくして種別・行先が切り替わるのが普通だが、この列車は珍しく、既に「急行 小川町」の表記を出していました。
側面の種別・行先表記。東急の電車では、土休日に2回だけ見られる、レア表記。
車内モニター。
いきなり端折ってしまったが、終点の小川町。
折返し、855KのFライナー元町・中華街行。東横線からの3本は全て、折返しはFライナーです。
以前のダイヤでは森林公園が終点になり、始発の小川町行(折返し快速急行)に乗り換えになっていたが、森林公園~小川町間の往復部を、東横線からの直通に建て替えた形です。
今の東上線の寄居行は、全て小川町で8000系ワンマン編成に乗り換え。この列車に限らず、小川町の乗り換えは必ず、同じホームの平面移動(1⇔2番線・3⇔4番線)になります。平成が始まった頃は、池袋から6連の特急が直通、さらに秩父鉄道への乗り入れもあったのだけれど。
高麗川からのJR八高線高崎行231Dが着きました。キハ110系3連。東急とDCのツーショット!
なお、東急編成の小川町乗り入れはこれが初めて、ではなく、過去には東武主催のハイキング大会とかがあった時には臨時の乗り入れもあり、他者様のWebサイトを閲覧すると、「ヒカリエ」の乗り入れもあったようです。現行ダイヤでも、たまには「ヒカリエ」乗り入れがあるでしょう。
小川町駅のホームの表示。古いタイプになり、「Fライナー」の表記は出ない。
小川町駅
改めて、小川町駅。東武東上線で、池袋から64.1㎞。埼玉県の西部に位置する比企郡小川町にあります。1922(T11)年11月5日、武州松山(現東松山)からの延伸時に開業しました。3年後には100周年を迎える事になります。2017(H29)年度の乗降人員は10,151人。駅番号TJ33。未だに平屋建ての駅舎が維持されています。
JR八高線が接続するが、JRの駅員は存在せず、東武に営業を委託する形になっています。ICカードでJR線に乗車するには、跨線橋にある簡易IC改札機にタッチさせる必要があります。JRの2017(H29)年度の乗車人員は665人(乗降人員は倍にして1,330人程度か)にしかなりません。
現在、小川町~寄居間及び越生線では、旧塗装を復刻した8000系が3編成見られるが、当日の運用を、駅舎内で記しています。8000系は老朽化が進んでおり、宇都宮線では20000系の転用により、置き換えが進んでいて、間もなく見られなくなりそうです。こちらはいつまで(20040型にはならないと思うが)見られるでしょうか。
こぢんまりしたバス乗り場。左から、イーグルバスの白石車庫行、国際十王交通の熊谷駅行、川越観光自動車のみどりが丘循環。イーグルバスは、ハイキング客の行列が出来ていました。
3路線とも、平成が始まった時には、東武鉄道のバスでした。小川町にも営業所があったらしい。白石車庫行は川越観光自動車が引き継いだが、さらにイーグルバスの運行へと、30年で2回、事業者が変わっています。イーグルバスはIC不可。
この他、小川町に限らず埼玉県の各駅(特に北部)はどこもそうだが、ゴルフ場の送迎マイクロバスの出入りが、結構頻繁。
バスの待機場所の入り口、一般車進入禁止の看板には、いまだに「東武バス」の4文字が残っていました。
駅前からの通りは、「花水木通り」の名の通り、赤白のハナミズキが満開でした。この後もあちらこちらで見かける事になります。
観光の拠点となる、観光案内所「楽市おがわ」。レンタサイクルもあります。ただし、通常は月曜日休み。
(今回は、レンタサイクルは使わなかった)
まず、旧小川小学校下里分校を目指す。川越観光の小川パークヒル行(1時間に2本程度)に乗車、下里で降ります。学校までの道は、こんなにのどか。山手線の駅から電車で1時間、とは思えないロケーション。
槻川の清流。菜の花が咲いている。
旧小川小学校下里分校の木造校舎は、下里バス停からだと徒歩10分程度、だろうか。
この学校は、2011(H23)年3月に廃校になったそうです。比較的最近だが、廃校自体哀しいのだけれど、加えて時期が悪かった…。今はNPO法人が管理しているとの事。
1ヶ月位前に来れば、桜がきれいだったはずだ。
アニメファンには、「のんのんびより」の舞台、旭丘分校のモデルとしてお馴染みのようです。入口には、アニメのキャラを使った案内書きがあります。ただし、校舎内は通常は立ち入り不可。
アニメに関しては見た事がないから何も言えないが、「お兄さんは埋まってないわね」って、何よ。
この日の分校は、来場者は多かったが、「聖地巡礼者」の姿はなかったように見えた。
その入口から、廊下を撮ってみました。人の出入りがあるのだが、何をやっていたのだろう。
かつての用務員棟は、昨年4月に「分校カフェ Mozat(モザート)」となりました。食事や喫茶ができます。営業11~15時。通常は月・火曜日休みだそう。
朝食を食べて間がなかったので、ここでは喫茶にしました。豆腐のブラウニーとワッフルに、紅茶のセット。700円。
小川町駅方向には、槻川沿いの遊歩道を歩いて行く事もできます。休日らしく、バーベキューの姿も。
途中に「カタクリとオオムラサキの林」があるが、カタクリは終わっていた。
伝統工芸会館(バス停あり)・道の駅おがわまちに寄り道していくが、バス停近くから見える東上線を、「池袋・川越アートトレイン」が駆け上がっていくのが見えました。新ダイヤでは11・12時台に、森林公園行の普通電車が2本設定されています。川越特急編成の森林公園への返却で、森林公園で池袋行の急行に接続。
小川町というのは、万葉集にもゆかりがあるそう。鎌倉時代に万葉を研究していた僧侶・仙覚律師が、小川町で「万葉集注釈」なるものをかいたそう。という事で、伝統工芸会館には、このようなメッセージが掲げられているのでした。
工芸会館では和式漉き体験ができるそうだが、今回はパス。代わりに…。
和紙で作られた、「令和元年」のしおりを買ってみました。150円。
他に道の駅で、地元産の有機ジャムを購入し、ちょうどいいタイミングでやってきた川越観光バスで、駅に戻ります。
駅から南西に徒歩10分程、小高い丘の上に立つ、先に書いた「仙覚律師」の碑。
町の至る所に、万葉集の歌を記した案内板を見る事ができます。
先の工芸会館のメッセージはあったけれど、「令和」の2文字が万葉集からきているのであれば、もっと町中が盛り上がっているのかとも思ったが、そこまではいっていない。発表から1か月足らずという事もあるだろう。2日後に令和の世が始まっているし、これから何かしらイベントみたいなものがあるのかも知れない。
最後に、駅前の「三代目清水屋」。おからドーナツを売っていて、いくつか買って、寄居行の電車の中で食してみました。ザクザクした触感でおいしい。是非。
という事で、午後の比較的早い時間までだったけれど、小川町の街歩き、簡単だけどやってみました。東武電車の乗換駅だったり、JRとの接続駅だったり、ハイキングの基地だったり、ユネスコ無形文化遺産の細川紙というのは知っていたけれど、思った以上にいろいろ楽しめる場所かなあと思いました。郊外の自然も豊かだし。アニメファン注目のスポットもあるしね。GW中だったが、たいした混雑にならなかったのも幸いでした。電車も東上線は便利だし(八高線は、少なくとも高麗川まではもう少し本数があると良いのだが)、休日の行先としては、格好の場所だったと感じました。電車で、あるいは熊谷からでもバスで、気軽に訪れたい所です。
とはいってもやはり田舎町風情(ほめ言葉を含んでいますよ)。こんなところにまで東急の電車が、神奈川県から延々乗り入れるようになったとは、時代も変わったよなあと思わされました。
今回は、2月に発行された東武鉄道の広報誌「マンスリーとーぶ 2月号」(新・駅前そぞろ歩記)が、大いに参考になりました。
(現在、東武鉄道公式Webでバックナンバーを読めます)
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《今日のニュースから》
9日 次世代新幹線「ALFAーX」 試験車両公開
JR東日本では、明日夜から宮城県内で走行試験を開始し、その後順次区間を延長していくとの事。「速さと安全性を追求したい」とコメントしているようだが、何かしらの、乗客皆が享受できる、プラスワンのゆとりは、期待できないのだろうか。
大津の事故は悲惨な事になってしまって、亡くなられた園児2名、およびご家族の方々にはお悔やみを申し上げたいが、この所大きな車の事故が相次いでいるようです。先月起きた高齢者ドライバーによる池袋の事故を受けてか、立憲民主党は、高齢ドライバーには「安全運転サポート車」限定の免許の導入などを検討、提言をまとめる事になった、という事です。ただ高齢者だけでなく、そもそも今の車に依存しすぎた社会は、いろいろな面で弊害が顕著になってきていて、今後はクルマ社会そのものをどうする、という観点で議論がなされるべきではないでしょうか。