№1948 バスラマインターナショナル171(ぽると出版)

「バスラマインターナショナル171」が、昨年末に発売になりました。
 表紙は待望の江ノ電バス、路線車の新エアロスターと、夜行高速用のエアロクィーン、背景はやはり江ノ島。

今月の新車から
 しずてつジャストラインはずいぶん多数の旧塗装復刻車両を出しているが、路線車のカラーは、まだ現役が残っているのだけれど。
 相鉄バスのハイブリッド車は、なぜエルガでなく、ブルーリボンになったのだろう?日野の大型路線車の導入は13年振り(他にズーラシア園内運行用のBRCハイブリッド受託がある)。
 十勝バスのブルーリボンの運用路線は、皆昔、鉄道が走っていて、代替した路線だ。

バス事業者訪問206 江ノ島電鉄(江ノ電バス横浜・江ノ電バス藤沢)

画像

 江ノ電バスは待望でした。地元も地元だし、前にも書いたが、「バス事業者訪問」では、比較的規模が大きく、高速バスなども運行しているのに、未だに取り上げられていない事業者が思いつくだけでも10社ほどあって、江ノ電バスはその内の1つでした。
 今でも江ノ島電鉄が統括会社で、実際の運行を江ノ電バス横浜と江ノ電バス藤沢が、大船を境にして分け合う形になっている。これは新京成電鉄と同じだが、新京成は船橋と松戸で別会社なのは解るが(エリアが被っていない)、江ノ電は何故「横浜」と「藤沢」で分けたのか、この辺は解らなかった。確かに横浜と藤沢ではやや路線のカラーが異なってくるが、といってこの規模で分ける必然性もあまり感じない。藤沢側を「江ノ電バス」として分社した、そのためかも知れない。
 路線網は、基本的には東海道線より南側。大船駅~建長寺~鎌倉駅間は、3営業所が全部運行するのが目に付く。
 ハイシーズンの電車の混雑と、大幅な遅延は、確かに困ってしまう。「アトラクションとしての存在感が大きい」と言っても基本的には地域の足であり、地元の人が利用に困窮するようではまずい、と過去に書いたが、といって現状で電車の輸送力増強は、車両、施設、どちらも不可能なので、バスに代替機能を期待しているようだ。
 輸送人員の表を見ると、基本的には微増傾向、なのだろうか。頼もしい話ではある。
 大船~横浜路線17.92㎞は、横浜駅発着では2位になると思われる(1位は神奈中の鶴間行だが、16日より大幅減便、平日早朝1往復のみになる)。長距離なので、定時運行が難しいのではないかと、心配はあります。
 観光地は渋滞が酷くて困るというのは、先日私も藤沢駅から江ノ島に行く路線に乗ってみて、少し感じました。江ノ島に渡るまではまだ良いが、駐車場入場待ちのマイカーが橋で渋滞を作ってしまっていて、遅延を生じてしまうのです(それでも藤沢~江ノ島間は25分だから、鉄道の代替機能は期待できるだろう。そのためには、本当はもう少し本数が多いと良いのだが)。
 他社との協調、という点では、少なくとも神奈中バスは同じ小田急グループなのだから、もう少し協調体制の確立や、乗降方法などの統一、などの方策は取れないだろうか。上大岡~日野~大船路線は江ノ電と神奈中が運行しているが、「共同」とまでは行かず、ダイヤも別々になっています。この辺調整ができないのかなと感じています。ダイヤをスリム化する事で、ドライバー不足の問題も、ある程度は軽減できそうだし。
 定期観光バスは、30年前は3コース4便あり、京急も走っていたけれどねえ。江ノ電は専用の新車の導入もあってやる気も見せていたのに、縮小傾向は残念です。鎌倉付近は元々道路事情が良くなく、他観光地のような周遊型路線バスの運行も難しいかも知れない。路線にしろ定観にしろ、道路事情から来るバスの運行の困難さは、とにかく地元各自治体に良く考えて貰いたいと思う。
 高速バスは、金沢線と田沢湖線は相鉄バスから引き継いだ形だが、金沢線は夜行なのに、新幹線の影響が避けられなかったのか。旧ツアー組の路線の存在もあるだろう。京都・大阪線はずいぶんとマニアックなルートだが、(私も以前、戸塚→京都で乗った事がある。南海系はこういう路線が多い)、列車の夜行がなくなって久しい上、今の所このエリアでは旧ツアー組の路線はないようなので、安定した需要が見込めるのだろう。

 腰越での江ノ電と江ノ電バスのツーショットがあったが、バスの方は、この方向で運行する便は、七里ヶ浜東台から来る、朝7~8時台の2便しかない。以前は終日1時間間隔の運行があったのだが、この路線も国道の渋滞の影響を受けたクチだろう。七里ヶ浜駅を起終点とする、小型バスによる循環系統の新設も、その対策のはず。

 車両面では、長いのあり短いのありで、路線距離に反比例してバラエティは豊富。分社前あたりは、横浜・旧藤沢両営業所…日産ディーゼル、鎌倉…三菱ふそう(富士)と棲み分けが出来ていて、思い出したようにいすゞ車(これも富士)が入ったりしたが、日野の中型以上の導入は比較的最近で、今後大型車は横浜・鎌倉…三菱ふそう、湘南…いすゞ・日野と分けられる事になるのだろうか。

画像

 なお、エアロバス803号車の引退が予想されていたが、昨年末より新エアロエースの空港車が、803の番号を引き継いで運行を開始しています。江ノ電オリジナルの高速カラーです。

スタイリッシュな電動連接バスを追ってスペインへ
スペインの都市間バスで訪ねた サンセバスチャンとビルバオ

 イリザールのEV連節バスは確かに「スタイリッシュ」、ではあるが、斬新すぎて、日本でスンナリ受け入れられるだろうか?それに、座席がベンチみたいな素材のようで、乗客の立場としてはどうなのかと思う。今は1台だけだそうだが、わざわざ充電設備を設けた程だから、いずれすぐに増車される事になるだろう。
(今の日本の路線バスに必要なのは、まず優先的にスイスイ走れる走行環境、だろう。車両のデザインはその次くらい、と私は考えています)
 長距離バスは、マドリード→サン・セバスチャンとビルバオ→マドリードで大分違うが、帰りの便は廉価便だったのだろうか?仕様は同じようだが。どちらにしろ、最高で5,000円位だから、大分安いと思う。スペインは元々全体的に運賃が(少なくとも欧州では)安く付く国なのだが。
 バスクは私も行った事があります。観光的には風光明媚だし、公共交通が整備されているのは頼もしいが(私が行った時には、トラムはまだなかった)、政治的には、今はどうなのだろう?今のスペイン国内の独立運動、というとカタルーニャだが、バスクも昔は独立を巡ってテロが頻発した所だし、今でも独立の機運が消えたわけではない。スペインだけでなく、欧州は今後、イギリスのEU離脱や政治の右傾化などで、場合によっては相当な混乱も予想される。それが、公共交通に悪影響を与えたりしないだろうか?

 香港-マカオの珠海大橋のバス、ようやく実物の写真を見る事ができました。中国メインランドと香港・マカオは交通方式が違うからどうしているのかなあと思っていたのだが、両側にドアをつけるのか。少し考えればすぐ解る事だった。車内は一般の市内バスに近い様に見えるが、どのみち途中ノンストップなのだから、もっと高速バスに近いスタイルの方が良かったのではないか?記事を見たら、また香港に行きたくなった。行くとしたら、次は間違いなく、マカオも加える事になるはずです。

 次号のバス事業者訪問は大阪シティバスになるそう。バスラマ誌では、市交通局時代の「赤バス」サービスに割と高い評価を下していたように思えるが、さて、どのように取り上げられる事になるのだろうか。大阪メトロも関わるが、大阪府・市ではかなり先鋭的な政・労の衝突があった経緯もあり、次の統一地方選もその流れを引きずる事になりそう(府知事・大阪市長が辞任し、選挙に打って出ると表明している)で、大阪市の公共交通の安定した運営が出来るのか、少々不安があります。BRTの社会実験を行うとは、昨年末に大阪に行ったときに、ポスターで見ました。通常のノンステップ車を使うようだが、実物は見られるのだろうか。

 当ブログでは直接のコメントは受け付けないので、何かありましたら、本体の「日本の路線バス・フォトライブラリー」上からメールを下さい。折返し返事をしたいと思います。何か質問がありましたら、やはり本体上からメールを下さい。解かる範囲でお答えをしたいと思います。質問と答えは当ブログにも掲載します。
 当ブログ上からでは発表できない緊急の事態が発生した時は、本体でお知らせします。


《今日のニュースから》
 9日 和歌山駅地下街で異臭 11人手当
10日 大宮駅ホーム下で寝泊まり 専門学校生を逮捕