№1941 JTB時刻表2019年1月号(JTBパブリッシング)

「JTB時刻表2019年1月号」が発売になりました。
 表紙は東海道新幹線300系、富士山バックの定番だが、撮影が2005年だから13年前だ。

平成の鉄道ニュース TOP10
 平成の世の中を回顧する企画をあちらこちらで見かけるようになったが、30年前の昭和の終わりを思い返すと、180度違うなあと、つくづく感じます。何か奇妙な感触も。あの頃は当然、そんな事を口にする事は許されなかったし、自粛・自粛の重っ苦しいムードが漂っていたものだったから。

 列挙されているTOP10について、私なりに感想を記して見ると、

① 新幹線のスピード重視は、もはや東海道に限らない。食堂車とは行かなくても、〔のぞみ〕や〔みずほ〕、〔はやぶさ〕くらいは、BARコーナー程度は欲しいなあと、いつも思っているが、新青森〔はやぶさ〕でさえ、臨時となると車内販売すらなくなっているようでは、もう望み薄か。0系や100系の〔ひかり〕に乗ったら、真っ先に食堂車に走って行ったのも、遠い昔になってしまった。
 結局、基本的に新幹線、特に東海道のメインターゲットはビジネスマン、彼らと我々「鉄」が求めるものが根本的に異なり、彼らにとっては、スピードアップによって得られる、現地における時間的「ゆとり」こそが、最優先なのであろう。

② 鉄道とバスの相互の利用を初めて可能にしたのが「nice-pass」だったのは、実は初めて知りました。単に旅客の利便性の向上、だけでなく、各事業者の営業戦略にも深く関わるようになってきているのが、昨今の流れでしょうか。今後は地方のICカード導入事業者が、全国相互利用のカードをどれだけ受け入れるか、だろうか。それ以前に、同じ地域でICカードが異なっているところがある(互換性がない)のが、ややクエスチョン。
(私は、旧呉市交通局のPASPYを持っています)

③ 将来的な展望で言うと、九州新幹線長崎ルートは、フリーゲージトレイン断念で、かなり雲行きが怪しくなってきている。本当は佐賀県内もフル規格になるのが良いとは思っているが、そのためには、佐賀県が重い負担をしなくていい仕組みを作る必要がある。四国にも新幹線を!という声も地元財界にはあるそうだが、とにかく建設費用がどうしても巨額になるし、中国のように国が全面に出てあっという間に網の目のようなネットワーク、とは行かなくなってきている。並行在来線の問題も合わせて考えると、整備新幹線は正念場か?
 なお、LCCが無視できなくなっている、というのは解るが、東京~大阪間は違うと思う。LCCは全て成田~関空で、ビジネスの目線では、時間的に競争力がない。LCCもピーチ・バニラ統合(バニラとしての運行は来年10月26日まで)があり、転機かも知れない。国内線は今後、伸び代があるだろうか。

④ という状況では、新幹線の高速化や航空(LCC以外でも)の発達、高速バスネットワークの充実を前にしては、ブルトレはもはや競争力を喪失してしまったと言わざるを得ない。どうしたらよいかという事は以前考察したけれど、現実には、所要時間が10時間を越える夜行列車は、要員確保の点でも、もう作られる事はないだろうと思っています。JR西日本が、中距離くらいの夜行の復活を模索しているのではないか、という気がしているが。

⑤ 京成新スカイライナーが160㎞/h運転を行っている事には、触れられていない。

⑥ これもやはり、昨今の新幹線のスピード重視の象徴か。500系のデザインは今でも好きだが、技術や接客などの面では、ここに来て賛否両論があるよう。

⑦ あまり口にはしたくない…。このまま復旧せず、廃線になりそうな路線も出てきそうだし、来年以降、災害の規模が拡大する事はないとはもはや言い切れず、今からユウウツです。山田線復旧・三陸鉄道移管は朗報になるが。

⑧ これは、JTB時刻表にも直接影響している事ではないでしょうかね?先月号から旅館・ホテルのページがなくなっているのは、ホテル予約サイトの普及のためだと思う。

⑨ 来年夏の浦添市延伸が、新しい元号の下における、最初の鉄道の開通となりそう。その時点でまた沖縄に行きます。

⑩ これは皆、時刻表には出てこない列車なので、ここで取り上げるのはやや疑問。

 この他、ここに出てこなかった部分で、個人的にはこれはどう?と思うものを挙げると(多少一般的でないのもあるが)、

Ⅰ 大都市の相互直通ネットワークの拡大 湘南新宿ライン・上野東京ライン、地下鉄を介した東急~東武・西武、羽田~成田両空港間アクセス特急など。小田急ロマンスカーのメトロ乗り入れも。関西では近鉄~阪神や、JR東西線の開通。

Ⅱ 空港アクセス鉄道の強化 〔成田エクスプレス〕〔はるか〕〔ラピート〕の他、新千歳・仙台・宮崎などで空港新線鉄道が相次ぎ開業。羽田では東京モノレールvs京急の旅客獲得合戦が激化。

Ⅲ 国鉄特急型の終焉 485系の定期列車からの引退が象徴的。現在、純粋な国鉄特急型を使用する特急は〔踊り子〕〔やくも〕のみとなった(〔オホーツク〕〔大雪〕のキハ183系は、民営化後製造のマイナーチェンジ車両)。〔踊り子〕はいよいよ、中央線から転用のE257系に置き換えが始まりそうで(本当はJR・東急共同開発の新形式が欲しかった…)、〔やくも〕の行方が注目される。

Ⅳ 「ライナー」列車の多様化 平日の通勤・帰宅時だけでなく、土休日の行楽でも運行が見られるようになってきた。一方で一般列車の増発による廃止や、特急の実質「ライナー」化(さざなみ・有明)も。

Ⅴ 外部デザイナーの登用の増加 水戸岡鋭治氏、岡部憲明氏が代表的。「サンライズ」は、住宅メーカーのデザインチームが参加した。

Ⅵ 女性運転士・車掌の登場・増加 第一号は秋田内陸縦貫鉄道だった。先日大阪まで快速の乗継ぎで行ってきたけれど(来月書きます)、JR東海新快速の大垣では、運転士・車掌とも女性同士の交代で、時代だと感じた。女性が現場にいない鉄道の方が、珍しくなってきているかも?
(JTB時刻表のグラビアでも、連載をやっていましたよね)

Ⅶ 大規模な鉄道博物館の開館 大宮・京都・名古屋。「碓井峠鉄道文化むら」のような、屋外の体験型も見られる様になりました。

平成初期の車両たち
 ここでは、新元号になってからも少しは見られるだろうという現役車両が並んだが、平成の世の間だけで終わって既に引退済みの車両も、いくつか見られます。JRでは山形新幹線400系に、先日引退した〔スーパーあずさ〕E351系、私鉄では京成スカイライナーAE100形、小田急ロマンスカーRSE20000系(3両だけ富士急行で生きながらえているが)とか。東日本の車両が、比較的早めに置き換えの対象となるようだ。

「のりもの情報局」は、「小学館『鉄子の旅 3代目』第3巻発売中」「KANZEN『鉄道とファン大研究読本~』発売中」「京成・京急 時刻表発売中」「太平洋フェリー ニュー『きたかみ』1月25日就航」「京王電鉄 京王れーるランド」「相鉄『ゆめきぼ切符キャンペーン』12月22日開始」。
 京急の時刻表は入手しました。横浜始発エアポート急行が金沢文庫始発に延長になった以外、ダイヤ体系の大きな変化はないが、注目されるのは、京成編成の三崎口定期乗り入れが23年振りに復活した事。平日のみで、下り京成高砂発三崎口行1706K(京成高砂→押上間普通・押上→三崎口間特急)、上り三崎口発成田空港行2007K(三崎口→品川間快特・品川→成田空港間アクセス特急)。
「鉄道模型プレゼントコーナー」は、遠州鉄道30形。

特集
 私鉄の終夜運転のリストも並びました。
 ここにはないが、湘南モノレールが終夜運転を行います。今シーズンが、初めてのよう。45分間隔。
 京王の〔迎光号〕が、京王ライナー(有料)として運行されるのが目に付きます。これもまた、「ライナー」列車の近年の多様化を象徴するものになるのではないでしょうか。

 会社線のページにも、京王の〔迎光号〕のダイヤが掲載されています。停車駅は、京王線内は通常の京王ライナーと同じで、高尾線はめじろ台・高尾に停車。
 ひたちなか海浜鉄道も臨時列車が掲載されているが、〔なかみなと号〕は全駅停車なのにどうして快速なのだろう?所要時間も普通列車と全く変わりないし。

本文
 西日本豪雨の影響だろう、山陽本線の終夜列車〔宮島号〕は、今シーズンは本文の方に掲載されています。運行内容は前シーズンとほぼ同じ。

 12月号で既に掲載済みだが、東北新幹線の〔はやぶさ〕〔はやて〕の内、東京~仙台間のみ運行の列車は、1月1日からグランクラスは座席のみ営業となり、アテンダントの乗務と、付帯サービスがなくなります。定期では、下りは〔はやぶさ13号〕(新青森延長日はアテンダント乗務)・〔はやぶさ41号〕、上りは〔はやぶさ2号〕〔はやぶさ46号〕(新青森延長日はアテンダント乗務)が該当。なお、〔やまびこ〕の盛岡発着は変更なし。

 高速バスは、常磐道関連の東京~つくば・水戸・日立路線の12月1日改正ダイヤが、今号で掲載になりました。上り便は、都営浅草駅・上野駅が土曜日も通過。また平日の浅草着は、夜間は東武浅草駅に変更(銀座線浅草駅の工事のためか。2020年春まで、らしい)。
 国際線航空は、ロイヤル・ブルネイ航空の成田~バンダルスリブガワン路線が掲載になりました。3月15日就航で、成田発着水・金・日用の週3便。A320neo。成田のターミナルがどちらかは不明(成田空港公式Webには、今日の時点では発表がない)。ロイヤル・ブルネイ航空は、関空開港時に乗り入れがあったが、短期間で撤退していました。

 なお、営業案内でJRのICカードのエリアを眺めてみたら、西日本のICOCAエリアのマップで、芸備線の山陽本線接続駅が海田市になってしまっていました(先月・12月号もそう)。

 来月・2月号は、JRダイヤ改正の特集か。この所、グラビア特集は予告がありませんねえ。

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《今日のニュースから》
23日 「クリスマス列車」 智頭急行で運行
24日 ニューヨーク株価 653ドル17セント値下げ 1年3ヶ月振り安値水準
25日 「ちびまる子ちゃん」 完結巻発売